やはり俺の界境防衛機関での物語は間違っている   作:つむじ

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ハロの紹介をしてなかったのでします。
ハロ(ガンダムシリーズのガンダムダブルオーから)


彼女は続きを知りたがり彼は続きを知っている

はぁ〜、結局帰るの遅くなるし太刀川さんとはランク戦出来なかったし今日は嬉しいこと以上に残念なことが多いな。

もう夜中の11時だし綺凛は寝てるだろう。

言うこと聞くと言ったのに悪いことしたな。

そう思いながら俺は暗い街を颯爽とバイクで走っていった。

 

「ただいま〜。」

起こさないように小さな声で言った。

リビングの明かりは消えており、どこの部屋も電気がついていないのを見るとどうやら全員寝たようだ。

それもそうか、既に時刻は12時を過ぎており日をまたいでいた。

俺はまっすぐ風呂場に向かい、シャワーを浴びるために服を脱ぎ風呂場に入った。

俺はシャワーが温まるまで浴槽に向けた。

その時、本来であれば聞こえるはずもない声が聞こえた。

「つめたーい!え?え?なに、どうしたの!?」

え?は俺のセリフだ。

何でこいつが風呂に入ってるんだ?

「一体いつからここにいたんだ?操。」

我が家が誇る最強のアホである操に話しかけた。

「えーと11時ちょっと前ぐらいかな。」

つまりコイツは1時間ほど風呂に入っていたのだ。

さらに先程の反応からするに寝ていた可能性がある。

「ってなんで八幡がここにいるのよ!?」

ザブンと音を立て風呂から上がるバカ。

ここで恥じらいを見せないとこを見るとコイツは異性に裸を見られてもなんともないのだろう。

まぁ、従兄弟同士だからというのもあるだろう。

ちなみに俺はタオルで隠してる。

どこをだって?

そりゃ俺のアナログスティックに決まってんだろ。

「なんでもクソもねーだろ。俺いま帰ってきて風呂入ろうとしたらお前がいたんだよ。」

「そう、なら私は上がるわね。」

早く上がってくれ。

もう四月とはいえ、この時間帯に全裸でいるのは少々肌寒いのだ。

「私もう寝るね。おやすみ。」

風呂上がってすぐに寝るのかよ。

しかも今まで寝てたし。

「ちゃんと髪の毛乾かしてから寝ろよ。」

兄貴分としてちゃんと忠告はした。

さて、とっととシャワー浴びて俺も寝るか。

 

ふ〜、いい湯だった。

別に風呂に入ってなくてもいい湯だと感じることはあるのだ。

さて俺も早く寝るか。

そう思いベッドに体をあずける。

ただいま、頑張った俺をいやしてくれ。

掛け布団をかけながら馬鹿なことを考えていると大事なことに気がついた。

「あ、全然眠くない。」

それもそのはずだった。

太刀川隊室で数時間寝たのだ。

当然眠気などない。

「ま、まぁ眠くなるまでめをつぶってればいいし。羊を数えればいいし。いざとなったら睡眠薬のめばいいし。」

俺は早速羊を数え始めた。

羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹・・・

 

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「お前ならやれる!羊子。自分を信じろ。」

羊子と呼ばれた少女はある棒の前に崩れ泣いていた。

その少女を応援している男は今にも燃えそうな勢いだった。

少女は陸上部で棒高跳びという種目を専攻していた。

「先生、私には無理です。もうこれ以上飛べません。」

羊子は弱々しい声で熱い先生に向かって自分の限界を伝えた。

「いや、まだお前の限界には程遠いはずだ。」

そう、熱い先生は知っていた。

羊子が本気を出せない理由を。

 

『ねぇ最近の羊子調子のってない?』

『まじそれな』

『ちょっと高く飛べるだけで先生や先輩にチヤホヤされて。』

『ねー、マジムカつくわー。』

 

こんなやりとりを羊子はみてしまったのだ。

そして熱い先生も。

「お前が飛ぶのをバカにするやつはお前が見返してやれ。誰もお前の才能を認めなくても俺はお前の才能も実力も知っている。だから他人を気にするな。自分のために飛べ!」

そんな熱い先生の熱血な言葉に羊子は

「先生・・・。はい!私飛びます!」

そして羊子は高く高く飛び上がったのだ。

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ーーーーーーー

ーーーーー

ひ、羊が117匹・・・

「って、眠れるかー!」

俺は夜中だということを忘れひとり大声で叫んだ。

誰だよ羊子って。

たかだか羊を数えるだけでなんでこんな感動的な教師と生徒の物語がくり広がってんだ。

それに少し泣いてるし、俺が。

だって自分の心を強く持ち直したんだぜ?

