日付が変わっているような気がするけど、きっと気のせい。
さて、ゴブレットから結果が聞かされる時が来た。
私は梨沙から離れることができ、今はハーマイオニーの膝上にいる。
(と言っても、ハーマイオニーの隣に座っているんだけれどね。)
「さて、ゴブレットは代表選手の選考を終えたようじゃ。さて、名前が呼ばれた生徒は、大広間の一番前に来るがよい。教員用テーブル近くの隣の部屋に入るのじゃ。そこで、最初の指示が与えられるであろう。」
ダンブルドアが杖を一振りすると、蝋燭の炎が消え大広間がゴブレットの光で照らされる。
全ての生徒がゴブレットへ視線を注いでいた。
次の瞬間ゴブレットが、赤く燃え上がり焦げた羊皮紙を一枚吐き出す。
その落ちてきた羊皮紙をダンブルドアが掴み取った。
「ダームストラングの代表は・・・ビクトール・クラム!」
「そうこなくっちゃ!」
ロンが声を張り上げた。
大広間中が拍手の嵐、歓声の渦に包まれる。
クラムはスリザリンのテーブルから立ち上がるとダンブルドアの方に歩いていき、隣の部屋へと入っていった。
歓声が止んだ数秒後に、ゴブレットはまた赤く燃え上がり羊皮紙を吐き出す。
ダンブルドアはまた器用にそれを掴み取った。
「ボーバトン代表は・・・フラー・デラクール!」
デラクールはシルバーブロンドの髪をなびかせると、レイブンクローとハッフルパフのテーブルの間を滑るように進んでいった。
そして教員用のテーブルに沿って進み、隣の部屋に姿を消す。
歓声も止み、また大広間が緊張感に包まれる。
そしてゴブレットは再び赤く燃え上がると三枚目の羊皮紙を吐き出した。
「ホグワーツ代表は・・・セドリック・ディゴリー‼︎」
ハッフルパフから大きな声援が聞こえる。
これまであまり(いい意味で)目立ってこなかった寮から代表が出たのだ。
セドリックは、少し照れ臭そうに教員用テーブルに沿い進み、隣の部屋へと消える。
歓声も再び止み、ゴブレットがまた赤く燃え上がり四枚目の羊皮紙を吐き出した。
それを見たダンブルドアは驚きの顔をした。
そしてしばらく静止する。
嫌な予感がする。
「柳沢の代表は・・・笹倉 梨花じゃ。」
日本代表以外からは拍手がおこる。
その言葉を聞いて一早く行動したのは四人。
柳沢の校長、梨沙、健一、そしてハーマイオニー。
急に立ち上がったため落とされたが、無事足から着地する。
柳沢の校長はダンブルドアから羊皮紙を取り上げ、間違いがないか確認しているようだ。
『梨沙、お前が入れたのか?どうやって入れた。』
『私は入れてないわよ。もし入れられたとしても、自分の名前を間違えるわけないでしょ?』
『それもそうだが、万が一って場合もあるだろ。』
暫く大広間には静けさが広がる。
柳沢の代表はいないのではないのか?
そんな空気が漂っていた。
すると役目を終えたはずのゴブレットが、また赤く燃え上がり羊皮紙を吐き出した。
ダンブルドアはそれを受け取ると、しばらく静止した。
「・・・ハリー・ポッター。」
ハリーは驚きの顔をしている。
近くのロンから早く行くように促されている。
「ミス・グレンジャーとミス・佐々倉、ミスター・森近はわしについて来なさい。」
私は梨沙に抱きかかえられた。
多分、不安に押しやられているのだろう。
震えが感じられる。
隣の部屋へと入ると、バクマン氏も入ってきた。
「いやいや、これは凄い‼︎まったく驚きだ‼︎諸君驚きたまえ‼︎信じがたいことかもしれないが、たったいま新たに代表選手が選ばれた‼︎五人目の代表だ‼︎それでもって柳沢の代表がいないと来た。」
カルカロフは機嫌が悪そうだ。
それはそうだ。
ホグワーツから二人代表に選ばれたからね。
「名前を聞いて反応を示した三人を連れてきた。三人とも笹倉梨花の名に聞き覚えがあるんじゃな?」
ハーマイオニーがいち早く答えた。
「はい。夏休みの前に、私達の前に突然現れた人が名乗った名前です。」
「そうじゃったの。さて、ミス・佐々倉はどうじゃ?」
「名前が似ていたからです。」
「俺の彼女、名前似ている、だから反応した。」
そうだよね梨花と梨沙だもん。
健一は英語が上手いこと喋れないようだ。
「そうかそうか。」
柳沢の代表は私でいいのかな?
