もし、宝物殿の一部が別の場所に転移していたら?   作:水城大地

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憂氷と凍結の女帝フリーズは しずかにほほえんでいる

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憂氷と凍結の女帝フリーズ戦 中盤

一旦戦端を切れば、そこから先はフリーズからの容赦ない魔法攻撃が待ち構えていた。

基本的には、リキャストタイムが必要な四つ攻撃が、主軸になった前半と後半の二パターンから構成されている。

魔法特化のフリーズは、直接的な攻撃は全て魔法によるものしかしない。

だが、その使用する魔法によって変化した地形を利用した、物理的な威力も伴った攻撃は存在する。

 

前半戦に当たるHPゲージ半分までは、主に使用する魔法は四つ。

 

先程見せた【穿つ氷柱(ピアーシング・アイシクル)】の他に、一度に最大で二十発を同時に放つ【氷珠(アイスボール)】と、フリーズを中心に六十秒間半径三メートルに、触れた部分が氷結してバフを剥がす霧を放つ【霧氷(フリージング・フォッグ)】、蘇生地点になる柱の三メートル前まで届く【氷の息吹(アイスブレス)】だ。

フリーズのいる場所から蘇生地点まで、約十メートルだと言えば、【氷の息吹(アイスブレス)】の攻撃範囲の広さが理解出来るだろうか?

更に、この【氷の息吹(アイスブレス)】が触れた場所は、どこであろうとそのまま問答無用で凍結するので、そこに向けて【穿つ氷柱(ピアーシング・アイシクル)】が発動すると、打ち出された氷柱は凍結した場所を破壊しながら射程範囲内を飛び交う形になる。

当然だが、【穿つ氷柱(ピアーシング・アイシクル)】を避けたとしても、着弾点が凍結していればそこが破壊されて砕けた物体が辺り一帯に飛び散り、物理的に襲い掛かってくるのだ。

しかも、破壊された破片が飛散する方向など、全て推測して回避するのは至難の業で。

結果として、回避しきれなかった破片によるダメージを、大小を問わずに物理攻撃として受ける事になる。

 

そう……それこそがフリーズの使う、物理的な効果を伴う魔法攻撃の正体だった。

 

フリーズは、最初にバフ剥ぎ効果を持つ【霧氷(フリージング・フォッグ)】を放つ。

そうして、対戦相手となる前衛の接近を防ぐ六十秒間に、【氷の息吹(アイスブレス)】を使って自身に有利なフィールドを作り出し、【氷珠(アイスボール)】を多用する事で前衛をそのフィールド内へ追い込むのだ。

後は、追い込んだ先にあるフィールドに【穿つ氷柱(ピアーシング・アイシクル)】を多数射出する事で、【穿つ氷柱(ピアーシング・アイシクル)】そのものの攻撃と、凍結した大地などが砕かれる事による物理攻撃を併用してダメージを与えてくるのが、定番の攻撃パターンだった。

対処法としては、リキャストタイムが三百六十秒の【霧氷(フリージング・フォッグ)】のバフ剥ぎを回避するために、【霧氷(フリージング・フォッグ)】の発動中は遠距離から【氷の息吹(アイスブレス)】で凍結した場所へ炎属性の魔法を使って解凍作業を優先する。

それによって、最後に発動する【穿つ氷柱(ピアーシング・アイシクル)】の物理攻撃部分を回避するか、物理攻撃無効化などのアイテムを使用するか。

 

とにかく、レベルが九十を越える事で物理攻撃をある程度のレベルまで無効化出来ないと、【霧氷(フリージング・フォッグ)】のバフ剥ぎ効果もある為に、かなりエグいレベルでHPを削ってくるボスなのである。

 

三百六十秒の間に、決まったパターンの攻撃を仕掛けてくるので、前半戦はまだ楽なのだが。

 

前半戦は、その攻撃のパターンを後方で三百六十秒毎にタイマーを鳴らして確認し、【氷の息吹(アイスブレス)】の効果を【火珠(ファイアボール)】で打ち消ししつつ、可能ならフリーズにも【火珠(ファイアボール)】を打ち込んで攻撃に参加する。

