もし、宝物殿の一部が別の場所に転移していたら?   作:水城大地

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ひとまず、話が続く五話分まで書き溜めたので、投稿します。

幕間の翌日からの始まりです。


第二章 パンドラズ・アクター&ウルベルト視点
翌朝の一幕と、ウルベルトの装備の見直し(パンドラズ・アクター視点)


翌朝、パンドラズ・アクターが目を覚ましたのは、夜が明けてしばらく経った頃だった。

ぐっすりと寝たからか、しっかりHPもMPも回復している。

その状況にホッとしつつ、パンドラズ・アクターは部屋から出るとまず覗いたのはリビングフロアだった。

もし、自分よりも先にウルベルトが目を覚ましてリビングのカウチにいたら、寝坊してしまった事を謝罪するべきだと考えたからである。

この辺り、昨日寝る前に何時に起きる予定なのか聞いていなかったのは失敗だったと、頭の中で思わなくもないのだが、そこまで自分の思考が回らない位には疲れていたのだ。

それだけ、初めての死亡と蘇生を伴う戦闘は様々な点で消耗を強いられたのだと、パンドラズ・アクターは苦笑するしかなかった。

 

≪まぁ……これもいい経験だと思うべきでしょう。

もし、これを単独で経験していたのなら、もっと消耗は激しかったのは間違いありませんし、そう言う意味でも得難いものでした。

この経験を、これからの行動にどれだけ生かせるかと言う点の方が、むしろ私にとってもウルベルト様にとっても重要だと考えるべきでしょうし、ね。≫

 

そんな事を考えつつ、次にパンドラズ・アクターが移動したのはキッチンだった。

寝室から出てくる様子が無い事から考えると、ウルベルトはまだ眠っているのか、眠っていなくても何らかの思惑があるのだろう。

だとすれば、そこに顔を出して邪魔をする方が迷惑を掛ける可能性もある。

こちらの世界で顔を合わせてから、今までのウルベルトの言動を考えた場合、必要以上に干渉されるのを好まないような傾向が見て取れた。

そんなウルベルトの意思を優先するなら、過干渉は避けるべきだろう。

むしろ、今の内に朝食の支度を済ませておく方が、何となく喜ばれるような気がした。

 

「昨日の夜食を召し上がられた様子から、それなりの量を用意しても問題なさそうな気がします。

どちらかと言うと、美味しいものを沢山食べられる朝食の方が喜びそうな気もしますし、食事に余り時間が割けない時の事も考えるならば、ある程度まで下拵えしたものをストックするように準備しておくのも悪くない気がします。

これから先、街に行けば自動的に人に関わる事になる訳ですから、こんな風にのんびりとした時間があるとは限りませんからね。」

 

サクサク自分の行動を決めると、パンドラズ・アクターは朝食を含めた料理の支度にかかったのだった。

 

******

 

パンドラズ・アクターが用意した朝食は、ふわふわトロトロのスクランブルエッグにカリカリに焼いたベーコン、ボイルしたソーセージにコーンたっぷりのコーンスープと言った、洋食メニューだった。

主食となるパンは、サクサクとしたクロワッサンにもっちりとした触感が楽しめる白パンなどの他に、サンドイッチやフレンチトーストも作っておく。

どんなものが好みなのか、ウルベルトからきちんと聞くのを忘れていたので、思い付く限りの料理を用意してみたのだ。

スープも、今回はコーンスープを用意したのだが、五分以内に仕上げらえる段階まで下拵えが済んだものとして、他にクラムチャウダーやミネストローネなどもすぐに出せるようにしておいたし、ジャガイモのビシソワーズなどの冷製のものも用意してある。

 

ウルベルトの好みが判らない以上、準備できる限りの支度はするべきだと、パンドラズ・アクターなりに判断した結果だった。

 

そこまで準備を済ませ、漸くウルベルトの元を訪ねて朝食の準備が出来たことを告げようとした所で、ウルベルトが寝ていた部屋の扉が開く音が耳に届く。

どうやら、ウルベルトはパンドラズ・アクターが呼びに行くまでもなく、自分で起き出していたらしい。

昨夜の疲労困憊振りから、未だに寝ている可能性すら考えて居たのだが、昨日から見せている食欲旺盛な様子を思えば、単純に空腹で目が覚めたのかも知れなかった。

 

「おはようございます、ウルベルト様。

昨夜はよくお休みになれましたか?

