ハイスクールN×K(なんだかんだ)   作:トメィト

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黎凪が本格参戦するのはエクスカリバーからです。
なので今回でフェニックスはしゅーりょーです。


特に何もなかった(白目)

 

 

 

 

 

 

 皮肉なことに、グレモリー達が居ない生活は驚くほど何もなかった。

 普通に授業を行い、普通に次の授業の準備をして、次回の仕込みをし、帰宅する。この当たり前ながらも尊いルーティンが守られているということのなんと素晴らしいことか。キャラでもないのに片手を上げて喜んだ俺を誰が責められるだろう。それほどまでに日常生活というのは得難きものだった。

 気になることと言えば某英雄派なる怪しい団体の勧誘がしつこくなった位で、何かしらのつじつま合わせに奔走するということはなかった。

 

 この生活があと五日も続くとはなんという天国、ここが全て遠き理想郷だった。

 幸せを噛みしめながら、いつもよりも早く学校へと向かう。すると、職員室に人間ではない人外の気配を感じ取った。

 それはグレモリーや支取と似たようなもので、恐らくは悪魔なのだろうという予想を立てる。警戒をしつつ、しかしそれを表に出さないように職員室の扉に手をかけ入室すると中にはメイドが立って居た。外見はどこかのメイド長を思わせるものでナイフと銀時計がさぞ映えるだろうと思った。それと同時に俺の理想郷が崩れ去る音も聞こえたが気のせいだと思いたい。

 

 とりあえず、相手の目的が分からないので様子見として何事もなかったかのように自分の机に座り授業の準備を始める。もしかしたら、支取を探しているのかもしれない。まだ俺が目的と決まったわけではないのだ。希望を捨ててはいけない。

 

 昨日用意しておいた資料と、授業で使う教材を揃えて纏め、運びやすくしていると無言を貫いていたメイドがついに口を開いた。

 

 「お初にお目にかかります。私はグレイフィアと申します。今回は、反逆者(リベリオン)様に依頼したいことがあって参りました」

 

 丁寧なお辞儀と共に放たれる言葉。

 グレイフィアとは確か悪魔の長である魔王のうちの一人、サーゼクスの女王の名前だったはずだ。長であるのにどうして四人もいるんだと突っ込んではいけない。きっと権力分立と同じ感じのはずだ。

 いや、問題はそこじゃない。何で魔王の女王がここにいるんだ。正体に関しては特に隠していたりはしない(この前のグレモリーは別。勧誘がうざそうだから)から不思議ではないんだが、残念ながら俺はもうはぐれ狩りなんて行っていない。

 前回のバイサーだってたまたまだし、他の連中も向こうから仕掛けてくるから殺しただけで自分から殺しに行ったりは現在していないのだ。それは各陣営もわかっているはず。

 

「俺に頼みたいことだぁ?」

 

「はい」

 

 表情を変えることなく即答するグレイフィア。魔王の女王で使用人というだけあって腹芸はお手の物か。

 まぁ、いい。相手が誰であろうと俺の答えは決まり切っている。

 

「てめぇが俺に何をしてほしいのかは知らねえが、俺はその頼みとやらを受ける気はねえ」

 

 何を言われようと、こいつらの頼みは聞かない。悪魔に元々いい感情を持っていないということも二割くらいあるが、大前提としてこいつらは相手するのが面倒すぎる。魔王共は自由人の塊だから別に構いやしないんだが、上層部という古臭いだけが取り柄の

老害共が邪魔すぎる。こいつら俺に依頼を出す癖に、報酬は人間だからと言って物凄い安値を提示してくるのだ。まぁ、舐めた奴は例外なくぶっとばしたが。

 

「それは、リアスお嬢様に関すること……でもですか?」

 

「むしろ余計受けたくなくなったわ」

 

 厄介事がさらに加速してんじゃねえか。掛け算ってレベルじゃねえもはや累乗だ。心底嫌そうな表情を浮かべる俺だが、この鉄仮面表情筋のメイドはそれを無視して現在のグレモリーの状況を勝手に話し始めた。

 曰く、無理な結婚を強いられている。

 曰く、最終決定は五日後に行われるレーティングゲームなるもので決定する。

 曰く、この婚約は兄であり魔王でもあるサーゼクスも乗り気ではない

 なら、グレモリー達を勝たせようということで俺に白羽の矢が立ったらしい。

 

 

 ………馬鹿だろこいつら。なんで俺がそんなことしなくてはならないのか。面倒くさいというレベルではない。しかも俺はあいつら学生とは違い教師としてここで働いているのである。十日間も無断欠席なんてしたら速攻でクビが飛ぶ。

 どんな報酬をもらったってそんなことはお断りだ。

 

「如何でしょうか」

 

「如何も何もあるかボケ。俺の答えは変わらずNOだ。分かったらさっさと失せろ」

 

 しっし、と手を振って帰れという意思を全身から押し出す。しかしこれでもグレイフィアは引き下がらないらしい。

 

「……?おかしいです。こういう場合、教師とは生徒のために奔走する生き物だったはず……」

 

「おかしいのはてめぇだ馬鹿。そういった教師は創作物の中にしか存在しねえし、そもそも今の時代、教師が家庭の事情に首を突っ込むことは稀なんだよ」

 

 色々難しい世の中になったからな。

 どこかずれた知識を披露したグレイフィアに向かってそうはっきりと言いつける。こういうのは曖昧に答えると大体悲惨なことになる。

 だからこそ、こうしてすっきりきっぱり断ることが重要となるのだ。

 

「つーわけで、帰れ。そろそろ授業が始まんだ。お前が居たらほかの奴も準備しにくいだろ」

 

