物語館   作:むつさん

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どうも夢子でした。

過去形だけど気にしないでくださいね?

それではごゆっくり


偶然の裁判

「黒!地獄で罪を償いなさい!」

 

四季映姫ヤマザナドゥ

彼女は今日も死人を裁いていた。

 

「白!よくもまあこれだけ善を積んだものです。」

 

いつも通り裁判をして

 

「小町っ!どれだけ溜め込んでいるんですか!」

 

部下である小野塚小町に、説教をする、

 

一人二人と裁かれ

 

天国と地獄に魂が飛んでいき、

 

疲れたかのように椅子に座る。

 

「全く…」

 

「えーきさまー。ちょっと助けてください…」

 

「なんですか小町…疲れてるんですから手早くおねがいしますよ、」

 

「そう言われると難しいなぁ…」

 

一人の子どもと赤子が小町に連れて来られヤマザナドゥのもとについた。

 

「不幸なことね、こんな幼い子まで命を落とすなんて、」

 

「うっ、ううっ…」

 

今にも泣き出しそうな子供、

子供は赤子を抱えている。

 

「その子は?貴方の兄弟かしら?」

 

「…違うけど…でも…ううっ…」

 

「泣かない。男の子が泣いてたら格好悪い。なんでここに来たのか聞かせてもらえないかしら?」

 

「お店が燃えて…この子を助けようとして…」

 

「そう…偉い子ね…あなたは白、立派な子ね」

 

「こ、この子は…?」

 

「もちろん白よ、赤子にも意識はあるの、

自分では何もできない中、ちゃんと助けを求めることができた、だから白よ」

 

「よ、よかった…」

 

安心した二人の幼子はその体が消え魂が飛んでいった。

 

「不幸なことね…仕方ないことかしら。小町、次を連れて来てちょうだい」

 

「はーいよー、」

 

「一時間がいいですか?」

 

「い!1分でいいです!」

 

「なら早く!」

 

「はいっ!」

 

いつも通り小町を叱るヤマザナドゥ、そして叱られる小町。

この下りもいつも通りである。

 

「1分でも説教しなきゃいけないんですか。わたしは…」

 

呆れるヤマザナドゥ、1分間の説教を何度やったことかと溜息をついた。

 

「連れて来ましたー。」

 

「よろしい下がりなさい。」

 

常に俯き続ける人間。

 

「さぁ。ここに来た理由、なぜあなたは命を落としたのかしら?」

 

「息ができなかった、それだけだ。」

 

「そう、それで亡くなる前にはどんなことをしたのかしら?」

 

「子どもを二人…見殺しに…するしかなかった…」

 

「その前は?」

 

「宿屋で働いてた、買い出しに行っていたら、宿が燃えてて…」

 

「そう、見殺しにするしかなかったというのはどういう意味かしら?」

 

「助けられなかった…間にあわなかったんだ…」

 

「少しでも間にあわせるために、貴方は宿が燃えているなら飛び込んだのね。」

 

「あぁ…で、それで結局。俺も肺が燃えて息ができなくなったんだ、」

 

「残念ね…」

 

「まだあんなに小さいのに…!なんで助けられなかった…」

 

「今悔いても遅いわ。」

 

「あの子達もここに来たんだろう?」

 

「あの子達…そうね、おそらく来たわ。」

 

「そうか…」

 

「さて、あなたの裁判をしましょうか…」

 

「…どうなっても構わないさ…」

 

「貴方にはあってはならない第三の判決をしなくちゃいけない。」

 

「第三の判決…?」

 

「人間…この火事の原因はあなたにあるのです」

 

「な、そんな!」

 

「あなたの吸った葉巻の火が消え切れていなかった。それで葉巻の皿が床に落ちた時、その床の木に引火して、燃え上がったのです、」

 

「じゃあ…俺が殺してしまったのか…」

 

「悪意のない殺人は刑は軽くなりますがそれでも、その罪が消えるわけではない。でも、あなたは宿の異変に気づき子供二人を命に変えても助けようとした。それで五分五分なのです。」

 

「…そんな…」

 

「白にも黒にも近い、灰色、あなたは灰色なのです。」

 

「俺はどうなるんだ…?」

「貴方には時間をあげましょう。考えなさい、天国に行くか地獄に行くか、あなたに選ぶ権利をあげます。」

 

また俯く人間、天国か地獄かどちらが行くべきか

 

「さてその間に…小町っ!」

 

「はいっ!」

 

数分の間ヤマザナドゥによる説教が始まった、小町はペコペコと頭を下げている、

 

説教を終えたあと、ヤマザナドゥはまた人間に質問した。

 

「天国か地獄、どちらがいいですか?」

 

「天国にいくよ…助けられなかったことを謝りたい…もう一度あの子達に逢いたい。」

 

「いいでしょう…ではあなたは白です。」

 

「な、いきなり。、、?」

 

「天国に行くならば白ですから。」

 

「わかった…」

 

了解した後、人間の魂が飛んでいった

 

「偶然は重なるものね」

 

「火事の被害者で亡くなったのは彼らだけみたいですね。」

 

「そう…」

 

その後もヤマザナドゥは死人を裁いていた。

 

白か黒の判決を下すだけで、

良くも悪くも彼女の仕事は死人を裁くこと。

どれだけ偶然が重なろうと。悲惨な死を迎えた者でも、その者が悪人であろうと、

裁くだけ。

 

小町を叱るのもまたひとつの仕事になっているかもしれない。

 




短くなったなぁ


うん後書きなんてありませぬな


それではまた会えたら会いましょう

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