物語館   作:むつさん

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どうも夢子です。

どうぞごゆっくり


背負う者の一時の休息

高校の卒業を迎えた次の週。

親から卒業記念に旅行をプレゼントしてもらった。

2泊3日の県外旅行、ごく普通の旅行だ。

 

その旅行中…ガイドバスに揺られて

高速道路を移動していたときのことだ…

 

ガヤガヤと同年代達が騒ぎ散らし

静かに読書すらできない。

かと言って同じように騒ぐ質でもなく。

ただ苛立ちを感じながら外を眺めていた。

 

外の景色はまぁ十分だ、真下は海で開けている、見てて落ち着きもするし、景色もいい、気分も少しは晴れてくれる、窓を開ければ空気も良い。

 

そんなこんなで時間を潰してた。

 

そのすぐ後一瞬のことだ…

物がぶつかり合う音と同時に悲鳴と振動を感じた。

 

「なんだ?」

 

周りはそれに気づいてはいるのだろうが。

それでもバスは進んでいた。

今俺が乗っているバスは無事か。

 

「どうやら反対車線のトラックが事故ったみたいだ。」

 

横耳で現状が聞こえてくる。

なるほどまぁ高速道路だからな…

何かと事故が起きるのはわからなくはない…

 

そう思った矢先。

事故はまたすぐ…起きてしまった。

 

運転手の叫び声と

周りの悲鳴が聴こえる。

何かと正面を見た瞬間…

目の前からコンテナを積んだトラックが反対車線から飛び込む様に走ってきた。

 

考える暇もなく…バスとトラックは衝突。

 

大きな衝撃を受けた俺は全開に開いた窓から放り出され。海に真っ逆さま…

 

落ちる感覚を味わいながら…

目の前に海があることを理解した。

これは助からない…

その瞬間…目の前に何かが映ってそれに飛び込む形で落ちた…

 

……

 

落下のショックで気を失っていたのか

気がつくと地面に横たわっていた。

 

ん…?地面…?

俺は海に落ちていったはず…

 

「また…人間が…」

 

女性の声…夢か…?

 

意識がはっきりしてきて…

とりあえず立ち上がると目の前には大きな屋敷があった。

 

「目が覚めたようですね。」

 

さっきの声…振り返るとそこには…

 

「なっ!なんだ!」

 

つい最近…学本で見た九尾にそっくりだ。

しかし…あれは妖狐。

狐の姿のほうが強いはずだが…

目の前の九尾は人の身なりがしっかりとしている…?

 

「い、一体どうなってる…?」

 

「驚かれても仕方ないでしょう。あなたは神隠しに遭ったのです。」

 

「神隠し?」

 

「そう。八雲紫の神隠し。」

 

神隠し…突然人が消える現象の事か…

俺は神隠しに遭ったのか…

 

「それじゃ…俺は…死んでないのか?」

 

「ええ、少なからずあなたは生きています。」

 

「まず…ここはどこだ?」

 

「ここは紫様の御屋敷。紫様の神隠しに遭う者はいつもここに来るようになっています。」

 

「そうなのか…俺はこのあとどうすればいい?」

 

「さぁ…?それは紫様が決めることです」

 

「そうか…それじゃ、この屋敷に入って答えを聞けばいいんだな」

 

「その通りです。では私はこれで」

 

九尾は振り向いて歩き始めると

突然現れた裂け目のようなものに入って行き、そのあと裂け目は次第に小さくなり消えた

 

「神隠し…か」

 

恐らく、紫っていうのは…神隠しと言うくらいだから、神様かその類なんだろう。

神様なんか信じたことないが…

こんな事が起きてしまったからには、

そんなことも言っていられない。

 

屋敷の入り口に着くと。

扉は勝手に開いた。

見た感じ靴は履いたままでいいようだ。

ただ神域の類だとすると土足はまずい、

改めて靴を脱いで。入り口の外に置き

中に入っていく。

 

目の前には長い通路。

終わりが見つからない。魔法か何かでもかけてあるのだろうか…

 

しばらく歩き続けると声が聞こえた。

 

「ようこそ、私の屋敷に」

 

「ど、どこから?」

 

「そのまま歩いてきなさい。」

 

言われるままに歩くと、行き止まりに部屋が見えた。

 

「ここでいいのか?」

 

「そうよ。」

 

「失礼します…」

 

襖を開けて一礼をしてから踏み入れる。

 

「あら、面白いわね。」

 

そのまま三歩歩きその場に正座する。

神域の類だとすれば無礼は禁物。

少しでも怒らせてしまえば

命なんてないようなものだろう。

 

「そんなに改まらなくてもいいのよ?」

 

「そうは言われましても…」

 

「丁寧なのは認めるわそれにすごく冷静ね。」

試されている?

