東方蒼天葬〜その歪みを正すために〜   作:神無鴇人

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臨海学校
海DE大騒動(前編)


「凄ぇ!コレが海か!?初めて見たけど本当に凄いぜ!!」

 

「な、何と広大な……」

 

「……うわ!?しょっぺぇ!本当にしょっぱい!!海水ってこんなにしょっぱいのか!?」

 

 臨海学校当日……海での自由時間を目前にしながら、魔理沙が初めて見る海にはしゃぎ、妖夢も驚きの表情を見せている。(※幻想郷には海が無いため)

 

「海が初めてって、どういう事?」

 

「ん?言葉通りの意味だぜ。私達は殆ど皆山岳地帯で生まれ育ってるから、泳いだり釣りをするのは川とかが中心なんだ。

(やべぇ……言い訳作っといて良かったぜ)」

 

 簪のある意味当然とも言える疑問に魔理沙は真顔で返すが、思わず失言をしてしまったことに内心冷や汗をかく。

 

「そういえば魔理沙さん、最近お師匠さんとは連絡とか取ってるんですか?」

 

「魅魔様の事か?

いや、全然。あの人は今長期出張中だ。そろそろ戻ってきても良い頃とは思ってるんだけどなぁ……」

 

 妖夢からの助け舟に内心で感謝する魔理沙。

ちなみに、魔理沙の師匠格である魅魔は現在魔界にて魔力を蓄えるために冬眠中である。

 

「魔理沙の師匠って、どんな人?魔理沙以外にも弟子とか居るの?」

 

 緊急回避的に出した魅魔の話題だが、運良く簪の興味を引く事に成功する。

 

「まぁ一言で言えば……偉大な人だな。私的にはレミリアよりカリスマがあると思ってるぜ。

兄弟弟子は、よく知らん。私が弟子入りするよりも前に居たらしいけど、その事についてはあんまり教えてくれなかったからな……」

 

 

 

「全員注目!」

 

 魔理沙が師匠との記憶に思いを馳せようとする中、不意に千冬の声が響き、魔理沙を含む生徒達は千冬に視線を向ける。

 

「これから今日の夕方まで自由時間とするが、浮かれすぎて羽目を外し過ぎないようにしろ。

明日はISを使った講義を行うから、今の内にしっかりと楽しんでおけ。以上、解散!」

 

 千冬の号令の直後、生徒達はそれぞれ海へと繰り出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

 

 

 

case1

 

「日差し強いわねぇ……日焼け止め(パチュリー作)いつもより多く塗っといて良かったわ」

 

 波打ち際を歩きながらレミリアは照りつける太陽に顔を顰める。

 

「お嬢様、少々海に近付きすぎかと」

 

 そして、そのすぐ近くでは咲夜が日傘を準備して付き添い、海との距離が近いレミリアを諌める。

(※吸血鬼は流水に弱い)

 

「フッ……私を誰だと思っているの?いくら流水と言ってもこの私には致命傷にはなり得ない。

たかだか足に掛かる程度の波など大した事無いわ。

むしろ足の裏が気持ち良いぐらいよ。

故に私の心配は要らないわ。それより咲夜は一夏にアピールする事を優先すべきではないの?」

 

 自信満々にレミリアは答える。

元々力が強く、位の高い吸血鬼であるレミリアは流水にもある程度耐えられるぐらいの耐性はあるのだ。

が、その時……

 

「わわっ……くぁwせdrftgyふじこlp;!?」

 

 通常よりも大きな波がレミリアを襲い、それによってバランスを崩したレミリアは波に飲まれるように倒れ、そのまま全身で海水を被ってしまった。

 

「お嬢様!?」

 

「うーうー……しょっぱい、目に染みるぅ……。

やっぱ素直に砂で遊ぶ、うー」

 

 今までシリアス担当だったレミリアの本作初のカリスマブレイクが決まった。

 

 

 

 

 

case2

 

「ほら、いつまでも恥ずかしがってないで」

 

「うぅ、姉御ぉ……私、背も胸も小さいから、ちょっと自信が……」

 

「大丈夫ですって!一時間かけて似合うの選んだんだから」

 

 赤面して身体をバスタオルで包んだラウラに、それを外すように促す椛と文。

 

「一度タオルを取っ払えば恥ずかしさなんて吹っ飛びますって。それっ!」

 

 業を煮やした文はラウラからバスタオルを奪い取り、ラウラは水着姿を晒す。

そこには普段のシンプルな服装とは打って変わり、髪をツインテールに纏めてフリルの付いた可愛らしい水着を纏ったら裏の姿があった。

 

「へぇ、結構可愛いじゃん」

 

「うん、良く似合ってる」

 

「ほ、本当か?」

 

 近くに居た鈴音と簪はこれを賞賛し、ラウラは顔を真っ赤にしながら俯きがちに上目遣いで周りを見渡す。

周囲から視線は集まっているものの、それは不快なものではなく、むしろ好印象なものだった。

 