丁度、朝食の支度が整いましたので、お部屋の方にお声を掛けさせていただこうと思っていたところです。」

 

姿を見せたウルベルトに、朝の挨拶と共に朝食が用意出来ている旨を告げると、まだ少し眠たげな様子だったウルベルトの目がはっきりと開くのが見えた。 

その様子に、どことなくほほえましさを感じながら、パンドラズ・アクターは昨夜使ったダイニングテーブルに、用意した料理を本来よりも少な目の量で盛り付けた器を並べていく。

こうして、一つ一つの量を減らすことによって、種類を沢山食べられる形にしたのだ。

ゆっくりとした足取りで、ダイニングテーブルに歩きよったウルベルトは、昨日時点でクッションを沢山乗せたウルベルト用の椅子に腰を下ろしたところで、改めてパンドラズ・アクターの顔を見ると、にっこりと笑った。

 

「おはよう、パンドラ。

今日の朝食も、目で見るだけでも美味しそうだ。

色々な料理を楽しめるように、考えて盛り付けされているのが判るしな。

全部、俺の為なんだろう?

ありがとうな。

それと、この料理のお代わりは出来るのか?

どれも旨そうだし、お代わりしたくなると思うからさ。」

 

そんなウルベルトの言葉に、同じ様ににっこりと笑い返しつつ、パンドラズ・アクターは用意しておいたコーンスープをウルベルトの前に並べた。

 

「ちゃんと、お代わりが可能なので遠慮なく召し上がってくださいませ。

後、スープはここに用意したコーンスープ以外にも、ミネストローネなどご用意があります。

ご希望なら、そちらも後でお持ちしますが、まずは用意したものを召し上がられてからの方が宜しいかと。」

 

にこにこと笑いながら告げれば、ウルベルトは納得したように頷く。

どうやら、ウルベルトも自分の食べる量に関して限界があることは理解しているようで、無理をして食べると言うつもりはないらしい。

出来る限り、ウルベルトには美味しく食べて欲しいので、納得してくれたことに安堵しつつ、自分も席に着いたのだった。

 

*********

 

何だかんだで、満足するまで朝食を食べたウルベルトは、昨日と同じ様にリビングのカウチソファに座りながら、パンドラズ・アクターが用意した食後のお茶を飲んでいた。

今後の事を考えて、大量の仕込みをしたらしいパンドラズ・アクターもそれらを保管用器に移し終えたのか、ウルベルトの向かい側に腰を下ろすと、自分の分のお茶をカップへと注ぐ。

そうして、一息入れたところでウルベルトの顔を見ると、ゆっくりと口を開いた。

 

「当初の予定通り、この後にウルベルト様の本体を封印したいと考えております。

現在まで、ウルベルト様の本体を移動してから追手はない様子ですが、ここで油断をする訳にはいかないでしょう。

オルファーナ嬢の話から考えるに、【プレイヤー】は確実にこの世界に来ています。

敵対する可能性すらある彼らに、ウルベルト様の本体を押されられるような事態を避けるためにも、これは必須事案です。

ですが、封印には私のレベルを一時的に使用する以上、それによるレベルダウンと言うデメリットが発生するのも、また事実ですね。

そこを補う意味でも、ウルベルト様の装備はそれなりのものを用意する必要があります。

こちらの世界のアイテムや装備に関しては、使い物にならないと判断するべきですね。

それなりに発展している国……そうですね、【プレイヤー】の影がちらつくスレイン法国か、それとも他にしっかりした発展を遂げているだろうこの国の隣国へ行けば、もしかしたら使える装備があるかもしれませんが、あまり期待しない方が良いかと思われます。

そう言う意味でも、装備に関しては私とウルベルト様の手持ちの中から調整していくのが一番かと。」

 