 

「私は、あなた様に今後のことについてお伺いするべく、この場まで参りました。」

 

「そう、それで?」

 

「先程、お会いした、妖狐からは紫様に訪ねなさいと言われましたので、そのことについてどうかお答えをお聞かせください」

 

「ヤダ、めんどくさい」

 

「なっ?!」

 

とんだ神様がいたもんだ

 

「だって、あなた丁寧過ぎて面白くないんだもん」

 

「なっ、そんな。ここはそういう場所では?」

 

「いいえ?全く?」

 

「そんな、もう、バカみたいなことしてる気分だ、あぁもう…」

 

「んー、でもあんなに丁寧にされたの初めてね。少し気に入ったわ」

 

「そ、そうですか…」

 

気に入られても困るんだが。

 

「あなた歳は?」

 

「丁度3日前に19になったところです」

 

「へぇ~まだ若いじゃない」

 

また目の前に裂け目ができると

一人の女性が傘を手に持ちながら出てきた。

 

「あなたが、八雲紫…?」

 

「そうよ、妖怪の賢者。そう呼ばれるときもあるわ」

 

「妖怪…?神様とかではない…?」

 

「そう、妖怪よ?」

 

妖怪だったのか…何だか損した気分だ…

 

「そうだったのか…」

 

「なんで、残念に思ってるのよ?」

 

「き、気のせいだ」

「あっ、そう、まあいいわ」

 

紫は俺の正面に座り込むとまた話し始めた

 

「あなたには2つの選択肢をあげる」

 

「それは?」

 

「ここを去ってさっきの海に落ちるか

私が創った場所、幻想郷で生きるか、

どちらがいい?」

 

「どっちにしろ命の保証はないな?」

 

「そうね、海に落ちれば藻屑となるか魚の餌、幻想郷には妖怪や妖魔魑魅魍魎がいるけど、まぁ人間もいるし人の住む里もあるわ、均衡関係にあるから容易に襲われることなんて基本的にはないわ。ただ少しでもその場の秩序を乱せば話は別だけどね。」

 

「まぁ…この場合はその幻想郷で生きるという選択をするのが懸命だな。」

 

「そうね、なんというか、あなた冷静すぎてほんとにつまらないわ。」

 

「そう言われてもな…」

 

「でもそんなあなたならきっと幻想郷でもやって行けるわ」

 

「そうか」

 

「幻想郷は面白いわ。だからあなたもそれを十分に味わってみなさい」

 

「ああ、わかった、」

 

「それじゃ、また会いましょう、」

 

そう言うと紫は現れた裂け目に入って行った。

 

「あれ…俺このまま放置?」

 

立ち上がって部屋中見渡してもさっきの出口しか見当たらない。仕方なく屋敷から出る

 

すると…

 

「なんだ…これ。」

 

さっきから見えていた裂け目が

そこらじゅうにできていた。

 

「これに…入ればいいのか?」

 

一つだけ、離れて遠くにあった裂け目に

恐る恐る入っていく。

 

すると途端に他の裂け目は消えた。

 

「なるほど…後戻りはできないな…」

 

裂け目が閉じるとそのまま歩き続けた。

 

すると目の前にまた裂け目が出来たので

それに入っていく。

 

裂け目を出ると。目の前には鳥居。

その向こうは広大な風景が広がっていた。

 

「ここは?」

 

「いらっしゃい、ここが幻想郷よ。」

 

振り向くと紫がいた。

 

「ここが…幻想郷」

 

「あなたのいた世界とは文明も歴史も大きく違う。近いところなら、江戸とかじゃないかしら?」

 

「かなり古いな…」

 

「そして今いるここが、この幻想郷の中でも最も大切な場所。博麗神社よ。」

 

「博麗神社、なるほどこれだけ広いの景色が見れるからか」

 

「そう、理解が早くて助かるわ」

 

「神社…か」

 

「神社に思い入れでも?」

 

「ついさっき。旅行で観光名所の神社に行ったばかりなんだが、それとは雰囲気とかが違いすぎててな。」

 

「当たり前よ、私の神社はここ(幻想郷)を護るためのものなのよ?観光地と一緒にされては困るわ」

 

横槍を指してきたのは

神社の主と称する少女だった。

 

「霊夢?自己紹介くらいしなさい?」

 

「はいはい、私は博麗霊夢。この幻想郷、博麗神社のごく普通の巫女よ。あっ、お酒は大好きだから持ってきてくれると嬉しいわね」

 

「人間…?」

 

妖怪妖魔魑魅魍魎が溢れる世界で。

人間が守護者…?

しかも俺よりも幼い…

高校入りたてくらいの女の子が…

 

「あんた。いまこんな女の子がって思ったでしょ。失礼ねこれでも幻想郷では私に指図できるのは、今あんたの横にいる紫くらいなのよ?」

 

感が鋭い…心が読めるのか…?