それと同時に、単身接近戦を挑むパンドラズ・アクターへ【氷の息吹(アイスブレス)】等の回避方向を指示していくのが、ウルベルトの受け持ちだった。

本来なら、習得している【ワールド・ディザスター】の魔力燃費の悪さから、そんな真似をしていたらすぐに息切れしそうなのに、それを可能にしているのはウルベルトが装備している【火竜の杖(スタッフ・オブ・サラマンダー)】である。

この杖、【火珠(ファイアボール)】を炎属性持ちならMPを消費せずに同時に五発放てると言う、聖遺物級(レリック)としては破格の性能なのだ。

しかも、その効果は杖が壊れない限り続くと言う、限り無く伝説級(レジェンド)に近い聖遺物級(レリック)なので、今のウルベルトにとって最高に使い易い装備だった。

 

これがあるから、ウルベルトは自分へ補助魔法を掛けることを選択出来たのだ。

 

後衛魔法職として、ウルベルトは前線に出ない分、戦闘を開始する前の段階で掛けた補助魔法のうち、幾つかは不要と思われるかもしれないが、実際は違う。

何せ、今のウルベルトのHPは魔法職として低かったものを、更に七割まで下げている【ねんどろいどゴーレム】なのだ。

前線に出なくても、敵が放った攻撃の流れ弾と言うものが存在する以上、むしろ必須な補助魔法だった。

一応、魔法攻撃の範囲外だし【火竜の杖(スタッフ・オブ・サラマンダー)】の装備効果で氷属性無効化が付いてはいる。

だが、物理攻撃の流れ弾に関してはその適用外なのだから、用心するのは当然だった。

 

せっかく、パンドラズ・アクターが攻撃を避けたのに、うっかり自分がダメージを負ってしまったら、作戦が台無しになってしまうだろう。

 

逆に、パンドラズ・アクターにはある程度のダメージを覚悟の上で、全面的に攻撃に転じて貰っている。

なんと言っても、ウルベルトには作戦の都合上、低ダメージを与える【火珠(ファイアボール)】以外に、攻撃手段がない。

最初は、それなりにダメージを与えるコンボを決めて、前半戦はもちろん後半戦も乗り切るつもりだった。

だが、パンドラズ・アクターは特殊技術(スキル)と武器の効果を中心とした打撃系戦闘を選択している。

つまり、ナザリックのNPCの中でも一、二争う程のMPを誇るパンドラズ・アクターに、余剰MPが存在するのだ。

 

それなら、余剰MPをウルベルトに譲渡する事も、十分に可能だど言える訳で。

 

運が良い事に、パンドラズ・アクターがやまいこの能力として使える部分に【MP譲渡】が含まれていたので、実際にウルベルトに譲渡する方向で話が纏まり、作戦の幅を増やすことが出来たのである。

もちろん、パンドラズ・アクターが使うのは特殊技術(スキル)だけではないので、ウルベルトにMPを全て譲渡する訳ではない。

それでも、全くMPが補給出来ない状況よりも、採れる手段は確実に増えるし、実際に今のウルベルトは攻略人数と自身のMPの減少から捨てざるを得なかった方法を、この事によって選択していた。

 

そう……本来なら、MP減少によって一度しか使用する事が出来なくなっていた、【大災厄(グランドカタストロフ)】を使用すると言う、文字通り奥の手を。

 

フリーズを相手にするなら、前半戦は打撃メインの前衛のサポートをしつつ、後衛の特殊役(ワイルド)担当が超位魔法を決めるのを待ち、後半戦で攻撃が一周する頃に大技を叩き込むのがウルベルトのチーム内の立ち位置だった。

だが、今回はウルベルトは火力担当だけではなく、司令官や特殊役(ワイルド)もこなさなくてはならない。

だからこそ、最初に簡単な作戦を立てた時は、火力を重視した選択肢は捨てざるを得なかったのだ。

そこに、パンドラズ・アクターからの【MP譲渡】の話が出て、ウルベルトは考えを変えたのである。

 

『パンドラズ・アクターから、ある程度の魔力チャージが受けられるなら、前半戦と後半戦で一回ずつ大技を決めても良いんじゃないだろうか?』と。

 

