昨日忘れていました。
まあ、そんなこともあるさ。
仕事がある程度落ち着いた日。
校長室にいると何かに見られている気配がある。
「そこにいるんでしょ?紫さん。」
「あら?ばれていたのね?」
やっぱり紫さんでしたか。
「君を迎えられる準備ができたから、話に来たわ。」
「・・・それはどういうことでしょう?」
心を除けばすぐに分かってしまうけど、あえてしないでおく。
「悟り妖怪。貴方なら私の心の中なんて、簡単に覗けるんでしょ?」
予想外なことを言われた。
「そうね、確かに人からは嫌な目で見られているわ。」
[だがら私は、君を私が考える理想郷へと案内しようと思っているの。人間と妖怪が手を取り合って暮らせる世界、嫌われた物達の楽園・・・]
「面白そうね、その理想郷。でも・・・行かないわ。もし行くとしたら、もう1人連れていくことが条件よ。」
[クレア・コンスィーのことね。]
「そうよ、私と同じ悟りの目になっちゃったコンスィーよ。彼女を置いては行けないわ。」
暫く静かさが校長室を支配する。
[分かったわ、待っているわ。その時まで・・・]
紫さんは扇子で口を隠して、隙間(この前教えてくれた)の中へと気配が消えた。
その直後、誰かが校長室を訪れている。
「入っていいわよ、コンスィー。」
「お姉ちゃん、ハリー達が・・・」
「また、やらかしたのね。」
「うん、魔法省に行っちゃった。」
ほあ。
よりによって魔法省とは・・・
「コンスィー、魔法省に行ってくるわ。貴方は待っていなさい。」
「え〜。お姉ちゃんが行くなら私もいく。」
「・・・はあ〜。貴方はこう決めたら動かないからね。いいわ、ついて来ていいわよ。」
「ありがとう、お姉ちゃん。」
煙突飛行ネットワークを使い魔法省へ行く。
全く・・・校長として赴かない訳には行かないしね。
○
魔法省は静かだった。
「休みなのかな?」
「受付にも人がいない訳がないじゃない。」
「それもそうね。」
流石に誰かは来るはずだから、受付と最低限の人は必要だろう。
辺りを警戒しながら奥へと進む。
扉に印?
目印か何かかしら?
幾つかの部屋を通り過ぎると、今まさに誰かが戦っている最中だった。
「助けましょうか?シリウス。」
「梨花か、助かるよ。」
何人もの死喰い人がいて、その中にはベラトリックスがいた。
「生徒は大丈夫かどうかわかりますか。」
「いや、分からん。」
「そうですか。」
他にも不思議の騎士団メンバーがいる。
ここは早めに抜けてハリー達を探さないと・・・
「エクスペリアームス」
何の素振りも見せない早技で、ベラトリックスに呪文を放つ。
予想外だったみたいで、直撃してくれた。
他の死喰い人は驚いているようだ。
「後は任せれるわね?」
「あ、あぁ。敵に回したくない程キレが良かった。」
「ありがとう。」
広い場所にでた。
確かアトリウムって場所だったような気がする。
そこも職員はいない模様・・・。
「これはこれは、現校長じゃないですか。」
「ヴォルデモート!」
私はヴォルデモートの中を見て驚いた。
これって・・・
「エクスペリアームス」
「しまっ」
私はヴォルデモートによって弾き飛ばされる。
油断していたとはいえ、盾の呪文が言えなかったのが悔やまれる。
クッション呪文を唱えようとしたが、唱える前に壁に当たる。
「ぐはっ」
血を少し吐血してしまった。
もしかしたら骨が折れているかもしれない。
意識が危うく飛びかけたがこらえる。
やばい、やばすぎる。
視界に靄がかかっているようだ。
杖は?
