島をあらかた探索し、食料などを探し、初日を終えた私は、木陰にこしらえた葉っぱのベッドでくーちゃんと供に睡眠をとり、二日目の朝を迎えた。
いよいよ、響としては久しぶりの海上航行に望む。
きちんと装備の整備もし、くーちゃんと供に弾薬や燃料も満載してある。
「それじゃあいこうか」
抜錨!とくーちゃんは言い、はじめの一歩を踏み出した。
水上を滑るように、私は海上を移動している。
くーちゃんは水しぶきを上げて豪快に突き進んでいた。
お互いに爽快感を感じながら、穏やかなクルージングを楽しむ。
ときおり、くーちゃんの体を撫でたり、くーちゃんに引っ張ってもらったりしながら、航行の経験をつんで行く。
そんな楽しい時間を邪魔する影が、レーダーに移りこんだ。
「所属不明の艦隊、数は6、空母2、巡洋艦2、駆逐艦2」
レーダーからの情報をくーちゃんに伝える。
空母に航空支援なしで突っ込むなんて危険なこともできないので、大人しくその艦隊から遠ざかる。
くーちゃんもその点は賛成みたいだ。
『コレハカンムスジャナイ。シンカイセイカン』
レーダー担当の妖精が、艦隊の正体を教えてくれる。
相手のレーダーに対して妨害電波を発し、目を潰す。
その間に、最大戦速でその場をあとにした。
敵がレーダーの範囲から消え、普通の速度にもどす。
「資源を奪おうにも、空母相手じゃ無理だね」
『ナラ、スイライセンタイヲオソエバ』
「攻撃してきたらね、でもくーちゃんは深海棲艦を襲うのは大丈夫なのかい?」
大丈夫、というように、くーちゃんは頷く。
見も知らない奴等よりも、自分の仲間のほうが優先、といった感じらしい。
それに仲間を襲うやつは沈める、とも意気込んでいるようだった。
普通は敵同士なのだろう、艦娘と深海棲艦である私とくーちゃんの間に確かに仲間意識が芽生えてることに、しかも独りではないという安心感も得られてうれしくなる。
ありがとう、という感謝の気持ちをこめて、ただ優しくくーちゃんの体を撫でた。
そうして、ついにレーダーに水雷戦隊を捉えた。
「駆逐艦4、巡洋艦2」
相手に近づき、撃ってくるかどうかを待つ。
そして、彼我の距離が敵の主砲の射程圏内に入ったとき。
鈍い音がして、私に向けて計14門の砲火が襲い掛かる。
その中を、あえて突き進む。
砲弾が、私の頭の上を飛び越えて後ろに落ち、水柱を上げる。
くーちゃんは、私とは反対側から挟撃の形で攻める。
くーちゃんの5インチ連装砲が火を噴き、近くの駆逐艦に狭叉する。
私は、AK-130を毎分90発の連射速度で巡洋艦にダメージを与え続ける。
正確に着弾し続ける130mm砲弾は、巡洋艦を爆発と破片で傷つける。
そして、巡洋艦の魚雷発射管に命中。
爆発を引き起こすと、そのまま撃沈せしめた。
残りの巡洋艦には、魚雷をプレゼントする。
敵の魚雷にシグヴァルを当てて相殺し、残ったシグヴァルは200ktで巡洋艦に突き進む。
敵は回避行動をとった。しかし、もう遅い。
巡洋艦のごく近くや、真下を通ったシグヴァルは、爆発して巨大な水柱を上げる。
そして、くーちゃんのほうを見る。
巡洋艦を2隻撃滅する間に、くーちゃんが駆逐艦をできるだけ片付ける。
そんな作戦ともいえない役割分担を一応はしたけれど、その役割が終わった今、くーちゃんの支援を全力でやるべき。
くーちゃんはところどころに被弾のあとがあり、魚雷をばら撒きながら砲撃戦を行っている状態だった。
こちらを向いている2隻の駆逐艦の口腔に130mm砲弾を撃ち込み、沈黙させる。
そして、くーちゃんの5in砲弾が敵に直撃し、一隻を撃沈。
残りの一隻にも、くーちゃんの魚雷が命中し、もはや戦闘続行が不可能。
二隻だけ残ればいいと妖精は言っていたけれど、運よく3隻の資源が手に入った。
そして、3隻の駆逐艦の脳天をくーちゃんの5in砲で撃ちぬき、完全に沈黙させた。
その残骸に、妖精たちを乗せる。
てきぱきと妖精たちは残骸を資源に変えると、海上で私のAK130とシグヴァル、くーちゃんにもシグヴァルと5in砲弾を補充した。
戦闘で消費した分におつりがくるほど、収支はよかった。
満足のいく結果に、くーちゃんと私は大満足。
そのまま、道中の敵を避けて、島へと戻った。