物語館   作:むつさん

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どうも夢子です。

やばっ投稿遅いかな(汗

最近暑かったり涼しかったりと。
大変ですね。

それではごゆっくり


小さな出会いの大きな想い

博麗神社に一人の男が来ていた。

 

神社縁側で霊夢と男が話をしていると。

一人の少女が割り込んできた。

 

「ねぇ霊夢!おやつまだ?」

 

「さっきあげたでしょ。」

 

「この神社にも参拝客が増えたな」

 

「参拝客じゃないよ、私はこの神社の護り神やってるの」

 

「はいはい、自称だけどね。」

 

「初めまして。宜しく」

 

「うん!私は高麗野あうん!」

 

「こまのあうん、っていうと。見た目とかは狛犬から来てるのかな?」

 

「そうだよ!でも普通の狛犬の守神は二匹一対だけど、私は一人で二匹分なの!」

 

「へぇ〜特別なんだね」

 

「そう!特別だよ!」

 

あうんは男の横に座り

男はあうんの頭を撫でた。

 

「ふふ〜ん♪」

 

あうんは笑顔で喜んでいた

 

「ははは。かわいいな。」

 

「あんたら初めて会うにしては仲良さそうね」

 

「普段霊夢は撫でてくれないから、なんか余計に嬉しいなぁ。」

 

「見ず知らずの男に撫でられて嬉しいの?」

 

「確かに知らない人だけど、悪い人じゃないでしょ?」

 

「まぁね。それは確かにそうよ」

 

「名前は何て言うの?」

 

「五月雨って呼ばれてる。」

 

「さみだれ?雨のお名前だね」

 

「ああ、俺の家はちょっと特殊でね。その時の季節とか自然にまつわる名前にするんだ。俺は雨季の早いうちに生まれたから五月雨らしい。」

 

「五月雨さん。いい名前だと思うなぁ」

 

「はは。ありがとうな」

 

「俺の家って言っても、もうあんただけでしょ」

 

「まぁ…仕方ないけどな。そればっかりは」

 

「んー?何かあるの?」

 

「五月雨の家は妖怪に襲われたのよ。それでこいつだけ何故か生き残った。」

 

「そっか…」

 

「家族はみんな死んじまって俺は取り残されてしまったな。」

 

「生きるのは辛い?」

 

「う〜ん…たまに家族が恋しくなるけど、そういうときはここに来るようにしてるからな。」

 

「なんでここなのよ」

 

「話をする相手が霊夢くらいしかいないんだよ。」

 

「あんたねぇ…そんなんでよく人里で仕事できるわね」

 

「お仕事は何してるの?」

 

「自警団、人里を護ってるんだ。」

 

「私と同じだ。護ってるんだね」

 

「まぁ、そうだな」

 

「こいつ強いからね、下手に喧嘩売ったらもう妖怪なんてイチコロなのよ?束で掛かったっても勝てるやついないわよ?」

 

「え?!そんなに強いの?」

 

「霊夢、話を盛りすぎだ、確かに妖怪程度なんてことないけど、束でかかられたら俺でもきついよ」

 

「まぁ、いいじゃない。」

 

「良くないんだが…」

 

「強いんなら人里をしっかり護れるね!」

 

「ああまぁ、そうだな」

 

「ねぇねぇ、五月雨さん」

 

あうんは縁側で座る五月雨の隣で横になり膝枕を要求した。

 

「膝枕?俺はいいけど…」

 

頭を乗せて横になるあうん。

やはり満足気に笑顔だった

 

「あんたねぇ…」

 

「ふふ〜ん♪」

 

あうんは満足気に膝枕を堪能していた

五月雨はまた頭を撫でていた。

 

「もうすっかり懐かれてるじゃない。」

 

「そうみたいだな」

 

少しするとあうんは寝入ってしまった

 

「この姿勢のまま寝るのか…弱ったなぁ…」

 

「甘やかすからよ。」

 

「こうやって甘えて生きるのが幸せなんだろうか。」

 

「さぁね。」

 

五月雨はあうんをそっと抱き上げ

霊夢の部屋の布団に寝かせた

 

