魔法科高校に一般人?が入るようです。   作:そろばん

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どうも。
今回は服部さん初登場です。
日向の呼び方は、

七草真由美は七草会長。
渡辺摩利は渡辺先輩。
市原鈴音は市原先輩。
中条あずさはあーちゃん先輩。
服部刑部は服部さんです。

それではどうぞ


入学編 その5

移り変わって放課後。

私と深雪、達也はまた生徒会へ来ていた。

私たちはノックをして生徒会室に入ると、会長達の他に一人の男子生徒が目に入った。

すると、一人の男子生徒がこっちに歩いてきて手を出した。達也をひと睨みして。

 

「初めまして、生徒副会長の服部です。司波さん、逆桐さん、生徒会へようこそ」

 

私たちは手を取らず頭を下げる。

服部さんは少し面食らった顔をしたが、すぐ戻り元の場所に戻って行った。

 

「早速だけど、あーちゃんとお願いね。」

 

「はい……。」

 

中条先輩はやや引き攣った笑みを浮かべる。

私と深雪は中条先輩に教えてもらうために近づく。

 

「さて、私たちも移動しようか」

 

「どちらへ?」

 

達也が少し疑問の声を掛ける。

 

「風紀委員会本部だよ。色々見てもらいながらの方が、分かりやすいだろうからね」

 

渡辺先輩が生徒会の隅の方にあった扉へ歩いていく。そして、その扉を開けようとした時、

 

「渡辺先輩、待ってください」

 

服部さんが待ったを掛ける。渡辺先輩は少し笑みを浮かべながら、茶化すように言葉を返した。

 

「何だ〜?服部刑部少丞範蔵副会長?」

 

「フルネームで呼ばないでください!」

 

服部さんは照れ混じりに慌て始める。そんな様子を見ながら、渡辺先輩は笑いを噛み殺しながら、面白がっていた。

 

「じゃあ、服部範蔵副会長」

 

「服部刑部です!」

 

「それは名前じゃなくて官爵だろ?お前の家の」

 

「今は官位なんてありません!学校には服部刑部で届けを…って、そういうことが言いたいのではなく!」

 

少し渡辺先輩と服部さんのやりとりが続いて、

渡辺先輩のやや、ボケの入り混じった言葉に、息を荒げながら服部さんが反論を言う。そして、服部さんが一層声を荒げながら渡辺先輩の言葉に反発する。それを聞いた渡辺先輩が疑問の声を上げた。

 

「じゃあ、なんだ?」

 

その声が聞こえると、服部さんの表情が落ち着きを取り戻していく。

 

「私は、その一年を風紀委員に入れるのは反対です。過去

、雑草を風紀委員に任命した例はありません。」

 

雑草と聞こえた瞬間、渡辺先輩が眉を顰める。花冠、雑草という呼び方は禁止だからだ。そのまま、渡辺先輩は服部さんの方へと向き直り、低い声で服部さんに言葉を放った。

 

「二科生を雑草と呼ぶのは禁止されている。私の前で言うとはいい度胸だな」

 

「取り繕っても仕方ないでしょう。それとも、全校生徒の3分の一以上を摘発するつもりですか?」

 

その言葉に渡辺先輩は押し黙ってしまう。

実際、一科生と二科生では埋めようのない溝があるのだろう。それによって一科生は二科生を蔑んだ目で見るのも事実で、二科生も言い返さずに、黙殺している。この現状がこの学校の大きな課題なんだろう。

私にはよく分からないけど。

 

服部さんは渡辺先輩の目を見たまま、訴えるようにして右手を拳の様にして、右胸の前に掲げる。そのまま、服部さんは言葉を続けた。

 

「風紀委員は、ルールに従わない生徒を実力で取り締まる役職です!実力で劣る雑草には務まらない!」

 

「確かに実力主義だが、その実力にもいろいろあってな………」

 

そう言いながら達也を指差す。

 

「達也君には、起動式を直接読み取り、発動される魔法を正確に予測する目と頭脳がある!」

 