 

「それじゃ、霊夢私は忙しいからあとよろしくね。」

 

「ちょ、紫!もう…面倒なことになったわ…」

 

紫はまた裂け目の中に消えてしまった

 

「えっと霊夢さん、よろしくお願いします」

 

「よろしく。まぁそんなかしこまらなくでも霊夢でいいわ。それで通ってるからね。あとあんた元々人間だったと思うけど、今の妖力見るからに半妖みたいな状態ね…何かあったのかしら?」

 

「俺が…妖怪?」

 

「気づいてないのね。」

 

人や生き物が妖怪やそういった類になるには、長い年月がかかるはず…

そんな現象が一瞬で?

 

「まぁ、試しに手に力を集中させてみなさい。」

 

疑い深くも。そうしてみた。すると…

 

手元に氷が出来上がっていた。

 

「いわゆるそれが妖力ね。あんた氷の妖みたいよ。でも…んー。それだけじゃなさそうね」

 

氷…か

 

「まっ、立ち話も疲れるだけだし、とりあえず中に入りましょ」

 

神社とは言えど霊夢からすれば家も同然、

神社の中は生活環境がよくわかるほど、

出来上がっていた。

 

「まぁそこ座って。」

 

ひとまず机を挟んで座る

 

「あんた、名前は?」

 

「波行 道一、普段はミツと呼ばれてる」

 

「みちかずっていうのね。今後よろしく頼むわ」

 

「よろしく。」

 

「それで、今後のことなんだけど。」

 

「どこかに住む場所あるのか?」

 

「まぁ、人里っていう、人間と妖怪が一緒に暮らす場所があるわ。でも…紫がここに連れてきて放置したってことは…」

 

「人里か…」

 

「当分はここで面倒みてあげるわ。まずはこの世界の環境に慣れる事も大切でしょ」

 

「お世話になります」

 

「そんな、頭下げなくてもいいわよ。それに見た目あんたのほうが大人なんだから」

 

「そうは言ってもな。そういう癖があるから。」

 

「そう、まぁいいわ。」

 

「それで、この後何かするのか?」

 

「特に何も、普段私はここにいるもの、里に行くのも遠くて面倒くさいし、何かあるのを待つくらい。最近は異変もめったに起きなくて暇してたとこよ。」

 

「そうなのか…異変っていうのは?」

 

「いわゆる危機みたいなものね、幻想郷を脅かす輩が何か問題を起こしたら、そういうふうに呼んでるわ」

 

「それを霊夢が収めてるんだな、」

 

「そうよ。」

 

「霊夢って、すごいんだな。」

 

「な、何よ唐突に」

 

「いや、なんというか、頑張ってるんだなって。」

 

「別に慣れたものよ、急に空に紅い霧が出たり春が来なかったり、空に船が浮かんだり地面が宙に浮いたりするけど。まぁ、なんともないわ」

 

色々と問題があると思うが…

 

「霊夢一人で全部?」

 

「全部ってわけでもないわ。一応紫とか他にも協力者はいるわ、最後には私が収める形にはなるけど。」

 

「そうなんだな。」

 

「まぁ、それが私の役目だから。それとあんた、まだ自分の力を知ることすら出来てないみたいだから。こっちきてすぐだけど、少し特訓するわよ。」

 

「わかった。頼む」

 

境内に出て、妖力の使い方について学ぶことになった…まぁ…妖怪なのに妖力も制御できなければ幻想郷では生きていけないのだろう…

 

「まず、さっきみたいに氷は出せるかしら?」

 

右の掌に力を集中させてみる…

特に何も起こらなかった。

 

「出ない…何も起きない…?」

 

「根気強く試しなさい。」

 

言われたとおり。何度も繰り返した。

 

すると…掌の先には、小さな火が出来ていた

 

「あ?なんで火が…?」

 

「右手は火、左手は?」

 

「た、試してみるよ…」

 

左手に力を込めて…力を集中させる…

すると掌には氷が出来上がっていた

 

「今度は氷が…」

 

「あんた、両方使えるのね」

 

「これが…妖力か」

 

「紫もこんなやつを連れて来てなんのつもりなのよ」

 

俺は何度も妖力を操る練習をしていた。

 

火も氷もまだ小さく出せる程度でしかなく、実用性はなかった。

 

「筋はいいんじゃないの?今度はそれを弾幕として飛ばせるくらいにならないとね」

 

「ちょっと…休ませてくれ…」

 

「一日でそこまでとは言わないわ。まぁゆっくりでいいから頑張りなさい。」

 

「ああ。」

 

「ひとまず戻って休憩しましょ、」

 

「そうしてもらえると助かる…」

 

神社の中の部屋に戻って座り込む…

約一時間で3日…いや4日分くらいの労力を使った感じがする…

 

「ほら、お茶飲みなさい、疲れてるでしょ?」

 

「ありがとう」

 

「あんた、外の世界から来たのよね」

 

「えっと、外の世界?幻想郷の外ってことか?」

 

「そうよ。それ以外にある?」

 

「いや…あるかどうかはさておき、それがなにか?」

 

「戻りたいとは思わなかったの?紫に会った時に。」

 

「まぁ、いろんな事残してるし。単純に戻りたいとは思ったけど。」

 

「ならなんでそう言わなかったのよ」

 

「神隠しに遭う直前に、事故が起きて、それで俺は、死にそうだったんだ。」

 

「事故?何があったのよ」

 

「バスから叩き出されてな、海に真っ逆さま。」

 

「バス?」

 

まさか…幻想郷にはバスがないのか?

