【完結】熱血キンジと冷静アリア   作:ふぁもにか

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??「まさか私に再び出番が与えられるとはな。一度きりの出番だと思っていたんだが……」

 というわけで、どうも。ふぁもにかです。当初の事後処理回の目的は今回の話を描写するためのものだったのですが、レキさんに陽菜さんが登場もとい乱入してきた影響でここまでたどり着くのに存外時間が掛かってしまいましたね。ええ。でもって、今回何気にあとがきが2200字超えちゃったりしてます。

 ……ん? 7月末の単位を賭けた試験勉強はどうしたのかって? 私が何時間も机にしがみついてガリガリ勉強できるだけの忍耐力を備えた猛者なワケないでしょう? つまりはそういうことですよ。エッヘン。



26.熱血キンジと面会所トーク

 

「……」

 

 忍者スタイルを地で行く少女:風魔陽菜の力を借りてどうにかロボットバトルジャンキーレキ(略してRBR)から逃げきった強襲科(アサルト)Sランク武偵、遠山キンジは近場のファーストフード店でしばしの休憩をとっていた。

 

 いくら陽菜が絶体絶命の所を助けに来てくれたとはいえ、それまでの数分間、防弾制服なしの状態で殺気みなぎるレキ相手に命懸けの攻防、というか防戦を繰り広げたことには変わりない。レキの容赦ない攻撃&陽菜との言葉のキャッチボールにより心身ともに疲れきっていたキンジが一時休憩の選択肢を選ぶのは当然の帰結といえよう。

 

(……今度、陽菜に何かお礼をしないとな。折角だし、少し高めのレストランにでも連れて行ってみるか? あいつ割とグルメだし、そういうの喜びそうだよなぁ)

 

 キンジはどこぞの白雪を彷彿とさせるだらけっぷりでカウンターに突っ伏しつつ、今頃狙撃科(スナイプ)Sランク武偵たるレキの足止めのために獅子奮迅と言わんばかりの素晴らしい活躍を見せているだろう陽菜の姿を脳裏に思い浮かべる。

 

 人をからかうことを至上の喜びと位置づけている陽菜の手のひらでいいように踊らされたとはいえ、その陽菜に絶体絶命の窮地を救ってもらったのは紛れもない事実。なので、キンジは何らかの形で陽菜にお返しをする必要があるのだ。もちろん、これは別に義務ではない。単にキンジの気持ちの問題だ。

 

 それに。数少ないSランク武偵の一人として様々な依頼をそつなくこなしているキンジには武器にあまりお金を使っていない(使う機会があまりない)ことも相重なってか、ある程度お金に余裕があるのだ。少しばかり羽振りよくお金を使っても何ら問題ないだろう。キンジは心の中でうんうんとうなずいた。

 

 キンジは知らない。日々プログラミングのバイトを継続している陽菜もまた、レキの食事代を奢るくらいにはお金に余裕があることを。レキと陽菜がネットゲーム上での同志であり、今現在二人がファミレスでアイスをパクつきつつ互いに親睦を深めていることを。陽菜がレキとの談笑という名の足止めに取りかかっていることに。陽菜がレキの足止めの際に微塵も苦労していないことに。

 

(体力も回復してきたし、そろそろ動くか……ハァ)

 

 キンジは己の考えとは裏腹に気乗りしない表情を浮かべる。確かにこの場所で休憩をとったことで体力は回復した。これから動くにあたって特に支障をきたすことはないだろう。しかし。レキ&陽菜の二名の影響によるキンジの精神の疲弊具合はこの程度の休息で回復するような軽度のものではない。精神的には少しも回復した気がしないのだが、だからといっていつまでもここで時間を潰すワケにはいかない。己のこなすべき用事を蔑ろにするワケにはいかない。

 

