やはり俺の界境防衛機関での物語は間違っている   作:つむじ

21 / 39
彼は答え合わせをする

朝起きたら・・・床で寝ていた。

確か昨日焼肉行ったあとバカ2人がうちに来て俺とを含めて3人でスマブラやってたんだっけか。

「ハッチ〜、おりゃ、まだめげてねーぞームニャムニャ」

「桐花さーん、もうやめて・・・俺のライフが・・・」

俺の隣でバカ2人はまだ夢の中にいる。

つーか出水はどんな夢見てんだよ。

悪夢か?悪夢なのか?

そーいや出水おふくろに合成弾教えてるんだっけか。

なんで教えてる方がキツそうなんだよ。

夢の中でもスパルタなのかよ・・・おふくろ。

あー、からだいてー。

取り敢えずシャワーでも浴びて飯作るか。

俺は立ち上がり風呂に向かおうとした時だった。

本来であれば食卓にはないものがある。

それは・・・朝食と置き手紙だった。

誰が作ったんだ?

あとこの手紙も。

置き手紙の内容はと・・・

 

お兄ちゃんへ。

小町たちは遅刻したくないから先行くね。

sp

起こさなくていいって言ったの操お姉ちゃんだから。

あと朝食は小町と紅覇お兄ちゃんが作りましたー。

愛情たっぷりだよ!

 

へぇー、これ小町と紅覇が作ったのか。

紅覇が料理できるのは知ってたけど小町もできるのか。

なかなか完成度が高いな。

とっととシャワー浴びていただくとしますか。

 

 

 

 

 

 

あー、スッキリしたー。

小町たちが遅刻したくないって書いてあったし時間はぎりぎりかなー。

俺は食卓に置いてある置時計を見た。

8:30

あっちゃー、遅刻してるじゃないですかー。

今から急いでも仕方ないしな、弟達が作ってくれたご飯、味わってから行こう。

モグモグ、なかなかうまいな・・・。

だがこのトマトはなんだ。

赤色を入れるのであれば冷蔵庫にパプリカがあったはずだ。

それなのに何故トマトにする。

食べたくない・・・、けどふたりが作ってくれたから残したくはない。

トマトの数は2つ。

どうすれば・・・

俺は、ふと床を見た。

いいところにいいのが転がってるじゃないですか。

俺はトマト以外を食べ終え、トマトを持って、まだ寝てるバカ2人のだらしなく開いている口にトマトを突っ込んだ。

「起きろ、バカども。」

「ゲホッゲホッ、なんだよこれ・・・ってトマト!?なんで俺の口からトマトが!?」

「ゲホッゲホッ、な、なんだ!?」

米屋はかなりテンパリ出水は状況が飲み込めてないらしい。

「ってあれ?なんでハッチがいるんだ?」

「確か昨日、スマブラやって・・・。」

「お前らここでそのまま寝落ちしたんだよ。早く顔洗って家に帰りやがれ。もう遅刻してんだから。」

「ハッチ、今何時?」

「一大事だコノヤロー、もう8:30過ぎてんぞ。」

「マジかよ!?弾バカはやくいくぞ!今日の1校時目、英語の授業じゃん!?俺もうこれ以上英語の時間休むなって言われてんだよ!」

「はっはー、残念だったな。俺はこれから防衛任務だ。あ、比企谷シャワー借りていい?」

「いいぞ。あ、俺も早く学校行きたいから鍵閉めてポストに入れといてくんない?」

「別にいーぞ。おーい、槍バカー。お前も早く行かないと不味いんじゃねーの?」

「は、ハッチ。家まで送ってくれ!」

「わり、俺の後ろいつも予約でいっぱいだから。じゃ、行ってくるわ。戸締りよろしくな。」

「おー、いってらっしゃーい。」

「ハッチの薄情者ー!」

薄情者って・・・俺も遅刻してんだけど。

一校時目何だったけなー。

まー遅れてるから急いでも仕方ないんだけどな。

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

おっと、もう一校時目が終了したみたいだな。

2校時目には間に合ったみたいだ。

俺が教室の扉を開けようとしたら、ガラガラと勝手に扉が開いた。

俺の前には鬼の様な形相をした平塚先生。

一校時目は現国でしたか・・・。

「さて、殴る前に一応私の授業に参加しなかった理由を聞こうか。」

殴るのは決定事項なの?

