もし、宝物殿の一部が別の場所に転移していたら?   作:水城大地

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ここから先は、次第に残酷な描写と思われる内容が入ってきます。
今回は、そこまでではないと思いますが、苦手な方はご注意ください。


盗賊の塒(ねぐら)までの道程 (パンドラズ・アクター視点)

パンドラズ・アクターの予想通り、別行動してたらしい盗賊の本隊を見付ける事が出来た。

盗賊の数は、総勢三十人。

数日前、パンドラズ・アクターがフレッド達と夜営している時に襲ってきた数より多い事から考えて、それ相応の規模の盗賊団なのだろう。

 

『……ほう、これは思ったよりも多くの魂が狩れそうだな?』

 

伝言でそう伝えてくるウルベルトに、パンドラズ・アクターも同意しつつ盗賊たちに気付かれない様に、気を配りながら更に探索の範囲を広げた。

そこで引っ掛かったのが、盗賊たちが運んでいる荷馬車の中に転がされている存在だ。

 

『ウルベルト様、どうやら彼らが運ぶ荷台の中に襲われた者の生き残りが居るようです。

数は、全部で五人でしょうか。

ただ……その殆どが虫の息ですので、もう事切れる寸前かと思われます。

後、入り口までの遮蔽物の有無は判りませんが、ここから少し進んだ先に洞窟があり、そこに更に三十人ほどの人間が密集している場所を感知いたしました。

多分、そこが彼らの本拠地なのでしょう。

そこへ、この本隊から離れた一人が駆け込んだのも感知いたしましたので、斥候が獲物を刈り取った報告に向かったのだと思われます。

……他に、この辺り一帯には人間の反応はございませんので……目の前の獲物を狩り取りに掛かりますか?』

 

盗賊に関する追加情報を伝えつつ、これからどうするのかウルベルトの指示を伺えば、返って来たのはゴーサインだった。

 

『そうだな、荷台の中の被害者の生き残りが事切れる寸前だと言うなら、早く仕掛けて一緒に狩ってしまわないと、間に合わずにカウントされない可能性があるからな。

既に、俺たちの間では被害者を助けない事で合意しているんだ。

助けないなら、助けないで俺の糧になって貰わないと勿体ないだろう?

という訳で、サクサク行ってくれ。』

 

それだけ告げると、ウルベルトはフードの中からするりと抜け出て、盗賊たちの視界に入らない上空で待機するべく飛行を使う。

ウルベルトが移動し始めたのを確認し、パンドラズ・アクターも行動に映る事にした。

この場で手にしたのは、麻痺効果が付いている苦無である。

 

レイピアを片手に、彼らに特攻して県による接近戦を仕掛けるよりも、高速移動しながら麻痺効果の苦無を投げ付ける方が、足止めだけなら短時間で事を動かせると判断したからだ。

 

敵に悟らせる事なく至近距離まで移動し、高速で移動しながら苦無を手や足などに命中させる事でその場にいたほぼ全員を麻痺させると、その場から下がりながらウルベルトへと合図を送る。

それを受け、ウルベルトは頭上から【風竜の杖】を翳すと、そのままその杖の特殊効果を発揮し、幾つもの【風の刃】を盗賊たちが居る場所目掛けて放った。

可能な限り、効率良く盗賊たちの命を狩り取る様に範囲を限定した状態で放たれたそれは、幾重にも重なり彼らの命を散らしていく。

数秒後、ウルベルトが放った【風の刃】は、その場にあったあらゆるものを切り裂いたらしく、何もかもがズタズタな状態で。

 

そこで生きている者は、ウルベルトとパンドラズ・アクター以外にはいなかった。

 

ウルベルトは、盗賊たちが居た方向に指輪をかざし、その場にある死者の魂を全て回収していく。

そう……その場にいた盗賊たちだけではなく、彼らの被害者である死にかけていた者たちも、全て指輪の中に魂を差し出させていたのだ。

この場で死亡した人数は、全部で盗賊の被害者被害者も合わせて三十五人。

先ほどのものも合わせたら、四十八人の魂をここ十数分で回収できたことになる。

 

