文章力が乏しい上にキャラ崩壊激しいです!
シンジ、トニー、デイモンファンの方すみません!
後世界観も、原作とは大きく違います。
良かったら読んで頂けたら幸せです!
感想、批判。御指摘歓迎です!
未来は俺等の腕の中。
そう書かれた壁紙を貼られた小さなボロアパートで、俺は窓辺に座りながら上を見上げる。
部屋には転がったジュースの空き缶や、使い道の解らないカード達が散乱していてとても綺麗とは言えないボロアパート。狭いし、トイレは共用。風呂だって着いてないから入浴は近くの銭湯を使っている。立地も最悪、いい事なんて家賃が安い位しか見当たらない安アパート。
何より日当たりが絶望的に悪い。昼だと言うのに、このアパートはライトを使わないと暗くてカードテキストが読めやしない。その原因は簡単、俺らのいるアパートの上にはハイウェイ道路が伸びていて太陽を遮っているからだ。日照権? 何それ、お前らにあると思ってんの? と言わんばかりに。
それは、そうなんだろう。こうして下層に住まわされている俺達、底辺の人間”コモンズ”の事なんて上の奴らは気になんかしていないのだ。下に住んでいるコモンズ達の洗濯物が乾かず、生乾きで臭くなろうと、そもそもコモンズ自体が臭い物なんだ、と奴らは決めつけていることだろう。
この上に住む、上流階級”トップス”の奴らは。
「おい、シンジ~。今はデュエル中なんだからデュエルに集中しろよな~。決闘中に別の事するなんざ失礼じゃね?」
窓辺で黄昏てしまっていた俺に、仲間のデイモンが注意を告げた。部屋に目をやると、デイモンが場にカードを並べていてターンの終わりを示している。見ると、何度見たか解らないような、いつものエイリアンソルジャー二体に、どうせ大した事の出来ねぇだろうセットカードが一枚。
失礼ついでに俺はため息をこぼしてしまった。
「なんてか、お前とのデュエルも飽きてきたってかよ。だってお前いつも同じカードしか使わねえし」
「おい~、壮絶なブーメラン投げてんな~お前~。俺だってお前のアバレスト見飽きたって~の」
「うるせえな。口にした段階でそんな事は気付いてるんだよ」
コモンズである俺達は新しいカードを買う金なんざある訳が無ぇ、少ないカードでベストを尽くしてデッキを作れば答えはいつも同じ構成に落ち着いてくる。俺達が優秀なデュエリストであるからこそ、選択肢の中でベストな答えはもうデッキに現れているんだ。
まあ中にはクロウみたいにどこまで新規あるんだよ、って言いたくなるようなデッキもあるけどな。B・F(ビーフォース)OCGまだかよ。
そんな訳で俺達のいずれおこる革命の為の特訓として暇つぶしに部屋で駄弁りながらのデュエルも、もうグダグダで飽きてきたってか。
マジで革命いつ起こるんだよ、誰か早くなんとかしてくれよ。ジャックはトップスになった途端あっちに付きやがったしよ。あ~、どっかの蟹さんがキングとかセキュリティとかぶっ飛ばしてくれねえかな~。
「とにかくよ~、お前のターンだから早くしろっての。そんなに気が乗らねえなら、金でも賭けるか?」
その言葉に、俺は耳をピクリと動かして反応する。
やる気というやる気を失っていた俺も元気良く振り返った。
なんだよ、馬鹿みてえな頭してる割におもしれえ事考えるじゃねえか!
手札を確認すると、俺の手札には魔法カード”一斉蜂起”があり、墓地は十分肥えているから俺の最強カード”B・F-降魔弓のハマ”が確定している。その上に手札には早撃ちのアルバレストと連撃のツインボウがいる始末。攻撃力を合計すればエイリアンソルジャー二体ぶっ飛ばしてもお釣りが出るぜ!
これはチャンスだ! この勝負、絶対に買って俺はデイモンから金をむしり取る! そうすりゃ、俺は”アイツ”を手に入れられるかもしれねぇ!
「おいおい、今更無しにはさせねえぞ! 賭け金はいくらだ?」
前のめりになってまくし立て、訂正をさせないように態度で押し切る。悪いなデイモン、蜂ってのは攻撃的になってからが恐ろしいんだ。
「んじゃ~、五百円位?」
「馬鹿言え! 子供のおこずかいじゃねえんだぞ! 最低でも五千は出せよ!」
今は搾り取れるだけ搾り取ってやる。これは、革命だ。革命を起こす為の偉大なる一歩目だ。お前の有金纏めて頂くぜ!
「いや、俺はいいけどお前持ってんの? バイト止めて3ヶ月位たっただろ?」
「問題無いね! んじゃ五千円な。俺のターン!」
決定をごねられる前にさっさと行動に移す。これで後戻りはできねえぞデイモン!
うっわww また連撃のツインボウ引いたしww
『革命の始まりを前兆したであろう、運命的神引きっ! これはもう勝ち確定! シンジ、思わず笑うっ!(CVマダオ)」
頼んだぜ降魔弓のハマ! デイモンから俺の金を取り上げてくれ! 革命だぁああああ!
「行くぜ! 俺は手札から魔法カード”一斉蜂起”発動! 効果は”相手の場のモンスターの数だけ墓地からレベル4以下のB・Fを蘇生出来る!”俺は墓地の毒針のニードルと連撃のツインボウを蘇生するぜ! さらに手札の連撃のツインボウを手札から特殊召喚! コイツは手札から自分の効果を無効にし特殊召喚出来るモンスターだ! よっしゃあ、くたばれデイモン! 三体でチューニングして現れろ! レベル8”B・F-降魔弓のハマ……」
「奈落で」
「待て」
「ん? 巻き戻しは認めねえぞ~」
ぐにゃあああああああああ。
…………奈落うぜえええええええ!!!