「すいません、防衛任務のヘルプに入ってました。」

防衛任務を出せば先生もあまり強く言えまい。

「ヘルプだと?巻町はいるが?」

「俺1人でです。」

「そうか、今度からは事前に連絡・・・」

俺が上手くいった、と思った瞬間

「八幡、やっと起きたのね。昨日あんな夜遅くまでスマブラするから寝過ごすのよ。まったく。」

なんでこのタイミングで登場するのかね〜。

ほら見て、先生が鬼から修羅に変わってるよ?

「ほう、比企谷。貴様は教師に嘘をつくのか。」

「い、いや、その・・・この世界は嘘に満ち溢れてますから・・・俺の嘘なんて大したことじゃ・・・」

「問答無用だー!」

ドスっと俺の腹にいい1発がはいった。

俺はドテッと床に仰向けになった。

なかなかいいパンチですね・・・。

生徒に向けた拳じゃなきゃ俺は褒め称えるんですが・・・。

おい、操。

何笑ってんだ、テメーのせいだぞ。

わざとか、わざと先生のいるまえで言いやがったな。

「まったく・・・このクラスは問題児が多くてたまらんな。川崎、君も遅刻かね。」

俺の後に来た奴が気になって目だけでそいつを見る。

見覚えのある・・・黒のレースが俺の目に飛び込んできた。

あなた同じクラスだったのん?

 

 

 

 

 

 

放課後、俺と操とくまちゃんで勉強会をすることになり、サイゼに入り空いてる席に向かってる。

「あ、八幡」

俺達が少し広めの席に向かってると、戸塚と雪ノ下、由比ヶ浜が勉強していた。

ほんと、戸塚が女子二人といても違和感ないよな。

「おう、戸塚。」

俺が返事をすると戸塚は微笑み返してくれた。

やっぱり笑顔が一番だよねー。

ほら見て隣の由比ヶ浜なんて

『やっばー、誘ってない人来ちゃったー』

見たいな気まずそうな顔をしてる。

「比企谷くんは勉強会に読んでないのだけれど何か用かしら。」

こいつは空気読まないよな、ほんと。

「俺も勉強会だ。」

「1人でやるのかしら?」

「いや、そこにいるだろ。操とくまちゃんが。」

「あら、なんであなたが二人の女の子を連れているのかしら?すぐに返してきなさい。そしてそのまま自首しなさい。」

「いや、どっちかというと俺の方が連れてこられたんだけど・・・。」

「ならあのふたりに感謝しなさい。あなたのような男を誘ってくれたことに。」

「えー、俺被害者なんだけど・・・。」

俺に対する容赦ない罵倒がどんどんと俺に突き刺さる。

「八幡、何してんのよ。注文するから早く来なさいよ。」

「あ、俺ハンバーグステーキとポテトと、あとテキトーにピザ一枚頼んどいてくれ。多分それで千円ぐらいだと思うから。」

「え・・・ヒッキー、サイゼガチ勢?」

なんだよサイゼガチ勢って。

そこまでガチ勢じゃねーよ。

週一ぐらいでしか来てねーよ。

あれ、同じ所に週1って多くない?

