物語館   作:むつさん

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どうも悠樹@夢子&松K.です。

前書きかー…

そうですね。

小説を始めた頃のスタイルに近いと思います、
オリ主の設定的な意味で

ではごゆっくり


固い誓い

幻想郷で。ある異変が起きていた時のことだ。

 

八雲藍は妖怪の山で調査をしていた。

 

「山は全く関係なさそうですね…」

 

そう思った瞬間、山の妖怪達が藍を囲んだ、

 

「やっと出てきましたか。」

 

妖怪達は何も言わず藍に襲いかかる。

 

「はぁ…無益な殺生は嫌いなんですが…」

 

そう言うと、弾幕が周りに撃ちだされ妖怪達に当たり一気に数が減った。

 

残った妖怪達が次々に顔を出す。

 

「避けましたか。面倒ですね…」

 

藍が次の弾幕を放つ用意をしていると。

 

いきなり足元に缶が飛んできた。

 

藍はそれが何かすぐに理解をして。

耳と目を塞いだ。

 

その瞬間、周りに甲高い起爆音と目が眩むほどの光が走った

 

その数秒後、大量の発砲音がして。

藍を囲んでいた妖怪達は次々に散った。

 

「これは…?」

 

状況が読めない中

周りを見渡した。

 

この妖怪達を倒した何が何処かにいる。

 

「一体…」

 

考える暇もなく

藍は妖怪がまた近づいてくるのを感じた。

 

「いつまでも長居はできませんね…」

 

そう呟くと飛んで山を後にした。

 

 

………

 

 

「紫様、戻りました。」

 

「山はどうだったかしら?」

 

「目立った異常は見受けられませんでしたが…妖怪の量が多すぎるかと…」

 

「そう。それじゃ、何か隠れてそうね。」

 

「はい…ですが…」

 

「何かあったかしら?」

 

言いかけてやめた

 

「いえ…何でもありません。」

 

「そう、」

 

 

 

 

その後も藍は各所で調査を進めた。

 

既に霊夢や魔理沙が動いており。

彼女達が関わった面子を見ると

大体の関係者の予想はついていた。

 

「残るは…」

 

そう思いもう一度、山に向かった

 

山に入り森の中を歩いていると。

 

一人の人間が立っていた。

 

「ここで何をしているのですか。」

 

「あなたと同じ俺も調査側の人間だ。」

 

「なるほど。」

 

「八雲、と言ったな。」

 

「私が何か。」

 

「この山は危険だ。」

 

「ええ、ですから調査するのですよ。」

 

「今すぐ去れ。身の保証はしない。」

 

「人間のあなたこそ、危ないのでは?」

 

「俺のことはいい。早くこの場を去れ」

 

「あなたにそれを言われる筋合いはない」

 

「そうか…なら好きにするといい…」

 

「ひとつだけ聞きます。」

 

「なんだ?」

 

「なぜ貴方はこの山が危険だとわかるのですか?」

 

「……それは言わない…」

 

その一言を言って、人間は山の森の中に紛れて行った。

 

その会話を聞いていた紫がスキマから顔を覗かせた。

 

「一体何者なのでしょうか。」

 

「さぁ、きっと、彼にしかわからない理由があるのよ」

 

「続けて調査をしますが。」

 

「やめておきなさい。あなたには危険よ。」

 

「何故?」

 

「彼が危険だと言ったから、」

 

「それじゃ納得できません。」

 

「そう、なら勝手にするといいわ」

 

藍は不満を抱えながら。

山を調査して回った。

 

紫と別れた数分後のこと。

 

大きな地響きが山で起きて。

地面が大きく揺れた。

 

「一体これは…?」

 

高い木の天辺のところまで飛び上がり周りを見渡すと。反対側から大きな煙が上がっていた。

 

火事などの煙ではなく茶色い土煙。

 

地響きもそこから起きている。

 

「何かが暴れている?」

 

かなり離れたその場に向かう、

 

「あれは…?一体…」

 

大きな人形の妖怪のような生き物

異型にも近いそれが土煙の中にシルエットとして見えている。

 

「何故こんな生き物が…?」

 

藍はその場に更に近づく、

 

すると異型が藍に気づき、

足元の木を投げつける。

土煙の中からいきなり飛んでくる木に気づけず反応が鈍る。

 

「だめ…避けきれな…」

 

その瞬間体に紐が巻き付き、強く下に引っ張られる。

 

「なっ…!」

 

地面に近くなるところで紐が解け。安全に着地した、

 

目の前には先程の人間が。

 

「貴方は先程の」

 

「なんでここにいる。危険といっただろう!」

 

「不確かなことで終わりでは、調査と言えません…」

 

「それは命令か?自己判断か?」

 

「自己判断…です、」

 

「賢者の言うとおりにすればいいものを…」

 

人間はその場に藍を残して異型の方に向かった、

 

「あなたはなぜ…」

 

それも言う前に、人間は異型と応戦する。

 

「人間があんなに…」

 

そう呟くと。

紫がスキマから現れる。

 

「彼は私の部下、異世界の住人。」

 

「異世界の?」

 

「ええ、私を知っていたようで。私のもとでこの幻想郷を見ていきたいと言っていたわ。」

 

「そうですか…」

 

「河童の技術でもあんな武器はみたこと無いわ。拳銃型の弾幕発射機。」

 

宙に浮き弾幕を撃つ、

人間は異型をあっさりと処分した。

異型は光を放ちながら消え魂だけが地獄へと向かっていく。

 