 キンジはため息を吐いて一度背伸びをすると、おもむろにファーストフード店を後にした。用事を済ますことなく放り出して、そのまま家に帰って眠りたい衝動を堪えつつ。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 キンジの外せない用事。それは簡潔に言うならとある場所に足を踏み入れることだ。そこは以前、キンジがアリアに連れられる形で訪れた場所。アリアがキンジをパートナーとして必要とする理由を知ることとなったきっかけの場所。新宿の警察署だ。

 

「それで? アリアの様子はどうだ?」

「武偵殺しの真犯人に首を切られはしましたが、命に別状はありませんよ。感染症への警戒もあったので、大事をとって3日ほど入院するって話でしたから。明日には退院するはずです。首の傷も残らないって話ですし」

「そうか。それは良かった。女の子の傷痕が赤の他人に与える印象はあまりよろしくないものばかりだからな」

 

 警察署内の面会室にて。キンジがアリアを取りまく現状を軽く伝えた所、キンジの眼前の濃い茶色の髪を背中まで伸ばした女性、神崎かなえはニシシと少年のごとく笑う。頬杖をついた状態で安心したように笑みを零す。どこまでも大人の女性らしい外見とイタズラ好きの少年のような言動。違和感があって当然のはずなのに、そのようなミスマッチさを一切感じさせない何かが彼女にはあった。

 

(相変わらず……何というか、不思議な魅力のある人だよな……)

「それにしても、わざわざ済まないな。私のために時間を割いてもらって」

「いえ。気にしないでください。これは俺の勝手ですから。これでも俺は目の前の理不尽は見過ごせない主義なんですよ。かなえさんの事情を知った以上は、放っておけません」

「フフッ。随分と正義漢なんだな。今時の若者にしては何とも珍しい」

「そんな大したものじゃありませんよ。俺はただ感情のままに動いているだけですし」

「フフッ。少年。謙遜は日本人の美徳だが、褒め言葉くらいは素直に受け取っておけ。それが相手に対する最大級の礼儀ってもんだ」

 

 パイプ椅子に座る神崎かなえは実に楽しそうに笑う。痛快な笑みを見せつつ、キンジに自身の言葉を素直に受け止めるよう要求する。彼女の純粋な笑みと全てを見透かすようなブラウンの瞳を前にキンジは一瞬何を言うべきかがわからなくなり、「……えと。じゃあそうさせてもらいます」との言葉とともにペコリと頭を下げた。完全に神崎かなえに話のペースを取られているキンジだったが、不思議と陽菜と会話している時のような精神的な疲労は欠片も感じなかった。おそらく人をからかって遊ぼうとする意志の有無がキンジの精神への負荷に多大な影響を与えているのだろう。

 

 さて。キンジが今こうしてアリアを差し置いて神崎かなえに接触している目的なのだが、それは彼女の公判が延びたことを自分の口で神崎かなえ本人に報告するためだ。要するに公判延ばしが成功したといった旨のお知らせをすることが今回の面会の目的である。

 

 神崎かなえは今現在、秘密結社イ・ウーによりありとあらゆる凶悪犯罪の濡れ衣を着せられまくっている。つい最近理子が真犯人だと発覚した武偵殺しの件もその濡れ衣の一つだ。しかし。神崎かなえが警察組織に拘束されている間に真犯人たる理子はチャリジャックにバスジャック、そしてハイジャックといった犯罪を敢行した。以前の理子がやったバイクジャックにカージャックと全く同じ手口で武偵殺しとしての犯行をやってみせた。

 

 この事実は『神崎かなえ=武偵殺し説』を否定させるにたるものだった。神崎かなえに着せられた罪のうちの一部が冤罪だと認めさせるにたるものだった。武偵殺し本人を捕まえられたワケではないが、それでも神崎かなえの冤罪を証明するのには十分だった。あとは理子の犯行が武偵殺しの模倣犯によるものだといった言い逃れをさせないように現場に残った証拠(※セグウェイの残骸等)を集めてしかるべき所に突きつければいい。

 