それでも、前半戦は【火竜の杖(スタッフ・オブ・サラマンダー)】を使い、可能な限りMPの消費を控える必要がある。

大災厄(グランドカタストロフ)】を使うにしろ、他の攻撃力が高い高位魔法を選択するにしろ、ウルベルトのMPの消費は本来のものよりも高い。

でなければ、使用するとほぼ一発で気絶するなんて状況にはならないだろう。

しかし、そこにパンドラズ・アクターから受け取った【節制の指輪(リング・オブ・テンペランス)】 の効果か加わると、また話が変わってくるのだ。

なにせ、そのアイテム効果は『MPの消費率を最大十五%まで下げる事が出来る』というはかくのものであり、【大災厄(グランドカタストロフ)】を使用した場合は、最大値の十五%カットするらしい。

 

つまり、割り増しした分よりも消耗率をカットする形になり、ウルベルトの一発で気絶するのを回避出来る、素晴らしいアイテムなのだ。

 

もう一つの【妖術師の腕輪(バングル・オブ・ソーサラー)】が、更にウルベルトを助ける。

なんと言っても、その効果は『HPを三十%、MPを二十%最大値から上昇させる効果』と言う素晴らしいものだったからだ。

その効果によって、本来の最大値の八割まで戻ったMPは、ウルベルトに少しだけ精神的な余裕を与えた。

後半戦に入った辺りで、補助魔法をもう一度使用したとしても、【大災厄(グランドカタストロフ)】を使用して気絶せずに済むからである。

 

ここで、一度も超位魔法が選択肢に入らないのは、使用したら一発で気絶すると言う条件が、アイテム装備後も変わらなかったからだ。

 

《……超位魔法に関しては、俺の勘違いもあったからなぁ。

あれは、使用回数が限定された特殊技術(スキル)と同じで、MPそのものは消費しないんだよ。

つまり、超位魔法を使うと気絶する仕様なのは、今、俺の使っているこの【ゴーレムボディ】が、超位魔法の使用に耐えられないからなんだよな……

まぁ……普通に考えれば、この姿で超位魔法を使える事の方が、ある意味では異常なんだから、その程度のペナルティで済むと思うべきなんだろう。

ただし、使いどころの見極めが難しいモンになったけどな。

何せ、こいつは使えば即気絶だから、現状ではパンドラが側に居ない時には使えねぇ。

しかも、使うのは最後の止めを刺すとか、撤退戦でパンドラに運んで貰いながら途中で足留めに放つとかだぞ。

それ以外だと、確実に戦力を減らしてパンドラを危険に晒すからな。

とにかく、何らかの手段を構じて気絶を回避出来るようにならない限り、これは使えない手だと認識しておく方がいいだろう。

使えると思ってて使えないより、最初から使えないと考えて動いた方が、後で慌てて混乱しないだろうし。》

 

テキパキと、パンドラズ・アクターに指示を飛ばしつつ、ウルベルトは頭の中でそう結論付ける。

実際、使い道が難しい超位魔法をこの場で使うとしたら、本当に最後の最後、もうそれ以外に取る手段がなくなった時だと、ウルベルトは考えていた。

 

もちろん、その攻撃が通ればこちらの勝ちだと言う条件付きならば、だが。

 

今回の戦いは、絶対に勝たなくてはならない勝負だ。

なにせ、ここでフリーズに勝たなければ、己の本体を取り戻せない以上、戦闘を放棄して逃げ出す事も出来ない。

この封印が、誰の手によって施されたのか判らない為に、下手に戦闘を放棄してこの場から脱出した場合、己の本体がどうなるか判らないからである。

もし、フリーズに勝てなかった時点で、己を封印した相手に封印が解かれた事が伝わるなら、最悪な事態を引き起こす可能性が高い。

 

そう……今度こそ、ウルベルトの本体を殺しに掛かってくる可能性だ。

 

いつ、ウルベルトの本体がここに封印されたのか、それは判らない。

しかし、だ。

前回が封印で済んだからといって、今回も再封印で済むかと問われれば微妙だと、ウルベルトは考えている。

理由は、実に簡単だ。

せっかく封印したウルベルトを、何者かが解放して復活させようとしたのである。

再度封印しても、同じ様に復活させようとする者がいるのならば、封印なんて手間を掛けずに消滅させた方が、より安全だと考えても不思議じゃない。

 