 主にどうしてここにメイドが居るのかということで。だからさっさと帰れ。

 

「……………………………承りました。今回はこのまま失礼させていただきます」

 

 そういって優雅な動きで職員室から出ていったグレイフィア。

 もう来ないことを切に願う。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 いつもの生徒会室、と言ってしまっても過言ではない頻度で最近ここに訪れている気がする。自分としては大変情けないことなのだが、正直一人で物事に当たるとすぐにやる気というか色々なものがそがれていくので、ここに来て支取と雑談をしながら作業を進める。一応俺は生徒会担当の教師としての役割を持っているので、ここに出入りすること自体は問題ないしな。

 ………ただ、教師である俺が何度も出入りして邪魔になってるかと考えてしまう。

 

「そんなことはありません。こちらとしても、質問や必要なサインや印鑑をもらえて仕事がスムーズに進むので、助かっています」

 

 どうやらそんなことはなかったらしい。

 支取って実は天使なんじゃないか。悪魔らしいけど、なにをどうしたらこんな子が悪魔として生まれるのだろうか。誰かこの子のような悪魔を量産してくれ。

 

 若干暴走した思考回路を何とか止めた後に、支取へと問いかける。

 

「ところで支取。お前グレモリー達の欠席理由知ってるか?」

 

「悪魔のごたごたですよ。純血で家がそれなりだと結構不自由なことがあるんです。今回もその一端ですね」

 

 一応事情はグレイフィアから聞いたものの、それだけで信用するのは流石に無理な話なわけで、信頼できる支取に尋ねる。支取が答えた内容はグレイフィアが答えたものと同じだった。これでこの情報は信用することができるな。

 

「それで十日間ねぇ……」

 

「先生はレーティングゲームというものをご存知ですか?」

 

「ん?あぁ、概要と簡単なルールくらいならな」

 

「それで決めるんです。先ほど言ったごたごたの結果を。相手は経験者でリアスは初心者。この差を埋めるための時間がこの十日間ということらしいです。あ、すみません。この書類なんですけど―――」

 

 支取を若干利用する形になってしまったが情報の裏付けは出来た。

 これは断っといて正解だな。これで人間の俺が関わってたら悪魔どもから何を言われるか分かったもんじゃなかった。

 

「……理由は分かったんだが。できれば表向きの理由も考えてから行ってほしかったぜ。―――ほらよ。この書類のサイン終わったぜ」

 

「ありがとうございます。………今回については許してあげてください。貴族としてはアレですけど、年頃の女の子としてはやはり納得できないですから」

 

「そこら辺は俺の管轄外だ。それに、基本的に何をしようが俺は責めたりしねぇよ。………こっちに被害を出さなければな」

 

「…………」

 

「いつも言ってるけど、別にお前を責めてるわけじゃねえよ。ちょっとばかし社会の不条理さに負けそうな情けない男の愚痴だからな」

 

 ほんと、この仕事をしていると社会のルールを微妙に改造している悪魔式社会に潰されそうになるわ。

 

「よっと、これで最後だな。すまねぇな支取。邪魔したわ」

 

「………いえ、こちらも後回しにしていた書類が片付きました。ありがとうございます。私たちは仕事も終わりましたし、これからは悪魔の仕事を始めます」

 

「おう、分かった。じゃあ見回りの時は気にしないようにしとくわ。帰るときは気をつけろよ。そこのてめぇらもな」

 

『はい、ありがとうございます。お疲れさまでした』

 

 

 本当に、どうしてこいつらは悪魔なんてやってんだろうな。

 この疑問を抱えながら俺は学校を後にすることになった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 十日と少し過ぎた後、グレモリー達の様子を見るに婚約騒動は無事にカタが付いたようだった。無理矢理婚約させられていたなら顔芸ができないあいつらのことだし、沈んだ表情をするに違いないからな。

 まぁ、何事もなかったようで何よりだよグレモリー達。成績はしっかりと引かせてもらったがな。今のところは問題ないんだが、これが続くようだったら必要単位に届かないかもしれないんだよな。こういうのは一度やってしまうと次が来た時もためらいなく欠席してしまう……なんてこともある。

 

「いや、俺には関係ねぇか」

 

 よくよく考えてみればあいつらが留年しようが落第しようが全く持て関係なかった。

 婚約騒動が起きてから、今のところは落ち着いているのでこの平和が長く続けばいいと思う。

 

 

 

 

 

 

 なんて考えているから悪かったのだろうか。

 珍しく早く帰れた俺は夕暮れに染まる街で見つけてしまったのだ。

 

 

 一見痴女と間違えるくらいアレな衣装を身にまとった教会の連中と、いつぞやのイカレ神父……そして背中に黒い羽根を大量に生やした悪人面の男を。

 

 

「引っ越ししよう」

 

 悪い支取。やっぱり俺この街から引っ越すわ。

 せっかくはぐれ狩りをやめたのに全く意味がないじゃねーかよ……。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




黎凪についてどう思う?

生徒会

ソーナ「絶対に頭が上がらない人です。そして戦友です」

匙「……なんていうか、適当なんだけどなんだかんだで真面目なせいで苦労している人って感じだ。会長とよく話しているのも気にならなくなってしまうくらいの苦労を背負ってる感じがして不憫だわ」

真羅「えぇ、いい人ですよ。なんというかこちらが申し訳なくなってしまうくらいには」


オカルト研究部

リアス「学年が違うけどいい先生よ?なんだかんだで生徒のことを考えているもの」

一誠「俺たちをよく注意しに来た人。ちょっと苦手かなぁ」

小猫「担任です。口調で誤解されがちですが、いい先生ですよ」



知ってるものとそうでない者の差が……。


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