ハイスクールN×K(なんだかんだ)   作:トメィト

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対コカビエル決着!
なんかペースがすっごい速いよ!


近くの山でずっとスタンバっていたのに……

 

 

 

「クハハハハハッ!言うじゃないか人間!俺の期待を裏切るなよ!」

 

「んなこと、どうでもいいからさっさと来いよ化け物。口じゃなくて手を動かせ。まさか、片腕もがれたから戦えませんとかぬかすつもりか?」

 

「ぬかせ!」

 

 お互いに啖呵を切って同時にその場から消え失せる。その直後、耳にうるさいくらいの高音が届いてきた。多分、野水先生が持っていた剣とコカビエルの光で作り出された剣がぶつかり合ってこの音を立てているのだろう。……って、そんなこと言っている場合じゃない!何で野水先生が聖書にも記された堕天使の幹部と戦ってんだ!?というか、あの格好はバイサーを倒そうと依頼を受けたときに返り討ちに合った反逆者の物なんじゃ!?

 

「ど、どうなっているんですか部長!?」

 

「私だって聞きたいわよ……」

 

 俺の疑問に頭を抱える部長。その際に体が揺れて、破けた制服からこぼれ出ている豊かな果実がプルンと揺れた。思わずそこに視線が行ってしまう。くそっ!こんなに切迫した状況じゃなければ拝み倒していたのに……!

 

「そんな……この僕でも全く見えないなんて……!」

 

 速さが売りの木場(イケメン)はコカビエルと野水先生の姿を全くとらえることができないのがよほど悔しいのか禁手化した神器を握りしめながらそんな言葉を吐いた。確かに、コカビエルならともかく人間のはずの野水先生までものすげえ速さで動いてるからな。あれどうなってんだろう。どう考えても人間の身体能力を超えてるぞ……。

 

『そんなもん決まってんだろ相棒。神器だろうぜ』

 

「やっぱりそうなるか……。でも、野水先生の神器ってなんだ?パッと見た感じだとあの剣が怪しいけど……」

 

 俺、兵藤一誠の中に眠る神器、赤龍帝の籠手の中に封印されているドライグがそう考えを披露した。その言葉に俺も同意を示す。そしてそれと同時に、一番最初に戦った時とさっきまでの姿を思い起こして神器であると考えられる部分を思い浮かべて口にしてみる。

 

 エクスカリバーみたいに、持つだけで持ち主の身体能力を強化できる系の神器だったら十分あり得る話だと思うけど。

 

『ま、あの男の神器がなんだろうと関係ねえ。今ああして堕天使の幹部とことを構えられていることは変わらないからな』

 

 確かに、ドライグの言う通りだ。悪魔でもないのに堕天使の幹部とまともに戦えている野水先生を見ていると、佑斗と同じように悔しさや情けなさが湧いてきた。あれを見ていると嫌でも自分に才能がないことが分かってしまう。

 

『なんだったら、左腕だけじゃなくてほかの部分もドラゴンに変えて、あの男ごとあそこの堕天使を潰すか?』

 

「いや………俺はこの悔しさをばねにしてさらに頑張ることにするわ」

 

 今圧倒的なドラゴンの力を手に入れても、恐らくあの中には混ざれない。なんというか、単純な力だけじゃなく培ってきた技術や心構えの時点で俺は既に負けているの気がするのだ。だから、今回はこのまま大人しく――――

 

「ねぇ、イッセー。このまま何もしないっていうのなんか悔しくないかしら?」

 

「悔しいですけど………今の俺たちにできることがあるんでしょうか……?」

 

「まだ私たちは負けたわけではないわ。諦めてしまった時が本当の負けなのよ。だから、大丈夫。……私の可愛い下僕たちも、当然いけるわね?」

 

『はい部長!』

 

 部長の言葉にイケメン(木場)も朱乃先輩も一斉に頷く。それぞれの様子を見て、まだまだ皆が諦めていないことが分かった。だったら……俺だって諦めるわけにはいかねぇよな!