わざわざ、自分達にとって危険をもたらす可能性のある存在を、この世界に残しておく理由はないのだから。

 

これに関しては、パンドラズ・アクターもウルベルトと同じ考えなのだろう。

だからこそ、かなり無理をしてもこの場でのフリーズ攻略を選択した。

そうじゃなければ、パンドラズ・アクターはウルベルトに対して、まず撤退を提案していた筈である。

こんな、何もかも準備不足でのボス戦など、本来なら避けたいものなのだから。

それでも、戦いを避けられないと判断したから、パンドラズ・アクターは覚悟を決めたのだろう。

 

何度か死んでも、フリーズに勝つまで蘇生アイテムを使用して、最後まで戦い続ける覚悟を。

 

だから、ウルベルトも腹を据えて、可能な限りパンドラズ・アクターを死なせないで済む方法を、必死に思い出しながら作戦を練った。

もちろん、本格的に参謀として作戦を練れる訳ではないから、ある程度までではある。

元々、作戦を練るのは仲間の役割であり、ウルベルトには参謀役は厳しいので、出来ればパンドラズ・アクターに変わって欲しい所だ。

だが、ボス戦が初めての相手に任せるのは厳しいし、相手がフリーズなら、ある程度までなら作戦が練れない訳じゃない。

そう判断したのは、間違いなくウルベルトだ。

 

そう……ある程度とは言え、ウルベルトがそんな真似が出来るのにはそれなりの訳がある。

 

どんな訳かと言えば、実はとても簡単なもの。

フリーズが持つ攻撃パターンを、徹底的に分析してその兆候を割り出し、瞬時に判断出来るレベルになるまで頭と身体に叩き込んだからだ。

それこそ、かなり昔の攻略だったのにも関わらず、ある程度までその能力や攻撃パターンを思い出せる程に。

 

フリーズが、【ユグドラシル】に登場したのは、五周年記念コラボ【海外の童話】の中の一つ、【アンデルセン童話のダンジョン】だ。

 

ダンジョン後半に出てくる中ボスだったのだが、運営の中にフリーズの元になった童話【雪の女王】に思い入れがある者が居たのだろう。

中ボスにも拘らず、フリーズは馬鹿みたいに高いMPと広範囲攻撃を誇り、【中ボスレベルでは無い】と言う評価を受けていた事を、ウルベルトもよく覚えていた。

もちろん、それだけでウルベルトがこの中ボスの事を、頭の中に攻略方法を叩き込むまで徹底して覚えていた訳ではない。

 

そう……【アンデルセン童話のダンジョン】のラスボスすら霞むほど、フリーズは強かっただけではなく、ドロップアイテムが美味しかったのだ。

 

フリーズの強さを前にして、それでも挑戦者が跡を絶たない程に、プレイヤーが集中したドロップアイテム。

それは、ドロップ率が一万分の一と言う確率の低さで排出される伝説級(レジェンド)アイテム、【凍れる女王の心臓】と言う名のブローチだった。 

まるでルビーのような、直径五センチの深紅の結晶を中心に据えた、美しいブローチ。

 

見た目も見事なものだったが、このアイテムの本当の素晴らしさは、そのアイテム効果にあった。

 

何せ【所持者のMPを最大値の3割増加させる】と言う、この時期のドロップアイテムとしては、魔法詠唱者にとって文字通り破格のアイテムだったのである。

特に、ウルベルトの様な【ワールド・ディザスター】にとって、垂涎の品だったと言っていい。

だからこそ、ウルベルト自身もそれを求めてギルドの仲間に協力して貰った。

そう……その為には、あの頃は仲の悪かった、たっちにすら頼み込んで。

 

三ヶ月あったイベント期間中、みんなでどれだけフリーズと対峙した事だろうか?