 この一連の行動は本来アリアが率先してやりたかったことなのは容易に想像できる。しかし。理子との戦闘で首に怪我を負ったことで、今のアリアは自由に動けず入院生活を余儀なくされている。本当なら今すぐにでも証拠集めに奔走したいのに、一度武偵病院からの脱走に失敗したことで上手いこと病院から出られないでいるアリア。アリアの代わりをアリアのパートナーたるキンジが務めるのは当然の流れだった。

 

 そして。数日かけて集めた様々な証拠をしかるべき所に突きつけ、頭の固い連中を完膚なきまでに論破したことでキンジは『神崎かなえ=武偵殺し説』を見事に否定してみせた。さらに彼女の公判を延ばすことに成功したキンジはその成果を伝えにここに足を運んできたというワケである。ちなみに。あまりに短い面会時間のこともあり、キンジは開口一番に本題を告げ終えたので今は残り時間を神崎かなえとの雑談に使っている。

 

「で、少年。話は180度変わるが、私の愛娘を本格的に嫁にする気はないか?」

「――ッ!?」

 

 ふと明日の天気を尋ねるような気楽さで愛娘を進めてきた神崎かなえにキンジは驚愕に目を丸くする。もしもこの時何か飲み物でも飲んでいれば盛大に噴き出しゴホゴホとむせていただろうことは想像に難くない。尤も、面会室に飲み物の持ち込みは禁止であり、例え持ち込みがOKだったとしてもキンジと神崎かなえとの間にはアクリル板が存在するので、キンジの噴き出した飲み物が彼女に顔にかかるといった事態はまず発生しないのだが。

 

「ず、随分と直球ですね。もっとこう、オブラートに包んだりしないんですか?」

「私も一応貴族様の元に嫁いだ身だからやろうと思えばできないことはないんだが……あいにく、まどろっこしい言い回しは嫌いな性分だからな。で、どうなんだ?」

「……残念ながらアリアと結婚する気はありませんね。俺はどちらかと言うと年上のお姉さんタイプが好みで――って、別にアリアに魅力がないとかそういうこと言ってるワケじゃないですからね! アリアはアリアでそれはもう凄く魅力的だけど、俺の求めている理想の女性像とはちょっとベクトルが合わないというか、あくまで方向性の問題というか、だからその――」

「フフッ。安心しろ、少年。私は気にしてなどないぞ? それに。少年の気持ちはあくまで今の少年の気持ちだからな」

 

 キンジは爛々とした瞳を向けてくる神崎かなえに気圧される形で本音を口にする。と、そこで。キンジは自身の発言を慌てて修正する。今の自分の何気ない言葉で神崎かなえが愛娘たるアリアを否定されたと解釈するのではないかと思い至ったからだ。

 

 うかつに自身の好みを漏らした過去の自分を思いっきり殴り飛ばしたい衝動に駆られつつ、キンジはしどろもどろになりながらもどうにかして現状打破の言葉を探していると、微笑ましそうな視線を向けてくる神崎かなえの姿に気づいた。キンジが彼女と目を合わせると彼女はニカッと朗らかに笑みを見せてきた。自身の発言を何とも思っていない神崎かなえの様子にキンジはホッと安堵のため息を吐いた。どうやら先の考えは杞憂だったようだ。と、その時。安堵した拍子に『今の少年の気持ち』の部分を強調した神崎かなえに対してふと疑問が芽生えた。

 

「……えーと、もしかしてかなえさんは将来的に俺の好みが年上のお姉さんタイプからアリアみたいな同い年の小柄女子タイプに変わると思ってるんですか?」

「まぁな。実際、誰かと行動を共にしていればそれだけで好みの一つや二つ、変わることなどよくあることだからな。例えば……そうだな。そろそろももまんが好きで好きでたまらなくなったりはしてはいないか、少年? ちなみに、私もアリアがももまん好きになった影響であの食べ物に魅入られた口なんだ」

