物語館   作:むつさん

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どうも夢子です

前書きはありません

というまえがきでした

ではごゆっくり


振り回される日々

「なぁ…私、帰っていいか?」

 

「何を云うておる、さぁ、お主も飲まんか、」

 

何でこいつの堕落に巻き込まれなきゃいけないんだ…

 

「わ、私は飲まないって言ってるだろ!」

 

「良いではないかー、たまにはお前も飲んで気分を変えてみたらどうだ?」

 

「私は酒は嫌いだ、もういいだろう」

 

ただでさえ…こいつが酔うとめんどくさいのに…

 

「つまらんのぅ、」

 

「つまらないのはこっちだ、なんで毎回お前の酒に付き合わなきゃいけないんだ。他にも居るだろ。」

 

「そこにお主がいるからお主なのだ。」

 

何だその理論は…

 

「大体、仙人のお前が酒なんか飲んでサボってどうするんだよ…」

 

「サボっているのではない、息抜きだ。息抜き、それに、仙人ではなくて尸解仙だぞ、」

 

どっちも変わらんだろう…

 

「屁理屈はいいから霊廟に帰るぞ!また神子様に怒られたらどうする。」

 

「そう思って、バレないようにお店を変えているではないか。」

 

「そういう意味じゃなくてだな…」

 

こいつ…懲りないのか…?

 

「飲みもしないのに私まで怒られて。いい迷惑なんだよ…」

 

「なら何故ついてくるのだ?」

 

「はぁ?お前が無理やり引っ張るからだろう…」

 

「わははは!まぁ良いではないか!」

 

「何も良くない!」

 

はぁ…なんで私まで毎回怒られるのか…

 

「まぁまぁ、幽霊さん、そう怒ってばかりでは、苦労しかしないぞ?」

 

誰だ…話しかけてくるのは…

 

地上の人間のくせに…

 

「あのな、人間、私も散々こいつに振り回されてるんだ。もうこいつのせいで十や二十は説教に巻き込まれてるんだ、怒りもするんだよ。」

 

「まぁ、酒飲みに何言ったって聞きやしないさ、ほら、隣、もう酔ってフラフラしてるじゃないか。」

 

「ほらぁ、とじこぉ、おぬしもぉ、のめぇのめぇ…すぅー…すぅ…」

 

「くそっ…やめろ、くっつくな!……はぁ…これで帰ればまた怒られる…」

 

「まぁまぁ、落ち着いて、幽霊さん、お名前は?」

 

「名乗るなら自分からだろ」

 

「これは失敬。俺は愁と言う。」

 

「蘇我屠自古だ、」

 

「蘇我さんね、隣は?」

 

「コイツは、物部布都、」

 

「物部さん、か、」

 

何だこいつ…なんか考えてるのか?

 

「手を出そったって無駄だからな。」

 

「そんな、単に気になったから話しかけただけさ。」

 

「ふん、あっそ。」

 

「なかなか。ツンとしてるね。」

 

「なんだよ。別にいいだろ。」

 

「ここにはよく来るのかい?」

 

「いーや、私は酒は飲まない、こいつに連れて来られてるだけだ、」

 

「なるほど、それで迷惑を被るってことか」

 

「そのとおりだ…またこいつを担いで帰るのか…」

 

「私で良ければ手伝うが」

 

ちっ…なんかねちっこいなこいつ

まぁ、重い布都を持ってくれるならいいか

 

「人間が何を言うか…と言いたい所だが。こいつ重いからな。お前がいいなら、頼むよ」

 

「重いとは失礼だろう」

 

「酒飲んで水っ腹のやつが、軽いわけ無いだろう」

 

「なるほど…うむ…まぁ否定はしないな。」

 

「ほら、いくぞ」

 

なんでこんな人間連れて回らないといけないのか…結局は全部布都のせいだ…

 