「それで、あんた本気なの?」

 

「さっきの話か?」

 

「ええ。別に私は止めないけど」

 

「止めないんだな、まぁ、家族は居ないし護るものもない。人里だって俺が居なくても問題ないだろう。」

 

「ただ、自警団の知り合いが減るのは私としては都合は悪いわ。」

 

「純粋に人手が減るという意味ではそうだろうな」

 

「あのねぇ、人里に何かあったときあんたらが私に伝えに来ることが多いでしょ。人手減るだけでも困るのよ。」

 

「まぁな。」

 

「あんたがそのつもりなら、止める理由は何もないから勝手にすればいいけど。あとの事考えて頂戴。」

 

「後の事か。」

 

「まぁ、単純に参拝客が減るからそれも残念ね」

 

「もうお賽銭も入れることもないな」

 

「さぁね、たまには寄りなさいよ?」

 

「どうだろうな」

 

「それにあんた。まだあうんに懐かれたばかりじゃないの、私以外にも話し相手いるでしょ?」

 

「人里には大した話し相手は居ない、たまに寄るのは竹林くらいだな。あうんのことは飲み込んで忘れるしかないな…」

 

「竹林ねぇ…」

 

「まぁ、そろそろ里に戻って片付けをするよ」

 

「あっそ」

 

「ああ。それじゃ元気でな」

 

五月雨は博麗神社にお賽銭を入れて去った

 

「馬鹿ねぇ。家族を失うと考えも変わるものなのかしら。」

 

「大切なものが亡くなったのだもの。わからなくもないわ。」

 

霊夢の呟きに応えたのは紫だった。

 

「あんたまた来たの」

 

「暇だったから覗きに来たのよ」

 

「何もないわよ。」

 

「そう。あなたも暇そうだものね」

 

「暇つぶしでもしてこようかしら。」

 

そう聞いて紫は何も言わずスキマに入り込んでどこかに行ってしまった。

 

「さてと。」

 

「んぅ…?」

 

あうんは目を覚ましと見回す。

 

「あら、お早いお目覚めなのね。」

 

「うーん、五月雨さんは?」

 

「探してきたら?人里か妖怪の山よ」

 

「山?なんで山?」

 

「ほら、早く行かないと会えなくなるわよ」

 

「会えなくなるってどういう…?」

 

「本人に聞きなさい。」

 

霊夢はそういうと立ち上がってどこかに飛んでいった。

 

「どういうこと…?」

 

あうんはなんとなく嫌な感じがして

人里に向かうことにした。

 

 

あうんは人里に着いて隈無く探すが、五月雨の姿はなく、気配も感じない。

 

「あれ…どこ…?」

 

途中、台車に荷物を詰めた人物を見つけ、五月雨と同じような匂いがすることに気が付いた。

 

「ちょっと?良いですか?」

 

「うん?妖怪お嬢さんが何かな?」

 

「五月雨って人を探してて…この荷物はもしかして…」

 

「おお知り合いかい、五月雨さん里を出るって話をされてね」

 

「えっ?里を出たの⁉」

 

「ああそうだよ。荷物は無理やり押し付けられてね何か持っていくかい?」

 

「荷物はいらないけど…どこに行ったかわかる?」

 

「今頃里はもう出てどこかいるだろうねぇ、行き先は話してくれなかったよ」

 

「そっか…どうしよう」

 

「探すのかい?」

 

「もちろんです」

 

「五月雨さんな…悲しくて虚ろな目をしてたからな、なんか碌でもないこと考えてなきゃいいけど。頼むよ。また帰ってくるかもしれないから、荷物はまだ倉においておくよ、見つけたらどうするか聞いてくれるとありがたいね」

 

「わかりました!」

 

あうんは勢い良く飛び出し、妖怪の山に向かった。

 

道中、微かに五月雨の匂いがしたが、

山に近づくにつれて匂いは感じ取れなくなっていった。

 

「どこにいるの?」

 

あうんは小さい妖怪達を差し置いて五月雨を探した。

 

「んっ?違う匂いがする…霊夢…?」

 

五月雨以外にも霊夢も山に来ているようだった。

 