一旦そこで言葉を切ると、パンドラズ・アクターはウルベルトに視線を向けた。

現状から、一番いいだろうと考えた内容を口にしたが、もしかしたらウルベルトには他の意見があるかもしれないと考えたからだ。

こういう話し合いの時は、それぞれ忌憚ない意見を口にするべきだろう。

ウルベルトは、こちらの意見を聞いたところで、少し思案するような素振りを見せているので、なにか別の意見があるのかもしれない。

街の姿勢を見せたパンドラズ・アクターに、ウルベルトは徐に口を開いた。

 

「そうだな……今の話で進める方向で問題はないだろうが、このまま装備の調整を済ませるまで、この場で留まるのはあまり良くないだろうな。

ココは、一応少し人が通る街道筋からは外れているとは言え、全く人が来ないと言う保証はない。

それこそ、何かを探し求めて彷徨いこんでくる連中や、パンドラの事を襲った盗賊のような存在がこの【グリーンシークレット・ハウス】が存在しているのを見付けたら、どういう反応を示すか想像が付くだろう?

幸い、この辺りに居る盗賊のレベルはパンドラの目から見てもそれほど高くはないらしいし、この外見に見合うざっくりとした衣装選択をしてくれれば、それで問題ない。」

 

ウルベルトからの指摘に、パンドラズ・アクターは確かにその通りだと予定を変更する事にした。

今まで、パンドラズ・アクターが見た事があるこちらの世界の住人は、パンドラズ・アクターやウルベルトに比べてかなりレベルが低い。

だが、下手な噂を立てた事によって噂が発生し、そこから【プレイヤー】やその関係者を招き寄せてしまう状況になってしまったら、それこそ最悪だと言っていいだろう。

自分で【油断は出来ない】と口にしておきながら、実際の行動はそれが伴っていない状況を目の当たりにして、パンドラズ・アクターとしては思わず頭を抱えたくなってしまっていた。

 

これでは、確かに様々な意味で経験値が足りない状況だと言われても、仕方がないだろう。

 

頭の良し悪しだけではなく、絶対的に人と接する経験が足りなさすぎるのだ。

こればかりは、実際に経験を積む以外に伸ばす手段はないだろう。

それに関しては、ウルベルトも理解しているからこそ指摘しないでいてくれているのだろうと察しつつ、パンドラズ・アクターは一先ず目星を付けてあった装備を取り出した。

 

子供の姿になったウルベルトの為に、パンドラズ・アクターが用意したのは、ポンチョの様なローブだった。

 

一応、後ろの部分が長くなっていてウルベルトが着ているマントのような雰囲気に近い品だが、それでもポンチョはポンチョである。

若しくは、幼稚園児が着るスモッグと言えば伝わるだろうか?

頭からすっぽりとかぶって着るタイプではなく、前の合わせがあってどちらかというと花びらをイメージしたドレスローブ的なデザインなのだが、どうしても子供向け。

前は、太腿までしか丈はないし、後ろ側だってくるぶしに掛かる程度の長さで留めてある。

流石に、踏んで転ばれてしまったら困るからだ。

もちろん、ウルベルトがそんな【うっかり】をするとは思っていないのだが、こういう用心は幾らしたとしても、し足りない事はない筈だ。

 

何せ、今のウルベルトは本来の姿ではないのだから。

 

こちらの意図を正確に読み取っているだろう、ウルベルトの表情は硬い。

一緒に用意した、膝丈までのズボンと子供サイズのショートブーツのセットを前に、顔を引き攣らせていたのを見ているので、もしかしたらこのデザインは気に入らなかったのかもしれなかった。

そうは思っても、パンドラズ・アクターとてこの衣装を早々諦めるつもりはない。

 

何せ、今のウルベルトの外見で着こなせるという条件付きで、ある程度のレベルの装備を探し出した結果がこれなのだ。

 

パンドラズ・アクターが、使用可能な品としてアイテムボックス内に収納してあった手持ちの聖遺物級装備の中でも伝説級に近い品であると明言した時点で、ウルベルト側にもある程度は覚悟できているだろうが。