いや…紫は江戸に近いって言ってたな…

それならかなり昔のことになる…

近代的なものはほぼないのか…?

 

「ごめん。バスはないんだな…バスってのは沢山の人を乗せて走る乗り物で、そうだな…人力車ならわかると思うが…」

 

「人力車はわかるわ」

 

「人力車の座席がいくつもついてて、なおかつ機械の力で走るんだ。なんていうか…説明難しいな…」

 

「んー、何となくわかりそう、にとりなら詳しいかもしれないわね。」

 

「にとり…?」

 

どこかで聞いたな、あれは家具屋か

ま、ここで言うのは人の名前だろうけど

 

「にとりっていう、河童の技師がいるのよ。」

 

「河童?妖怪か、」

 

「そうよ。ま、また今度説明するわ、私も疲れたし。もう夕方なのもあるし、」

 

「もう夕方なのか…」

 

微妙に開いた襖からは夕日が差し込んでいた。

 

それが空腹を誘ったのかどうかは知らないがとにかく腹が空いている。思えば朝に軽くパンを食べてから何も食べてない。バスを降りた先で昼食予定だったが…まあ今に至るわけだ…

 

「それで、帰るつもりは?あるの?」

 

考えをぶった切るように話を変えてきた。

帰るつもり…か。

 

「さっき言ったけど。もしこっちに来ていなかったら事故で海に落ちて命は無かったからまぁ、ここに残ることにするかな。どうせ向こうに戻れば幽霊扱いされるだけだし。」

 

「そう。まぁそれならいいわ。」

 

「なぁ…」

 

「何?」

 

「腹、空かないか?」

 

「私はさっきまで煎餅食べてたから、そんなに減ってないわ。」

 

「煎餅って…そんなに腹に溜まるものじゃないだろ…」

 

「まぁ、軽く用意するから、待ってて頂戴。」

 

霊夢はそう言うと部屋を出て行った

 

そう思えば荷物のことをすっかり忘れていた。服とかお土産とか…まぁお土産に関しては問題ないか。どうせ帰らないし

 

「手元にある、スマホと財布くらいか」

 

スマホも、もちろん圏外。

インターネットなんてあるわけがない。

これは…不便だな。

でも元々なくて、それが必要のない世界ならば、そのうち無くてもなんとか慣れるだろうし、大丈夫だろう。

 

財布の中はかなり詰まっていた、

万札五枚に五千円を三枚、千円が十二枚、あとは細かい小銭、しかし…こっちでは通貨も変わるだろう…これはボツか…

 

「幸先いいのか悪いのか…はぁ…」

 

まだ突然のことに身体が追いついていないのか、さっきの特訓のせいか、身体が重たく、疲れた。

 

「おっ、霊夢のとこに客人か、」

 

開いていた襖の所から背の低い少女が来た、

 

「えっと…角ってことは、鬼?」

 

「おう、私は伊吹萃香。鬼だ。」

 

鬼。古い歴史本に子供を攫って食うという、そんなことが書いってあった気がする。

尤もこの鬼は食われる側の身なりのようだが…これが…幻想郷の鬼…?

 

「なんだなんだ、私を変な目で見てー、そんなにこの角がおかしいか?」

 

「あっ、いや…そのなんだ。簡単に言えば、特徴的だなぁと、」

 

「まぁ、鬼だしな。」

 

萃香は部屋に座り込むと手に持っていた瓢箪の先に口をつけゴクゴクと音を鳴らしながら何かを飲み始めた

 

「何を飲んでるんだ?」

 

「これかぁ?これは酒だよ」

 

酒か、まぁ鬼は酒好きともよく聞くからな。

それはなんとなくわかる

 

「お前も飲むかい?私の酒は美味いよ〜?」

 

「お酒はまだ飲めないんだ」

 

「お?お前妖怪だろ?それで酒が飲めないってよっぽど弱いのか?」

 

言われてから思い出した、

俺は妖怪になってしまっていたんだ。

いや、ほんとに妖怪なのか?