「霊夢よりも…」

 

あうんは中腹まで来ると、五月雨の匂いを感じ取れた。

 

匂いの強い所まで急いで向かうと。

 

「…ふぅ…」

 

川辺に五月雨が居た。

 

「五月雨さん!」

 

「あうんか。」

 

「こんなところで何してるの?」

 

「何してるか、んー…」

 

「人里から出てったって聞いたよ、なんでなの?」

 

「なんでだと思う?」

 

「答えて?」

 

あうんは五月雨の隣まで近寄り座り込む。

 

「あうんは何で俺を探してたんだ?」

 

「霊夢がもう会えないかも知れないって言うから。心配になって…」

 

「もう会えない?んー…また話を盛ったな。」

 

「どういうことなんだろう…」

 

その話の途中、霊夢も川辺に辿り着いた

 

「あっ、いた?」

 

「なんだ、霊夢じゃないか」

 

「どう?山篭りは」

 

「どうって言ったって、まだ数時間しか経ってないんだが」

 

「そうね。」

 

「何しに来たんだ?」

 

「暇つぶし、あんたが何かしてるなら邪魔でもしようかと思って」

 

「妖精の真似事でもしてるつもりなのか?」

 

「んー。かもねぇ」

 

「あうんも心配かけたな。」

 

「えっと…どういうこと…?」

 

「俺はしばらく山篭りをする、天狗達が大人しくなった山なら普通に生活できるだろう。ちょうどいい場所見つけて守矢と鬼に家とか頼んで山で過ごすんだよ。」

 

「なるほど。」

 

「まぁ、霊夢が変な話に持ってくから勘違いさせたなぁ、済まない」

 

「変な話ねぇ。」

 

「もう、ほんとに心配した…良かったぁ」

 

「ま、いいわ、まだ面白い事はなさそうだし神社に戻ろうかしら。」

 

「ああ、またな」

 

退屈そうに欠伸をして、霊夢は飛んで神社に帰っていった

 

「山に住むんだね。」

 

「ああ、まぁな。人里は俺には住みにくくてな。」

 

「そっか。あっそうだ。」

 

「どうした?」

 

「荷物とか、どうするって質屋の人が聞きたがってた。」

 

「あれな、後で受け取りに戻るつもりなんだ、住む場所が確保できてから受け取りに行こうと思ってる」

 

「しばらく倉に置いておくって言ってたよ。」

 

「そうか、教えてくれてありがとう。」

 

「お家完成するまでどうするの?」

 

「しばらくは野宿だろうなぁ…」

 

「そっか、博麗神社にでも泊まればいいのに。」

 

「おう、それも悪くないな」

 

「それじゃあ、私も神社に戻ろうかな。」

 

「おう、また今度博麗神社に寄るよ。」

 

「うん、またね。」

 

あうんはその場を後にして博麗神社に向けて飛んで行った。

 

「どうしようかな。でも…」

 

五月雨はそう呟いて考え込んでいた

 

 

……

 

数日後の事、

 

一人の少女。烏天狗の楓が博麗神社に来ていた

 

「霊夢さん居ないかな」

 

楓は境内を見渡すが霊夢の姿は見えなかった

 

「今戻ったわ。何の用かしら?」

 

先程まで出かけて居たようで、遅れて神社に戻ってきた

 

「手紙です。霊夢さんとあうんさん?って方に」

 

「受け取るわ、ありがと」

 

「はい確かにお渡ししました。それではこれで。」

 

「ええ、ご苦労様」

 

楓は神社を後にして人里に向かって飛んで行った

 

「さて。自称守護神はどこかしら。」

 

探さずとも縁側で伸びて昼寝していた。

 

「あんたねぇ…ほら起きなさい」

 

「んんぅ…ふぁぁ…」

 

軽く体を揺するとあうんは起きた

 

「五月雨から手紙。」

 

「五月雨さんから?」

 

「ほら、早く受け取りなさいよ。」

 

あうんは手紙を受け取り、読み込む

 

「全く手紙なんか寄越さずに神社までこればいいのに。」

 

「私ちょっと出てくるね」

 