「……確かに、前にアリアに無理やり食べさせられた時は思っていたよりはまぁまぁいい味だなとは思いましたけど、でもさすがに中毒にはなってないですね。というか、そもそも俺、甘いもの自体があんまり好きじゃないですし。でも。食べ物の好みはともかく、好きな異性のタイプってそう簡単に変わるモノですかね?」

「変わるさ。というか、好きな異性のタイプなんてそれこそ好きな食べ物以上にコロコロ変わるモノの筆頭だぞ? まぁ仮に変わらなくともその辺はあまり問題ない。好きな異性のタイプって奴は単なる理想像だからな。言ってしまえば、好きな女優やらアイドルやらがいて『この人と結婚したい!』と思ってどこまでもその芸能人を追っかけるのと何ら変わらない。現実においてそのような思いが成就することは思いの外少ない。大体の人間が大人になっていくうちにそのような理想と現実との間に線を引くことになる。その後で、精神的に大人になった人間は自身の理想の全てを兼ね備えてはいなくとも、自然と心惹かれる要素を持った相手といつの間にやら結ばれるものさ」

「……よく断言できますね。そうとも限らないかもしれないじゃないですか」

「まぁ、何にでも例外はあるから少年の言うことも尤もなのだが……今の意見は私自身の経験を元にした見解だからな。それなりに信憑性はあると思うぞ?」

 

 神崎かなえはキンジに言葉を返すと、ふと過去の日々を懐かしむかのようにスッと目を細める。無意識なのか意識的なのか、今までの明朗闊達な好青年のような様子からいきなり大人の女性特有の雰囲気を放ち始めた神崎かなえ。そのあまりのギャップにキンジは内心で驚く。いきなり眼前に神崎かなえという名の別人が姿を現したような気がして思わず「……え?」と声を漏らす。

 

「ふむ。そうだな。少し私の話でもしようか。私は夫とは高校生の時に出会ったんだが、最初に見た時はイマイチパッとしない奴だと思ったよ。見た目は割と良い方だったけど、私はそいつをその辺にいる男どもと何ら変わらない、特出した何かを持っているワケじゃない有象無象の一人だと思ってた。そういう印象を私は持っていた。そのくせ、色々あってある程度話す仲になったら私のやることなすことに一々自分の意見を押しつけてくるようになったから何だこいつイライラするなぁといった気持ちでいたんだが……いつからなんだろうな。いつの間にか、暴力沙汰を止めて、料理やら掃除やら裁縫やら、それまでロクに手をつけてこなかった類いのことを真剣に頑張ってる私がいた。私はいつからか、眼中にないはずの、その辺にいくらでも転がってる有象無象のはずの男を本気で好きになっていたんだ。まぁ実際そいつはその辺の有象無象どころか、辺り一帯を支配していた不良が束になっても勝てないくらいに強いリアル貴族様だったんだがな」

 

 神崎かなえは「いやぁー、あの時は本当にビックリしたよ。能ある鷹は爪を隠すって言葉の意味をまざまざと思い知らされた気分だった」と過去に思いを馳せる。楽しかった過去。もう戻れない過去。そのような在りし日々に思考を傾ける神崎かなえの姿がキンジにはやけに小さく見えた。眼前の彼女の姿がふと、豪雨の中で「どうして」と言葉を繰り返したあの日のアリアとダブって見えた。

 

「――っと、すまない。話が長くなってしまったな。全く、柄にもないことはするものじゃないな。……まぁ何にせよ、今の少年がアリアのことなど眼中になくとも未来のことは誰にもわからないってことさ。少年は将来アリアと結ばれるかもしれないし、少年の言うような年上のお姉さんタイプの女性と結ばれるかもしれない。はたまた、年上のお姉さんタイプの女性でもアリアでもない誰かと結ばれるかもしれない。でも、それでも私は少年とアリアがゴールインすると思っている。私のよく当たる直感がそう告げているのでな」