しかも、この装備セットには【魔法耐性上昇】と【物理攻撃態勢上昇】【氷属性耐性上昇】【光属性耐性上昇】【魔法攻撃力上昇】【物理回避上昇】など、今のウルベルトにとってかなり助かる追加効果がついている。

これを前にして、【着たくない】とは流石にウルベルトも言えなかったのだろう

 

その分、苦虫を嚙み潰したような凄い顔をしているのだが。

 

苦虫を嚙み潰したような、そんな顔をしつつ諦めて袖を通したウルベルトだったが、実際に着た装備はどれも意外に着心地の良さを感じているようだった。

彼が来たところで、改めてチェックしてみると、内側の肌に当たる部分が柔らかなスパイダーシルク製になっていて、通気性などを含めて快適な状態になっているらしい。

布全体も、柔らかさなどの着心地の良さではトップクラスの素材を使用し、縁飾りにミスリル銀を使用した刺繍を施す事で、先程上げた様々な追加効果の半分が組み込まれていた。

 

「……まぁ、この着心地の良さを考えれば、多少のデザインの不満は我慢するべきか。

付与されている効果とか考えたら、相当なもんだからな。

むしろ、これよりいい品を探すのは難しいだろ。

伝説級の品々は、腕輪とか装飾品系で複数所持していない限り、封印してしまっているだろうし。

サイズの自動調節機能のお陰で、長すぎて裾を踏むと言う心配もなさそうだし、これに【人化の腕輪】と【妖術師の腕輪】の二個、【節制の指輪】に【巨大化の指輪】を付けて、後はオルファ―ナの【凍れる女王の心臓】を胸元に付ければOKだろ。

追加装備は……あー……【火竜の杖】はどうなりそうだ?」

 

昨日の戦闘で使い潰しかけた、現時点でお気に入りの杖の状況を確認してくるウルベルトに、パンドラズ・アクターはにっこりと笑いながらスッと手元から預かっていた品を取り出した。

どこをどう見ても、新品同様の状態の【火竜の杖】を前に、嬉し気な笑みを零すウルベルトにそれを手渡しながら、パンドラズ・アクターは状況を説明するべく口を開く。

 

「昨夜、休む前にお預かりしていたこちらの品の事を思い出しまして、手持ちの道具と素材で整備と調整をしておきました。

昨日の戦闘で、随分と無理をさせたのでそれ相応の修繕が必要かと心配しておりましたが、こちらの杖の基礎部分に使用されている素材が予想以上に頑丈で耐久性にも優れていたようです。

そのお陰で、こちらの杖は何カ所かの補修整備と調整でほぼ元の状態に戻せたと、そう自負しております。

ただ……どうしてもこの手の武器は使用回数が重なれば重なる程、消耗が激しくなるのは避けられません。

出来れば、他にも属性魔法が使用可能な杖をお持ちの場合、そちらも併用された方が消耗するする速度を下げられるかと。」

 

そう告げれば、ウルベルトは杖を優しく撫でながら納得したように頷いた。

【火竜の杖】のような、属性魔法が使用可能なものの場合、どうしてもそれを使用する核になる部分が消耗していく。

今回は、こちらの予想よりも消耗が少なくて補修整備と調整だけでほぼ元の状態に戻せたが、次も同じように元通りに修繕可能かは分からない。

そう言う意味でも、ウルベルトが気に入っているこの杖を使い潰さない為に、整備を請け負う側としての意見を添えておいたのである。

 

素直にこちらの意見に耳を傾けてくれたウルベルトは、アイテムボックスの中から何本かの杖を取り出してこちらに差し出して見せた。

 

最初の一本目は【氷竜の杖】という、【火竜の杖】とは正反対とも言うべき杖。

こちらは、氷属性持ちなら【氷球】を無制限で、それ以外なら【一日五十発までMP不要】という破格の杖。

実は【火竜の杖】にも同じ効果が付いていて、火属性以外は【一日五十発までMP不要】だったのだ。

ただ、【火竜の杖】が【炎属性及び氷属性攻撃無効化】だったのに対し、【氷属性攻撃無効化+氷属性攻撃威力増加】という差はあるが、性能的にはそこまで差はないだろう。

 