「五月雨の所に行くんでしょ。好きにしなさい」

 

「うん、またね。」

 

あうんは勢い良く飛び出し。山に向かった

 

「はぁ…ほんと最近は色んな事があるわ。全く誰のせいかしら。」

 

「さぁ?誰のせいなのかしらね」

 

紫が返事をするように呟く

 

「知っているような口振りね。」

 

「知っていたらこんな所に居ないわ。」

 

「ふ〜ん。まぁいいわ。」

 

「異変…と言うには当て嵌まらないかしら。」

 

「幻想郷自体が迷惑被ってるわけじゃないから。異変とは言えない。」

 

「なら。怪奇現象?」

 

「例のオカルトじゃあるまいし。変な珠も無いからそういうのでも無さそうよ」

 

「さて。どう対処するのかしら?」

 

「あんた。放置してるんでしょ?」

 

「直接的でも間接的でも。幻想郷の脅威でないなら気にしないから別に構わないわ。」

 

「あっそ。」

 

 

あうんは妖怪の山に来ていた。

 

微かに覚えている五月雨の匂いを探して山を登ると以前の川辺に着いた

 

「ここは。」

 

「おう、よく来たな」

 

川辺には五月雨が居て水を汲んでいた。

 

「手紙、貰ったよ。」

 

「読んでくれたんだな。」

 

「うん。あの…」

 

「とりあえず水置きたいから。家まで案内するよ、」

 

「わかった。」

 

五月雨は両手に桶を持ちながら歩き始め、あうんはそれについて行った

 

遠くない場所に開けた広場のような場所があり、そこに家が建っていた

 

「立派な家だね。」

 

「そりゃ、鬼と守矢の神様達だからな。」

 

家に入り、水を貯水槽に入れる。

 

二人は机で向かい合いお茶を飲みながら話す

 

「鬼に好かれてるの?」

 

「ちょっと前に弾幕勝負やらなんやら、やり合った事があってな、負けたんだが気に入られたみたいなんだ」

 

「鬼や神様か…私は勝てないかなぁ」

 

「まぁ、接戦ってわけでもないけどな。一方的な負けだけど。面白い戦法だってさ。」

 

「どんなことしたの?」

 

「どんなことか…特に何も。弾幕勝負と言っても俺は得意じゃないしそんな綺麗でもない。俺の持ってるスペルカードを出し切ったってくらいか」

 

「じゃあ、スペルカードが面白いって思われたのかな」

 

「かもな。」

 

「それで、あの。さっきの手紙の事なんだけど。」

 

「ああ。済まないな話逸れちまって。」

 

「書いてあったこと、ほんと?」

 

「嘘じゃないぞ。ただ勢いで書いたから…余りうまくないけど。」

 

「…えっと…こういう時なんて言えばいいのかわかんない…」

 

「俺は…そうだな、お前が好きだ」

 

「ちょっとまってよ…心の整理も出来てないのに…えっと」

 

「お前らしくでいいと思うぞ。」

 

「…私、このお家も貴方も護るから。だから…私の事も…護ってね…?」

 

「あぁ。わかった。」

 

「よろしく…おねがいします…でいいかな。」

 

「ああ、よろしく」

 

 

 

あうんは霊夢に一連の話をすると

霊夢は何気なく当たり前の返事だけをした。

 

あうんは挨拶を終えるとまた山に向かって

そして五月雨と一緒に暮らしていた。

 

 

 

「紫?居るんでしょ?」

 

「ええ、居るわよ?」

 

「どう思う?」

 

「どう思うも何も。ただのハッピーエンドじゃない?」

 

「そうだけど、そうなんだけど、気に入らないのよ」

 

「嫉妬してるの?」

 

「そうじゃなくて。うーん…なんか引っかかるのよね」

 

「そう。私は別に構わないわ。幻想郷が平和ならそれはそれで。」

 

「それもそうね。」

 

紫はスキマに入り込んでどこかに行ってしまった。

 

「異変では無い。まぁいいわ、」

 

霊夢はそう呟いてまた暇を過ごしていた

 




最近また誤字脱字が増えたような…


それではまた会えたら会いましょう

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