その声を聞いた服部さんの顔が、驚愕の色に染まる。驚いた服部さんは即座に反論するかの様な口調で、渡辺先輩に訴える。

 

「まさか!?基礎単一工程の魔法式だって、アルファベット三万字相当の情報量があるんですよ!?それを一瞬で読み取るなんて、出来る筈がない!!」

 

「常識的に考えれば出来る筈なんてないさ。だからこそ、彼の特技には価値がある。」

 

そのまま服部さんの方へと向き直り、諭すかの様な声音で服部さんに言葉を告げる。対する服部さんは、いまだに信じられないと言った素振りで、顔を歪ませていた。

 

「彼は、今まで罪状を確定出来ずに、軽い罪で済まされてきた未遂犯に対する、強力な抑止力になる。それに、私が彼を委員会に欲する理由は、もう一つある。」

 

「………?」

 

服部さんが虚ろな視線を渡辺先輩に向けて、疑念の色を浮かべる。渡辺先輩はそれを確認して、言葉を続けた。

 

「お前の言う通り当校には、一科生と二科生に感情の溝がある。一科の生徒が二科の生徒を取り締まり、その逆はないと言う構造は、この溝を深める事になっている。私が指揮する委員会が、差別意識を助長するのは、私の好む所ではない。」

 

「くっ…………!!」

 

服部さんは有り得ないと言わんばかりの表情で、七草会長の方へと振り返った。そのまま睨みつけるかの様な表情で、口を開く。

 

「会長!私は副会長として、司波達也の風紀委員就任に反対します!」

 

そして、即座に取り乱した姿勢を整えて、背中に両腕を回して、直立不動の姿勢を取る。

 

「魔法力のない二科生に、風紀委員は務まりません!!」

 

「待ってください!」

 

その声を遮る様に深雪が声をあげた。

 

「兄は確かに実技の成績が芳しくありません。ですが、それは評価方法に兄の力が適応していないだけなのです!実践ならば兄は誰にも負けません!」

 

「司波さん……」

 

服部さんは深雪の決死の訴えを聞いて、僅かに動揺の表情を見せる。深雪に決死の表情でここまで言われるとは思っていなかったのだろう。だが、直ぐに冷静さを取り戻し、深雪に向き直って言葉を告げる。

 

「魔法師は事象をあるがままに、冷静に、論理的に認識できなければなりません。不可能を可能にする力を持つが故に、社会の公益に貢献する奉仕する者として、自らを厳しく律する事が求められています。魔法師を目指す者は、身贔屓に目を曇らせる様な事があってはならないのです。」

 

「お言葉ですが、私は身贔屓に目を曇らせて等おりません!」

 

服部さんの言葉に我慢が出来なかったのだろう、深雪が声を上げて服部さんに反発する。頬は薄ら朱に染まっている。

 

「お兄様が本当の力を持ってすれば―――」

 

深雪が堰を切ったかの様に言葉を吐き始めた所で、目の前に、深雪の言葉を遮る様に手が出される。深雪はそれに驚いて言葉を止めてしまう。深雪の目の前に手を差し出したのは、達也だった。達也は後ろに居る深雪を、まるで諫めるかの様な視線で見詰める。

 

深雪は未だに何か言いたげだったが、達也の視線を受けて渋々口を閉ざした。そのまま達也は長机に沿って歩き始める。その最中に両手を使って、緊迫とした空気の最中緩み始めているネクタイを締め直した。

 

「服部副会長……」

 

そのまま窓際まで歩み寄ってから、黄昏の夕焼けの光を浴びつつ、達也が服部さんに呼び掛ける。その声を聞いた服部さんは直立不動の体勢を取っていた姿勢をやや強張らせながら、達也の声に応じる。そして、それを確認した達也は服部さんの方へと向き直り、驚愕の言葉を発した。

 

「俺と模擬戦をしませんか?」

 

 

 




どうでしたか?
次回は出来れば日向の戦闘シーンも書きたいと思います。

次回もお楽しみに。

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