と言っても、炎属性のウルベルトが使用するには少しばかり使い勝手が悪そうだが。

 

二本目は、【風竜の杖】という風属性の杖だった。

風属性持ちなら、【風の刃】という第三位階の魔法を無制限、それ以外なら【一日五十発までMP不要】という、こちらも破格の杖だと言っていいだろう。

こちらの追加効果は……【飛行魔法のMP不要と風属性攻撃無効化】だから、どちらかというとこちらの杖の方がウルベルトとは相性が良いかもしれない。

 

三本目は、【雷竜の杖】という雷属性魔法の杖だ。

他の杖同様、雷属性持ちなら【電撃球】を無制限使用可能で、それ以外の場合は【一日五十発までMP不要】である。

この杖の追加効果は、不思議な事に【永続光のMP不要+雷属性攻撃威力増加】だった。

昨日の戦闘で、割と炎属性の次に雷属性魔法を使用していたから、三本の中では一番相性が良いかもしれないが、その代わり追加効果が微妙なラインだと言っていいかもしれない。

 

「……一応、俺としては【雷竜の杖】が【火竜の杖】の次の候補だったんだが……追加効果が微妙なラインだから、ちょっと迷っててな。

パンドラが手を加える事で、もうちょっと別の方向に変更出来るなら、迷う事無くこれを選ぶんだけど……」

 

どうやら、ウルベルトも同じ様な感じで見ていたらしい。

意見の一致を喜びつつ、パンドラズ・アクターは少しばかり思案する素振りを見せた。

杖の追加効果を修正が可能かどうかという点だけなら、全く不可能じゃないと言えるだろう。

ただ、その為にはどうしても杖を強化する為の素材が必要になる訳で。

 

「正直、こちらの杖の能力を修正するより、新しいものを作った方が杖の強度的にも宜しいかと思われます。

素材に関しては、手持ちの中に【雷竜の角】と【雷竜の鱗】等が少しばかりございますので、そちらを使用すれば【聖遺物級】までなら何とか作成可能ですね。

もし、ウルベルト様が別の素材をお持ちだと言うなら、もしかしたら限りなく【伝説級】に近づける事は可能かもしれませんが……」

 

そう告げると、少しばかり考えた後でウルベルトは軽く頷いた。

 

「一応、俺の方の手持ちの素材で杖を作るのに使えそうな物を挙げるなら使わなかった【雷の結晶】が小さめの奴が幾つかと【火竜の鱗】、後はデミウルゴスの装備を作った後に残った【火竜の核】の欠片かな。

そこら辺を使って、それなりに使える杖を作ってくれ。

それまでの繋ぎとしてなら、【火竜の杖】にこの三本をローテンションで使えば何とかなるだろ。」

 

ウルベルトから提示された素材と、手持ちの素材の組み合わせからどういう杖を作るのか、要望を聞いて実際にどこまで再現可能かなどを詰める必要があるだろうが、今日の段階ではそこまで急ぐ必要はないらしい。

最初から、モモンガやナザリックを探すのには長期戦になる覚悟を決めているだけに、これからウルベルトの為に作る【杖】は、手持ちの素材で可能な限り能力値も耐久値も上げる必要があるのだ。

その為にも、付け焼刃の即興で簡単に作る訳にはいかなかった。

 

当初の予定では、武器も含めて調整の予定だったのだが、下手に弄って耐久性を下げた挙げ句、いざと言う時に大破する事態になると困るので、調整するのを諦めたとも言うが。

 

「では、武器に関してはその様に致しましょう。

多少の時間は掛かりますが、その方が今の時点で使用可能な武器よりも性能が高いものをお渡しできますし。

さて……それでは、ウルベルト様の本体を私の中に封印することに致しましょうか。」

 

そう言いつつ、パンドラズ・アクターは自分のアイテムボックスに手を伸ばしたのだった。

 

 




まずは、穏やかな始まりです。
まだ、ウルベルトさんの本体封印はしてません。
ひとまず、彼の装備を整える方が先になりました。

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