は〜、なんで女子ってこんなに空気悪くするの得意なの?それとも俺が悪いの?
特に那須。何でそんなに不機嫌オーラ出てんの?雪ノ下になんか恨みでもあんの?迅さんに会った時の三輪みてーな反応じゃねーか。
「なぁ、くまちゃん。俺、水着試着してくるから何かあったら・・・ガンバ!」
俺はこの空気から脱するべく、試着室に逃げ込もうと水着を持った。
くまちゃんには悪いが、那須の対応出来るのこの場じゃくまちゃんだけだし。俺なにも悪くないもん。
俺が靴を脱ぎ、カーテンを閉めようとした時
「ねぇ、比企谷くん。昨日言ってた用事って・・・デートのことだったのかしら?」
気づかれたー!
俺はカーテンを手で掴んだ状態で固まっている。
やばい、変な汗が出てきた。ほら、もうカーテンに俺の汗染み込み始めてる。
「や、違うぞ?えっと・・・その、そう!部員の誕生日プレゼント買いに来ててな、俺は靴と海パン買うためにここに立ち寄ってるんです・・・。」
俺の弁明は読むにつれて声が小さくなっていく。
いや、だってほら?あの顔みてご覧。有無を言わせない顔だぜ?もう、怖くて怖くて・・・。
「そっか。なら仕方ないね。」
おろ?案外あっさりと納得したな。なんか問い詰められるかと思ったんだけど。
「お、おう。仕方ないよな。だから、俺達はこれにて・・・」
「まだお昼ご飯食べてないんでしょ?一緒に食べよ?」
「いや、あの・・・これから買い物が・・・」
「食べよ?」
「ですから」
「食べよ?」
「はい・・・。」
どんだけ俺と飯食いたいの?あれか、メシ代浮くとでも思ってるのか?残念ながらこれと由比ヶ浜の誕生日プレゼント買ったら自分の飯食うのが限界です。
「じゃあ、12時にあそこのバトルロイヤルホストにね。」
「わかった。じゃ、またあとでな。・・・行くぞ、雪ノ下。」
俺と雪ノ下はレジに向かった。
いや、雪ノ下は来る必要なくね?
目的の雑貨屋。
俺と雪ノ下は目的の雑貨屋にまで来た。ここまでの道のり、長かったぜ。
雪ノ下のウィンドウショッピング?から始まり那須、くまちゃんとの遭遇。かれこれ2時間近くかかっている。
服を引っ張って確認をする雪ノ下は現在、服を引っ張ってます。
「なぁ、雪ノ下。前にメールで由比ヶ浜、最近料理に凝ってるって言ってた気がするんだが・・・。」
俺が助言すると雪ノ下の顔は青ざめ、震えだした。
え?なにか嫌なことでもあったの?俺に助言されたのがそんなに嫌だったの?
「そ、そう・・・。なら、このエプロンなんてどうかしら。」
雪ノ下は紺色に猫の肉球のワンポイントの入ったエプロンを自分にあてた。
「似合ってんじゃねーの?」
「そう、ありがとう。でも由比ヶ浜さんには?ということよ。」
ならそう言えよ。おもっきりお前のことだと思って素直に思ったこと言っちまったじゃねーか。
「由比ヶ浜にはもっとバカっぽくてゆるくてフリフリしてんのがいいんじゃね?」
俺は雪ノ下が手にしたエプロンの隣にあるエプロンを指さす。
「酷い言い方だけれど、的を得てるわね。そうね・・・私はこれにするわ。」
雪ノ下はピンク色のフリフリしたエプロンを手にするとレジに持っていった。先ほど自分に当てていたエプロンと一緒に。
なんでそれも持ってくのん?ねぇ、ゆきのん、ぼく、きになるよん。
俺の願いが通じたのか
「これは、私用によ。今使ってるエプロンがこの前魚をさばいていた時に血を浴びて、なかなか落ちないからこれを機に買い換えようと思ったのよ。」
コイツが・・・返り血?やばい・・・想像しただけで寒気が。冷徹な目をした山姥・・・。
「そーかい。おりゃ、何も言っちゃいねーんだが。いらない情報までありがとよい。」
雪ノ下はエプロン2つを買い終わり店の外に出てきた。
ちなみに俺は最初から出ている。
だって、こんな女子だらけの店に俺が入ったら第一級戦闘態勢で警戒されちゃうもん。
最近語尾にもんつけるの多いなー。
さて、結野アナの占いが現実になる前に早くバトルロイヤルホストに行くか。
俺はそう思い雪ノ下に解散しようと言いに行こうとした時
「あれ〜、雪乃ちゃん?」
この声・・・まさか!?
「・・・姉さん。」
ちょ、お前それ言ったらばれんでしょ。
「あ、やっぱり雪乃ちゃんだ!」
ほら、こっちに来た。本日の結野アナの占い・・・大当たりー!
やだなー、これからご飯食べに行くのに。この人のせいで俺の不機嫌メーターが、振り切るぜ!
「あれ?比企谷くん?・・・やっぱり比企谷 くんだ!久しぶりだね。」
「・・・久しぶりです、ハルさん。じゃ、俺はこれで。」
「ちょっと、どこ行このかな?比企谷くん?」
「俺、これから飯食いに行くんで。あなたにかまってる暇ないんです。」
「・・・お姉さんが話してるんだから・・・人の話は最後まで聞こうね?」
ハルさんは俺の肩を鷲掴みしてきた。逃がさないぞという意思が見えてる。
けど、残念ながら・・・
「・・・邪魔。」
俺はサイド・エフェクトを使用し、ハルさんを睨みつけた。
「ッ!・・・もうそんな程度の態度じゃ、お姉さんの心は動かないかな〜?」
ハルさんは少したじろぐも、俺の肩を離さない。
は〜、仕方ない。あんまし人のいる所でやりたくないんだけど・・・
「もう1度言います。・・・邪魔。」
俺はハルさんの肩に手を置き、ハルさんを転ばせた。
流石にこれにはハルさんも、俺の肩を離した。
「・・・なにしたの?比企谷くん?」
ハルさんは未だに状況が飲み込めてないようだ。
早くしないと約束の時間に遅れるってのに・・・仕方ない。
「あなたが体にかけてる体重が一番大きいところをつきました。簡単にいうと・・・アンクルブレイクですね。」
これは黒子のバスケの赤司がやってたの見て、出来んじゃね?とか思ってやったら出来た技。
俺のサイド・エフェクトがあって初めて使える。
「さて、俺はもう行きますね。約束の時間に遅れるといけないんで。」
俺は何事もなかったかのように一番の笑顔で別れの挨拶を告げだ。
ほんと、結野アナの占いはよく当たるな・・・。