「比企谷、早く座んなさいよ。勉強会始まんないじゃない。」

「あ、わりーわりー。じゃ、そゆことだからまた後でな戸塚。」

「うん。八幡も勉強頑張ってね。」

「おう、戸塚もな。」

「ちょ、アタシ達は!?」

 

 

 

 

 

 

 

くまちゃんに数学Bを教えてると注文が来た。

流石サイゼ、なかなか早いな。

「あ、そうだ八幡。今こっちに綺凛が向かってるって。」

「なんで?」

「だって綺凛1人で家に居させるの可愛そうじゃない。小町は塾だし、紅覇は玉狛に遊びに行ってるし。」

「なんでお前はそんなに弟、妹のスケジュール把握してんだよ・・・。」

「兄弟ってこんなもんでしょ?」

え、そうなん?

じゃあ俺は兄弟じゃないの?

誰のスケジュールもわからないんだけど・・・。

「あ、八幡お兄さーん。」

「お、来たか綺凛・・・となんで木虎?」

何故か綺凛と一緒にいる木虎。

「綺凛ちゃんに誘われたんです。いちゃダメですか?」

「いや、俺はいいと思うけど・・・。」

「そうですか、では失礼します。」

木虎はそう言うと俺の隣に座ってきた。

まぁ、確かに操とくまちゃんが一緒に座り、俺は1人だけど・・・

「なんで俺の隣なの?あとなんで不機嫌?」

「ダメですか?」

「別にダメじゃないけど・・・綺凛がどっちに座るか迷ってるじゃん。」

綺凛はどちら側も2人座ってしまったため、どちらに座るか絶賛お悩み中。

「なら、席変えよっか。そしたら綺凛も座れるし。いいよね、比企谷、操?」

「いいんじゃね?・・・すいませーん席替えていいですか?」

俺は近くにいる店員に許可を得てもっと広い席に移った。

「綺凛、藍。好きなの頼んでいいわよ。全部八幡が出してくれるから。」

なっ、勝手なこといいやがって・・・これで本気にしたらどうすんだよ。

「いいんですか比企谷先輩?」

ほら、この真面目ちゃんには冗談は通じねーし

「あ、あの八幡お兄さん。自分の分は自分で払います。」

綺凛が変な気使うしよ。

「別にいーぞ。中学生がまだ気使うなんてはえーよ。あと木虎はもう少し気を使おうな?」

「やったー!友子、八幡が奢ってくれるって!私今月服買いすぎて金欠だったんだよねー。助かったわー。」

「くまちゃんの分も払ってやるが・・・操、お前は自分で払え。」

「なんでよ!?友子はオッケーでなんで私はダメなわけ!?」

「無駄使いしたバツだ。先月も似たようなこと言ってたろ。俺の金の使い道は俺が決める。」

ブーブー文句たらたらな操の事はほっとき俺は綺凛と木虎に好きなもの頼むようメニューを渡した。

 

 

 

 

 

 

 

全員分の料理があっという間に揃った。

因みに俺と操とくまちゃんの分は綺凛と木虎のが来るまで食べずに待ってた。

「じゃ、揃ったことだしいただきま・・・」

「あ、お兄ちゃんだ。」

かすかに聞き取れるほど小さな声だったがその声は聞き覚えがある。

入口を見るとそこには小町と謎の男がいた。

何あれ彼氏?

