「さー、ノっていくよー!」
らいこが叫んだのである。
周りにたいこがいっぱい現れて、とんとんだんだんとりずむに乗っているのである。らいこは大きなたいこに乗っているのであるな、ううむ、空を飛べるたいこ……がんばりやさんであるな……吾輩も頑張れば空を飛べるやもしれぬ。
だんまくごっこできらきら光るよぞらでらいこは刻むのである。
それに「りりか」と「めるらん」と「るなさ」も演奏を始めたのである。楽しそうであるな。こがさよ、こがさもなんかできぬのであろうか?
「え? 何その目。私……私になんか期待している……!? 楽器とはできないけど……猫さん!」
ぱあっとこがさは傘を開くのである。うむ、吾輩はそこにぴょんと乗るのである。おんがくが聞こえる中で傘の上をくるくる歩くのは初めてであるな。
「よーし『大輪 からかさ後光」!」
光の中に傘がいっぱい現れたのである。吾輩はそれにぴょんぴょんと乗っていくのである。地底いらいであるな!
「おー! いいね。リズムを上げるよ!」
らいこが言うと音楽が早くなったのである。それを聞いて、なんだなんだと段々とひと……ようかいもいっぱい集まってきたのである。ようむもふとももみじもあやも……みーんなである。全員のなまえを言っていてはおれぬ! いっぱいみんなである!
「わっ」
こがさが足を滑らせてわがはいも足が滑ったのである。おお、落ちそうになるところをキャッチされるのである。みればこいしがにこっと笑っていたのである。
いつの間にかこいしがやってきて吾輩を前足をやさしくつかんだのである。
「ねこさんねこさん♪」
そのまま傘の上でだんすを踊るのである。わがはいはこれで2度目であるな。
「そーれ! ふらーん!」
!! こいしがわがはいを投げたのである! 大変である。着地をせねばならぬ。下にはぴかぴかの羽をはやした……ふらんがいるのである。
「な、こ、こっちくるな」
来るなと言われても吾輩はくうちゅうではどうしようもない。風に頼んでほしいのである。
だっこ。
ふらんはちゃーんとつかんでくれたのである。勢いあまってそのままふらんもくるくる回るのである。これもだんすであるな。
だからみんなの前でふらんをえすこーとするのである。吾輩は前足を出すとどこからこいしが言ったのである。
「ふらーん。くるくる、くるくる回って」
「……なんで、こんなところで」
ふらんもぎこちなくおどるのである、ここはこう、こうである。周りからは応援が聞こえるのである。
「あーもーう」
ふらんも投げたのである。しかしわがはいはちゃーんと着地をするのである。
「「「「おおー!」」」
ぱちぱちぱちと拍手が聞こえるのである。むむむ、吾輩は紳士であるからして簡単には喜ばぬのである。きちっと姿勢を整えねばならぬ。きまったのである。
今日はいっぱいだんすのえすこーとをしたのである。これはがんばったのである、けーねにやまめをもらってもいいのやもしれぬ。
吾輩はそう思ってふいっと走り出したのである。
「あ、猫さん!」
後ろでこがさの声がするのであるが、あとでいいのである。吾輩は壊れたいろんなところを走ってけーねを探してみるのであるがおらぬ……。
遠くでは楽し気な音楽とこえが聞こえてくるのである。おそらくらいこ達がもっとがんばっているのであろう。
何となく今日は疲れた気もするのである。ここで休むのである。ふぁーとあくびをしてしまったのであるが、だれにもみられてないことを吾輩はちゃーんと確認するのだ。すこしおなかが減った気もするのである。なにかないのであろうか?
吾輩は歩き回るとつくえ……だったようなものがあるのである。さかながおいてあるな! なんのさかなかわからぬがもぐもぐするとなかなかである。やまめといい勝負ができるやもしれぬ。それにしてもだんまくごっこでくずれている隙間に潜り込むのは結構楽しいのである。
「おーい」
むむ? 誰かが呼んでいる気がするのである。誰であろうか。
吾輩はあたりを見回してみるのであるが、なかなか見つからぬ。そうであるな、高いところに上ってみたらいいのである。あの樽がいいのである。ひょいと乗ってみると。
あしがぬけたのである。吾輩は割れた樽の中にドボンと入りこんでしまったのである。中には赤いみずがいっぱい入っているのである。
……
もがくのである。
うえもしたもわからぬ。
いきもできぬ
……わがはいはなんとか外に出ようと思うのであるが、でられぬ。
くるしいのである。
……。
何かの音がするのである。
水音がしてわがはいをつかむなにかがひきあげるのである。
「……してんの!?」
だれであろうか。目の前に誰かたっているきがするのであるが……よくみえぬ。
「何してんのよあんた!?」
そこにはしんぱいそうなかおをした『みこ』がいたのである。吾輩はみゃーというと、はあーと息を吐いてへなへなと座ったのである。
「心配させるんじゃないわよ。こんなぼろぼろになったレミリアの屋敷のどっか逃げたら困ると思ったから追いかけてきたら……」
ぎゅっとみこはだっこしてくれたのである。きれいなどれすに吾輩についた赤い水がついてしまっているのである。
「さけくさい。あんた」
すまぬのである。みこは文句を言いながら吾輩をなでてくれたのである。
吾輩を地面に下ろしてくれたであるが、おお、ううむ、まっすぐに歩けぬ。なんであろうか?
「…………帰るわよ」
うむ?
「猫が酒に酔っていいことなんてたぶんないわ」
☆
お月様がでているのである。吾輩は巫女にだっこされながらそれを見るのである。
「あんたさぁ、いつもうちの神社に来るけど、なんで来るの?」
りーんりーんと虫も演奏しているのであるな。
「聞いている?」
ぉお、すまぬのである。吾輩が神社に来る理由であるか? なぜであろうか、なんとなくである。
「そう思ったらふらっといなくなったり、普段あんたってどこに行ってんの?」
いろんなところに行っているのである。かわに……やまに……てらに……あといろいろいっぱいであるな。吾輩は顔が広いのである。
「みゃーじゃわかんないのよ?」
吾輩はしっかりと答えたのであるが、こみゅにけーしょんは難しいのであるな。
しばらくするとじんじゃに到着したのである。みこは吾輩を布でごしごしした後に水をくれたのである。
「二日酔いには水がいいって思うけど、猫の場合どうなのかな?」
みこもねまきに着替えているのである。髪を下ろしてふとんを敷いているのである。吾輩はどこで寝るべきであろうか。今日の寝床を探そうと思ったら、みこに捕まったのである。そのままふとんに連れていかれたのである。
「あんたさ、本当に大丈夫?」
みこは心配そうに聞いてくるのである。
「気分が悪かったらすぐって……いっても猫はなんにも言えないか」
じっとみこが吾輩を見てくるのである。
「あんたがさいなくなると寂しい気もするわ」
吾輩もみこがいないと寂しいのである。吾輩はふとんのなかでまーるくなってすやすやと眠るのである。そういえばぱーてぃーはどうなったのであろうか。きっとみんな楽しんでくれているのである。
みこは吾輩の背中をやさしくなでてくれているのである。そうしてくれると今日の楽しい思い出がずーとゆっくり、思い出すことができるのである。
「猫の医者とか……いるのかな」
何かをみこが言っているのであるが……吾輩はだんだんと眠たくなってきたのである。うむ、ふとんの中はあったかいのである。
おやすみなのである。
更新できずすみません。
実は次回最終回になります。なんとなくお別れしたくないなって思って滞っていました。よかったら最後までわがはいを見てあげてくれたらうれしいです。