こうして【盗賊を狩る】と言う手段は、指輪に命を集めるには割と効率は良い方だと、そう考えて良いのかもしれない。

少なくとも、盗賊は後残り三十人位いる計算なので、この盗賊団と被害者でざっくり八十人位は確保できるだろう。

今回は、あくまでも襲撃されてから返り討ちにしただけなので、この状況は存外悪くなかった。

ついでに、彼らが襲撃して奪ったと思われる商隊の品々を簡単に確認したが、その荷の大半は食料品だった。

しかも、ウルベルトが殲滅すさせる為に放った魔法の余波を受けていた為、あちらこちらに傷付いた事による品質の劣化はどうしようもなく、自分達が食べる分として使用するのには傷付き過ぎていて躊躇われ、どう考えても廃棄品にするしかない状態だったのである。

 

「……これは、どう見てもシュレッター送りするしかありませんね。

多分、ここまで損傷を受けていたら、まともな金額にはならないでしょうが……それでもこのまま放置する位なら、シュレッダーで金貨にした方が、より有効な使い方だと思われます。

それに、ここで襲われた商隊の品々が無くなってしまう方が、丁度良い証拠隠滅になる可能性が高いと言えるでしょう。

元々、盗賊団の遺体も何もかも、全て処分する方向で考えいましたからね。

この盗賊団は、この仕事を最後に今の根城を何一つ残さず引き払い移動した。

誰の目から見ても、そう見えるように処理をさせていただこうかと考えております。

それで、宜しいですかウルベルト様?」

 

パンドラズ・アクターの問いに、ウルベルトは苦笑しながら頷いた。

確かに、この状況ではそれが一番だろう。

この提案は、他者に遺体を調べられない為に考えられた、この後も行う必要な処置だ。

自分たちがしたという証拠は残せないのだから、そのためにも処分できるものは処分しておく必要がある。

ついでに、必要なものをこの場や盗賊の塒で回収しても、多分気付かれないだろう。

いや、絶対に気付かれない。

何故なら、最後の後始末の方法に【暗黒孔】を使用するのだ。

「あらゆるものを吸い込む」と言うこの魔法を使えば、跡形残らず消し去れるだろう。

ほんの数分前まで、他人に見らえる事を極力避ける行動を取っていたパンドラズ・アクターが、こんな派手な魔法を使用する事を躊躇わないのは、ウルベルトから【伝言】で提案されたからだ。

 

〘いっそ、アイテムか何かを使用して、それを可能にしておると見せる事は出来ないか?〙と。

 

その言葉で、彼が思い至ったのが【魔封じの水晶】だった。

これなら、使い切りアイテムで魔法を使用しているように見えるだろうし、直接【魔封じの水晶】に触れて解析されない限り封じられている魔法がどんなものなのかとか、調べられる心配はない。

それで偽装して、盗賊の遺体を始末したとしても、邪魔だったから掃除したと言えば文句は言われないだろう。

実際に、街道沿いの夜営地に転がっていた遺体は髪の毛一本、血の一滴も残さず吸い込ませ、その上で綺麗に痕跡を消して元の夜営地に戻しておいた。

 

これで、誰か目撃者が居たとしてもその痕跡を探し出すのは難しいだろう。

 

と言うか、盗賊に襲われた時点で夜営地の焚火は消してあったから、暗闇でものが見える状態でない限り、こちらの顔を確認する事も出来ない筈。

むしろ、それよりも前にこちらを監視していたような存在はいなかった筈だから、ここまですれば誰にも気付かれないだろうと言うのが、ウルベルトと二人で話し合った結論だった。

 

出来れば、彼らがこちらの世界の貨幣を持っていると、こちらも資金面でそれなりに助かるのだが、盗賊たちにそれを期待するのは難しいかもしれない。

商人達を襲って得た収入など、さくさくとあぶく銭として使ってしまっている可能性が高いからだ。

まあ、将来の事を考えてそれなりに溜め込んでいる、割りと堅実な連中も中にはいるだろう。

盗賊との遭遇は、元々自分たちの旅の予定にない事でもあり、なければないでそこまで困るものでもない。

 