手にはないから、何処かに落ちているのかもしれない。
動かないと・・・
でも体が言うことを聞かない。
「ダンブルドアが選ぶ奴がこれくらいなら、ダンブルドアの実力もたかがしれているな。」
くっ。
言い返せない。
「貴様はここで見ておれ、大事な生徒が死ぬ様を‼︎アバダ・ケダブラ」
呪文はコンスィーに当たり、倒れてしまった。
あまりにも一瞬だった。
コンスィーは、瞬発力はDAにおいて最高クラスによかった。
なのに何故、呪文に当たってしまったのか。
それは動揺。
私が倒される所を間近に見て、判断力や瞬発力が遅くなったのだろう。
「フフフフ、ハハハハ。いいざまだ。お頭、こいつはどうします?」
「わしの秘書になる奴だ、丁寧に扱え。」
「へいへい。」
「ステューピファイ」
「あべし」
突然私の前に立つ者が現れた。
「ダ・・・ダンブルドアさん。」
「後はわしに任せておきなさい。」
その言葉を最後に、意識を失った。
(ハリー視点)
何やら広い場所に辿り着いた。
近くにはハーマイオニーとロン、シリウスの四人。
ここに入って一番最初に目に着いたのは、ダンブルドア先生だ。
ロンは一安心しているようだけど、ハーマイオニーが何かに気が付いたようだ。
「あれって梨花校長じゃない。それに・・・クレアも。」
よく見ると二人が倒れたまま動かない。
もしかして・・・
最悪のことが浮かぶ。
「シリウス、二人を頼む。」
「わかった。」
二人をヴォルデモートから離れた場所まで運ぶ。
「大丈夫、二人とも脈はある。」
そっと息をする。
戦いはヴォルデモートが引いたことから終着した。
梨花校長がうなされ始めた。
「ク・・・クレア・・・・・死ん・・じゃ・・・・・ダ・・・メ。」
「ハリー、ロン、ハーマイオニー。今すぐ二人を医務室に。」
シリウスが石(何かの破片)に呪文をかけた。
「やり方は知っているね?」
「無許可の作成は・・・」
「そんな場合じゃないよ。」
ホグワーツに戻り急いで医務室へと走る。
「三人とも直ぐに出て行きなさい。二日間は面会禁止とします。」
締め出された。
俺達は呆然とするしか無かった。
「大丈夫よね?」
ハーマイオニーが肩を震わせている。
泣いているようだ。
そっとロンが抱きしめて落ち着かせる。
「二人ともしっかり脈はあったから大丈夫だと思う。」
遅れるように、ダンブルドアが生徒を連れてやってきた。
それぞれの寮に戻り、その日は直ぐに床に着いた。
end
知らない天井だ。
いや、見るのは二回目になる天井か。
ゆっくり体を起こそうとしたが、かなりの激痛が押し寄せてきた。
「梨花校長、動かないで下さい。絶対安静ですから。」
「ミス・コンスィーは?」
「あの子は助かりました。ただ・・・」
ポンフリーが左の方を見た。
私もつられて左を見る。
そこには誰も寝ていないベットがあるだけ、強いて言うなら布団がシワシワな点だろうか。
「何処かにいなくなってしまったの。」
本当に無事なのだろうか?
ダンブルドアが部屋に入ってきた。
ポンフリーに外すように言うと、椅子に座った。
「まずはお疲れさんじゃ。」
「校長になる話、聞いていませんよ。」
「そりゃそうじゃ。謎の守護霊が現れて助言したからの。」
もしかして・・・紫さんのことだろうか?
「・・・いるんでしょ?」
すると紫さんが私の体から出ている風に出てきた。
そこから現れなくても・・・
「は〜い☆呼ばれて飛び出てゆかりんで〜す☆」
うぜぇ。
「君は何者じゃ?」
「理想を作っているただの旅人って言ったじゃない。」
「ただの旅人がこんな関与はしないと思うんじゃが?」
「・・・それもそうね。じゃ、未来を変えたい占い師とでも名乗っておこうかしら?」
紫さん、あなたは占い師でもなんでもないと私の心の目が叫んでますよ。
「では占い師さん、わしは笹倉梨花と話をしたい。部外者は立ち去ってくれんかの。」
「あらあら、残念。」
そう言って隙間の中へと消えていった。
紫さんは何の為に今現れたのだろうか?
少し疑問が残ったが無視することにした。
「さて、なにから話そうかの。いや・・・二人で話すのはまた後ほどにしようかの。」
ダンブルドアはそう言って退室していった。
備考
・理想郷(今の幻想郷)に誘われる
断るんですけどね。
今の所行く予定はありません。
・敗れる主人公
それは油断していましたし、ヴォルデモートの中に驚いたためです。
・あべし
どこのネタだったっけ?
・コンスィー死亡?
死んでいませんよ?
この後重要な役割をしてもらうために、この結末にしました。