イルヴァの大地でとりあえず世界一位でも目指しましょうかplus(Overdose)   作:輝く羊モドキ

5 / 17
やっと世界一位に向けて一歩歩き出しました。


依頼 → 戦闘

宿屋の一室でオートスと一緒に休憩。べつにいやらしい話ではない。

宿屋は基本的にはベッドを借りるだけならタダで利用できる。ついでに格安で腹を満たすことが出来るが金欠なのでケチることにする。

そもそもゴーレムってお腹減るの?とか思うかもしんないけどこの体は純正なゴーレムではなくゴーレムに他の生き物を合成することで岩の体に生体的な特徴を持たせたもの。らしい。

詳しくは分かんないけど例えるなら中身まで金属で出来ているロボットと元々人間だったけどすごい改造されて機械の体を持ったサイボーグくらい違う。うん?あんまかわらなくね?

まあとにかくこの体は腹は減るし眠くもなる。性欲だってもちろんある。

…うん。なんの話だったっけ?

 

まあ、どうでもいいか。岩だけど。

 

 

さて、依頼である。

内容は酒場の酒がよく盗まれるので元凶を叩いてほしいらしい。オートスは意気揚々と一人でこそ泥共の拠点に突撃し、返り討ちにあった。と

 

「馬鹿じゃねぇのお前。」

「フハッ!?聞き捨てならんぞその言葉!」

いやお前…

「相手は複数いるんだろ?それなのに近接攻撃しか能のないお前が何とかするには桁違いの強さを持ってないと勝てないだろう。」

「フッフハッ!」

「近接攻撃しか出来ないにしろ、せめてポーションや魔道具の類を持って行けよ。」

「フハーン…」

「もしくは装備をもっと整えるとか、お金ないなら近くのネフィアを探索して稼ぐとか。」

「…」

「もっとよく頭を使って、一人で挑むんだったら無謀すぎるぞ。」

「…グスン」

あぁ、泣き出してしまった。少しばかし言い過ぎたかな…。

ため息一つ。

「…まあ、お前の事だから困ってる人をいち早く助けてあげたいって思ったんだろうけどさ。」

「…」

「お前のそういうところ、すごい好ましく思うぞ。うん」

「!」

「それに今は私とお前の二人なんだ。お前で足りないところは私が補ってやるさ。」

「ご主人…。」

「だから、ーあ~。あれだ。私の足りないところはオートス。お前が補ってくれ。」

「ッ!ご主人!」

「…なんだよ」

「クサいぞ」「やかましい」

そんなことわかっとるわい。

 

 

 

さーて、こそ泥退治…の前にだ。

「ちょっと寄り道するぞ。」

「なに!?この流れでは拠点に突撃の流れではないのか!」

「阿呆。このまま行ってもまた返り討ちだろう。」

オートスも私も魔法が使えない近接バカだ。一人が二人に増えても結果は変わらないだろう。

…だから

「作戦を練るぞ。」

頭を使おう。

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

「…準備はいいか?」

「フハーン!万事OKだ!」

「じゃあ1・2の3で突入するぞ。」

「フワハー!」

「(これはOKの合図なのか?)じゃあ行くぞ。1・n「突撃ぃぃぃ!」ちょ」

話聞けよ

「なんだ!?」

「敵襲です!」

「こいつこの前の女ですぜ!」

「ふん!懲りずにまたやって来やがったか。野郎共!二度と這い上がろうと思わないようにミンチにしてやれ!」

「フハハハハ!無駄だ無駄だァ!今回は我に秘策ありィ!」

(お前の策じゃねえから)

口に出す代わりに手に持っていた物を盗賊共に投げつける。

「うわっコイツ仲間を連れて来てやがる!」

「で、デカいぞ!」

「野郎共!あんなデカブツに惑わされんな!所詮ザコの仲間はザコだ!」

「うまいぜ」

「…あぁ?」

それもういっちょ

「ヒック」

「なぁっ!テメェ何してやがる!」

「フーハハハハハ!スキだらけだ!」ブゥン!!