こっちに来てまだ間もないのに彼氏作るなんてどんなコミュ力だよ。

「よう、小町。その隣の男は誰だ?彼氏か?彼氏ならそうと言えよ。取り返しのつかないことを俺がする前に。」

「別に大志くんとはただのお友達だよ。」

その男、大志は俺にぺこりと一礼する。

「立ち話も何ですから座ったらどうですか?」

木虎提案により小町と大志は俺達の座っている椅子に座る。

流石に4人ともなると少しキツイ・・・。

木虎のなかなか発達してるアレが腕に当たってるし。

ま、興味ないんだけどね、年下に鼻の下伸ばすような事は無い。

って言いきれないんだけど・・・。

「で、何のようだ。出来るだけ手短にしてくれ。かなり狭いんだ。」

「うん、実は大志くんから相談を・・・っええ!?な、なんでここに嵐山隊の木虎さんがいるの!?だ、誰の知り合い!?」

そうか、小町は俺達がボーダー隊員っていうことを知らないんだったな。

知ったら自分もなる!とか言いそうだから、おふくろが黙ってろって言ってたしな。

我が家がボーダー一家だと言う事は比企谷家最重要機密となっている。

「あー、こいつは綺凛の同級生でな、さっきたまたま見かけたから一緒にご飯食べてるという訳。」

「へー、綺凛ちゃん有名人と友達なんだね。」

小町が目をキラキラさせて綺凛を見る。

そりゃ、有名人と知り合いって結構なステータスになるからな。

俺なんて嵐山隊全員と知り合いなのに一つもステータスになってる気がしないんだけどな。

「比企谷先輩、この人は?」

「こいつは小町。俺の妹で我が家の次女だ。で、小町。続きを。」

「あ、うん。それでね大志くんの相談に乗ってたんだけど。」

相談ねー。

相談なんて依頼来たらあいつが来そうだな。

「あら、その相談とは?」

もう来たようで。

なんでこいつは友達いないのに他人の会話に首突っ込めるの?

それくらいの勇気あれば友達増やせるぞ。

敵もいっぱい作るけど。

「実は相談というのは俺の姉ちゃんの事なんですけど、最近ずっと帰り遅いし、親のいうこと全然聞かないんすよ。俺が聞いてもあんたには関係ないってキレるし。お願いします、俺にはもう頼れるのはお兄さん達だけなんです。」

「誰が誰のお兄さんだって?俺のことを兄と呼んでいいのは世界で妹達と弟だけだ。義弟なんていらねー。俺は絶対認めねー。」

「あなたは何を頑固親父のようなことを言ってるのかしら。それで、一体何時頃に帰ってくるのかしら?」

「だいたい夜中の五時頃です。」

「おそっ!てかもう朝じゃん!」

なんでお前までこっちに来てんだよ、由比ヶ浜。

「ねえお兄ちゃん、この人達は?」

「立ち話もなんですし座らせていただけないかしら。」

「いや、もう無理なんだけど。狭いし、暑苦しいし。あと、お前らがなんで首突っ込んでんだよ。」

「あら、相談事ならあなたよりも私の方が役に立つもの。」

「比企谷先輩って学校では舐められてるんですね。」

うるせっ。

舐めてんのはこいつとナンチャッテお嬢様のゆみこ?とかいうやつだけだ。

他は俺のことを認知してない。

「すいません、この机動かしてもいいですか?」

雪ノ下が動かせるふたり用の机2つの指さし店員に聞く。

当然店員はNOとは言わない。

それが日本人だ。

机をくっつけ男3人?と女7人、総勢10人の大人数になった。

「やー、どうも。兄がお世話になってます。妹の小町です。」

小町の一言で自己紹介が勝手にスタートする。

「八幡の妹さん?初めまして、クラスメイトの戸塚彩加です。」

「あ、これはどーもご丁寧に。うはー、可愛い人ですねー、ね、お兄ちゃん?」

なんでこいつはこんなに上から目線なんだよ。

やっぱりおふくろと2人ぐらしはアウトだったか?