 

そうして仲間に協力して貰った結果、ウルベルトは無事にアイテムを入手出来たのである。

その戦闘回数は、およそ延べ三百回。

ギルドの仲間に協力をして貰ったお陰で、三チームの交代制でアタック出来たのがよかったのだろう。

イベント期間半ばで、アイテムドロップ率がよかったメンバーの手元にドロップしたのを譲って貰らえたのだから。

そこまでやり込んでいたから、ウルベルトの記憶の中にギリギリだがフリーズの情報が残っていたのである。

 

もちろん、こちらの世界に転移した事によって、変化している部分も発生している可能性は無い訳ではないが、基本パターンは変わっていないようだった。

 

そこまで思い出した所で、パンドラズ・アクターにフリーズが放った【穿つ氷柱(ピアーシング・アイシクル)】のよるクリティカルが入り、最初の死亡が発生した。

それを傍目に見て、心の中で歯を食い縛りながらウルベルトはフリーズを見据えた。

そろそろ、前半戦の山場に来ているらしい。

パンドラズ・アクターは、確かに【穿つ氷柱(ピアーシング・アイシクル)】によるクリティカルを食らったが、同時に特殊技術(スキル)によるクリティカルをフリーズに与え、かなりHPを削り取ってくれたからだ。

ここまで削れば、最初の【大災厄(グランドカタストロフ)】を放つのに十分な状況だろう。

 

そう判断すると、ウルベルトは迷う事なくそれを叫んでいた。

 

「顕現せよ、究極の災厄!この凍れる大地に滅びと絶望を叫び響かせろ! ― 【大災厄(グランドカタストロフ)】!」

 

その途端、フィールド全体を覆い尽くす、純然たる破壊のエネルギー。

予想通り、直撃を受けたフリーズのHPはどんどん削り取られ、半分近くになるのが見えた。

ウルベルトが、このタイミングで【大災厄(グランドカタストロフ)】を放った理由は二つ。

一つは、現時点で死亡しているパンドラズ・アクターの蘇生までのタイムラグの間に【大災厄(グランドカタストロフ)】を放てば、同士討ち(フレンドリーファイア)を回避できる事。

もう一つは、【大災厄(グランドカタストロフ)】でフリーズに与えるダメージを、ウルベルトがある程度まで把握しているので、後半戦に入るタイミングが判り易い事だ。

 

ウルベルトが【生命の精髄(ライフ・エッセンス)】で見る限り、フリーズのHPはあと一撃で半分を切るだろう。

 

丁度、フリーズの攻撃は【穿つ氷柱(ピアーシング・アイシクル)】がパンドラズ・アクターに入り、最初の【霧氷(フリージング・フォッグ)】か【氷珠(アイスボール)】のタイミングだ。

一時的に、敵の攻撃範囲内に移動したウルベルトが、【大災厄(グランドカタストロフ)】によって発生したヘイトで攻撃を受けても、十分耐えられるだろう。

その間に、蘇生してくるパンドラズ・アクターからアイテムによる回復を受けながら後退すればいい。

 

そして、そのウルベルトの予想は外れていなかった。

 

フリーズがウルベルトに放った攻撃は、【氷珠(アイスボール)】で、ウルベルトでも十分に耐えられるものだったし、その時点でパンドラズ・アクターは蘇生して回復済みだった。

なので、後退してくるウルベルトを回復しつつ、再度フリーズへ攻撃を開始する。

蘇生から回復まで済ませた事で、パンドラズ・アクターの攻撃はまた鋭いものへと変化していた。

パンドラズ・アクターもまた、この戦闘で経験を積む事で、成長しているのだろう。

 

そうして……とうとう、パンドラズ・アクターの攻撃がフリーズのHPを半分まで削り取った。

 




はい、フリーズ戦中盤になります。
本当は最後まで書き上げたかったんですが、まだこの先も長いので、一旦切りました。
なにせ、この段階でまだフリーズのHPは半分残ってますし。
そして、パンドラの一回目の死亡と蘇生。
これに関しては、フリーズ戦を書き始めた時点で決まってました。
と言うか、【ユグドラシル】時代でもレベル差が十ある段階で勝てないと言われているのに、レベル差が三十六ある時点で、パンドラの死亡と蘇生は前提条件でした。
普通なら、フリーズには勝てません。
それを何とかしているのが、作中に書いたウルベルトの【ユグドラシル】時代に散々繰り返したフリーズ攻略戦の経験です。
この後の後半戦は、また厳しさを増す予定です。

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