 

「それにね。イッセー。もし無事に生き残って帰ることができたなら、貴方が望むこを何でもしてあげるわ」

 

「マジっすか!」

 

 なんでもってことはあれも、これも全部オーケーってことだよな!

 よっしゃー!やる気出てきた!堕天使が何だ!幹部が何だ!?そんなもの部長とのイチャコラの障害になるかぁー!!

 

『相棒……』

 

 ドライグのちょっと情けない声を聞こえないようにして、俺たちは再び立ち上がった。

 のはいいんだけど、唯、小猫ちゃんだけが呆然と野水先生が居るであろう場所を眺めているだけだった。もしかしたら、野水先生は担任だから俺達よりも思うところがあったのかもしれない。

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

「クハハハハ!いいぞ!最高だ!もっともっと、愉しもうではないか!」

 

「チッ、だからこの手の相手は嫌いなんだよ……!」

 

 どれだけ殴っても斬っても、戦闘の意思が衰えもしねえ。士気が落ちればあとはどうとでもなるっつーのに、この手の戦闘狂は完全に決着がつくまでそういうことは絶対にない。それがこと戦闘においてはかなり厄介なのだ。

 

「そら!受けてみろ!」

 

 コカビエルが手を横に薙ぎ払うとその軌道上に細かな魔法陣がいくつも現れ、そこから比較的小さな光の槍が射出される。見た目は脆弱だが、どれもこれも進んで受けたいとは思わない。というか、戦闘狂の癖にチマチマと攻撃しやがって鬱陶しい奴だな……!

 

「デッドスパイク!」

 

 前方から迫る光の槍をプレデターの力で生み出したデッドスパイクで消し去ってその魔力を吸収しつつ、俺自身はコカビエルに接近する。向こうもそれを予想していたのか無事につながっている片手には光で生み出された剣を握っていた。

 

「そう来ると思っていたぞ!」

 

「ヘルズファング!」

 

 振り下ろされた光の剣を獣の口を象った闇を纏った右手で掴んで無力化をし、開いた左手で腰の後ろ側に下げている大剣を引き抜きそのまま斬りつける。それを察知していたコカビエルは光の剣を離して、後ろに飛ぶが、それでもわずかに遅かった。胸元に深くはないが一本の切り傷が入り、血が流れだす。もう少し深かったら多少はダメージになったんだがなぁ。人外の耐久力には毎回毎回驚かされる、というか面倒くさい。

 

「首斬ったときはあっさり死ぬくせに、どうしてそれ以外だとお前らはそうもしぶてぇんだよ……」

 

「それが俺達だからだ。それに比べて人間は不便だなぁ?なんせ、一発でももらったら致命傷だからな……こんな風にな!」

 

 特大の光の槍を作り出し、間髪入れずに投擲を行う。

 先程奴が距離を取ったと言っても、そこまで大袈裟にとったわけじゃない。槍の大きさもあって回避は難しい状況だ。

 だが、俺だって伊達に昔ブイブイ言わせてなかった。一部では最強のはぐれ狩り「反逆者(リベリオン)」と(勝手に)恐れられていたんだ。修羅場だって数えきれないくらい踏んできている。

 

 俺は右腕を突き出すと、形状を少しだけ変化させ、大きめの黒い右手を作り出した。俺の右腕全体が武器となっているため、こうすると魔力でできた攻撃などは大体吸収して無効化することができる。

 巨大な光の槍を吸収すると、俺はそのまま今飲み込んだエネルギーを闇という別のものに変換して吐き出す。吐き出された闇は、漠然と獣とわかるだけの形を取り、コカビエルに襲い掛かった。

 それに対し、コカビエルは自分の身体に傷を作りながらも俺が生み出した獣と笑いながら戦っていた。

 

 これ以上戦いを長引かせたら面倒だし、出力を上げるとするか。

 

「ブラッドカイン」

 

 プレデターの能力を引き上げる引き鉄(ワード)を口にする。それによって、背中から闇が少量吹き出し、全身に強化による全能感が駆け巡った。俺はその全能感をいつものように押し殺して、決着をつけるためにドでかいのを一発決めようとする。

 