「ね、言ったでしょ?大丈夫だって」

 

「そうそう、小さいのが何よ!誰かが言ったでしょ?『貧乳はステータス』って!」

 

 安堵するラウラに肩を置きながら椛は笑い掛け、鈴音は同じ貧乳としてラウラを激励する。

ちなみに簪も同意見らしく、鈴音の言葉にうんうんと頷いていたりする。

が、そんな時……

 

 

 

「お待たせしました。すいません、着替えに手間取っちゃって……」

 

「うぉぉっ!?……い、いえ、全然大丈夫っす!(ヤベェ、海で見るとより一層凄ぇ……)」

 

 

 

 スタイル抜群・超人胸度1000万パワーの中華娘、紅美鈴が水着姿で現れた。

 

「「「……………………(完全敗北!!)」」」

 

 対する胸度……いや、あえて数値にはしないでおこう。

とにかく胸にコンプレックスのある胸ぺったんガールズの三人娘(鈴音、ラウラ、簪)はただただ己と美鈴の胸を見比べ、静かに肩を落とした。

しかし、その直後……

 

「……ねぇ、美鈴さんに弾。私達とビーチバレーで勝負しない?」

 

「あ、良いですね。やりましょう!」

 

 三人は真っ黒なオーラを、その全身から溢れさせたのであった。

 

「「私達審判やります」」

 

 当事者以外から見てあからさまに黒いオーラを出している鈴音達を目の当たりにし、二人の天狗は安全策(静観)に徹することにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、胸ぺったんガールズVS弾&美鈴組のビーチバレー対決の火蓋が機って落とされた訳だが……。

(※美鈴は群を抜いて強いから人数差でハンデをつけてます)

 

「巨乳が、なんぼのもんじゃあーーーー!!」

 

「貧乳はステータスだ!希少価値だぁーーーーっ!!」

 

「胸が小さくて何が悪い!世の中DカップやEカップばかりじゃないんだぁーーーーっ!!」

 

「ちょっ!?何で今日に限っていつもより動き速いんですか!?」

 

「つーか、顔面狙いのラフプレイかよ!?痛っ!」

 

 普段の3割増とも言えるパワーとスピードで鈴音達の疾風怒濤の如き猛攻が火を噴いた!!

 

 

 

「そう何度も、やらせはしない!」

 

「カバーとサポートは俺がやる!」

 

「そしてパワーが要る事は私の担当!!」

 

 しかし、美鈴はやはり強かった!

弾の好フォローもあり、中盤からは一気に巻き返して反撃に転じ、そして……。

 

「そりゃぁーーーーっ!!」

 

 美鈴の弾丸スマッシュが鈴音達のコートに突き刺さった!

 

「「「…う……ぅぅっ…………!

敵わない……コイツには…………とても、敵わない(胸囲的な意味で)」」」

 

 鈴音、簪、ラウラ……完全敗北。

 

 

 

 

 

case3

 

 浜辺が騒がしくなる一方で、海はというと……。

 

「ィヤッホォォォゥッ!!」

 

 当然こちらも例外ではなく、海面では魔理沙がハイテンションでサーフボードを乗りこなし、波乗りをエンジョイしていた。

 

「魔理沙さん、あっという間に乗りこなして……、わぷっ!」

 

 逆に、同じくサーフィンに興じている早苗はというと、中々上手くバランスが取れずに海へ落下を繰り返していた。

 

「うぅ……格好良く決めて一夏君に『格好良い早苗お姉ちゃん』をアピールしようと思ったのに……。

っていうか、一夏君はどこに……?」

 

「一夏なら千冬と妖夢と三人で沖の方まで泳ぎに行ってたぜ」

 

「…………」

 

 早苗、完全に空回りである……。

 

 

 

「ハァ、ハァ……ま、魔理沙のサーファー姿、撮影しなきゃ……あとで、焼き増し」

 

 余談だが、ビーチボールでの疲労でフラフラの身体を引き摺りながら、簪は必死に魔理沙を撮影していた。

 

 

 

 

 

 

 

case4

 

 沖の方では千冬と妖夢が水泳対決の真っ只中だった。(一夏は審判担当)

 

「貴様には負けん!」

 

「こっちの台詞です!」

 

 ちなみに、勝敗は一夏の身体に触れた時点でゴールというルールである。

 

「「うぉおおおお!!!!」」

 

(二人とも怖ぇよ……)

 

 鬼気迫る表情で猛スピードで一夏に接近する千冬と妖夢。

終始互角の戦いを展開する二人だが、ゴール間近になって千冬が僅かにリードし始める。

 

「やった!勝った!仕留めた!!この勝負貰ったぁっ!!」

 

 ゴール間際、遂に千冬は一夏の身体を抱きしめようとする。

まさに勝敗決すると思われたその時……。

 

「させるかぁーーーっ!!」

 

「な…ブッ!?」

 

 妖夢の叫びと共に、千冬の身体が横殴りに吹っ飛ばされた。

 

「半霊……だとぉ!?」

 

「邪魔しちゃいけないなんてルールは、設定してませんよねぇ!!」

 

 衝撃の正体は普段妖夢の周囲を浮遊している大きな人魂……半霊だった。

千冬がゴールする直前に妖夢は半霊を飛ばして千冬を妨害したのだ。

 

「これで、私の……」

 

「へ?」

 

 妨害されたい冬を尻目に妖夢は、一夏の腕を掴んで自分に引き寄せ、そして……

 

「勝ちです!!」

 

「んむぅっ!?」

 

 そのまま一夏の唇にキスを決めた!!