毎回道連れに怒られるのも…重いこいつおぶって大変な目にあうのも。こいつのせいだ。

 

でも…こいつは私ばかり…

 

なんなんだよほんと…

 

「蘇我さん?、そんな暗い怖い表情して、なにかあったのか?」

 

「考え事だよ、別にいいだろそれぐらい、」

 

「何も悪いとは言ってないが」

 

「いちいち突っ込んでくるなよ。」

 

「すまないね。」

 

しばらくは楽でいいが…

どうせ後で怒られる…

 

…………………………

 

さて…霊廟までついたな…

 

「こんな屋敷みたいなところに住んでるのか。」

 

「まあな、ほらもういいぞ、あとはなんとかする。」

 

「そうか、わかった。」

 

まぁ…怒られるのは毎回のことか…

 

「おや、こんなところに人間が。」

 

あっ…この声は…

 

「神子様…お戻りですか。」

 

「ええ、貴方達が居ないので、地上に見回りに行っていたのですが、奇遇ですね。」

 

はぁ…これ怒られるやつだ…

 

「おかえりなさい、屠自古。」

 

「は、はい。ただ今戻りました。」

 

「毎回、布都に振り回されてあなたも大変ですね。」

 

ん…怒らない?

 

「え?あぁ、はぃ。まぁ、」

 

「心配せずとも貴方が悪くないのは知っていますから。安心しなさい」

 

うぅ…なら何故怒る…

 

「さて、人間の方。」

 

「はいなんでしょう。」

 

「あなたもご苦労様、布都、重かったでしょう。」

 

「水っ腹は流石に。」

 

「一息ついてからお戻りになるといい、お茶を出そう。上がっていきなさい」

 

「お言葉に甘えて。」

 

なんか、異様に言葉の上手い人間だな…

 

 

 

 

「全く、あんなに顔を赤くして。」

 

「布都のやつ。ああなると何してもおきないんですよ。」

 

「私が叫んでも起きませんからね」

 

「そんなにですか。」

 

「ええ。それはもう気持ちよく寝たままですよ」

 

「全くだ…」

 

「あなたもよく我慢していますね。」

 

「何がですか?」

 

「布都に振り回されて。怒らないことです。」

 

「怒りはしますけど…霊廟の中なら幾らでもシバいてますが、外だと迷惑になりかねませんし…」

 

「ここでも十分、迷惑になるときはありますけどね。」

 

まぁ確かに…

 

「それは…まぁ。」

 

「それはさておき。さて。人間の方、愁さんご協力ありがとうございます。」

 

「ん…まった。どういうことですか?」

 

「蘇我さん、実はですね、神子様とは以前顔を合わせてまして。」

 

「そうです。彼は居酒屋や食い物屋には詳しい方で、そういったところを回ってるのです。」

 

「それで君たちを見つけたら報告してほしいとのことだったのだが、」

 

「うまくことが運んだのか、連れて帰ってきてくれる所までとは思いもしませんでしたよ。」

 

図られてたのか…流石、神子様だな…

 

「まぁ、その前から知り合いではあったのですが、」

 

「知り合い…?」

 

「ええ、彼とは長いですから。」

 

「よく食事に行ったりしますからね。」

 

「そうだったのか…」

 

「屠自古も、居酒屋や飯屋など、だめとは言いませんが、回数は控えるように。」

 

「私は霊廟で静かにしてる方がいいので…いつもは布都のやつに連れ出されてるだけなので…」

 

全くいい迷惑だよ…

 

「そう、後で叱っておきましょうか。」

 

「お願いします。」

 

「では、愁さん。また今度おあいしましょう。」

 

「はい、まあ、また、今度ですね。」

 

さてと、部屋に戻って本でも読もうかな。

 

 

 

……

 

本を読むのはいいが…

 

布都が神子様に怒られて…叫ぶ声で集中できない…

 

全く…いつもこうだ…




あとがきも無いです

また会えたら会いましょう

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