本当にすいません。
「・・・これが私から報告できることです。お役にたてなくてすいません。」
「充分役に立っておる。そのガマガエルって奴を魔法省から探してみよう。」
私は不死鳥の騎士団のメンバーに報告した。
報告を終えると、ハリーが護衛部隊に連れられてやって来た。
騎士団メンバーはホッと一安心。
夕食ができたことで会議は中断し、一同食事を進める。
デザートも終わり、シリウスが口を開く。
「驚いたよ、ハリー。てっきり私は、君がここに着いたら真っ先にヴォルデモートの事を聞いてくるだろうと思っていたんだが・・・」
「聞いたよ‼︎ロンとハーマイオニーに聞いた。でも、2人は騎士団に入れてもらえないから詳しいことは何も知らないって・・・」
「2人の言う通りですよ。あなた達はまだ若すぎるの。」
シリウスの疑問にハリーは憤慨といった感じで答えたが、そのハリーに応えたのはシリウスではなくモリーさんだった。
「モリー。騎士団に入っていなければ質問してはいけないと、いつから決まったんだ?ハリーはあのマグルの家で1ヶ月も閉じ込められていたんだ。何が起こっているのかを知る権利がある。」
「ちょっと待った‼︎何でハリーだけが質問に答えてもらえるんだ?僕達だってこの1ヶ月間、皆に散々質問してきたのに誰も何一つ教えてくれなかったじゃないか‼︎」
ジョージが大声で文句を言うが、モリーはそれを無視してシリウスへと向かい合っている。
シリウスはハリーにも騎士団のことやヴォルデモートのことを教える必要があると主張し、モリーは未成年で騎士団にも入っていないのだから不用意に教えるべきではないと主張している。
モリーはダンブルドアの言葉も出しているが、シリウスはそれに一歩も引かずに反論している。
「ちょっと待って‼︎僕が駄目だっていうなら、どうして梨花は騎士団に参加できているの?梨花だって僕達と同じ未成年だ。」
ハーマイオニー達に私が騎士団として会議に参加していることは聞いているはずなので、話に出してくるとは思っていたが。
「この子は18才です。未成年ではありません。」
「ヴォルデモートは僕の命も狙っているではないか‼︎」
「ハリー。君の言いたいことも分かるが、ハリーと梨花では事情が異なるんだ。ダンブルドアは梨花の持つ特殊能力がヴォルデモートに取り込まれるのを恐れている。そして、それを防ぐ為には騎士団の情報を知り、いざという時に動けるよう騎士団に入っていたほうが守りやすいとお考えなのだ。」
「ハリー。この事については変更することはできない。彼女はすでに多くの情報を知っているし、彼女は情報をヴォルデモートに盗まれないよう防ぐ手段を持っている。だがハリー、勘違いしないでほしい。それは君に情報を教えないということではない。私はある程度の情報を君に教えるべきだと思っている。」
ルーピンの言葉に反論しようと口を開きかけたハリーだが、それをシリウスが制した。
だが、最後にシリウスが言った言葉に今度はモリーが反応するが、気のせいだったようだ。
「ダンブルドアは立場が変化したことをご存知だ。ハリーが本部にいる今、ある程度の情報は与えるべきだと認めていらっしゃる。私個人としても、全体的な情報をハリーは知っておくべきだと思っている。ハリーも自分で物事を判断できる年齢だ。このことで意見を言うのを許されるべきだろう。」
「僕、知りたい‼︎何が起こっているのか。」
アーサーの言葉にハリーは即答した。
モリーは説得は無理だと思ったのか、ハーマイオニー達に出て行くように言うが、そこでまた反論が起こる。
双子は自分達は成年しているのにどうしてだめなのかと、ロンはもし今聞けなくてもハリーが後で教えてくれるとそれぞれが主張する。
最終的に、ハーマイオニー、ロン、ジョージ、フレッドは話を聞くことを許されて、ジニーだけはモリーによって強制的に部屋へと連れて行かれた。
静かになった部屋でシリウスが口を開いた。
「さて、ハリー。何を知りたい?」
ハリーは多くの質問をした。