おふくろは息子の俺が言うのもなんだが人格が異常者だ。

ほぼ無表情で常に冷静、というより冷ややかな態度を取り続ける。

親父の葬儀の時も涙一つ流さず顔色一つも変えなかった。

そんなのと一緒にいたら性格も曲がるだろう。

その証拠と言ったら物足りないだろうが先日の小町と綺凛の件。

あれはおふくろの嫌味しか出てこない口が移ったのかもしれない。

「まー、可愛いのは否定しないが、こいつ・・・男だぞ。」

「ははー、またまたご冗談を。何言ってんだか、だから彼女のひとりもできないんだよ?」

「俺はあんまり女に興味ねーだけだ。男も女も大して変わらねーだろ。現に俺の見てきた女子よりも男の戸塚の方が可愛いということが起きてんだ。」

「もー、八幡ったら、僕男だよって何回も言ってるじゃん。」

「はは、わり、つい癖で。」

戸塚は恥ずかしいのか怒ってるのか顔を赤くし身じろぎした。

つーか小町よ、そんなに戸塚をみるな、こまってるでしょ。

「もうその辺でいいだろ。それと、こっちが由比ヶ浜でそっちが雪ノ下。」

「初めまして!ヒッキーのクラスメイトの由比ヶ浜結衣です。」

おい、ヒッキーいったら小町もヒッキーじゃねーか。

ま、こいつがそんな事考えてはいないだろうけどな。

「初めまして。雪ノ下雪乃です。比企谷くんの・・・。比企谷くんの何かしら・・・クラスメイトではないし、友達でもないし・・・誠に遺憾ながら、知り合い?」

「顔見知りでいんじゃね?」

「そうね、ただの顔見知りです。」

ほんとに顔見知りにしたよ、こいつ。

そんなに俺と知り合いなのが嫌なの?

それならもう、部活行くのやめよーかなー。

お互いの利益のためになるし。

平塚先生とは条件付きで入部した訳だしすぐに辞めることは出来るだろ。

「八幡の従兄弟の操よ、よろしく。」

「初めまして。比企谷の友達の熊谷友子よ。」

「比企谷先輩の後輩の木虎 藍です。よろしくお願いします。」

「八幡お兄さんと操お姉さんと小町お姉さんの妹の綺凛です。よろしくお願いします。」

総武高校勢とボーダー勢の自己紹介が終わると

「あの・・・俺どうすればいいっすかね?」

「名前と用件話せ。俺、暇じゃねーんだ。ここに長居するわけにもいかねーしな。」

大志が困ったような顔で手持ち無沙汰にしている。

俺だって結構手持ち無沙汰になってたが自分から、しかも女だらけという話かけづらい状況でなんとか話しかけようと頑張った大志はなかなかコミュ力が高いと思われる。

将来はマスメディア関係がイイんじゃね?

「あの、川崎大志っす。姉ちゃんが総武校の2年で・・・、あ、姉ちゃんの名前、川崎沙希っていうんですけど。姉ちゃんが不良っていうか、悪くなったっていうか・・・」

つい最近、というか今日その名前を聞いた覚えがある。

えーと、顔が出てこねー。

あ、思い出した!俺、クロのレリーフしか見てないんだった!

「うちのクラスだったっけか。」

「あー、川崎さんでしょ?ちょっとちょいワル系の。」

「お姉さんが不良化したのは何時ぐらいかしら?」

「今年になってからです。」

「あら、比企谷くんと同じクラスになってからということね。比企谷くん、なにか心当たりあるかしら?自分のした行為に。」

「ってもなー、まず俺はクラスのやつと関わるとしたら戸塚と操とくまちゃんだけだしなー。」

「ちょっ、あたしは!?」

「お前には基本自分から接しないってのが俺のルールだから。」

「なんでたし!?」

「お前のグループ騒がしいから。俺、騒がしいの苦手だし。」

そう、騒がしいのが苦手だから屋上など人気のないところで昼飯を食べてるというのに・・・。

ん?人気のない場所・・・。

「あ、俺あいつのパンツ覗いたんだった。」

俺は両の掌を合わせパンと鳴らした。

「クズ。」

「クズね。」

「クズだねー。お兄ちゃん。」

「クズですね・・・。」

「ヒッキーのクズ。」

「やはりあなたが原因ね、クズヶ谷くん。」

綺凛と大志と戸塚を除く全員は俺をクズ呼ばわりした。

確かに最低だとは思うけどさ、見たくてみたわけじゃないもん。

悪意はないもん。

脳裏に焼きついてるのは確かだけど。

「あ、あの・・・お兄さんは悪くないと思います。この前姉ちゃん宛に変なところから電話がかかってきたんすよ。」

俺のことをかばってくれた事は感謝するけどお兄さん呼ばわりしてんじゃねーよ。

ぶった斬るぞ。

「それの何が変なのよ。」

そんなに怖そうな顔で聞くなよ、操。

「だ、だってエンジェルっすよ!?もう絶対やばい店っすよ!」

エンジェル・・・エンジェル・・・プリプリプリズナー?