「な!ヤメブボ」

まず一人。盗賊がミンチになった。

「ひぃ!お助け!」

「馬鹿野郎!怯むんじゃねえ!数ではまだこっちのほうが勝ってるんだぞ!」

「ほーらよっと」ポポポイっと

「らららー♪」「うまいぜ」「ゲーっ」

「フハーン!フハハハハハ!」

「ギャァ」「うわらば!」「ちにゃ!」

「フーハハハハハ!ご主人!どうだぁ!」

いちいちこちらを見て微笑まないでください。貴女返り血で凄い怖いことになってますわ。

「てってめぇ!やりやがったな!」

おっとこっちに向かってきやがった。

すぐに鞭に持ち替え、相手に向かって振るう。「ギャァァ!目がァァァアアアア!!」

前に木の上からゴブリンやヤドカリ相手に鞭を振るってたのが良かったのか、ある程度の範囲内ならば狙ったところに当てられる様になった。

そしてそんなスキだらけな男の頭に容赦なく鉄の戦斧が振るわれる

「フッハァーン!」男は一撃でミンチになった。

…さて。

「ひっヒィィィ!」

最後の一人になったリーダー格の男は腰を抜かしたのか這いずりながら逃げていく。しかしそっちに出口はない。

「お、オレ達が何をしたっていうんだ!」

「いや、何ってお前。窃盗は重罪だぞ。」窃盗の罪は殺人より重い。だってティリスだもん。

「ふ、フザケンナ!ちょっと店に落ちてた酒を飲んだだけじゃないか!」

「…あー。」これは確かに微妙なところだ。通常町の中に落ちてるものでも所有権がある場合がある。その場合窃盗して自らの所有物とした場合重罪だというのだが、なぜか落ちてあるままの状態で使用しても罪には問われないのだ。

例を挙げるならばここヴェルニースのパン屋にはフランスパンが飾ってある。

もちろんこのパンはパン屋の物なので窃盗して自らの所有物としてしまった場合は罪に問われる(但し現行犯で誰にも見つかってなかったらば無罪)が、たとえパン屋の目の前で食べてしまっても自らの所有物としてないなら無罪なのだ。まるで意味が分からんぞ。

つまりこの盗賊の男は酒場に落ちてた酒を飲んだのだから犯罪じゃないと言っているのだ。

 

…まぁ

「フハーン!言い訳はお終いか?ならば貴様の横にあるタルはどう説明するのだ!」

「…あ」

そう。よりにもよってこいつは酒場から盗んだと思われる酒タルの横で弁明してたのだ。ばっかでー。

「フハァ!覚悟はいいか?神に祈る時間はいるか?」

「ヒィ!た、た、頼む!許してくれ!命だけはお助けを。」

…ふむ。

そもそも冒険者には犯罪者を捕らえる権利は無い。そういう仕事は町のガードに任せよう。

「…ご主人?」

「へ、へ、へへ。旦那。あんたは話の分かるお人だ。恩にきるぜ…」

 

 

「…ん?許すなんて一言も言ってないけど。」

だからといってせっかく稼げるチャンスをふいにする訳がないだろうに。

ちなみに冒険者は市民を殺害したら罪に問われるが社会的弱者は殺害しても罪に問われないのだ。今回でいえばこの盗賊達を殺した私たちが罪に問われることは無いということだな。

 

「…は?」

「とりあえず罪は死んで償ってね。」

「フハーン!」ブォン!