妖力が扱えるとは言えど…まだ本当にそうなのかも怪しく思えてくる、

 

「えっと…なんて言えばいいかな…」

 

「まだまだ妖力弱いからなぁ。」

 

「そういうの関係するのか?」

 

「うーん?多分関係ない。」

 

「そ、そうか。えっと俺はまだ妖怪になったばかりらしくて、元々人間なんだ。それで歳もまだ19なんだよ。だから酒はまだ飲めない。」

 

「へぇ~、妖怪になったばかりか〜、でも人間なんて18くらいになれば酒くらい飲める体になってるだろう?」

 

「かもしれないが、元々酒は飲むつもりもなかったからなぁ。」

 

「つまらないねぇ〜」

 

「そう言われてもな。」

 

「ところでお前さん、名前は?」

 

「道一、っていう。ミツと呼んでくれるとありがたい。」

 

「ミツか、よろしくー」

 

そう言うとまた酒を飲んでいる。

 

「ほら、持ってきたわ」

 

いい匂いがすると思うと、霊夢が食事を持ってきてくれていた。

簡単に言えば魚定食、そんな感じだ

 

「いただきます」

 

「霊夢が世話を焼くなんて珍しいなぁ」

 

「まぁ、そういうときもあるのよ」

 

「ふーん」

 

一人黙々と食べていると。

霊夢がそれをずっと眺めている

 

「どうした?」

 

「美味しい?」

 

「ああ、美味しい、魚は久々に食べたよ。俺の母さんは魚焼くの苦手だからいつも焦げかけてるか、生っぽいかで、こんなにしっかりしたのは初めてだな、なんか嬉しいというか。」

 

「そう、よかった。」

 

「どうした霊夢?料理なんて普段しないから心配だったのか?」

 

「馬鹿なこと言うんじゃないわ、料理は普段からしてる。でも人に食べてもらうのはあんまりないから、ちょっと気になっただけよ。」

 

「あんまりって、魔理沙とか吸血鬼とかに振る舞うときがあるだろ?」

 

「あいつらはそういうの気にしないから。」

 

「ひどいもんだなぁ、いろんな意味で」

 

「ふん。味を気にしない方が悪いのよ」

 

そう言われると無視ができなかった。

まだ向こうにいる頃。

母親の料理に悪態つくことが多かった

今思うととても申し訳なく思う。

 

「どうかした?あっ、骨かしら、今水持ってくるわ、待ってて」

 

「いや大丈夫だ。骨じゃないよ。」

 

腹に入れば何でもいいとか

味なんて変わらないとか

店も家も変わらないとか

今となっては謝ることすらできない。

 

「ほんとに大丈夫?何かあったら言って頂戴よ。」

 

「あぁ、わかったよ…」

 

「そういえば。ミツって人間だったんだよな最近妖怪になったって、なんかあったのか?」

 

「彼は外の世界の人間だったのよ、多分紫がこっちに連れてくるときに何かあったんじゃない。」

 

「ふーんそんなもんなのかね」

 

「紫に聞かないとわからないわ、でも筋はいいから妖怪としては十分やっていけると思うわ」

 

「霊夢が言うならそうだろな、ひょっとしたら幻想郷の脅威になったりしてな。」

 

話を聞いていればいきなり危険者扱いか。

 

「そんなつもりは無いんですけどね」

 

「あのね、そうはさせないし、しばらくは私の所で面倒みてあげることになるから万が一にもそんなことはないわ」

 

「へぇ~、まっ、そうだろうよ」

「それじゃ遅くなる前に帰ろうかな」

 

「どうせ明日も来るんでしょ」

 

「多分、まぁじゃなぁ。」

 

そういうと萃香は飛んでいった。

 

「食べ終わってるのね。下げるわ。」

 

「これくらい自分でやるさ」

 

「疲れてるんだから、任せなさい。」

 

「霊夢さんが言うなら…」

 

霊夢が食器を持っていき。

部屋で一人になってしまった。

開いたままの襖からからは月明かりが指していて外はかなり暗くなっていた。

 

「夜…か」

 

「そうね、なんか今日は早かったわ。」

 

気がつくともう戻ってきていた

 

「なぁ、霊夢さ…ちょっと…!おい!」

 

ふと霊夢の方に振り向くと服を脱ぎ始め、寝間着に着替えようとしていた、

あわてて視線を外に向ける

 

「あっ、ちょっと外に出てて頂戴。」

 

「そういうのは先に言ってくれ!」

 

縁側に出て襖を締める。

 

「びっくりした…」

 

ふと見上げると今までに見たことのない光景

が広がっていて言葉も出ず眺めていた、星と月の夜空がしっかりと見えていた。

 

「空ってこんなに綺麗だったのか」

 

「外の世界だと街灯とかで街が明るいせいで星も見えないって聞くわ。」

 

気がつくと霊夢は隣で座っていた。

それでも、あまりの光景に夜空を見つめていた。

 

「こういうのを絶景って言うんだろうな。」

 

「そうね」

 

