わがはいは、わがはいである   作:ほりぃー

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しゃしんをとるのである!

「それじゃ、椛と猫を写真で撮りまくるか」

 

 はたてがそういったのである。その後ろでこがさが「おー」と手をあげているのであるな。吾輩もそうしようと前足をこう動かしてみるのである。うまくいかぬな。もみじもやるのである。

 

「はぁ~」

 

 なんでため息をついているのであろうか?疲れているのなら吾輩に言うのである。そういう時はおひるねするのが一番である。おひるねをすると元気が出てくるのである。考えただけであくびがでるのっであるな。

 

「それにしても『椛と猫』って言い方はなんとなくかっこいいわね。どことなく風流で小傘もそうおもう?」

「ねーでも傘と猫もけっこういいと思いませんか?」

「あー、なんとなく場面が思い浮かぶわ」

 

 はたてとこがさがきゃいきゃいしているのである。吾輩も仲間に入れてほしくてとことこと歩くと、またため息が聞こえたのである。見上げるとこすずが肩を落としているのである。

 

「いや、あのー、外でやってくれませんか?」

 

 こすずも疲れているのならおひるねがいいのである。吾輩は今日はアドバイスが絶好調やもしれぬ。はたてよ、吾輩の話を聞いてほしいのである。吾輩ははたての足もとに引っ付いてアピールするのである。

 

「あ、あはは。くすぐったい……。あんた毛がつやつやね」

 

 つやつやであるか。吾輩は紳士であるからして毛並みのめんてなんすを毎日しているのである。はたてはにぃっと笑って腰を落としたのである。

 

「それじゃ、まずはこう知的にやってみようか」

 

 

 お店の中にあった椅子をこがさが持ってきたのである。せいよーフウであるな。せいよーとは言ったことはないのであるが、すごく遠くらしいのである。

 その椅子にもみじが座ったのである。着物のお尻の部分を押さえながら、ゆっくり座ったのである。吾輩、こう少し、着物の端をはみはみしていたずらしたくなるのであるが……我慢である。

 

「いいわよー。じゃあ猫を膝に置いて」

「はたて……ほんとにやるのですか?」

「やるわよ。あいつの新聞に負けてらんないもん。あくせんとっ、てやつをつけないとね」

「最近はなんだか文さんに似てきましたね……」

「……がっ!?」

 

 はたてが頭を抱えているのである。詳しくは聞き取れぬがぶつぶつと「ちがう」といっている気がするのである。

 それはそうと吾輩はもみじの膝の上に乗るのである。吾輩はなかなか好きである。もみじはむすっとした顔でなでなでしてくれるのである。

 

「あー、取り合えず気を取り直して、一枚目撮るわよ。ほらこっち見て」

「みてー」

 

 はたての後ろでこがさもにっこり笑っているのである。もみじと吾輩ははたての構えた板を見るのである。いやいや、けーたいであったな。さらに後ろでこすずが「かえって」と低い声を出しているのである。

 

「ちょっと椛、笑ってよ」

 

 はたてが言うのである。

 

「笑ってって言われても……」

 

 もみじが両手をほっぺたにつけて目を泳がせているのであるな。吾輩も笑った方がいいと思うのである! 

 

「椛。おてほんおてほん」

 

 こがさが呼んだのである。そっちを見ると。

 

 にっこり、こがさが笑っているのである。両手の人差し指を伸ばしてほっぺたに着けているのである。うむうむ。なかなかであるな。はなまるである。

 けいねもいいことがあると「はなまる」と子供に言うことがあるのである。はなまるとは何のことかはわからぬ。

 

「あ、いい。ほら椛もねこもこっち向いて」

 

 はたてが言うのである。後ろではちゃんともみじが笑えているのであろうか。吾輩はとても心配である。そう思って後ろを向こうとしたのであるが、すぐにはたてが「ねこ、ねこ!こっちみてこっち」と言ったので振り向けなかったのである。

 

 吾輩が前を向くと、こがさとこすずが並んで目をぱちくりさせているのである。はたてが言うのである。

 