 

盗賊はバラバラになった。「やめてください!」

 

 

---------------------------------------------------------------------

 

 

頭を使うとか偉そうなことを言ったが作戦はいたって単純。

「お前はとにかく全力で戦え。」「…」

おい、その戦斧一回おろそうか。

「ご主人!殺気逝った言葉は何だ!馬鹿か!」

「…お前の言葉がえらく物騒に聞こえたな…。」

落ち着けっての

「さっきはああ言ったがそもそもお前はこそ泥ごときに負けることはまずないぞ。」

「フハ?」

オートスの実力はかなり高い。もし仮に武器有りで私と戦ったら私はすぐに粉々の小石にでもなってしまうだろう。

でも

「まあお前は馬鹿だから「馬鹿って言った!馬鹿って言った!」

うるさい

「どうせ敵が一度に複数襲い掛かってきたから誰から倒すか混乱したんだろう。」「うっ!」

図星のようで

「そこで私が離れたところからこいつを投げる。」

「…これは?」

今回の騒動の種でありキーアイテムである

「酒…か?」

「その通り。」

私が酒を投擲しまくって盗賊共をふらふらにさせて、オートスが囲まれることを防ぐ。

そしてオートスは近くにいる盗賊から順番にミンチにしていけばいい。

まだまだ駆け出し冒険者故にお金もまともな装備もないがこれならばあまりお金をかけなくて済む。

「ふっ、フハァ!なるほど!これならば簡単に勝てる!」

そうだろうそうだろう

「フハハハハ!名付けて『アルコールで楽勝ね作戦』!盗賊共よ、首を洗って待っておれ!フハハハハ!フワハァー!」

「…はぁ?」

なんだそのクソダサ作戦名

 

 

---------------------------------------------------------------------

 

 

「フハハハハハハハ!ご主人!『お酒でフラフラ大作戦』!実に上手くいったなぁ!」

「そんなゴミクソカタツムリみたいな作戦名じゃねぇしさっきと違う名前じゃねえか。」

やっぱりこいつ馬鹿だわ…。まったく主人の顔が見て見たいですわ。あっ私か。

そんなくだらない事を話しながら外に出た。

 

 

      * 

 

 

空を見上げるととっくに太陽は沈んでいた。月がほうほうと輝き、星はちらちら瞬いて、八月の風は戦闘で火照った体を優しく拭っていった。

ふわり。

オートスの長い髪が風に靡き、月明かりに照らされてふわふわと光っていた。

私はその光景を眼に映し、静かな虫の鳴き声に傾けた。

オートスは徐に空を見上げては星に手を伸ばす。

ご主人、知ってるか?空の上には神とその眷属が住む大陸があるのだぞ。

  いいや、初めて聞いた。何かのおとぎ話か?

フハハ、おとぎ話か。確かにそうか。そうかもしれない。

  …?

私はおぼろげになった前世の記憶と今の生まれ故郷で覚えた知識を脳内にいる記憶の司書を総動員して空の大陸について検索する。該当は無かった。

 

オートスは星に伸ばした手を、何かを捕まえるようにして握りしめた。

  オートス。なにを捕まえたんだ?

うん?まあちょっとした幸運をな。フハハ。

 

 

酒場に行こうとした。看板娘の依頼を終わらしたから、その報告をしに。

酒場からは吟遊詩人が歌う声が聞こえる。彼はそう間も無くミンチになるだろう。

オートスは立ち止まってまた空を見上げていた。正確に表現をするならば、空というより月か。

なあ。ご主人。

  …なんだ。

月が、きれいだなぁ。

  …!

 

 

  死んでもいいわと返すべきか?

?なんで死ぬのだ?

一気に脱力した。

急に眠気が襲ってきた。酒場に行く気力も無くなっていた。このまま宿屋で眠ることにしよう。

 

 

  おやすみ。

フハハ、おやすみ。

 

 

 

 

ご主人

  …

そっち行っていいか?

  …

  好きにしなさい。

 




オートス。お前…死ぬのか?(死にません)



伏線回収できる日はいつになるんでしょうねぇ…(遠い目)


ちなみに世界一位ってなんだよって奇特な人がいた場合のヒント


世界一位の悪名のロミアス
世界一位の殺されユニークのグウェン
世界一位のエーテル病のリリィ
世界一位の妹の妹(店主)

世界一位のおpp( のエヘ様

だいたいこんな感じです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。