ふと横を向くと。

結んだ髪を解いた寝間着姿の霊夢がいた。さっきまでは結んでいたから気づかなかったが、肩下くらいまで髪は伸びているようだ

 

まだ歳が低い頃は姉がこんな感じだったとよく覚えている。今思うととても、なんていうか…美しいと可愛いが混ざったような表現だ

 

「霊夢さん、あのさ。」

 

「うん?」

 

言うのはちょっとまだ控えた方がいいんだろうけど…どうしても考えてしまう

 

「ど、どうしたのよ。」

 

「いや、なんというか、可愛いというか…綺麗というか…」

 

「な、ばっ…!馬鹿ね!いきなり何言うのよ!もう!」

 

「言うのを控えるべきかとは思ったんだけど、なんかほら、我慢しきれなくて」

 

「もう…、まぁとにかく、ありがとう」

 

しばらく無言の時間が続いて。

先に声を出したのは霊夢だった。

 

「ねぇ、戻りましょ」

 

「そうだな。」

 

部屋に入ると布団が一つしか無かった

 

「えっと、布団が一つしかないんだけど、どうする?」

 

どうする…?どうしようか。

 

「掛け布団的なものがあるならそれだけでいいよ。」

 

「ええ…それでいいなら。」

 

そういうと押入れから薄めの布団を用意してくれた。まぁ薄くても何もないよりはいい、

 

「布団、大きいから、一緒に入れるわよ」

 

「霊夢も女の子だろ。」

 

「そ、そうだけど…」

 

何故、残念そうに落ち込む。

普通それはありえないだろ。

 

「んーと。一緒に寝たいのか?」

 

「そ!そんなわけ無いでしょが!あ、あんたが風邪引くと。良くないから、そう思ったのよ。」

 

「まぁ、ありがとう、それならお言葉に甘えるよ」

 

確かに広い布団だ。

多分三人は平気で横になれるだろう。

 

「こ、これでいいかしら。」

 

霊夢は、密着とまでいかないがかなり肌を寄せてくる。まぁ、気温的に冬前くらいだから、気遣ってくれているのかもしれないが…恥ずかしいなら無理はしなくても…

 

「充分暖かいが霊夢…震えてないか?」

 

「そ、そんなことない、だ、大丈夫よ。」

 

大丈夫なわけない、声すら震えているように聞こえる、やはりかなり無理してるというか、緊張しすぎているのだろう

 

「落ち着けよ。俺だって緊張してるんだ。肩の力抜いて。リラックスして。恥ずかしいのはわかるが、それじゃ寝れないだろう。」

 

「そ、そうね…うん。」

 

霊夢は深呼吸を何度もすると。震えが止まって落ち着いたようだ

 

「なんだか…眠たくなってきたわ」

 

「そうか。」

 

落ち着いて慣れたせいか、

さっきよりもっと近くに寄っている。

丁度、俺の胸元に霊夢の頭がある

かなりくっついてきているな…

 

「なんていうか…」

 

これ以上言うとまた霊夢が恥ずかしさで騒ぎ出すかもしれない。それは良くない。

 

「どうしたの?」

 

「何でもない」

 

「この感じ久しぶりっていうか。初めてかもしれないけど…この音…心臓の音かしらね…すごく落ち着くのね…」

 

「多分、赤ん坊が母親に抱かれているときによく聞く音なんだと思う。だからといって今もそうとは言い切れないけど」

 

「人を赤ん坊呼ばわりするなんてね、」

 

「そ、そんなつもりは」

 

「冗談よ、実際この状態に落ち着いちゃってる私がいる訳だし。すごく安心感があるというか。」

 

「そりゃ、良かったよ」

 

霊夢は顔を上げてこっちを向くとまた話しかけてくる。視線がとても甘えていて、どうすればわからない。

末っ子の俺には難しすぎる

 

「なんていうか。私達今日あったばかりよね」

 

「あ、あぁそうだな。」

 

「あんた…人を落ち着かせるような、そんな力があるんじゃないかしら…」

 

「いや…それは知らないけど…そんなのあるのか?」

 

「さぁ…?」

 

「そ、そうか、」

 

霊夢が顔を下げるとまた話しかけてくる

 

「なんか…いつもより体が疲れてる感じがするよのね…」

 

「それ多分、今まで感じなかった疲れとかストレスが今来たんじゃないか。世界の守護者となると気持ちの事も気にしないで動くことだってあると思うし」

 

「緊張の糸…かしらね。そういうことなのかしら…」

「確かに…異変は少なくなったと言っても細かい事件は起きるし、その関係でまたいろんなやつと関わって面倒なことは減らない、それにいつも魔理沙や萃香、最近は吸血鬼もよく来るのよ…」

 

「大変そうだな…霊夢さんもよっぽど疲れてるんだよ。」

 

「そうかもしれないわね…私も疲れてるのね…」

 

「ゆっくり休めるといいな。」

 

「うん…」

 

