どうも、ふぁもにかです。つい最近、感想で指摘されたことにより、物は試しとルビ振りを始めてみたのですが……ヤバい。超楽しいですね、ルビ振り。ついつい多用したくなっちゃいますね。特に使う必要のない箇所でもバンバン使いたくなっちゃいますね。ええ。なんで私が今までルビ振り機能をやたら敬遠していたのかが凄く謎ですね……。
そして。おかげさまで『熱血キンジと冷静アリア』の感想が200件を突破しました! イエーイ! ヤター! ヒャッホーイ! ( ゚∀゚)/アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ――ゴッ!? ゴホッ!?(←落ち着け)
……ホント、ここまで来ると感慨もひとしおですね。私の執筆意欲もみなぎるってもんですよ。ということで、これからもカオスな展開満載の性格改変型二次創作『熱血キンジと冷静アリア』をよろしくお願いします。m(_ _)m
――それは、過去の一幕。
『ん?』
黒髪の女の子が、遠くからかすかに聞こえてくる賑やかな声に首をコテンと傾ける。まだまだ幼い体躯ながら、星伽神社の巫女装束をしっかりと着こなしている女の子だ。
『どうした、ユッキー?』
疑問の声を漏らす女の子に対して、黒髪短髪の男の子が問いかける。女の子の属する星伽神社に遊びに来た男の子だ。こちらはTシャツに短パンといった年相応の格好をしている。
『あ、いや、何か今日は騒がしいなって思って』
『あぁ。今日は町で花火大会があるからな! 皆はしゃいでんじゃねぇのか?』
『花火大会、かぁ……』
女の子が正直に気になったことを口にすると、男の子が自身の予想を女の子に伝える。花火。それを女の子は知識で知っている。『火薬が爆発、または燃焼した時に飛び散る火の粉の色や形を楽しむ娯楽』といった、小難しい定義とともに知っている。見たい。女の子は一瞬だけそう思ったが、すぐにその気持ちに蓋をした。そうしないと、花火を見てみたいという自分の気持ちを制御できそうになかったから。
『せっかくだし、見に行くか、花火?』
『え?』
『いやさ、今日は金一兄ちゃんが忙しくて花火大会に来れないから、ホントは俺も行かないつもりだったんだけど……やっぱり、二人で行かないか?』
『……誘ってくれたのは嬉しいけど、私はいいや。行かない』
と、そこで。男の子は女の子を花火大会に誘う。男の子の言葉が意外だったのか、目をまん丸にして驚いた女の子だったが、すぐにフルフルと、力なく首を左右に振った。
『? なんでだよ?』
『だって、町まで行くの、めんどくさいもん。それに、ここからでも見えないことはないからね』
『いや、つっても、ここからじゃ小さくしか見えないんじゃね? ここ、町より結構遠いぞ?』
『うん。まぁ、そうなんだけどね……』
女の子はウソをつく。本当はめんどくさいなんてことはないというのに。星伽神社からは花火を見ることはできないというのに。女の子はウソをつく。平然とウソをつく。漆黒の瞳に諦めの色を宿す。そんな女の子の瞳は、男の子にとって、酷く気に入らないものだった。
『なぁ、行こうぜ! 花火大会!』
『いや、でも――』
『早く行かないと始まっちゃうぞ、ユッキー! ほら!』
『ちょっ、キンちゃん!?』
男の子は、強引に女の子の手首を掴むと、星伽神社の階段を駆け下りる。巫女装束の女の子がつまづくことのないように気を配りつつ、階段を一気に下っていく。
『キンちゃん! ダメだよ! 私は外に出ちゃいけな――』
『大丈夫だって! バレなきゃ大丈夫! それに、もしユッキーが叱られそうになったら全部俺のせいにすればいいからさ!』
『そんなことできな――』
『それに、直に見る花火ってスゲーんだぜ! こう、目の前で、バーンてなってさ! 見ないと絶対損だって!』
星伽神社の外に出ることをためらう女の子の主張を遮って、男の子は笑いかける。『何事も“ケーケン”が大事だって金一兄ちゃんが言ってたからな! 花火を見るのもいい“ケーケン”って奴なんじゃないか!?』などと言って、矢継ぎ早に言葉を続けていく。
晴れやかな笑みを浮かべて、無邪気に前を走る男の子。男の子に引っ張られる形で後ろを走る女の子は、いつしか楽しそうな笑みを浮かべていた。何だか現状がおかしく思えて、いつしか小さく笑い声を上げていた。女の子にとって、こうして純粋に笑ったのは、随分と久しぶりのことだった。
