やはり俺の界境防衛機関での物語は間違っている   作:つむじ

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彼の予感は当たりやすい

日曜日。

今日はおふくろと小町が引っ越してくる日だ。

特にワクワクやドキドキなんてしてないが、なんか胸騒ぎがする。

紅覇がいれば何とかなると思うが心配だ。

早く防衛任務終わらないかな〜。

「比企谷先輩、お待たせしました。」

サングラスを掛けた3人組が俺の前に現れた。

サングラスが3人、略して『グラ3』間宮隊だ。

「いや、待ってないぞ。俺もさっき来たばっかだ。」

俺はデートで使われるであろうセリフを言い放った。

つーかデートってなんだし。

あれか、日付を英語にしたのか。

男子と女子が一緒に出かけることをデートと言うのであれば操や綺凛と外出の多い俺はしょっちゅうデートをしていることになるのだろう。

やったね、リア充の仲間入りだ。

まあ仲間になっても省かれ続けるんだけどね。

仲間に省かれるとか悲し過ぎるな。

つまりそれは仲間になれていないということだ。

俺はリア充になっても非リア充のままでも省かれ続ける運命にある。

ま、そんなのどうでもいいんだけどね。

(ゲート)発生しました。誤差1.39です。』

さ〜て、とっとと早く終わらせてうちに帰るか。

あ〜れ〜る〜ぜ〜、止めてみな!

 

 

 

 

 

 

 

ふぃ〜、やっと終わった〜。

トリオン兵は思ってたより少なくて楽だったな〜。

トリオン兵討伐は。

トリオン兵討伐自体は素早く片付けられた。

素早く終わった代わりの代償がでかかった。

間宮隊の必殺技『誘導弾嵐(ハウンドストーム)』はかなり強力だ。

1人だけなら大した威力にならないが三人同時にやるとその威力はとてつもなく強力だ。

四方八方からくるハウンドはまるで那須の『鳥かご』を想像させるかのような動きたった。

だが、那須の鳥かごはバイパーでやるからこその物であってハウンドでは繊細ではなくなる。

バイパーは遮蔽物を避け標的を狙うことが出来るがハウンドは遮蔽物を避けながら標的を狙うなどほぼ不可能だ。

特に視線誘導ではなく探知誘導の場合は遮蔽物などお構い無しに壊していく。

そう、今日の防衛任務がまさにそれだ。

一体のバムスターに対して3人がかりでハウンドストームをやる。

そうすると自然と周りの建物を巻き込む。

街を守るボーダーが街を破壊するという謎の矛盾した組織に成り下がってしまう可能性を感じ、俺は叩き落とせる範囲でハウンドを叩き落とし、間に合わないのをシールドで防ぐなど、建物を守るためにトリオンを一割近く使った。

本来、防衛任務で特にアタッカーはトリオン消費量が少ない。

それに俺はボーダー内で一番のトリオン量だ。

そんな俺がトリオンを一割近く消費するなど珍しいを通り越し初めてと言っても過言ではないだろう。

まぁそんなところを心優しく許すのも先輩の務めだし?元から俺、優しさの原石だし?未来ある後輩を伸ばすのも俺の務めだし?

ほら、俺の優しさがわかったのか間宮隊の3人が俺の元に歩いてきてるよ。

「比企谷先輩、今度は叩き落とせないような弾道と威力を持ったハウンドにしてみせます。今日はありがとうございました。」

何もわかってなかったよ。

むしろもっと壊す気なの?

え?ボーダー隊員が街に進撃するの?

attack on border

進撃のボーダー

近日撮影決定!

みんな、絶対見てくれよな!

は〜、帰るか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜。おふくろ〜、小町〜いるか〜?」

ドタドタドタ、と階段を駆け下りる音が玄関いっぱいに響いた。

「お兄ちゃ〜ん!おかえりー!」

実の妹、小町が俺にタックルする勢いで飛びかかってきた。

俺は反射的にその場に屈む。

すると小町が俺を跳び箱にするかのように手を付き飛び越え玄関に素足で着地した。

いったーい!、と騒がしい姿は四年前と何も変わらない。

「ただいま、久しぶりだな小町。」

「うん、だから久しぶりのハグを」

「しないから。ところでおふくろは?」

「お母さんなら新しい職場に挨拶行ってくるって言ってたよ。」

「そうか、わかった。じゃ、飯食いに行くか。操たちは?」

「操お姉ちゃん達は・・・。」

小町が急に言葉を濁し始めた。

なんかやましいことでもしたのか?

「操、紅覇、綺凛、ただい・・・」

俺の言葉は最後まで言い切ることなく途絶えた。

綺凛が泣いている。

俺は初めて綺凛が泣いてるのを見た。

綺凛はいつも笑顔でい続けた。

俺も誰も泣かせないように努力し続けたつもりだ。

「おい、どうした操。何があった。」

綺凛を慰めていた操に問う。

「じ、実は・・・

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ーーーーー

「はじめまして、お兄ちゃんの妹の小町です!これからよろしくお願いします。」

「操以外ははじめましてになるわね。八幡の母親の桐花よ。よろしくね。」

2人が引っ越してきて自己紹介をした。

小町は八幡と違い活発で明るい子というのが第一印象だった。

それに対して桐花は八幡に似てあまり表情を崩さないというのが第一印象だった。

「小町とははじめましてになるね。小町、あなたの従兄弟の巻町操よ。よろしくね。」

「え?従兄弟?小町そんなの聞いたことないよ。お母さんは知ってたの?」

「知ってるわよ。当たり前じゃない。」

「言ってくれても良かったじゃん。何で言ってくれなかったの?」

「会う機会がないと思ってたのよ。元々、八幡や操とは合わせるつもりはなかったの。」

「なんで?」

「そのうちわかるわ。ごめんなさい、話の腰を折って。」

「じゃ〜次は僕の番だね〜。僕は練紅覇。八兄の義弟だよ〜。はい、じゃあ次綺凛。」

「は、はい。はじめまして、刀藤綺凛です。えっと、八幡お兄さんの義妹、です。」

こうして、各自の自己紹介が終了した。

1人を除いて・・・。

 