それならどうやって出るか考えようだ。
「選ばれた以上はやりとげんといかん。柳沢には悪いが、笹倉梨花と名乗る生徒を探しておいてください。最初の試練は君達の勇気を試すものだ。この場では詳しいことは伝えない。未知のものに遭遇したときの勇気とは、魔法使いにとって非常に重要な資質であるからだ。課題は十一月二十四日に全生徒及び審査員の前で行われる。選手は課題に取り組むに当たって、誰からの援助を得ることは許されない。武器は杖だけ。第一の課題が終了した時点で第二の課題についての情報が選手に与えられる。代表じゃない三人は他の生徒へ多言しないように・・・」
バクマン氏が第一の課題について説明をする。
なんとかしないといけないな。
「わたーし、考えまーした。わたーしがみんなに勝てば問題あーりません。もーともと、わたーしは優勝するためーにやってきたーのですかーら」
英語でそう言い放ったフラーは、マクシームと部屋を出て行った。
訛りが激し過ぎませんかね?
「ヴぉくもあなたたちに言っておきます。ヴぉくもあなたたちに負けるつもりはありません。優勝できるのが一人だけなら、あなたたちが何人いても関係ありません。ヴぉくの力を一番に示せばそれでいいのです」
「よくぞ言ったぞ、クラム‼︎そうとも。優勝杯を手にするのはお前なのだから、相手が何人いようが関係がない‼︎」
クラムの発言で上機嫌になったカルカロフは、そそくさと部屋を後にした。
セドリックはハリーを気遣いながら、部屋を後にする。
ハーマイオニー達も去ろうとしたが、ダンブルドアに止められる。
「ミス・グレンジャーとミス・佐々倉、ミスター・森近は少しわしの話を聞いてはくれんか?」
クエッションマークを浮かべる三人だったが、話を聞くようだ。
ハリーはこの場にいない方がいいと考え、部屋から出ていってくれた。
他の人達も部屋から出ていく。
中にはハーマイオニー、梨沙、ダンブルドア、健一、そして私だけとなった。
「さて、話とは笹倉梨花についてじゃ。」
ダンブルドアが私をチラッと見る。
軽くうなづき、梨沙の腕から抜け出し地面に着地する。
「皆には言うではないぞ?」
三人がうなづくのを確認すると、ダンブルドアは私にあの薬を渡した。
若干色が変わっているが、吸魂鬼になることをなくした為だろう。
一気に飲み干す。
すると人に変わっていく。
「彼女が笹倉梨花じゃ。」
唖然している三人。
私の髪は前と同じ薄柿色だった。
(解せぬ。)
沈黙を破ったのは、ハーマイオニーだった。
「クルックシャンクス・・・よね?」
「そうよ、ハーマイオニー。貴方の飼い猫クルックシャンクスであっているわ。おかしいわよね。」
『あり得ないわ。』
梨沙から独り言のような日本語が聞こえる。
『あり得なくないわよ。神やオバケを信じるように、信じてみてはどうかしら?』
日本語で返ってきたことに驚きの声をあげる。
『日本語がペラペラだね。』
『それなりにね。』
健一の驚きの声を謙遜して答える。
「三人とも、猫が選ばれたことは呉々も言うでないぞ?皆には第一の課題の前に紹介しようと思っておる。」
その言葉を聞くと私は猫の状態へと変わる。
効果時間が短く思える。
梨沙に聞きたいことが沢山あったのに、あまり聞けなかったな。
もっと時間を延ばさないと・・・
今年の目標が決まった。
人になる薬を作成し、効果時間の延長。
作り方はダンブルドアに聞けばいいだろう。