――暗転。
「ユッキー」
「……ぅ」
「ユッキー。起きろ、朝だぞ」
「ん……、あと555時間……」
「……そこはせめてあと5分と言ってくれ。とにかく、もう起きろ。そろそろ起きないと遅刻するぞ」
「あい……」
4月下旬の心地いい朝日が差し込む中。白雪は目を覚ました。キンジに3分ほど体を揺すられたことで、まどろみの中にいた白雪はようやく目覚めることに成功した。懐かしい夢だったな。のそりと体を起こした白雪は覚醒しきっていない意識のままで微笑みを浮かべる。
寝ぼけたアリアが自身の眠るベッドの場所を間違えたために、キンジがアリアとベッドを共有せざるを得なかった日の朝のことだった。
◇◇◇
(……ホントに何もやってないんだな、ユッキー)
放課後。白雪護衛のため、所用により別行動を取っているアリアに代わって、白雪が会長を務めている『アドシアード準備委員会』に足を運んだキンジが、末席から会議の様子を見つめる中で抱いた感想がそれだった。
『アドシアード準備委員会』とはその名の通り、来週に迫るアドシアードの段取りを決める委員会のことを指し、アドシアード期間中のスケジュールやらマスコミ対策やらアドシアードのしおりのレイアウトやらについて話し合い、決定を下して即座に実行に移すことを存在意義としている。尤も、『アドシアード準備委員会』はそのほとんどが生徒会メンバーによって構成されているため、実質は生徒会と何ら変わりない存在と化しているのだが。
そして。会議が始まってからというもの、会長職を務めるユッキーが何をやっていたのかというと、会議がつつがなく進行する様をニコニコと眺めているだけだった。それも、副委員長の女性の膝の上で時々頭を撫でられながらである。
後は、会議の終盤に、話し合いの中で製作されて差し出された書類に一瞬の躊躇もなしに印鑑を押したり会議の中で決められた方針について速攻で了解を出したりといった感じで、会長職としての最低限の職務をニッコリ笑顔でやり遂げたぐらいだ。
『アドシアード準備委員会』のメンバーが真剣に話し合って決めたことに対して全責任を持つ。そのように表現すれば非常に聞こえはいいのだが、結局の所はユッキーが会議の中で決められた事項の是非について考えることすらめんどくさがって思考を放棄しただけだ。まぁ、そのおかげで会議がサクサク進んで、予定よりも遥かに早い時間に話し合いが終了することとなったけど。
話には聞いていた。ユッキーはマスコット扱いされる生徒会長としてその地位を固めていると。だが。しかし。こうして実際の状況をまざまざと見せつけられると、呆れるしかないのがキンジの素直な気持ちだ。
キンジですら、何もしないでただ『アドシアード準備委員会』の会議の場に居続けることに何とも言えない気まずさを感じて、会議中にいくつか意見を提示したというのに、相変わらずだらけまくってみせた白雪。その胆力は大したものだと呆れを通り越して感心したキンジだった。
ただ。キンジには気になることがあった。白雪が「じゃあ、時間はまだ早いけど、これで会議を終了します。皆さん、お疲れさまでした」とペコリと頭を下げて会議の終了を宣言したことで、会議がお開きとなった時のこと。
ショッピングモールに行こうだの、カラオケに行こうだのとワイワイと話しながら『アドシアード準備委員会』メンバーは解散していったのだが、そんな和気藹々とした委員会メンバーの後ろ姿を、ユッキーがどこか遠い目で眺めていたのだ。まるでいくら手を伸ばしても決して届かないものを既に手に入れている彼女らを羨むように。青空を思い思いに羽ばたく鳥たちを見つめる『かごのとり』のように。
別にユッキーが一人だけハブられているわけではない。事実、ユッキー自身は遊びに誘ってくる委員会メンバーたちを「面倒だから」の一言で軽く断っていた。それだけに。羨ましそうに、淋しそうに、去っていく委員会メンバーを見つめるユッキーの様子は、何だか不自然だった。少なくとも、キンジにはそう思えた。
「なぁ、ユッキー」
「んぅ? どうしたの、キンちゃん?」
