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とととと、とこいしが階段を上がるのである。
吾輩もとっとこそのあとを追うのである。
こいしが振り返った。
「ねえ、フラーン。早くきてよぉ」
「……うるさい」
なんだか警戒するようにふらんも吾輩の後を歩いてきたのである。
「あいつ……お姉さまに見つかったら面倒だし」
「お姉ちゃん……私にもお姉ちゃんがいるんだけどとっても優しいよ」
「ふーん。どうでもいいかな」
ふむ、よく考えたら吾輩にも兄弟はいたのであろうか。よく覚えておらぬ。
「ま、いいや、おなか減ったし、いこいこ」
こいしがふらんの手を引いてどんどん行くのである! 吾輩はふかーく兄弟のことを考えていたのであるからして、あわてて後を追っていくのである。
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ぱーてぃーとはいいにおいがするものであるな。大きなお庭にてーぶるがいっぱいあるのである。上には見たこともないごちそうが並んでいるのである。その中にやまめもあるやもしれぬから吾輩はつま先立ちをして覗こうとしてみるのだ。
するとこいしが吾輩をすっと抱きかかえてくれたのである。
「ねこさんって、何食べるの? 骨?」
骨は食べぬ。
「おりんはよく集めていたのは食べる気だったのかしら。まあ、いいや」
こいしが走ると吾輩もらくちんである。うむ? あれは知った顔である。刀を持った少女がよーむであるな。吾輩は挨拶をしようとしてにゃーとあいさつをしてみるのだ。
よーむはさっきみたドレスを着ているのである。なかなかよいのであるが、刀はおいてきた方がよかったのである。手に皿を持ってもぐもぐと串に刺さったおにくを食べているのだ。
こいしはとことこ寄って行って、よーむの皿にある串を全部取ってしまった。
「もらうねー」
「……うーん。おいしい。あれ!? さっきまでここに!? あれ??」
こいしよよーむが何か探しているようであるがいいのであろうか。吾輩はこいしの肩によじ登って、地面を探し回っているよーむをじーとみているのである。
「もぐもぐ。あ、フラン、はい」
よーむからごーだつした串をこいしはふらんに与えたのである。分けるのはいいことである。しかしふらんはじっとみてぷいっと横を向いたのである。
「別に要らない」
「はい」
こいしはその口元にお肉を近づけたのである。
「いらないって。ぐぐ」
お肉が入ったのである。ふらんはもぐもぐと食べているのである。ううむ少しこいしをにらんでいるのような気がするのであるが、まあいいのである。それよりも吾輩のごはんはどこであろうか。
「あーおなかいっぱい」
舌を出してぺろりと唇をなめているこいしに吾輩はこーぎするのである。
「にゃーにゃー!」
こいしも吾輩のこーぎに負けじとなんか「にゃーにゃー」言っているのであるが、何を言っているのかわからぬ。吾輩はそうやってこいしの手からこーぎのために地面に降りたのである。
「おお、その猫は」
うむ? 聞きなれた声がするのである。振り返らずともわかる! ふとであるな。だから振り向かぬ。
「……いや猫よ。こっちを向いてくれ。おーい?」
振り向かぬ。吾輩はいま忙しいのである。すると頭をなでてこようとする手が見えたので、するりと吾輩は交わしたのである。
「が、がーん」
ふとがしょっくの顔で何か言っているのである。口で「がーん」と言っているのは何を言っているのであろうか? 吾輩も真似したいところである。にゃーん。
「お、おぬし。我との友情を忘れたのか?」
ゆうじょう……? ふとが涙目で吾輩に何か言ってきているのであるが、よくわからぬ。いや……それよりもその手に握っているのは! 串にささったやまめであるな!! こんがり焼けているのである。
にゃー!
吾輩は言ったのである。ふとは一度手のやまめを見てふふんと鼻を鳴らしたのである。
「ふふ、しかたないのぉ。これが欲しいようじゃが、我もただでとはいかぬ」
その手からこいしがすっとやまめをとったのである。それからもぐもぐ食べて串だけふとの手に返した……早業である。吾輩も反応できなかった……
やまめを持っておらぬふとに用はない……ふいっと顔をそらしのである。
「お、おい。猫よ。あれ!?? なんで? 消えているのじゃ???」
しかしふとがやまめを持っているとすればどこかにあるはずであるな。ううむ。
「な、何よ」
吾輩はつまらなさそうにしているふらんをじっと見るのである。やまめを探してほしいのである。こいしでは先に食べてしまうやもしれぬ。
「何がいいのよ」
やまめを探してほしいのである。吾輩は身振り手振りでこう、なんとか説明するのである。今までこみゅにけーしょんはいっぱいしてきたからしてきっと通じるのである。ふらんはぽんと手を叩いてわかった顔をしたのである。
「はーん。あんたバカなんだ」
全く通じておらぬ。吾輩はばかではないのである!
「ふらん、猫さんあっち行こ」
突然吾輩を抱きかかえて、ふらんの手を取ってこいしがまた歩き出したのである。いきなりいつも動くから読めぬのである。
「ちょっ、ちょっと」
よく考えたら抱きかかえられているのはらくちんであるな。こうしているとあたりがよく見えるのである。お祭りのように夜なのに明るいのである。いっぱい人がいるのである、いや、背中に羽があったりするのであるから、妖怪が多いようであるな。
こいしが大股で楽しそうに歩くのである。何か歌も歌っているのである。
うむ? ねずみの耳が見えるのである。あれはわかるのである。ナズーリンであるな!
「げっ。なんでまたこの猫がいるんだ」
ナズーリンもきれいな恰好をしているのである。首元に青い宝石が光っているのである。こいしが立ち止まって。
「あー鼠だー」
「鼠……? なんでそんなのが」
ふらんをナズーリンがきっとにらんでいるのである。
「君が誰か知らないけど、いきなりずいぶんな物言いだね。鼠をなめていると死ぬよ」
ふらんがむっとしているのである。それからはっと笑ったのである。
「鼠なんてなめるわけないじゃん、汚いし」
「……へー。君。本当になめているね」
ナズーリンとフランが顔を近づけてにらみ合っているのである。いかぬ仲良くしなければいけないのである。しかしどうすればいいのであろうか、こいしよ、どうにかするのである……。
こいしがつかつかと歩いて行ってナズーリンとふらんの背中を押したのである。
「わっ!」
「うわっ!」
二人とも後ろから押されたようになっているからして、抱き合うようになってしまったのである。うむうむ。仲がいいのはよいことである。
「何をするんだ!! ていうか、君! すごい影が薄いな!!」
「こいし!! あんた意味が分からない行動ばっかりしてんじゃないわ!」
「わー。今日はお星さまがきれいだねー」
そうであるな。いい夜である。吾輩はこいしに賛成である。こいしはわたわたと走り去っていこうとするのである。
「ちょ、ちょっと待てー!!」
ふらんも慌てて後を追うのである。ナズーリンはあっけにとられて吾輩を見るのである。
「お前の友達はいつも変なのばっかりだな。……類は友を呼ぶというんだろう」
よくわからぬが友達はいいことであるな。ナズーリンは後ろを向いてどこかに行こうとするのである。待つのである。お礼をせねばならぬ……ううむ。足に頭を擦り付けて、ペロッとしたのである。
「ひぃ!」
いかぬ! こいしを追わねばならぬ。吾輩は忙しいのである。これ以上ナズーリンと遊んであげる時間はないのである。すまぬのである。
「こらまて! おまえ! 毎回毎回!!」
待たぬのである!