どちらかと言うと、現時点で自分達にとって重要なのは、こいつらの命そのものの方なんだから。

 

「……それにしても」とパンドラズ・アクターは、小さくひとりごちた。

これだけ、ウルベルトが今の状況で苦労するのは、手のひらサイズのゴーレムを作った自分のせいでもあるが、タブラがそのゴーレムに仕掛けたトラップのせいでもある。

しかもこれが【至高の御方々】全員だと言うのならば、今後こちらの世界にやってくるだろう【至高の御方々】は、この姿でお戻りになるのだろうか?

 

だとしたら……それは大変面倒なことになるのではないかと、少しだけ不安になる。

ウルベルト一人だけで、これだけ苦労していると言うのに、何人も同時に帰還したらそれこそ元に戻るのに必要な【膨大な数の命】をどう得るか、誰から先に戻るのかと言う点で揉めそうな気がするからだ。

そんな、パンドラズ・アクターの心配を横に、ウルベルトはうっそりと笑った。

 

「深く考えても、今の状況では仕方がないからな。

前にも言った気がするんだが……なってしまったものは、仕方がないさ。

むしろ、こうして生きているだけでも、俺は運が良いと思っているからな。

それに……俺が出来ない部分は、お前が助けてくれるんだろう?」

 

そんな風に、大丈夫だと言わんばかりに笑われたら、助けずにはいられないだろう。

信用と信頼を、全部向けてくれているウルベルトに対して、全力で答える事が今の自分に出来る事なのだ。

それに、今は考え事をしているよりも、もっとやるべきことがあった。

ひとまず、盗賊たちの塒まで彼らの仲間を残さず狩りながら辿り着き、そのまま彼らを殲滅ことだ。

その為には、先程から一人残している盗賊に、このまま道案内させる必要があるだろう。

今回の襲撃で、ウルベルトの魔法の威力を目の当たりにしたその男は、すっかり腰を抜かしてその場に座り込んでいる。

パンドラズ・アクターの指示により、ウルベルトが使った魔法の効果範囲から外れていたので、自分の身には危害を受けていないものの、その半端ではない力を目の当たりにした事で恐怖に駆られているのだろう。

その様子から察するに、多分この盗賊はこれ程までの魔法の力を初めて目にしたのだろうが、この程度で腰を抜かして動けなくなって貰っては非常に困る。

 

【支配】の魔法によって、口頭で塒までの道を説明させると言う手もあるが、それだとこの森の中では判り難いからこそ、こうして直接案内させているのだから。

 

最も、この男が無事に生きていられるのは、塒まで案内した所までの予定だ。

先程の打ち合わせで、既にこの男は実験も兼ねて処分する事が決まっている。

その事に関して、パンドラズ・アクターの中には躊躇いはなかった。

自分やウルベルトに対して、敵対行動を取った時点で殲滅対象だからだ。

 

それに、今のウルベルトの状況を早く脱却する為に必要な命を集めるのに、盗賊の類は格好な相手だと言っていいだろう。

 

自分から獲物の方がやってきたのだから、そのまますべて狩ったとしても問題はない筈だ。

それでなくても、この国はビーストマンに襲撃されていて、細かな部分まで守りが薄くなっている状況である。

商人たちを狙う事から、どこの街でも頭痛の種となり掛けているだろう、盗賊の類を勝手に狩っていったとしても、非難される謂れはない筈だった。

 

ついでと言わんばかりに、パンドラズ・アクターはウルベルトが使った先程の魔法について、少しだけ思考を巡らせた。

今回は、【風竜の杖】の中に封じられた魔法の威力の確認の為に、普通に魔法を使うのではなく杖の力を開放する事で魔法を放ったのだが、予想よりも威力は大きかったと言っていいだろう。

