東方蒼天葬〜その歪みを正すために〜   作:神無鴇人

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今年二回しか更新出来てない……。
何やってんだろ俺?


来訪!一人の悪鬼と三人の破壊者!!(後編~氷拳VS凶刃~)

「邪魔をするなガキがァっ!!」

 

「ガキだからって甘く見んなよ、偽者ヤロー!」

 

 凶悪な気迫と共にチルノに斬りかかるチフユ。

迫り来る刃をチルノは怯む事無く見据え、自身の身体に氷をバリアの様に纏って突撃していく。

 

「馬鹿が!そんな氷でこの剣が防げるか!」

 

「防ぐんじゃない!弾き返すんだ!」

 

 刃が触れようとするその刹那、チルノは独楽の様に素早く回転し、そのままの勢いでチフユに激突。

宣言通り紅桜の剣を弾き返して見せた。

 

「グゥッ!な、何だと!?」

 

「見たか!これが厄神の雛と戦って会得したアタイの新必殺技、タップスピンだ!!」

 

 まさか真っ向から弾き返されるとは夢にも思わず、狼狽するチフユ。

その隙を突くようにチルノは即座に体勢を立て直し、チフユに突撃していく。

 

「まだまだ行くよ!でぇりゃあぁぁっ!!」

 

 空中で身体を捻り、華麗なフォームで繰り出される浴びせ蹴り。

師匠である高原日勝直伝の体術だ。

 

「ぐがっ!?」

 

 顔面にチルノの踵が諸に入り、悶絶するチフユ。

完全にチルノのペースに呑まれ、先程までの暴れっぷりが嘘のように手玉に取られてしまい、蹴られた顔を手で押さえながらのた打ち回る。

 

「へっへーん!やっぱり偽者は偽者ね!

修行で戦った本物の千冬はもっとタフだったよ!」

 

 小馬鹿にするように壁にもたれ掛かって腕を組み、千冬を上空から見下ろすチルノ。

その行為にチフユの表情に怒りの色がより一層強く浮かび上がる。

 

「貴様ぁ……私が、あんな腑抜けに劣ると言うのか!?」

 

「何よ?だってアンタ実際弱いじゃん。

悔しかったらかかって来いよ、このヘッポコ弱虫偽者女!

アッカンベーだ!!」

 

 舌を出して挑発するチルノ。

自分より明らかに幼い、それでいて頭の悪そうな子供に手玉に取られた上に挑発され、もはやチフユの理性は音を立てて崩れてしまった。

 

「殺す……殺してやるぅぅっ!!!!」

 

 真っ直ぐ、そして一直線に眼にも留まらない速さでチルノの首を突き刺そうと刀を構えて突進するチフユ。

 

だが……

 

「危なっ!?」

 

 間一髪、チルノは真下に移動してそれを回避。

そのまま紅桜の刀は壁に深々と根元まで突き刺さった。

 

「び、ビビッた~~!こんなの喰らったらアタイでも死んじゃうよ!!。

だけど…………!!」

 

 自分を貫こうとしていた刃の鋭さに、冷や汗を流すチルノ。

だが、同時にチルノは『狙い通りだ』とばかりに口元に笑みを浮かべる。

 

「コレでアタイの勝ちね!アイススラッシャー!!」

 

 チルノの専用機・アブソリュートフリーザーの腕部に装備された武装、瞬間氷結銃『アイススラッシャー』が発射され、壁に突き刺さった刀をチフユの腕ごと一瞬で氷漬けにした!

 

「な!?う、腕が!?」

 

「コレでとどめ!!氷拳『アイスバーンパンチ』!!」

 

「ま、待て……!!」

 

 締めくくりに繰り出されるチルノの新スペル。

拳から放たれた冷気をミックスした妖気の極太レーザーがチフユの身体を飲み込み、彼女の首から下を全身氷漬けにしてしまった。

 

「ま、マジかよ……?」

 

「前から修行してたのは知ってたけど……」

 

「チルノの奴、こんなに強くなってたのか?」

 

「へへっ!やっぱり、アタイってば最強ね!!」

 

 驚く一夏、霊夢、魔理沙を尻目に、チルノは鼻を鳴らして勝ち誇って見せたのだった。

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

 時は少し遡り、チルノとチフユの戦いが始まった頃、

 

「ざっと10体か……やれるか?」

 

「任せて、集団で来る相手ならボクの機体には御誂え向きだよ」

 

 問いかける箒に、シャルロットは不敵な笑みを浮かべる。

 

「針妙丸さんだっけ?アナタの城ボロボロにしちゃうかもしれないけど、良いよね?」

 

「う……よ、よく分からないけど、あの殺意剥き出しな奴に暴れられるよりはマシかな?好きにしなよ……」

 

「了解♪それじゃあ、皆は上手く脱出してね。無人機部隊(こっち)の方は……」

 

 ニヤリとより深い笑みを浮かべるシャルロット。それと両手に複数の爆弾を持って構え始める。

 

「出血爆弾大サービス!吹っ飛ばしてあげる!!」

 

 やや獰猛な笑みと共に、シャルロットは両手に持った爆弾・ハイパーボム改を無人機部隊目掛けて放り投げた。

 

『―――――――!!』

 