1ヶ月間、溜まりに溜まったものを吐き出すかのようにそれらは出てきた。
ヴォルデモートは何処にいるのか、何を企んでいるのか、何か事件は起こっていないのか、騎士団は何をしているのか。
それに騎士団のメンバーが答えていき、その答えに対して再度ハリーの質問が飛ぶ。
「目先の問題は魔法省だ。ファッジが頑なにダンブルドアの事を否定している。」
「ファッジはダンブルドアが自らの失脚を企み大臣職を狙っていると思っている。勿論、ダンブルドアはそんなことを考えてはいない。だが、ヴォルデモートが戻ってきたという事実に向き合えないファッジは、ダンブルドアを敵かなにかと思い込むことで平静を保っているんだ。」
「魔法省がヴォルデモートの復活を認めない以上、我々が多くの魔法使いに真実を信じ込ませるのは簡単なことじゃない。信じてもらえずともヴォルデモートが復活したという情報を、まったく流していないというわけではない。最も、それによってダンブルドアが苦境に立たされているのも事実だが・・・」
アーサー、ルーピン、シリウスと順番に話が進んでいく。ハリーは時折質問を挟みながらも、静かに聞いていた。
「国際魔法使い連盟の議長職とウィゼンガモット法廷の主席魔法戦士から降ろしたのも魔法省の手引きだ。勲一等マーリン勲章を剥奪するという話も聞く。ダンブルドアは日刊預言者新聞で散々叩かれているよ。ダンブルドアだけじゃない、ハリーと梨花もだ。新聞は読んでいたかい?」
ルーピンの言葉に夏休み最初の事を思い出す。
日刊預言者新聞に私やダンブルドア、ハリーを含めて「嘘吐き」だの「思い込みが激しい」だの「目立ちたがり屋」などと書かれてあった。
ハリーの記事に関しては去年のリータ・スキーターが書いていた記事を元にしているようで、元ネタが豊富というのもあるだろうがハリーの抱える事情がそうさせるのだろう。
私よりもハリーは集中して叩かれていた。
○
ハリーが騎士団本部に来てから数日、いよいよ尋問の日がやってきた。
ハリーは朝早くからアーサーと魔法省へ向かっている。
そろそろ尋問が始まっているはず・・・本来であれば。
1時間程前にアーサーの同僚の人からふくろう便が届き、尋問の時間と場所が変更になったらしい。
話を聞くと、変更になった場所は魔法省の神秘部という部署のさらに地下にある古い法廷で行われるということ。
だが、問題なのは時間だ。
余裕を持って早く出発していたハリー達だが、変更された時間は随分と早まっており、魔法省に到着していたとしてもギリギリか遅刻かという時間だ。
突然の変更に知らせを知った全員が憤慨したが、変更されてしまったものはどうしようもない。
尋問における主導権はあちらにあるから、尋問を受ける側は魔法省の決定に従う他はないのだ。
「・・・」
「・・・」
本部にいる者は全員食堂に集まって、尋問の結果がどうなったかの知らせが届くのを無言で待っている。
ハーマイオニーは本を持ってはいるけど、逆だしページは捲られていない。
私はジニーの髪の毛を梳かし、ジニーは小さく念を送っているようだ。
(ハーマイオニーには断られた。)
ジョージとフレッドとロンは部屋の隅で何やら話し合っており、モリーは昼食の準備をしている。
30分後、1羽のフクロウが食堂の窓から入ってきてテーブルの上に静かに降り立った。
瞬間、モリーはフクロウが咥えている手紙を奪い取り封を開け始める。
フクロウのことを誰も目を向けていないため、とりあえず近くにあったビスケットを1枚取りふくろうの前に持っていく。
フクロウはビスケットを咥えると、ホーと一鳴きしてから入ってきた窓へと飛び去っていった。
「無罪よ‼︎無罪放免‼︎」
ふう、よかった。
その夜の夕食がパーティーとなったことは、言うまでもない。
備考
・ガマガエル
アンブリッジのこと。
この小説では、ガマガエルと書くことが多くなると思います。
その他は、ほぼ原作通りなのかな?
次回は28日予定。
今度は忘れないようにしなくては・・・