これに関しては、後で確認する必要があるかもしれないが、ウルベルトが装備している別のアイテムの効果が影響している可能性もあった。

杖でMPの使用なく使える魔法は、第三位階まで。

今のウルベルトにとって、この程度の魔法など幾らでも扱える代物でしかなく、それこそ小手先の技でしかない。

 

彼の本領は、持ち前の膨大な魔力を大量に消費して使用する、ナザリック最大火力とも言うべき殲滅魔法なのだから。

 

それでも、ウルベルトは小手先の技とも言うべき低位の魔法にも十分精通していた。

理由は、ボス戦などの戦闘時のヘイト管理の都合上、ただ火力の高い魔法を放つだけが攻撃系魔法職の役割ではないかららしい。

オルファ―ナとの戦闘でも、ウルベルトは基本的に使用していたのは低位の魔法である【火球】だった。

もちろん、【火竜の杖】の効果でMPなしで使用出来る魔法が【火球】だったからと言うのも理由になるだろうが、それ以上にこれよりも高位の魔法を使用してしまえば、あの時点でヘイトが集中してたはずのパンドラズ・アクターからウルベルトにヘイトが移動し、戦場のコントロールが効かなくなる可能性があったからだろう。

やはり、そういう事を踏まえて実戦を交えながらウルベルトから何かを学ぶ機会が得られたこの状況は、とても自分にとってとても贅沢な状況なのだ。

 

つらつらと、そんなことを考えながらパンドラズ・アクターは、盗賊の男を隠れていた木陰から引きずり出した。

この先、この男の案内で彼らの塒まで向かう予定だが、このままでは腰を抜かしていて使い物にならないだろう。

それが分かっているから、パンドラズ・アクターは素早く彼の状態を元のように歩けるものへとアイテムを使い素早く戻す。

この程度のアイテムなら、それこそ掃いて捨てるほど残っているので、ここで使っても問題ないだろう。

わざわざ、こうして手間を掛けてまで彼を案内役にするのは、盗賊に対する囮の意味もあった。

別に、この男を案内役にせずにこのまま先に進んでも、本当は問題ない。

森の中を虱潰しに当たっていけば、多少の時間は掛かっても盗賊の塒を見付け出す事はで出来るだろう。

 

それでも、出来るだけ無駄なMPの消耗を避ける意味で、この男を案内役として戦闘を歩かせているのだ。

 

正直、ウルベルトやパンドラズ・アクターがその気になれば、この程度の相手なら幾らでも簡単に倒すことはできるだろう。

しかし、確実に敵対してくる相手に会う度に戦闘していては、幾らMPがあったとしても足りないだろうし、何より勿体ない。

それが分かっているからこそ、細かい戦闘を避ける方向で動いているのだ。

何せ、パンドラズ・アクターもウルベルトも、こちらの世界に来てまだ日が浅い。

今回の盗賊たちの対応を見る限り、現地人だけのそれこそ芥のような存在でしかないが、もしその陰に【プレイヤー】が隠れていたりしたら、とんでもない状況になりかねないだろう。

 

まぁ、最悪の場合はウルベルトにMPを譲渡して戦闘に入れば問題ないのだが、それはあくまでも最後の手段なので出来る限りしたくはない所だ。

 

そんな事を考えていると、それまで上空で様子を伺っていたウルベルトが降りてきて合流したので、そのまま男に先導させて先へ進む。

すると、視界の先に人の手が加えられたと考えられる洞窟を発見した。

どうやら、ここが目的の場所らしい

ウルベルトも、パンドラズ・アクター同じ事を考えたらしく、すっと目を細める。

 

盗賊の塒を見付けたからと言って、このままその洞窟の中へ一気に突入するつもりはない。

 

当初の予定通り、案内役として今まで先導させていた盗賊を相手に、突入する前にある事を確認する必要があったからだ。

 

「……ウルベルト様、それでは予定通りこの男を私の手で殺しても指輪で回収できるか確認したいと思います。

私が手を下したとしても、【魂の指輪】としての機能が有効かどうか、ウルベルト様の目で確認ください。」

 