 

(今まで他の連中に後れを取った分、ココで巻き返す!)

 

「むぐぅ~~!(またこの展開かよ!?)」

 

 次第に濃厚になってくる妖夢からのキス。

それはまさに早苗との初キスの再現だった。と、なるとこの次の展開は……

 

「ヨ・ウ・ムぅ~~~~っ!!貴様、ぶっ殺す!!!!」

 

「こっちこそ海底に沈めてやる!!」

 

 当然、ぶち切れた千冬との乱闘だった。

 

「よくも一夏の唇を!」

 

「勝てば官軍!負けたアンタが悪いのよ!!」

 

(……よし、逃げよう)

 

 激化必至な水中大決戦の中、一夏は水中を泳いで浜へと向かったのだった。

 

「アトランティスドライバー!!」

 

「ええい、猪口才な!セントへレンズ大噴火!!」

 

 悪魔超人さながらのバトルを繰り広げる二人を残して……。

 

 

 

 

 

 

「な、何か今、シャレにならない技が繰り出されたような気が……」

 

 浜辺で日光浴をしていたセシリア(イギリス出身)が何故か冷や汗をかいたのはまた別の話である。

 

「おーい、セシリア。ビーチバレーやるからお前も来いよ。

箒やアリス達もよんだら参加するって言ってたぜ!」

 

「あ、はい。今行きますわ!」

 

 そんなこんなで、海での時間は過ぎていったのだった。

 

 

 

 




次回予告

 騒ぎの余韻の残る夜、箒は自分が姉に力を求めた事実を千冬に打ち明け、相談する。
一方で日勝を新たに雇い入れた河城重工では、彼の専用SW開発を急ぐ。
そして臨海学校2日目、遂に天災が姿を現す。

次回『海DE大騒動(後編)』

にとり「カナダのIS研究所が爆発事故か……物騒だねぇ」

箒「私は、どうすれば良いんでしょうか?」






『炎魔』設定

『ライブアライブ』に登場する主人公の一人・おぼろ丸が所属していた忍者組織『炎魔忍軍』を前身とする組織。
幕末以前より日本の影で活躍した最強の忍集団が、日本政府直轄の暗部として現代まで存続し、今なお全暗部を影から統括している。
また火遁を始めとした、忍術・妖術にも精通しており、現在では(外界において)悪質な妖怪退治も行っている。



経歴

中世時代に誕生した憎しみの化身・魔王オディオによって剣と魔法が発展していた大国・ルクレチアが滅ぼされ、
当の魔王オディオは、あらゆる時代において憎しみの権化を倒した英雄の皆殺しと、それに伴う歴史改編を目論んだ。

だが、オディオの存在を危険視した当時の八雲紫は、オディオによる歴史への直接的干渉を妨害し、各時代から7名の英雄(おぼろ丸や、美鈴の師匠もその一人)を召喚するという方法で対処した。
(妖怪の自分では逆にオディオに取り込まれる可能性があった為、直接戦う事は出来なかった)

結果としてオディオは倒されたが、オディオが(当時魔法の先駆的存在の国だった)ルクレチアを滅ぼしてしまった為、魔法を始めとした妖怪、魔法などの反科学的な存在は大きく衰退してしまった。

後に紫は、オディオを倒した英雄の一人、おぼろ丸と接触し、彼を通じて炎魔忍軍と調停を結び、幻想郷のバックアップを得た。
(見返りとして、炎魔忍軍にはより優れた魔術・妖術の知識や道具を提供)


河城重工の件はある程度黙認しているが、社会を過度に混乱させないように注意深く監視している。






ライブアライブからのゲストキャラ紹介

田所アキラ

炎魔の構成員。28歳。
かつて、とある組織によって画策された大規模な大量殺戮(実際は少し違うが)を巨大人型ロボット『ブリキ大王』を使用して阻止した青年。
魔王オディオを打倒したメンバーの一人でもある。
事件直後に紫の伝により炎魔からスカウトされ、ブリキ大王の封印と事件の収拾を条件に炎魔に参加した。

超能力者(サイキッカー)であり、他者の心を読むなどの脳波に干渉する能力を持つ。
更に、炎魔での訓練を経て現在では体術や火炎妖術などもマスターし、その実力は炎魔でも指折りのものとなっている。

不良っぽい外見をしているが、その外見に反してIQはかなり高い。

 

※日勝のプロフィールは次回載せます。





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