 

 

 

「じゃあ、私は新しい職場に挨拶行ってくるからあんた達仲良くやるのよ。あと小町、あんたはへやのかたづけしときなさい。」

バタン、と扉を閉める音だけが響き渡った。

その時一人の少女が動き出した。

「ねぇ綺凛ちゃん。」

「はい、なんですか?」

「綺凛ちゃんってさ誰の許可もらってお兄ちゃんのいもうとやってるのかな?」

小町が綺凛に近づき話しかけた。

「え、えっと・・・あの八幡お兄さんが『お前は俺の妹だ。』って言ってくれたので・・・。」

「ちっちっち、違うんだな〜それが。お兄ちゃんが言ったのは妹分、っていう意味だよ。お兄ちゃんの妹は小町1人だけだからね。もう、お兄ちゃんの義妹だって言っちゃダメだよ。じゃ、小町部屋の片付けしてくるね〜。」

「ヒッグ、グス、グス・・・」

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ーーーーーーーーーーー

「てなわけよ。まさかいきなり仲が悪くなるとは思わなかったわ。小町ちゃんってあんなに嫌な女なの?」

「いや、少なくとも俺と暮らしていた時は他人を泣かすなんてことしてなかったと思うけどな。」

まさか泣いた原因が小町だとは。

別に誰が俺の妹だろうが関係ないんだけどな〜。

それにしても二人の妹に求められる兄とは、なんとも兄日和ですな。

それと逆にまさか俺が原因で妹2人が喧嘩するなんてな・・・。

喧嘩と言っても聞く限りじゃ一方的なんだけど。

「八幡、どうすんのよ。このままじゃ綺凛が可愛そうよ。あんたお兄ちゃんなんだからどうにかしなさいよ。」

「でたよ、お兄ちゃんなんだから。それ母ちゃんの決まり文句じゃねーか。たかだか数年先に産まれただけで扱いに差別を感じるんだよな。」

ほんと、俺もお兄ちゃんかお姉ちゃんが欲しい!

甘やかされて育ってみたかった。

おふくろ、養子とらない?

「ふざけてないでなんか案出しなさいよ。このままじゃ家庭崩壊するわよ。」

そいつぁー、見逃せねー。

でもな〜

「案って言ってもよ2人とも俺の妹だからな、扱いに関しちゃどっちを甘やかすとかないし、どっちかを見放すなんてのも出来ないんだよな〜。時間が解決してくれるのが一番なんだが・・・。綺凛、お前はどうしたい。いや、どうなりたい。」

「グス、わ、私はヒグ、小町お姉さんとエグ仲良くなりたいです。仲良くなれるならわだじ、ばちまんおにざんのいもうどやべばず。」

「いや、妹でい続けて。なんで小町と仲良くなるために俺の妹やめるの?かなりショックなんだけど・・・。」

妹が、家族が一人でも減ったら俺生きてく自信が無い・・・。

え、親父はって?

あれはマダオだから、あんまり思いでないから。

むしろ・・・『いいか八幡。あれがレバー、あれがミノ、お、ホルモンがあるじゃねーか。』なんて大規模侵攻の時モールモッドに斬られた人を指さしながら不謹慎なこと言い続けたやつを親父っていうか?

まあ、その後天罰が下ってトリオン切れを起こして自身も斬られたんだが。

「ほら、こんなアホほっといていいから。小町のところ行って一緒に打開策を考えましょ。」

おーい、アホはお前だよ〜。

相手に相談して決める打開策があるか。

起死回生に繋がる案を敵に教える奴がいるか。

ま、あとは小町次第だな。

今日の晩飯どこに食いに行こーかなー。

ピンポーン

「はいはい、どちらさま?」

『私よ。早く開けなさい。』

ガチャ

「おかえりなさい。もう帰ってこなくても良かったのに。」

「あら、たとえ天国だろうと極楽浄土だろうと私は帰ってくるわ。」

「随分とお花畑な頭してんな。地獄に行く気は無いってか。」

「私が行くわけないじゃない。」

「そうですかい。ところで今日、晩飯食いに行くけどおふくろも行くか。」

「悪いけど私はパス。これから新しい職場の人と飲みに行くから。」

「へぇー、もう仲良くなったのか。」

「元から知ってる人よ。あなたもよく知ってる人たちでもあるのよ。」

「誰だ?つーかどこで働くんだよ。」

「あら、まだ気付かない?」

「ん?まさか・・・」

「そのまさかよ。私、比企谷桐花は本日付で界境防衛機関副本部長に任命されました。これからよろしくお願いします、ボーダー隊員代表比企谷八幡殿。」

おふくろが副本部長!?

終わった・・・。

ボーダー隊員が、特にシューター達が。

あの二宮さんですら弱音をはいた特訓をきっと全シューターにやるつもりだ。

思い出したら吐き気が・・・

 

 

 

 

 

 

 

ゲヴぉら〜〜。

結局トイレで吐いちゃった、・・・テヘッ。

 

 


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