その言葉に、ウルベルトが頷いたのを確認した上で、パンドラズ・アクターは目の前にいる盗賊の首を、それこそ草でも刈り取る様にさくりと刈り取った。

ここまでに関しては、最初の予定通りと言っていいだろう。

その様子を、静かに見つめていたウルベルトは、スッと指輪を天に翳して力を込める。

すると、指輪はその動きに応える様に緩やかに輝き、パンドラズ・アクターの手で刈り取られた盗賊の命を、そのまま何の問題もなく吸い取った。

指輪によって、どれだけ命を集めたのかカウントされている数字が増えたのを確認し、ウルベルトはほっと息をつく。

流石に、彼もパンドラズ・アクターの手に掛かった命が指輪で吸い取れたことを確認するまで、どこか緊張していたらしい。

その姿を見つつ、パンドラズ・アクターは刈り取った盗賊の首を地面に落とす。

何時までも、殺した相手の首を持っている理由が無かったからだ。

 

これで、ウルベルトの側にいる時ならば、パンドラズ・アクターが相手の命を刈りとったとしても、指輪でその魂を回収出来ると言う事が確定した。

 

少なくとも、これで大量にオルファーナが敵対した相手を倒したとしても、ウルベルトが指輪を使用して回収できるのはほぼ間違いないだろう。

これから先は、ウルベルトが元の姿に戻る為に三人で獲物となる相手を狩る事も出来るようになった。

そう考えると、ずいぶん大きな進歩だと言っていいだろう。

三人で協力すれば、多くの敵をまとめて刈り取ることも容易くなったからだ。

好都合な事に、この国にはビーストマンと言う侵略者たちがいる。

 

彼らを倒すことで、この国に対して防衛面での利益をもたらしつつ、そうして刈り取った命をウルベルトの指輪に注げば、こちらにも有益な状況で旅路を進める事が出来ると言っていい。

ついでに、冒険者としての報酬も得られるなら、尚良い話だ。

もちろん、そう都合こちらのよく話が進むとも限らないが、ウルベルトの為にも勝手に狩り取って問題のない存在がいるのは、本気でありがたい話だった。

「……これで、私たちが敵を倒してもウルベルト様の指輪に無事回収が可能だと、確定致しましたね。

一々、ウルベルト様にお手間を掛ける事なく、安心して敵に対する事が出来るようになったと申し上げて宜しいでしょう。

私やオルファーナが、 これから先の旅路で積極的に戦闘に参加すれば、刈り取れる数も着実に増やせる筈です。

今は、とにかくその指輪を満たすことが優先でしょう。

その為にも、ウルベルト様は存分に私たちの事を使い回しくださいませ。」

 

心の底からそう告げると、ウルベルトはどこか困った様な笑みを浮かべた。

仲間に対して、とても心優しい彼としては、できるだけパンドラズ・アクター達に負担をかけたくはないのだろう。

ただ、現時点ではとてもそんな考えが許されない状況だから、素直に頼ってくれているだけで、多分……自力でなんとか出来る案件ならば、自分だけで何とかしてしまう気がした。

 

「……それじゃ、そろそろ本命を狩りに行こうか。

この先は、洞窟の中だ。

場所によって、戦い方が変わる事は前回の戦闘で理解しただろう?

自分で、先ずはどう動くべきなのか考えてみると良い。

あー……俺もついでだから、杖を別のものに変えることにしよう。

風属性よりも、氷属性の方が狭い洞窟では有効だからな。」

 

そう言いながら、ウルベルトは手にしていた杖をアイテムボックスに収納し、別の杖を取り出した。

宣言通り、【氷竜の杖】である。

パンドラズ・アクターも、自分が手にしている得物をレイピアから接近戦用のショートソードに持ち変えると、スッと腰を落とす。

こちらの意図を理解したウルベルトが、パンドラズ・アクターのフードの中に潜り込んだのを確認し、パンドラズ・アクターはそのまま盗賊の塒である洞窟へと、足を向けたのだった。

 




盗賊が相手と言う事もあって、サクサクと相手の命を刈り取っていっています。
本当の容赦無いのは、最初に向こうから手を出して来たからですね。

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