魔法科高校に一般人?が入るようです。   作:そろばん

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入学編 その11

部活動勧誘週間も終わり、緩やかな1日が始まろうとしていた。

部活動のいざこざ等もありはしたが、とりあえず大したこともなかったので、……ああ、来年もあるのか、って言う程度にしか思っていない。

 

いつも通り、制服を着てカバンを持って、行ってきます、と言う。

その時、

 

「ひな、ちょっと待った」

 

寝癖全開の兄が声をかけてきた。

 

「何?」

 

「これを渡しておきたくてね」

 

そう言って手のヒラに出したのは、ブレスレット型のCADだった。

 

「これは?」

 

「それは前にひなが言っていた傷を治す魔法だよ」

 

「……本当に出来たんだ」

 

「本当に出来ているかは分からないけどね」

 

「分からない?」

 

「うん。それはひなの持つ『破壊』の魔法を反転させる魔法なんだよ。でも、僕は『破壊』の魔法を使えないからね。一応、シュミレーションでは成功しているけど、実際に使ってみないと分からない」

 

「という事は、私は実験台?」

 

「……言い方を変えればね。実験台と言ってもひなのように『破壊』の魔法を使える人なんていないと思うからひな専用だね」

 

「…そう。で、どうやって使うの?」

 

「治したい場所、または人に手を翳してブレスレットのCADから魔法を使い、その魔法に『破壊』を使うと傷が治る。理論上はね」

 

「失敗したら?」

 

「傷口を破壊するわけだから逆に怪我の範囲が大きくなるね」

 

「……責任重大じゃない」

 

「まぁ、家に帰ってきてから練習しよう。とりあえず学校に行っておいで」

 

「……ん。行ってきます」

 

「行ってらっしゃい」

 

そう言葉を交わして家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校に着いてからはいつも通り時間が流れていく。

そうして、昼休みに入った。

私は昼ごはんの弁当を取り出して食べようとすると、

 

「日向。ちょっといいかしら?」

 

深雪が声をかけてきた。

 

「どうしたの?」

 

「七草先輩から生徒会室で食べないかって誘われているの。出来れば日向も一緒にって」

 

「え、うん。いいけど」

 

なぜか私まで呼ばれて弁当を風呂敷に包む。

それを持って深雪と共に生徒会室に到着した。

ノックをして生徒会室に入る。

既に七草先輩達は座ってご飯を食べ、そこにいた達也はもう終えている頃だった。

 

「いらっしゃい日向さん。ちょっとだけ聞きたいことと、話したいことがあるから座って貰えるかしら」

 

「?はい」

 

七草先輩の聞きたいことに見覚えがなかったがとりあえず座る。

 

「日向さんは『ブランシュ』って聞いたことある?」

 

「?いえ、聞いたことありませんが?」

 

「そう。……ねぇ達也くん。本当に話すの?」

 

「はい。逆桐も当事者ですから」

 

「……分かったわ。それでね、日向さん」

 

「はい?」

 

「『ブランシュ』って言うのは反魔法国際政治団体のことなの。本来、この名前は秘匿情報扱いで、国が情報を完全にシャットアウトしているんだけど、達也くんは知っていて、この学校の生徒もここに加入している可能性があるのよ。だから、気をつけてね」

 

「気をつけて、と言われても、何がどうして私に関係があるんです?その「ブラシ」って」

 

「ブラシじゃなくて『ブランシュ』ね。ほら、深雪さんから聞いたのだけれど、その『ブランシュ』のメンバーを一人で倒したって。キャスト・ジャミングの中で魔法を使ったって聞いて、一番貴女が計画の邪魔だとか言って狙われそうだから一応注意してね」

 

「まぁ、何を気をつければいいのか分かりませんが、分かりました」

 

「この話はこれでおしまいです。さ、お弁当食べましょ」

 

そう言ってまた弁当を食べていく七草先輩。

私も弁当を広げて食べ始め、

 

(『ブランシュ』か……。兄に相談してみようかな)

 

そう心の中で決めた。

 


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