急に胸元が濡れた感触がした、

 

「もしかして霊夢さん、泣いてるのか?」

 

「ちょっと…ちょっとだけよ…」

 

「我慢は良くない」

 

「そう言ったって私は博麗の巫女なのよ。」

 

「別に誰か見てるわけじゃない」

 

「うん…そうだね…」

 

霊夢は顔を上げるとかなり涙を流していた。目も悲しそうで声もとても小さく聞こえる

 

「さっきまでの私とは大違いよね…」

 

「うん?まぁ…」

 

「私だって。女の子としていろんなことしたい。お洒落して遊んで食べていろんなことがしたいよ…でも、私は巫女だから…博麗の巫女なのよ…」

「でもこれは私にしかできない絶対的なことだから。嫌なんて思ってない。むしろ今までやっていけている自分を自身持ってすごいと思ってるよ。」

 

「肩代わりはできないもんな」

 

「そう、代わりがいないから私はずっとやってきた。がんばったのよね…私…?」

 

「ああ、きっと十分頑張ってるよ、」

 

「そうよね。ありがとう…」

 

その人にしかできないことがあるって言うのはとてもすごいことだと思う。

俺はいつも、誰かの代わりに何かをすることが多かった気がするから

そう思うと、少し羨ましい感じがする

 

「なんか…ほんとあんたってよくわからないわ」

 

「何が?」

 

「最初は面倒だと思ったんだけど、今になってそんなこと考えられないの。だって、誰かにこんな姿見せたの初めてだもの。」

 

「そうか。」

 

「なんだか、好きになりそうでちょっと怖いのもあるけど。一緒にいてくれると助かるわ」

 

「まだまだ半人前の妖怪だけど…それでもか?」

 

「ええ。それでもよ…妖怪とか半人前とか関係ないわ。私が必要とするんだもの。」

 

「そうか。」

 

嬉しくとも何故か不思議に思う。

今まで誰かに必要とされることが少なかったからだろうか…?

少なからずそういうふうに言われたのは初めてだからだろう。

 

「霊夢…ありがとう。」

 

「なっ何よ、いきなり」

 

「俺も誰かにこんなに必要とされるなんて思わなくて。ずっと単身で生きることが多かったからな。」

 

「家族が居たでしょ」

 

「まぁ確かにいたけど、そんなに仲の良い風ではないからな。親が離婚してから母親と姉と三人でほとんど話しもしなかった。」

 

「そう…」

 

「外でもほとんど独りで行動することが多かった。誰かとこんなに親しくなるなんて思いもしなかった。」

 

「あんたも辛かったでしょ、独りなんて」

 

「辛いというより。何でも一人でやらないといけなかったから。大変だったかな。」

 

「やっぱり、そうよね。」

 

「でも、こっち来ちゃったからな、その必要もなくなった、」

 

「私が面倒みてあげるから。」

 

「今のその状態で言うことじゃないとは思うが…」

 

「あぁ…まぁ…そうね…」

 

「それに。こっちだとやれる事も少ない」

 

「でも…あんた…は…」

 

「霊夢さん?」

 

どうやら眠ってしまったようだ。

 

「おやすみ」

 

しばらくは寝付けずそのままじっとしていた。霊夢がかなりくっついているから動くに動けない状態でもある。

 

「幻想郷…か。」

 

「どうかしら?私の創った世界は?」

 

どこからともなく紫の声が聞こえる

 

「まだ博麗神社から一歩も外に出てない。そのセリフはまた3日くらいあとにしてほしい、あと霊夢が寝てるんだから少し静かに。」

 

「ふーん。ちょっとあなた。」

 

「なんだ?」

 

紫がいきなり現れてこっちを睨みつける。

 

「どういうつもり?」

 

「どういうつもりも何も」

 

「霊夢に何したわけ?」

 

「だから、何もしてないぞ」

 

「そう…」

 

紫はブツブツと小言を続けていた。

霊夢がなにあったか?

特別何かした覚えもないが。

 

「一体なんのつもりで霊夢と寝てるわけ?あなたが強引に誘ったなら即刻ここから帰ってもらうわ」

 

「おいおい待て、さっきから何だいきなり」

 

「ちょっとこっち来なさい。」

 

無理やり布団から出されて境内に出る。

まだ暗い境内は明かりなしだとほとんど何も見えない。

 

「だからなんだよ」

 

「正直な所、霊夢があんな状態になるのはこっちとしてあまり良くない、それに今日来たばかりのあなたに霊夢がそんなふうに態度を取るとは思えない。だから何をしたか聞いてるの」

 

「さっきから言ってるが俺は、何もしてない、誘ってきたのも霊夢さんだし。あれだけくっついてきたのも全部霊夢さんが自分でしたことだ、俺は何もしちゃいない」

 

「さぁ、どうかしらね」

 