キンジが白雪の名前を呼ぶと、それで我に返ったらしい白雪が疑問の声とともにキョトンとした漆黒の瞳をキンジへと向けてくる。その瞳には、先までのどこか羨望混じりの眼差しがわずかに残っている。
「せっかく誘ってくれたのに、なんで断ったんだ? ユッキー、一緒に行きたそうにしてたじゃねぇか?」
「んー? そう見えたの?」
「あぁ、何となくだけど」
「……まぁ、興味がないって言ったらウソなんだけどね。でも、いいの。今の私は護衛されてる身だし、それに、外で遊ぶのは面倒だもん。やっぱり中が一番だよ。ゆっくりゴロゴロできるからね」
「……そっか」
キンジが率直に聞いてみると、白雪はいつものようにニヘラと脱力しきった笑みを浮かべて言葉を返してくる。しかし。キンジには白雪がどこか辛い思いを隠して笑みを貼りつけているように感じられた。その後。キンジはいくつか白雪と言葉を交わすも、白雪の瞳から羨望の念が消えることはなかった。
◇◇◇
「首尾はどうだった?」
『師匠。拙者が探した限りでは、残念ながら校内に
『アドシアード準備委員会』による会議終了後。男子寮へと帰ることとなった白雪の護衛を用事を終えたアリアに任せて武偵高に残ったキンジは、人気のない屋上で電話をかける。そして。電話相手に端的に問いを投げかけると、古風なござる口調の返答が返ってくる。その声は、キンジの
「……そうか。となると、既に校内に
実は昨日、キンジは武藤と別れた後に陽菜と接触し、武偵高内に白雪に好意以外の感情を込めた異様な視線を注ぐ怪しげな者がいないかを探らせていたのだ。イ・ウーの一員たる武偵殺しの真犯人の正体が峰理子リュパン四世という、まさかの同じ武偵高に通う一生徒だったということもあり、
『……師匠、拙者を全面的に信頼してそのように言ってくれるのは純粋に嬉しいでござる。しかし、いくら拙者が師匠よりも隠密関連において実力があるとはいえ、拙者とてまだまだ未熟な身。拙者がどこかで
「そうか? 陽菜の目をごまかせる奴なんて早々いないと思うんだが」
『しかし、今回拙者が見つけ出そうとしている相手は今や都市伝説の存在と化した正体不明の誘拐魔にござる。誰にも正体を知られずに超偵を誘拐するだけの卓逸した隠密能力を有している以上、拙者の目を欺くことなど朝飯前なのかもしれないでござる』
「……まぁ、確かにな」
しかし。陽菜はキンジの判断に待ったをかける。脳内でキンジが作り上げている『陽菜の探査能力>
『ひとまず、拙者はもう少し、細かく調べてみるでござる。結果は明日のこの時間に伝えるでござる』
「悪いな、陽菜。いきなりこんなこと頼んで」
『いえ。謝らないでほしいでござる。拙者、師匠のお役に立てて、光栄の至りにござる』
「陽菜……」
キンジの詫びの言葉に、陽菜はいかにもキンジに頼られるのが心底嬉しいといった風な声音で返事をする。いつになく忠誠心あふれる態度を見せる陽菜に、キンジの中で陽菜への好感度が急上昇すると同時に、今自分が話している相手は本物の風魔陽菜なのだろうかとの疑いが生まれる。
だが。続けて陽菜がしみじみと放った、『それに。師匠よりも勝っている分野で師匠の力になれるのは、優越感が凄まじいでござるからなぁ』との発言で、キンジは「あ、こいつ本物の陽菜だ」と心から納得する。陽菜の余計な一言によって、キンジの陽菜への好感度が急下降していることは言うまでもない。
と、その時。
『ところで、師匠。此度、拙者は師匠が星伽殿とともに風呂に入り、二人で一緒に大人の階段を駆け上がったとの捨て置けない耳寄りな情報を入手したでござるが、これは真にござ――』
嬉々とした表情で言葉を紡いでいるであろう陽菜の発言を中断する形で、キンジは強引に電話を切った。なんで陽菜がそのこと知ってんだよと、陽菜の情報網に言いようのない怖れを抱きながら。もしもキンジが直接陽菜と会っていたら、今頃は散々陽菜の手の平で遊ばれていたことだろう。電話で助かったと、キンジは安堵のため息を吐いた。
『……今日は全然師匠をからかえなかったござるなぁ。不完全燃焼にござるが、仕方ないでござる。次回に持ち越しにござるな。さて、次はどうからかったものか……』
結果。残念そうに眉を潜めつつも、愉悦を含んだ声を漏らす陽菜の発言をキンジが聞くことはなかった。
キンジ→今回の白雪護衛任務にあたって、ちゃっかり陽菜の協力をも得ていた熱血キャラ。今現在、白雪の様子に違和感を感じている模様。