 すると、獣との戯れを終え、再び俺に向かって来ようとするコカビエルに黒い魔力の塊と雷が飛んでいった。

 コカビエルはそれを羽で振り払おうとするが、想定以上の威力だったらしく、弾くのを諦めて避けた。だが、避けた先には黒と金が混ざり合った剣が配置されていた。これも先程とは比べ物にならないくらいに強化されているらしく、コカビエルは態々光の剣を作り出して対処している。

 

「グレモリーとその眷属たちか……まさか、ここまで力を上げてくるとは。ハハッ!俺が人間と戦っている間に赤龍帝の強化譲渡をそこにいる全員に行ったのか!………クッハッハ!アーッハッハッハ!!いいぞ、いいぞ!このピンチ、この高揚感ッ!これこそが戦いだ!!」

 

 一人でテンションを上げてハイになっているコカビエル。

 丁度いい、グレモリー達に注意がそれた今がチャンスだろう。いつもは余計なことしかしないくせに今回は結果オーライじゃねえか。と感心しながらブラッドカインによって全身に駆け巡ったエネルギーを一か所に集める。そして俺は左腕に持った大剣を逆手に持つと、思いっきり地面を蹴って加速しコカビエルの懐に侵入した。

 

「グッ!?なに!?」

 

「よそ見してんじゃねえよ。これでも喰らって一生寝てろ!」

 

 驚愕の表情を浮かべるコカビエルにそう吐き捨てるように言うと容赦も油断もなく俺は技を奴の腹に叩き込んだ。

 

「カーネージ・シザー!」

 

 最初に入れた腹への一撃で相手を怯ませ、その後は剣に圧縮していた闇とエネルギーをそのまま無防備な身体へと叩き込んだ。

 ドバンッ!と大きな音を立てて爆発するエネルギー。それを受けたコカビエルは本来なら後方に吹き飛ぶのだが、確実に仕留めるために俺はもう一つ技を発動した。

 

 先程大きな槍を受け止めた大きい手に右手を変化させてボロボロのコカビエルの体を拘束し、相手の魔力やらを吸収する。

 

「終わりだ」

 

 吸収した分を上乗せし、コカビエルの体を思いっきり握りつぶす。吸収した魔力を放出した衝撃として爆発に見舞われながら握りつぶされたコカビエルは木っ端みじんになって吹き飛んでいった。後に残ったのは黒い羽根だけである。

 勢い余って堕天使の幹部をぶっ殺しちまったが、それはあのプリン頭の監修不足ということにすれば大した問題にはならないだろう。

 そこで俺は実はあらかじめ用意しておいた信号を送り、支取達に結界の解除を伝える。信号が向こうにしっかりと届いたらしく、およそ一分後に学園を覆っていた結界は消え去った。

 

 久しぶりに大技をブッパしたのである程度の余韻も下がった。後は普通に帰宅するだけだなーなどと考えていると。上空から高速でこちらに向かって接近してくる影を発見した。何でこっち来るんだ。向こういけ。

 

 チッ、面倒くせぇな。

 

 大技をブッパして気分がよくなっていた俺はこれ以上の面倒事は嫌だったので、タイミングを見計らって自分から封印をしていた技を解き放った。

 

 『―――――――!』

 

 「インフェルノディバイダー!!」

 

 当然俺が打ち勝った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 上空から飛来してきた銀色の鎧を着た男をインフェルノディバイダーで撃退して、ついでにその後の派生から踵落としを喰らわせて地面に埋めたのち、グレモリーに色々文句を言われる前に学校を後にした。どうせ後日呼び出されるのはわかっているのだが、今日はいい気分なので面倒な尋問などはごめんだったので逃げたのである。

 

 で、結局その後は一生懸命頑張って結界を張っていた支取達を誘って飯を食いに行ったのだった。

 

 

 

 

 

――――――――――――俺にしては珍しくいい夜だった。今日は戦友(イツラック)にも頼らなかったしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




イツラック「私と」
ソーナ「私!」

二人『どちらがあなたにとって一番(の味方)ですか!?』

黎凪「お前らまで俺にストレスを与える気か……!」

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