「そ、そうですか……」

 

 神崎かなえはおもむろに腕を組むと、確信めいた瞳でキンジとアリアがくっつく未来予想図を主張する。まるで吸い込まれるような錯覚を覚える彼女の瞳。キンジは何だか彼女の瞳を見つめ返してはいけない気がして思わず視線を逸らした。と、そこで。「神崎、時間だ」と、話が途切れるタイミングを見計らっていたらしい警官から声がかかる。どうやらキンジと神崎かなえとの会合は終わりの時を迎えていたようだ。

 

「それじゃあ、パートナーとしてアリアを頼んだぞ、少年。誰に似たんだか知らないが、アリアは必要だと思ったら平気で無茶をする子だからな。テキトーにあの子のストッパーになってやってくれ。まぁアリアの無茶に付き合ってくれてもいいんだけどな」

「了解です。アリアのことは俺に任せてください」

 

 神崎かなえは無駄のない動作でスッと立ち上がると、ひらひらと後ろ手に手を振りつつ、キンジに置き言葉を残す。しっかりとした足取りで面会室を後にする神崎かなえに向けてキンジが力強く宣言すると、彼女は背中越しに心底嬉しそうな笑みを見せて、そして面会室を去っていった。ちなみに。今回の面会時間は約13分だった。

 

(今はまだ無理だけど、いつか絶対にかなえさんの冤罪を証明してみせる。バッドエンドになんかさせるもんか!)

 

 キンジは彼女の後ろ姿をしかと目に焼きつけて、両手をグッと力強く握る。血が滲むのではないかと思えるほどに固く拳を握りしめつつ、心の中に覚悟の炎を宿した。4月のとある日のことだった。

 




キンジ→改めて神崎かなえ救済の決意を固めた熱血キャラ。ちょっとかなえさんを意識してる?
神崎かなえ→キンジ×アリアを期待している男勝りな母親。

 というわけで、キンジくんとかなえさんとの2人きりの会話を描写したい一心で生まれた事後処理回ですが、やっぱりかなえさんいい性格してますね。機会があったらもっと登場させたいなぁ。男勝りな女の人とかまさにふぁもにかのストライクゾーンですし。

 それにしても、地の文に『かなえ』って書こうとしたらなぜか違和感が凄まじかったせいで結局『神崎かなえ』で書いた件について。でも、かといって何回も『神崎かなえ』って書くのもそれはそれでしつこい気がするということで今回はひとまず地の文に『神崎かなえ』と『彼女』の二つを織り交ぜた形になりましたが……これ、どうなんでしょうね。


 ~おまけ(その1 NGシーン)~

キンジ「……残念ながらアリアと結婚する気はありませんね。俺はどちらかと言うと年上のお姉さんタイプが好みで――って、別にアリアに魅力がないとかそういうこと言ってるワケじゃ――」
神崎かなえ「と、年上のお姉さんタイプ……そ、それはつまり私も少年のストライクゾーンに入っているということか!? しかし私には心に決めたあの人が……でも少年もなかなか魅力的だぞ? 特にあのキリッとした意思の強さを感じさせる漆黒の瞳とか――いやいやいや! 何を考えている、神崎かなえ○○歳!? アリアから少年を奪うような行為は母親としてご法度だぞッ!!(←頬を染めてワタワタとしつつ)」
キンジ「……かなえさん? どうかしましたか?(あれ? 何か盛大に勘違いしてないか、かなえさん?)」
神崎かなえ「ッ!? な、ななな何でもないぞ、少年! さぁ! 話を続けようか!! にしても、ここは少しばかり暑いなぁ!(←手でパタパタと扇ぎつつ)」
キンジ「ここ、思いっきり冷房かかってますけど?」