俺の知ってるエンジェルってプリプリプリズナーのエンジェルスタイルとエンジェルダッシュとエンジェルラッシュぐらいなんだけど。

あ、もうひとつ知ってる・・・確か前、諏訪さんと太刀川さんとで行ったバーの名前が確かエンジェルから始まってたような・・・。

俺が思考の渦にはまっている間に話し合いは進んでたらしく

「まず、どこの店からその連絡が来たのか突き止める必要がありそうね。」

「うん、そうだね。そうと決まればゆきのん、今日から調査開始だね。」

「いえ、今日は遅いから明日からにしましょう。」

「わかった。」

これで話し合いは終わり、各自解散となった。

因みに小町とボーダー勢の分は俺が全額払わされた。

今日来たのがサイゼでよかったー、と思う今日このごろでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は午後9:30、俺は今1人で例のバーに来ている。

服装はドレスチェックがあるため俺はトリオン体になり、隊服であるスーツを今日はビシッと着ている。

川崎沙希の特徴は青みがかった長い髪。

俺は店に入ると早速サイド・エフェクトを発動させる。

髪の長い女〜、黒いレースの女〜はどこだ〜。

お、あれか?

黒のレースか分からないが青みがかった長い髪の女がバーカウンターにいた。

「よう、川崎。」

「・・・どちら様でしょうか?」

あ、こいつ俺のこと知らない系女子か。

「同じクラスの比企谷だ。よろしくな。」

「そう、こんな時間ギリギリに来たって事は私がしてることバレちゃったのね。なにか飲む?」

「ん、マックスコーヒーを頼む。」

「珍しいわね、頼む人なんてあんたぐらいよ。」

そう言うと川崎は俺にマックスコーヒーをグラスに注ぎ、渡した。

俺はマックスコーヒーを一口飲むと

「で、要件は何なの?学校にでもチクる気?」

「いんや、そんな恨まれるようなことはいねーよ。ちょっと答え合わせしに来ただけだ。」

「答え合わせ?」

「そ、お前の弟がチョー難しいクイズ出してきてよ、そのヒントがエンジェルだけときたもんだ。で、その答えを見つけたからここに来たわけ。」

「大志があんたに何を言ったのか大体はわかる。おおかた、私にバイト辞めろってところだろ?」

「そんなところだ・・・が、どんな風にしてバイトを辞めさせるか、これが問題にはなくてな、悩んだ結果がこれなんだが・・・」

俺はカバンに入れておいた封筒を川崎に差し出した。

これで間違ってたら恥ずかしき事この上ないな。

「!これって・・・」

「どうだ?当たってるか?途中式出すのめんどいから答えだけ出したんだが・・・お前の満足のいく回答か?」

「ふふ・・・、そうね、私の満足する回答よ。それにしてもよくわかったわね。ストーカー?」

「んなわけねーだろ。俺がいつお前のこと見てたって言うんだよ。」

「見てたじゃない。スカートの中。」

「ごめんなさい。」

「別にいーわよ。それ以上の収入が今手に入ったんだから。」

「そうかい、じゃあ最後に聞く。ここを辞める気はあるか?」

「ああ。辞めるきっかけが出来たしね。ありがと。」

「そいつぁ良かった。んじゃ、俺は帰るな。あんましここにいたら目を付けられるかもしんないし。じゃあな、ちゃんと家族が納得すること言うんだぞー。」

俺は金を払い、ポッケに手を突っ込みその場をあとにした。

 

 

 

その場と、そのバーって・・・似てない?

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。