魔法科高校に一般人?が入るようです。   作:そろばん

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入学編 その12

『ブランシュ』と呼ばれる反魔法国際政治団体に狙われるかもしれないと家で兄の前で言ったらもう、大騒ぎだった。怒り狂って『ブランシュ』自体を探し出して全員片っ端から消すとまで言っていた。

 

シスコンここに極めり、である。

 

そんなことしなくて良いから『ブランシュ』について教えてと言うと、あらゆる情報を提供してくれた。

 

まず反魔法を掲げてはいるが、根幹は魔法をもっと知って、自分たちの良いように使おうとしていること。そして、自分たちの活動を邪魔する奴は襲うと言う。

次に、ブランシュは一高にもいるかもしれないということ。主に二科生を対象に魔法に対して強い不満を持っている生徒に声をかけているらしい。

そして、もし、一高が襲われるなら図書館を狙うということ。そこには、国家機密の情報があるらしい。

何故、兄がそんなことを知っているのかは分からないが、とりあえず参考にさせて貰おう。

 

あと、本当に襲ってきた場合は手加減なしで戦えと言われた。『破壊』も『ベクトル操作』も本来なら一人の人間が最初から持っているのを知られたら、命の危険性もあるとも言われた。

そこら辺は肝に銘じておくとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『皆さん!』

 

昼食を食べていると、突然放送で音量を間違えたのかとてつもない大きなキーン!と言う音を立てながら放送が始まった。

本来なら、使用申請を出さなければこの時間に放送室は使いないのだが、この時間の放送室の使用申請は出されてないので、間違い無く不法使用なのだろう。

放送では差別撤廃を目指す同士だと言っているが、実態は昨日兄から聞いたブランシュの下部組織『エガリテ』に参加している生徒だと、このとき思った。

 

「ごめんね、ほのか、雫。ちょっと行ってくるね」

 

「行ってらっしゃい」

 

「気をつけてね」

 

「うん」

 

携帯で放送室に集まれと召集が来たので弁当を片付けて放送室を目指す。既に深雪はいないが、恐らく達也のところに行ったのだろう。そう思って直接放送室に向かう。

 

 

 

放送室について、十文字先輩や渡辺先輩はもう既に来ていた。

 

「逆桐です。遅くなりました」

 

「いや、まだ早いほうだろう」

 

「遅くなりました」

 

私が来たあとに達也と深雪も来た。

 

「遅いぞ」

 

「すみません」

 

私と対して時間は変わらないのに怒られる達也、可哀想に。

まあ、形式的なものだと思うので状況を確認しよう。

 

とりあえず放送は止まっている。恐らくは電源をカットしたからだろう。放送室の扉は閉ざされており、突入した形跡は無い。如何やら占領した連中は、鍵をマスターキーごと持っていったらしい。

 

「明らかに犯罪だな」

 

「そうです。だから相手を暴走させない為にも此方は慎重に行くべきでしょう」

 

達也の独り言を鈴音が拾い、誰かに言い聞かせるような口調で自身の考えを披露する。誰に言っているのかは考えるまでも無く分かった。

 

「聞く耳を持ってる連中とは思えん。此処は多少強引でも短時間で解決を図るべきだ」

 

一人頭に血が上っているように思える渡辺先輩は、市原先輩の意見を却下しスピード解決を主張している。

 

「十文字会頭は如何のようにお考えで?」

 

達也は渡辺先輩の意見も聞きつつ、十文字先輩にも質問する。

 

「俺は交渉に応じても良いと考えてるが、学校施設を破壊してまで早急に解決すべきかは悩みどころだ」

 

「なるほど」

 

ああ、そういえば良い方法がある。

 

「なら、こうしましょう」

 

「何?」

 

達也の疑問の言葉を聞きつつもドアの前に立つ。

そして、鍵穴を覗き込んでレバーの位置を確認。そして、バレないようにベクトルを操作しつつ、

 

「開け、ゴマ!」

 

過去にあったらしい呪文を唱えた。

鍵元からはガチャ、と音がする。

 

「はい。これで良いでしょうか?」

 

私の行動に驚き、更に鍵が開いた事に驚いていた。

 

「……な、何をした?」

 

渡辺先輩が代表で聞いてくる。

……何って、

 

「鍵を開けましたが、それが何か?」

 

それ以外の回答はない。

 

「十文字先輩、中の人を取り押さえないと」

 

「……うむ。全員突撃!」

 

そう、十文字先輩の掛け声と共に、ドアを開けなだれ込んでいく。そして、中にいた人を瞬く間に捉えていく。

 

「な、何故鍵が開いている!?」

 

当然、そんな反応にはなるだろう。

閉まっていると思っていたドアがいきなり開いて捕まったのだから。

 

「何をしたんだ?」

 

達也が横に立って聞いてくる。

 

「何って、こう、なんて言うか、開け!って念じながら言ったら開いた」

 

「……つまり、適当か?」

 

「うん。私がしなくても達也に策はあると思ってダメ元でやってみた」

 

「……そうか」

 

なんとも言えない顔になっている達也。

本当の事は話せないのでとりあえずこれで納得してもらおう。横にいる深雪はクスクス笑っているから何の問題もないだろう。

 

 

 

このあとに七草先輩が来て、占領していた人の意見を聞くことになり、そして、明日に討論会をする事になった。


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