 ~おまけ(その2 NGシーン)~

やけに身長の高い警官A「神崎、時間だ」
神崎かなえ「それじゃあ、パートナーとしてアリアを頼んだぞ、少年。誰に似たんだか知らないが、アリアは必要だと思ったら平気で無茶をする子だからな。テキトーにあの子のストッパーになってやってくれ。まぁアリアの無茶に付き合ってくれてもいいんだけどな」
キンジ「了解です。アリアのことは俺に任せてください」
やけに身長の高い警官A「おい、そっち持て(←かなえさんの右手を掴みつつ)」
やけに身長の高い警官B「わかった(←かなえさんの左手を掴みつつ)」
神崎かなえ「ではな。機会があったらまた会おう、少年(←警官二名に手を引かれつつ退出)」
キンジ「……(←呆然)」
キンジ「……え? 何今の? なんで捕獲した宇宙人を連行するみたいな感じでかなえさん連れていったの、あの二人?」


 ~おまけ(その3 二人の出会い:パロネタ)~

ホームズ3世「(僕は稲村学園に通う一高校生。かの有名なシャーロック・ホームズの孫なんだけど……『条理予知(コグニス)』や『直感』は受け継いだもののいずれも不完全。でもって虚弱な所があるから親戚等に疎まれていたりする。というか、優秀なホームズ4世を世に誕生させるための一部品としてしかみられてなかったりする)」
ホームズ3世「(まぁ関係ないけどね。僕は僕の生きたいように生きるだけだし。周りの目なんて気にしてたら人生やってられないしね。全く、貴族ってのも考えものだよ)」
ホームズ3世「ん? 雨か……(←ビニール傘を広げつつ)」
??「――ぅ。――」
ホームズ3世「あれ? あっちの路地裏から声が聞こえたような?(←路地裏に足を運びつつ)」
神崎かなえ「おー。よしよし。こんな所に捨てられてるなんてお前も災難だったなぁ」
白猫「にゃ(←あんたはわかってくれるかと言わんばかりに)」
神崎かなえ「全く、捨てた奴はどこのどいつだってんだ。飼い主責任放棄しやがって。一発ぐらい殴り飛ばしてやらんと気が済まないな(←白猫を抱き寄せつつ)」
白猫「にゃう(←神崎かなえを諭すように軽く猫パンチをしつつ)」
神崎かなえ「ん? 暴力じゃ何も解決しないって? どこの平和主義者だよ、お前。まっ、お前がそう言うならお前に免じて見逃してやるか。捨てられた本人が別にいいって言ってるのに他人が勝手にボコるのも何かアレだしな(←うんうんとうなずきつつ)」
白猫「にー(←期待に満ちたキラキラとした眼差しを向けつつ)」
神崎かなえ「わりぃな。私の住んでるとこはペット厳禁なんだ。まぁでも、その代わりといっちゃあ何だがこれからは毎日お前の面倒見てやるよ。適当にエサでも持ってくるからさ。時間になったらここに来い」
白猫「にゃー(←神崎かなえの頬をペロペロ舐めつつ)」
神崎かなえ「おーおー。可愛い奴め。うりうりぃ――(←蕩けたような顔で)」
ホームズ3世「(あの人、確か不良の神崎かなえさんだよな? 猫好きだったのか? 普段は凄く怖いのに、何というか、普通の女の子らしい可愛い一面もあったんだなぁ……)」
神崎かなえ「うりうりうりうり――あッ(ヤバッ。見られた。つーかあいつ誰だ?)」
ホームズ3世「あッ(ヤバッ。見てたのバレた)」
ホームズ3世&神崎かなえ「「……(←気まずい沈黙)」」
ホームズ3世「先手必勝!(←ホームズ3世は逃げるを選択した!)」
神崎かなえ「あ――ちょっ、待てやテメェ!!(←何気に猫を抱きかかえたまま追走)」
白猫「にゃん(←面白いことになってきたと言わんばかりに)」

 これが二人の出会いなのでした。
 神崎さんの純愛ロード、始まりませんよ?

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