「ふふふ。いいわ。今日こそ私がこわーい妖怪だっておもいしらせてやるわ!」
こがさが吾輩にウインクして、傘をくるりと回したのである。するとぱあっとあたりに光る傘がいっぱい出てきたのである。きらきらと光って周りに飛んでいくのである。おお、きれいである!
「弾幕ごっこなら負けないわ!」
こがさが楽しそうである。周りのみんなもなんだか声を上げているのである。
おぉ? 空に一人飛び上がったのである。おつきさまを後ろにして大きな何かを振りかぶってまっすぐ降りてくるのである。
「いい?? 碇を持ってる!?」
こがさがあわてて吾輩を抱き上げたのであるが、吾輩はもう少しみていたいのであるからして、こがさの肩に手をかけた手みるのである。
まっすぐにきゃぷてんが落ちてくるのである!
「転覆! 沈没アンカー!!」
どーんと大きな音がして、きゃぷてんがつかんだ大きな「いかり」で地面を叩いたのである。ごおんごおんと地面が揺れて、こがさが「わっととっ、村紗! 手加減」っていっているのである。
「あははは!」
きゃぷてんががれきの上でいかりを肩にかけて笑っているのである。おお、おつきさまも楽しそうにみているのであるな。吾輩とおつきさまは長いつきあいであるからして、すぐにご機嫌かどうかはわかるのである。
きゃぷてんだけじゃないのである。なんだかあたりでどんどこ音が鳴って、きれいな光が飛んでいるのである。たまにぴちゅーんと音がするのはなんであろうか?
「小傘さん! まずは覚悟ね!」
「ううぅ、村紗……」
吾輩はちゃんと知っているのである。きゃぷてんが来ているのはたきしーどというのである。けいねの本で見たことがあるのである。なかなか似合っているのである。髪も後ろで縛っているのであるな。
「猫さん。つかまっててね!」
こがさが懐から紙を出したのである。なんであろうか。
――後光 『からかさ驚きフラッシュ』!
こがさが傘を振るのである。傘に大きな舌がある宙を舞うとあっという間にあたりに光の線がひろがっていくのである。うむ、まるで大きなひかりの傘の中にいるようである。
「本気ね!」
きゃぷてんにひかりがいっぱいあつまっていくのである。吾輩はにゃーと思わず声を出してしまったのである。するときゃぷてんが吾輩をちらっとみて、おやゆびをたてたのである。
ぴちゅーん。
なんかへんな音を出してきゃぷてんが光の中に消えて、すぐにぼろぼろになって倒れててしまったのである。こがさはそれを見て「あれ? 簡単に倒せた。いや、ふふん。私の実力ね」と言っているのだ。
「自分で砕いたがれきにあしがもつれたー」
なんかきゃぷてんが言っているのである。
ぴかーとまた何か光ったのである。吾輩とこがさを両側から大きな光が挟もうとしているのである。
「ひゃー!」
吾輩を小こがさが抱いてくるのであるが、今そんな気分ではないのである。前足でほっぺたを押しやるのである。
こがさがぴゅっと上に飛んだのである。吾輩も一緒に空にいるのである。
「ふふふ。ひょんなことで今までの恨みを晴らせそうだね」
なずーりんも空を飛んでいるのである。なんであろうか、へんてこな棒を持っているのである。吾輩はこがさに抱かれたままみると、なずーりんはその棒を振り回しているのである。
――棒符 ナズーリンロッド!
また光が両側からやってくるのである。
「わわわ」
こがさがあわててよけているのである。頑張るのだ。吾輩はこう、手をなめて、毛並みのめんてなんすをするのである。
「ははは、逃げても無駄だよ!」
なずーりんがわらっているのである。
「あ」
こがさの声がしたのである。その瞬間吾輩は宙に浮かんだのである。おお、落ちていくのである。
「ああーーー! ねこさーん!!!」
こがさの声が遠くになっていくのである。吾輩はまっかさまに落ちていくのである。それをしゅっと抱っこしてくれたものがいるのである。なずーりんであった。
「……あ、危ないじゃないか! ちゃんとしがみついていないと落ちてしまうぞ」
すまぬのである。
「まったく」
「ごめん」
こがさも近づいてきて、吾輩はなずーりんからこがさに空中で渡されたのである。む? こがさの目がさんぐらすの奥できらっとひかったのである。
「チャンス! 水滴払いスピナー!」
こがさが吾輩を片手に大きく傘を回したのである。青い、おみずのような光がなずーりんに飛んでいくのである。
「ひ、ひきょうだぞ」
ぴちゅーん。
なずーりんが目をぐるぐる回しているのである。こがさよ! ひきょうはいかぬ。
「二連勝!」
いかぬ。これはせっきょうをせねばならぬ。こがさよここに座るのである。けいねも説教の時にはよくすわるように言うのである。しかし、浮きながら座れるのであろうか……?
「見ていましたよ!」
今度はおそらからおっきなげんこつが降ってきたのである。桃色の煙みたいである。こがさはわーっと逃げるのである。あたりに桃色の煙がもーとしてきて、そこから青い髪の女性が腕を組んで立っているのである。
紫のどれすをきているのであるな。肩が出ているのはよーむのと似ているやもしれぬ。両手にはなんであろうか、何か丸い円のようなものを持っているのである。あれは遊ぶと楽しいやもしれぬ。
「小傘さん。村紗にナズーリンとうちのものをよくも倒してくれたわね。今度は私が相手よ!」
「う、う、さ、三連戦」
こがさが疲れているのである。はあはあと息を吐いているのである。ううむ、吾輩はも何か手伝えないであろうか。とりあえずあれはいちりんであるな。吾輩は挨拶をしたのである。
「あ、あのときの猫さん! ……あ。こ、こがささん、攻撃できないからひ、卑怯ですよ!」
何かよくわからぬが何か動揺しているのである。
「と、とりあえず。逃げよ!」
こがさがぴゅーと下に降りたのである。
「あ、待って! うわ」
おお、何かわからぬが追ってきたいちりんが大きな光に飲み込まれたのである。こがさがうしろをみると「流れ弾……いや流れますたーすぱーく」と言っているのである。
いちりんを飲み込んだ大きなひかりは七色で虹がそらにのぼっていくようである。お月様にも届くやもしれぬ。うむ? ということはあの中に入ったらお月様に近づけるやもしれぬ。……いちりんはお月様に会いに行ったのであろうか? うらやましいのである。
「なむあみだぶつー」
こがさよそれはなんであろうか。
地面に降りるとあたりでみんなきらきらと光ったりして遊んでいるのである。吾輩も地面に降りてくしくしと顔を足でかくのである。こがさは傘を杖にしてぐったりしているのである。頑張るのである。
「猫さん……よーし! この調子でこの弾幕ごっこに勝ち残ってやるわ!」
「ぎゃー」
! びっくりしたのである。なんか飛んできたのである。こがさと吾輩の前に誰か倒れて、めをぐるぐる回しているのである。来ているドレスがぼろぼろであるな。
「響子! 誰にやられたの?」
こがさが抱き上げると、腕の中で少女が指をさすのである。おお、こがさの仲間である。一目見てわかるのである。なんといっても傘をさしているのである。
にこにこしながらこちらに近づいてくるのであるな。あかーいドレスで白いうわぎをつけている緑のかみのじょせいと遠くから見てもわかるのである。
「う、ううう」
こがさが涙目になっているのである。どこか痛いのであろうか? 吾輩がなめてもいいのである。
「こんばんは」
近づいてくるとじょせいが挨拶をしたのである。挨拶は大切である!