なんで人の切り札一瞬で除外するんだよ!空気読んでくれよおおおお。
冗談じゃ無い、ここでハマ除外なんてされたら、されたら……。
五千円……。え、払うの俺が?
ふざけんなよ! 俺が貰うはずだった五千円が無くなる事を含めれば一万円も損する訳だろうが。友達とのデュエルで賭ける額じゃねえだろ!
てか、デュエルで金を賭けるとか最低だろ。真のデュエリストだったらそんな事は……。
なんて綺麗な顔して説得すればデイモンを騙せないかな。ダメだろな。コイツ、トカゲみてえな頭してるけど、頭の中までは爬虫類じゃねえ。
なら、ならばどうする? 五千円だぞ、絶対払いたくない、払いたく無い!
考えろ、考えるんだシンジ……。
トップスに虐げられてきた毎日はずっとこんな崖っぷちの逆境だっただろう!
だからまだ終わってねぇ! 俺の戦いは、まだすんでぬぇえええええええ!!!
考えろ、考えろ。考えろっ!
ざわ・・・。 ざわ・・・。
ざわ・・・。 ざわ・・・。
『先ほどまでの不抜けた顔はどこかに消し飛び、シンジは真剣な眼差しで考えた! 奈落されてしまえば敗北は必須。しかし、それを止めるカードは持っていない。なら、他に、他に何か無いのか? 抜け穴を探してシンジ、考えたっ!!(CVマダオ)』
「……おい、シンジ。奈落だってば。いつまでハマ出してんだ」
『場を見た、手札を見たっ! そして相手を見た! その中に残された無限の可能性を探して、一筋の光の道をつないでいく(CVマダオ)』
「おい、奈落は通りますか~? 通るだろ~? だからさっさと除外しろよ」
効果が、通る……?
『その時ついに、シンジに電流走る! 逆転の道っ、閃くっ!』
俺の中に、一筋の蜘蛛の糸が垂れ下がったのを感じた。
俺は、
この糸をなんとしてでもたぐり寄せる。
目の色を変えて、決心した。
「おいおい、シンジ~。いつまで固まってるんだ? なんとか言ったら……」
「…………ま……」
「あ?」
か細く溢れた俺の言葉を微かに聞き取って、デイモンは聞き返す。俺は、そんなデイモンに答える。
「俺、まだしてない……」
フルフルと震えながら、変な汗を流しながらデイモンを見上げながら宣言した。
「俺……、まだ……シンクロ召喚の宣言、してない……」
俺の言葉が聞こえなかったのか、聞こえたけど理解していないのか、デイモンが顔を歪ませる。なんにせよ、コイツは今、聞きの姿勢だ。しめた、俺の主張をコイツの脳に直接叩き込むしかねえ。
「俺はまだ、ハマをシンクロ召喚宣言してはいなかった、いなかったんだ。奈落の発動条件は”モンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時”に発動出来る、でも俺はまだハマを場に出しただけだから、宣言していないからシンクロ召喚はまだ成立していないっ」
顔をあげて何がなんだか解らないといった顔のデイモンを睨みながら威圧し、そして腕を振り上げて俺は弁論する。立ち上がれシンジ! もうお前の革命は始まってるんだ、後にはもう引けねぇ!
「つまり、この召喚は未確定ぃ!!!! ノーカウント、ノーカウントなんだ!!!
ノーカン!!! ノーカン!!! ノーカン!!!
ノーカン!!! ノーカン!!! ノーカン!!!」
腕を振り高々に宣言する。俺は間違って無い、この主張は通るのが当たり前、という顔で。
革命だ!!! このデイモンの心を引っくり返す、俺の革命行為なんだ!!!!
「ふ、ふざけんな! そんな主張が
「ノーカン!!! ノーカン!!!!」
「お前チューニングって言ったクセに意味の解らない事言ってんじゃ
「ノーカン! ノーカン!!! ノーカン!!!! ノーカン!!!!!!」
「シンジ、いい加減
「ノーカウント、ノーカウントなんだぁ!!!!!」
腕が千切れるまで振り続けろ。声が出なくなっても叫び続けろ! 意味の解らない事を言っているだろうけど、この言葉に意味を持たせろ! 言うならば、俺のやってる事は意味不明なんかじゃねえ、やってるのは意味発明っ! このヤジに無理やり意味を持たせるんだぁ!
俺は守りたい物(五千円)が、そして手に入れたい物(五千円)の為に、俺は戦い続けてやる!
その後、俺は数分に渡って戦い続けた。
声が枯れて息切れしても、デイモンが何か言おうとしたらノーカンコール。デイモンが怒りそうになったら半ギレでノーカンコール。
そして何分たったか解らないが、そのうちデイモンは見事に戦意をへし折られ、肩を落としてこう言った。
「……じゃあ、それでいいよ」
俺はこの時、完全に流れを取り返しその後は俺が圧勝した。俺の革命の第一歩は、完全に成功したのだった。
ゴ ネ 得 (笑)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺が革命をしている時、アパートの下に黒塗りのDホイールが一台止まる。
そして俺の叫びを聞きながら黄金の歯を光らせ微笑む一人の男がいた事を俺たちは知らない。
続く