その心を持ち直すきっかけになった先生もどっかで見たことあるような人だったがいいことを言ってた。

くそ、泣かせる話じゃねーか。

おかげで寝れそうにないな・・・。

俺は内心で感動しそれと同時に愚痴りながら椅子に座った。

取り敢えずレポートでも書き直すか。

 

チュンチュン

ん?どうやらもう朝のようだ。

どうやらレポートを書き終えて寝落ちしていたようだ。

さて少し早いが日課のランニングでもするか。

 

俺は誰にも気づかれないように静かに家を出た。

流石、隠密行動No.1

学校で鍛えてるだけあるな。

いやボーダーでの賜物じゃないのかよ。

ま、なんでもいいか。

強ければいい、それだけだ。

 

1時間と少しで10キロを走りきった。

どうやら現在の時刻は六時ちょうどのようだ。

あ〜疲れた〜。

早くシャワー浴びて朝食作るか。

今日の朝食は何にしよう。

昨日は食パンだったしな〜、よしワッフルにしよう。

綺凛は確かワッフルが好きだったはずだ。

昨日のお詫びとして少し豪華にしよう。

そう決意し俺は浴室から出た。

 

 

よし、朝食完成。

そろそろ誰かが起きてくる頃だな。

「おはよ〜八兄〜。」

ゆるい感じて降りてきた紅覇。

「おう、おはよう。朝食出来てっから早く食べな。」

どうやら身支度はもう終わっているようだ。

「ねぇ八兄、昨日何時に帰ってきたの?」

「12時近くだな。」

「残業?」

ここで残業と聞き、仕事をしているのか?と思う人もいると思う。

答えはイエスだ。

俺はこう見えても上層部の一員なのだ。

ボーダー隊員代表、それが俺の役職なのだ。

え?代表は仕事じゃないって?

それは俺も思ったのだが忍田本部長曰く

『隊員達の様子をより近くから見るのも我々上層部の役目だ』

と言ってきたのだ。

ちなみに俺が選ば得た理由は個人総合1位だからだ。

仕事と言っても基本は雑用ばっかだ。

時には忍田本部長について行きスポンサーの方々に挨拶も行くことも、広報活動を仕切ることも、仕事が詰まり始めたところに手伝いをしに行くことも、沢村さんの愚痴に付き合うなど高校生には荷が重いことばかりだ。

特に最後のはホントひどい。

一度デロンデロンに酔いつぶれた沢村さんを背負って家まで送ったこともあった。

とまぁ、給料も出るので仕方なくやっている感じだ。

なので帰りが遅いというのもよくあることなのだ。

「まぁ、そんなところだ。」

だがしかし、流石にゲームして寝落ちたなど口が裂けても言える訳もなく嘘をついたというわけだ。

「ふぁ〜おはようございます〜。」

どうやら綺凛も起きてきたようだ。

これで起きてきてないのはあのアホだけのようだ。

「おはよう綺凛。飯出来てるからとっととたべな。」

はい、とまだ少し寝ぼけてる顔をこすりながら綺凛は朝食を食べ始めた。

「そういえば綺凛、昨日の約束。何でもいうこと聞くぞ?」

綺凛は食べてる手を止めると少し恥ずかしそうに

「あの、今日学校まで送って欲しくて・・・。」

「そんなんでいいのか?」

もっと我儘言ってもいいんだぞと言ったがどうやらいいらしい。

バイクに乗るぐらい言えばいつでも乗せるのに。

「おはよ〜」

ようやくアホが起きてきたようだ。

「おはようさん。とっとと飯食え。」

俺は食器を洗いながら操に飯を食うように促した。

「操姉今日少し遅かったね。」

確かにそうだな。

珍しいこともあるもんだ。

「実はね、羊を数えてたらなんか感動的な物語が始まっててねクライマックスっていうところで起きたのよ。夢って最後まで見れないから続きが気になるのよね。」

アハハハハ、と朝から家族4人で笑い出した。

やはり我が家はいつでも元気いっぱいのようだ。

 

 

あ、俺その夢のつづき知ってるかも・・・

 

 


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