「ほら、椛。首をちょっとかしげる感じで、笑ってみて。そうそう」

 

 そうはたてが言った後にこすずとこがさが向き合って両手の指をあわせたのである。

 

「「かわいー」」

 

 なんだかわからぬがこがさたちも仲良くなったようであるな。きゃいきゃいしているのである。

吾輩はとてもうれしいのである。うむ? なんだかもみじの手に力が入っているのである。ぎゅうっと着物をつまんではいかぬ。しわになるのである。

 

 ぱしゃ。

 

 吾輩が注意をしようとしたときにそう音が鳴ったのである。

 

「はい、おっけー。まずは一枚目ね」

 

 おっけーと言われたのである、よくわからぬが。はなまるであったやもしれぬ。吾輩はもみじのにゃあ、と話しかけてみたのである。むむ、もみじよなんだか顔が赤いのである。それにちょっと震えているのであるな。

 

 もみじは吾輩に気が付くと、ふいっとそっぽを向いたのである。

 

「ふ、ふん。くだらない」

 

 なんで怒っているのであろうか? 

吾輩にはわからぬ。しかし、ううむ、吾輩の気のせいであろうか。そっぽを向いたもみじはちょっとだけ笑っているような気がするのである。

 

 

「それじゃあ、次は外ね」

 

 はたてに続いて、もみじとこがさと吾輩とこすずがついていくのである。

 うむ? こずすも遊ぶのであろうか、吾輩は大歓迎であろる。

 

「あの、なんかお店の人がついてきているんですが、はたて?」

「別にいいんじゃない。椛。それにしても今日はいい天気ねぇ」

 

 はたてともみじが前を歩いているとのである。こがさとこすずが何かを話しながら歩いているのである。吾輩は誰と遊べばいいのであうか、おおタンポポである。元気であろうか。

 

 吾輩が前足でちょっと挨拶をすると、タンポポはゆらゆら挨拶をし返してくれたのである。うむ。

 

「ほら、いくよー」

 

 こがさが呼んでいるのである。吾輩はとことこ後ろからついていくのである。

 しばらく歩くと大きな木の下に来たのである。見上げるとなかなか高いのである。よい木陰であるな。吾輩は気に言ったのである。今度おひるねをしにこようと思うのである。

 

「それじゃあ次はここからしら」

 

 はたてがあたりをきょろきょろ見回しているのである。吾輩は眠たくなってきたのであるな。

 

「椛―。あんた。あそこのあたりまで歩いてから、こう見返り美人して」

「……見返りび……なんとかをするってどういうことですか?」

「普通に歩いて、普通に見かえればいいのよ。あんたかわいいから」

「……ぐるるる」

「な、なんで威嚇するのよ。とりあえず着物姿の椛が歩いて行って。その後ろをぽてぽて歩く猫って感じの絵が撮りたいのよ。あーそうだ、できればお洒落な番傘でもあればいいんだけど……あっ……やば……」

 

 おお、眠っていたのである。吾輩は体をふりふりして起きたのである。

 

 ……なんでこがさははたての真後ろで手をあげているのであろうか。

 

はたてももみじもこがさには気が付いていないようであるな。

 吾輩の出番である。とてとてはたての前に行ってにゃあおと呼んだのである。こがさが後ろにいるのである。気が付いてあげるのである。

 

「いい? 椛、振り返るんじゃないわよ?」

「わかってる。なすびをさして歩く趣味はない」

 

 こがさが後ろから近付いているのであるが……目がきらきらしているのである。手を綺麗に空に向けてあげているのであるな。吾輩も真似をしてみるのである。こう、後ろ足でたって、おぉ、難しいのである。

 

「あ、アー、そんなことをしたらアブナイゾー」

 

 もみじが妙なしゃべり方で言って、吾輩を抱っこしてから歩き出したのである。

 

「あ、もみ、椛! あんたにげるなっ ぎゃっ!?」

 

 はたての肩をこがさがつかんだのである。

 


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