白雪→今回はどこか様子がおかしかった怠惰巫女。会議中でもやっぱり働かない。
陽菜→今回は珍しいことにキンジをからかわなかった忍者少女。
ショタキンジ→この時点で既に重度のブラコンと化している男の子。といっても、この年齢でのブラコンはさほど問題ないと思うけど。
ロリ白雪→この時点で既にめんどくさがり屋と化している博識の女の子。この年齢で怠惰精神が宿ってるのは、結構ヤバいのではなかろうか。
……というわけで、ここらで徐々にユッキールートへと移行しようと思います。今回の話はその布石です。尤も、ユッキールートに移行しきったとしても、その影響でアリアさんの可愛いシーンが根こそぎ消え去るわけじゃないんですけどね。
~おまけ(突発的ネタ:輪るピングドラム風)~
白雪「せいぞぉーん、せんりゃくぅー!(←いつの間にやらレオぽんの帽子を被った白雪)」
【約1分間の導入部(トリプルHの歌)は割愛(※輪るピングドラムのアニメ参照)】
白雪「イマージーン!(←決めポーズ)」
白雪「きっと何者にもなれないお前たちに告げる」
キンジ&アリア「「へ? えッ!? えぇぇえええ――!?(←ワケのわからない謎空間、手枷、足枷に順番に驚く二人)」」
白雪「ピングドラムを手に入れるのだ(←ドヤ顔で)」
キンジ「ちょっ、何言ってるんだよ、ユッキー!? それにその服!? 何のコスプレなのさ!? いつもの巫女装束はどうしたんだよ!?」
白雪「妾はユッキーではない。妾はお前たちの運命の至る場所から来た。あとこの服は仕様だ。触れてくれるな」
キンジ「ユッキー!? 何だよ、その口調!? ホントにどうしちゃったんだよ!?」
アリア「――帽子です」
キンジ「え?」
アリア「にわかには信じがたいですが、あの帽子がユッキーさんを操ってるようです」
キンジ「んなバカな!? あれはこの間アリアがちゃっかりUFOキャッチャーで取ってきたただのレオぽんの帽子じゃないか!?」
白雪「今、このユッキーとやらは妾の力で一時的に余命を伸ばしている。しかし、この世に無償のものなどない。その命の代償いただくぞ(←二人に一歩一歩近づきつつ)」
キンジ「おい、待てよ!? お前の物言いだと、まるでお前がいないとユッキーが生きられないみたいじゃねえか!?」
白雪「然り。物わかりがいいではないか。さすがは武偵といった所だな(←スタイリッシュ脱衣:その1)」
キンジ&アリア「「ッ!?」」
白雪「この者は怠惰に溺れ、普段から体を動かすことを放棄し続けた。結果、この者の体力は10代後半とは思えないほどに衰え、今では妾の力なしには生きられないほどに弱りきった状態になっているのだ。よって、代償を差し出さなければこの者は死ぬ」
アリア「ユッキーさん。貴女、どんだけ動いてなかったんですか……」
キンジ「……何が目的だ? 俺たちに何をさせようってんだ?」
白雪「先も言っただろう。ピングドラムを手に入れるのだ(←スタイリッシュ脱衣:その2)」
アリア「ピングドラム? 聞いたことがありませんね。どこに行けば手に入るとか、誰が持っているとか、そのような情報はないのですか?(←スタイリッシュ脱衣についてはスルーしつつ)」
白雪「ふむ。そうだな。
キンジ「なんだよ、多分って」
白雪「なんだ? 気にくわぬのか? この者がどうなってもよいのだな(←スタイリッシュ脱衣:その3)」
キンジ「喜んでやらせていただきます、レオぽん様(つーか、さっきからなんでやけにスタイリッシュに脱いでんだよ、こいつ。正直目のやり場に困るんだが……)」
白雪「うむ。その意気だ。よいか。必ずやピングドラムを見つけ出すのだ。もしそれが叶わぬ時は、この者の命はないものと思え」
キンジ「ちょっ、多分とかそんなことで責任取らせるのあんまりじゃ――」
レオぽん2号「きゅっぷい(ポチッ、パカッ ←キンジの背後に控えていたレオぽん2号が床のボタンを押したことで、キンジの真下の床が真っ二つに割れた音)」
キンジ「ねえええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――!?(←ボッシュート)」
アリア「キンジ!?」
白雪「生存戦略、しましょうか(←レオぽん1号&3号を踏み台にしつつ)」