数分後のこと、紫の元に人間が戻ってきた。

 

「終わりました。」

 

「ご苦労様。今回はどうだったかしら?」

 

「…魔法ですね。山の妖怪の仕業でしょう。」

 

「やっぱり山が原因ね」

 

「ええ。しばらく張り込んでみようと思います」

 

「その必要はないわ。」

 

「はあ、わかりました。」

 

「天狗達にこの件は伝えてあるから安心なさい。」

 

「かしこまりました。では少しばかり休みますか」

 

「藍と顔を合わせてないみたいだから、挨拶ぐらいしなさいよ。」

 

「なんだかんだまだでしたね。」

 

「あなた、今度宴あるから出なさい、」

 

「俺はそういうのはあまり…」

 

「藍と顔を合わせる機会だから、」

 

「…そうですね」

 

次の日の夜

 

いつも通り博麗神社で宴が行われた。

 

紅魔館、地霊殿、永遠亭

様々なところから人…妖怪達が集まる。

 

 

「あなたは…」

 

藍が人間に気づき話しかける、

 

「先日の、九尾の方ですね。」

 

「はい、あのときは助けていただきありがとうございました。」

 

「無事で何より。」

 

「紫様の部下と聞きましたが…」

 

「ええ、そうです。」

 

「挨拶が遅れました、八雲藍といいます。」

 

「隼人です。以後よろしくお願いします。」

 

「宴、楽しみましょう。」

 

「え…ええ、」

 

「どうしました?何かありましたか?」

 

「いえ、何でもありませんよ。」

 

隼人は紫の様子を伺っているようだった。

 

紫が霊夢達と飲み始めると。

隼人はその場を離れ鳥居まで向かった。

 

不審に思った藍は後をついていく。

 

それに気づいた隼人は藍に話しかける。

 

「宴はいいのですか?」

 

「あなたこそ何をしているのですか?」

 

「俺はただ紫さんが来るのを待ってるだけだ。」

 

「そうですか。なら私もそうします、」

 

「何故?」

 

「あなたがそうするからです。」

 

「…そうですか。」

 

藍は疑問に思っていたことを聞いてみる。

 

「何故、紫様の部下になろうと思ったのです?元の世界でも生きていけたはずでは?」

 

隼人は藍を見ず、空を眺めながら話した。

 

「元々…俺には家族はいたんだ…」

 

悲しむ隼人の話を藍は黙って聞き、見つめていた。

 

………………………………

 

兄弟も親もいた。

 

今と同じように向こうの世界でも化け物と対峙してた。

 

幼馴染が化け物に殺され。

その復讐に化け物共に仇討ちをするために。ここまで力を付けて。

家族を守るために。力なきもの達を守るために。

 

でも…それは叶わなかった…

 

俺が退治に向かっている時に…

運悪く。俺の町に大量の化け物達が…

襲って…街を壊して…何もかも瓦礫の山だった…

 

多くの人が亡くなって…

街も復旧するまでもなく…

 

何もかも無くなった…

 

その街に住む俺だけが現場に居なくて

助かった…

 

住む場所も家族も何もかも無くして。

 

生きる希望すら無くして。

 

そんなときに。

過去に会った紫さんを思い出したんだ。

 

この世界に居場所がないなら。

 

彼女の住む世界でもう一度。

そう思ったんだ。

 

そして俺は。紫さんの部下として。

この世界の異変の解決の手伝いをすることを決めた。

 

………………………

 

「俺を助けてくれた紫さんが居る、この幻想郷を守りたい。」

 

「だから、ここに来たんですね。」

 

「…もうこれ以上無くさないために、更に強くならないと…」

 

「あなたは十分に強いですよ。」

 

「…なぜ?」

 

「失くしても尚、守るものと守るための力を求める。私には出来ない。」

「生きる使命。それをしっかりと持っている。それがとても素晴らしいと思います。」

 

「八雲さん…」

 

「これからも頑張ってください。」

 

「ええ…もちろん。」

 

藍は微笑むと後ろを振り向いて。

社に戻ろうとしてやめた。

 

隼人はまだ鳥居で待っているつもりだった。

 

「貴方は。宴は嫌いですか?、」

 

「雰囲気に馴染めない。それだけ。」

 

「そうですか。まぁ、そんな人もいますね。今日は私もここにいることにします。」

 

「そうですか。」

 

「もっとお話、聞かせてください。」

 

「…話…ですか。」

 

「貴方について知りたくなりましたので。」

 

「俺に興味が…?」

 

「ええ、だから、今日はここに居させてください、」

 

「八雲さん……そうか…」

 

「どうかしました?」

 

「家族と幼馴染を失くしてから。紫さん以外誰とも親しくなったことがなくて、紫さんもなにか強い壁のような物も感じていましたし…少しばかり…」

 

「気になりますか?」

 

「誰かに想われることが。こんなにも嬉しい事だというのを…忘れていたのかもしれない…」

 

「私は貴方が好きですよ。」

 

「あっ…えっと…」

 

「ふふ、不器用ですね。」

 

恥ずかしがる隼人を何も言わず抱きしめる…

 

俯く隼人は涙を隠しながら。ひとつ呟いた。

 

「ありがとう…」

 

「こちらこそ」

 

 

神社の境内には。

夜空の月明かりに照らされた、言葉の無い固い誓いで結ばれる二人の人影があった。




うん。何もない。
あとがきは何もないよ。


それではまた会えたら会いましょう

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