話し込んでいると襖が開いて霊夢が出てきた

 

「煩いわね…私が何よ」

 

「霊夢さん。すまない起こしてしまった…」

 

「別にそれはいいわよ、異変のときもよく夜中に叩き起こされるし、で、なに、私がなんだって?」

 

「霊夢、あなたこの男に体を売るつもり?」

 

「あんた…頭冷してきなさいよ…言ってることがアホらしくて話す気もしないわ」

 

「なっ!どういうつもりよ!」

 

「一々騒がないで煩い。私は体を売るつもりは無い。元はといえばあんたが道一さんをここに放置したのも悪いのよ、」

 

「そ、それがなによ。」

 

「彼を試してみただけよ。氷と火、それ以外にも何かあると思ったから。多分、包容力的な何かがすごく強いのよ、きっと道一さんはまだそれに気づいてないだけ。」

 

「試してみたっていうのにまんまとはめられてるじゃない。」

 

「まぁ、あまりにも言葉が刺さり過ぎて私ですら、甘えたくなるほどだったもの。でもそのおかげで何か吹っ切れた感じがしたから結果的には良かったのよ」

 

「霊夢…あなたね…」

 

「巫女としての立場もここの守護者としての立場も忘れちゃいないわ、でもねあんたもそうだと思うけど、人ってのは生きてて何かに気持ちをぶつけたくなるものなのよ、私は彼を利用させてもらってただけ、それだけよ」

 

「わかったわ。」

 

「夜中にこんな話しなくてもいいじゃない私は寝るわ。」

 

そういうと霊夢は部屋の中に行った。

 

「にわかには信じがたいけど。霊夢がそう言ってるなら仕方ないわ。あなたも気をつけることね。」

 

そういうと紫もどこかに行ってしまった。

 

仕方なく俺も部屋に戻る。

部屋に戻ると霊夢が座り込んでいた。

 

「紫も気にしすぎなのよ、」

 

「まぁそれだけ幻想郷が大切なんだろうな。」

 

「そうね…それは私も同じだもの」

 

「お互い護る側の立場だもんな」

 

「まぁね、」

 

霊夢は布団に入るとまた入ってくるよう誘ってきた。

「いや、あんな事あった後だ、流石にな…」

 

「私が、寝付くまででいいわ。」

 

「…わかったよ…」

 

さっきと同じように霊夢はくっついてきた。

 

「さっきはあんなこと言って悪かったわね」

 

「ああ、気にしてないよ。全部ほんとなんだろ?」

 

「嘘は言わないわ、試したのもそれに負けたのも。利用する形になったのも全部その通り、でも悪気はないのよ」

 

「ならいいよ、」

 

「散々言って悪かったわ、」

そういうと。霊夢は俺の服を強く握っていた。なにか腑に落ちないことでもあっただろうか、

 

「俺が悪かったのかもな。」

 

「そんなことないわ。」

 

「ならなんでそんなふうになる?」

 

「あっ、ごめん…」

 

「落ち着こうな。」

 

「うん…」

 

しばらく静かにしていたようだが…

急にもぞもぞと動き始めた。

小刻みに震えているようで、

どうやら泣いているだ。

 

「どうした?」

 

「ずっと、落ち着かないのよ…!」

 

「大丈夫か?」

 

「もう…あんたのせいよ…なんか…すごく複雑な気持ちで、ほんとに落ち着かないのよ」

 

「出るよ、ゆっくりしてくれ」

 

「それはだめ!…あっ…えっと…」

 

「うーん…だめか」

 

「何なのかしら…」

 

「落ち着けないか…?」

 

「うん…そうなのよ…」

 

困ったな。いや別に直接何かした訳ではないし、特に何も被害はないから困ったというのはおかしいが。

どうしたものかなと、考え込んでしまう。

 

「霊夢さん。あのさ」

 

「うん…」

 

「あの、嫌だったら言ってな?」

 

「嫌じゃないわ…」

 

「そうか、ならもう少し俺から近づくぞ?」

 

「うん…」

 

霊夢とほぼ同じ視線になってから、

そっと腕を伸ばして優しく抱きしめる

 

正直に言えばもう俺も相当緊張している。

でもそれ以上に霊夢は固まっていた。

 

「…っ!あっ…ぅ…ぅ」

 

「ゆっくり気持ちを落ち着かせれるか?」

 

「うっ…うん…」

 

お互いに深呼吸をして緊張を解いていく。

霊夢は落ち着いてきたようだ。

 

「ありがとう…なんとか落ち着いてきたみたい…なんだか、眠たくなって来たわ…」

 

「そうか。」

 

返事を聞く間もなく霊夢は眠ってしまった。

心地が良かったのかそのまま抱き着いて来た

 

「今度こそ。お休み」

 

俺もそのまま眠りについた。

 




前書きは特にありません。
後書きも特にありません。

それではまた会えたら会いましょう

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