 投げられた爆弾が大爆発を起こし、言葉にもならない機械音を上げ、爆発に巻き込まれる無人機(ゴーレム)部隊。

その衝撃で吹っ飛ばされる無人機を箒の駆る挟刃が狙う。

 

「良い位置だ!喰らえ!!」

 

 箒によって投擲される鋏型カッター・ローリングカッター改。

それらがブーメランの如く動きで縦横無尽に旋回しながらゴーレムを切り刻んでいく。

 

だが、ゴーレムもただやられてばかりではない。

爆発と斬撃のダメージから体勢を逸早く立て直した一機がブレードを構えて箒とシャルロットに斬りかかる。

 

「甘い!」

 

 しかし、それは意味を成さなかった。

箒は先程まで投擲武器としていたローリングカッターを手に持ち、ゴーレムのブレードを受け止めた。

 

「投擲武器だからって接近戦が出来ない訳じゃない!!」

 

「後、迂闊に近づくのはもっと危険だよ!」

 

 ニヤリと笑いながら、シャルロットは即座に武装を切り替え、腕部にあるものを展開した。

 

「風穴空けてあげる!!」

 

 それは何と、ドリル。

手元に展開したをゴーレムの腹部にぶち込み、直後にドリルのみを切り離し、ゴーレムを蹴飛ばして距離を取り、そして……

 

「内側から吹っ飛んじゃえ!!クラッシュボム、起動!!」

 

 直後にゴーレムに突き刺さった爆薬内蔵ドリル・クラッシュボムが発光し、爆発。

ゴーレムを内部から破壊し、粉々に破壊して見せた。

 

「さぁ、次はどいつだ!?」

 

「皆が逃げ切るまで、なんて言わずにここで全滅させてあげても良いんだよ!?」

 

 意気揚々と残りのゴーレムを見据える箒とシャルロット。

しかし、そんな時だった……。

 

「っ!……ほ、箒さん!シャルロットさん!何か、何かが近付いてきますわ!!」

 

「な、何なの?この霊力とも魔力ともつかない、それでいて大きな力は……!?」

 

 セシリアと咲夜の声が上がると同時にその場にいた全員が感じ取った。

禍々しくも神々しい……そんな奇妙な、そして強大な力の接近を。

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

 一方、それと同時にチルノとチフユの戦い

 

「おの、れ……オノレェェーーーーーッ!!!!」

 

 身体を氷で封じられ、憎悪のままに表情を歪めてもがくチフユ。

その怒りに呼応するかの如く、徐々に身体を覆う氷に罅が入っていく。

 

「お、おい……これ、何かパワーアップしてないか?」

 

「見りゃ分かるわよそんなの。

チルノ!もっと氷を厚く張って!!」

 

「任せて!」

 

 霊夢の指示に従い、氷を寄り強固に固めるチルノ。

しかし、チフユと紅桜の纏う魔力はチフユの狂乱に呼応するかように、より禍々しさを増していく。

それこそチルノによる氷の補強スピードを凌ぐ勢いでだ。

 

「クソガキ共がぁーーっ!!どいつもこいつも、私をコケにしおってぇーーーーーっ!!」

 

 そして咆哮と共にチフユは自身を拘束する氷を粉々に砕き、吹き飛ばした!

 

「な、何だよ、コイツ……どんどん強くなっていくぞ!?」

 

 今も尚増していくチフユの魔力に一夏は戦慄する。

少し前までも十分な力を持っていたチフユ。しかし、彼女の怒りと憎しみに比例し、彼女の力は増えていく。

 

“このまま行けば本当に自分達をこの場で皆殺しに出来るのでは?”

 

そう思えてしまうほどの速度で……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フン!相変わらず下らん恨み辛みをほざきやがる……!」

 

 不意に鳴り響くある男の声……。

それと同時に輝針城の壁に大きな穴が音を立てて空き、そこから三人の男女が姿を現した。

 

「な!?」

 

「貴様は……!!」

 

 三人組の中の一人の男の姿に一夏、そしてチフユの目が大きく見開かれる。

 

「百年も掛けて逆恨みを募らせるだなんて、ココまで来ると呆れを通して逆に感心しますわ」

 

「尤も、同時にアナタはどうやっても救えないと、証明されたけどね」

 

 その男に付き従うように寄り添う二人の女。

その姿に皆が……特にシャルロットとセシリアが大きく反応する。

 

「ど、どうなってるの?」

 

「私達が、二人!?」

 

 その三人……一夏、セシリア、シャルロットと全く同じ容姿を持った三人の姿に、皆ただただ困惑する他無かった。

 

「イィチィカァァァッ!!!!」

 

 たった一人、もう一人の一夏目掛けて飛び掛るチフユを除いては……。

 

 

 

 

 

 




次回予告

 現れたもう一人の自分達。彼らは敵か?それとも味方か?
圧倒的な力を見せ、瞬く間にチフユを退けるもう一人の一夏。

彼の口から語られるチフユの正体。
それは、一夏達を待ち受ける新たな試練の前兆だった。

次回『破壊神の力』

一夏(?)「お前らには、もっと強くなってもらうぞ。あのイレギュラーな存在を殺せる程に、な……」

シャルロット(?)「持ってきたお土産、早速役に立ちそうだね」



新機体の解説は次回以降に記載する予定です。

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