わがはいは、わがはいである   作:ほりぃー

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ひさびさです。遅れてすみません。はげしいバトルになりますのでお気を付けください。


はげしいしとう

 

「それじゃあ、このにとり様がじきじきに案内してやるからさっ。ちゃんとついてきなよ」

 

 にとりが片手を腰にあてて、顎をあげているのである。どことなく得意気であるな。任せるのである! 吾輩はちゃんとついていくのである! けいねもるーみあもわかったのであろうか? 

 吾輩は心配してけいねをみるのである。

 

 にこっ

 

 けいねが吾輩に笑いかけてくれたのである。どうやらちゃんとわかっているようであるな。吾輩はほっとしたのである。

 

「それじゃあ、あっちの店から行こうか。我々河童の技術を使って焼いたお茶碗とかはなかなかいいよ」

 

 にとりが歩き出したのである。その後ろにけいねが付いていくので吾輩もちゃんとついていく……うむ? るーみあがおらぬ。ど、どこに行ったのであろうか。こんなに早く迷子になるとはこがさよりもあわてんぼさんなのやもしれぬ。

 

 吾輩はあたりを見回してみる。うむ、ううむ。見つからぬ。こういう時には人に聞くのが早いやもしれぬ。吾輩はちょうど来た歩いていた二人の少女ににゃあにゃあと話しかけてみるのである。

 

「なにこの猫?」

 

 一人は髪の毛がくるくるしてて目が回るのである。頭の上に大きな黒い眼鏡を置いているのであるな、吾輩はあのめがねというものがよくわからぬ。のぞき込むと目が回るのである。

 

「ひもじいの? ……何もないけど」

 

 もう一人は服に何かべたべた貼っているのである……。吾輩には読めぬ。いや、そんなことよりもるーみあを知らぬであろうか? 吾輩は必死ににゃあにゃあと聞いてみると。

 

 なでなで

 

 なでなでされたのである! 服にべたべた貼っている少女はいいやつであるな。吾輩にはわかるのである。しばらく、撫でると2人ともどこかに行ってしまったのである。

 吾輩はとても気持ちよかったのである……何か忘れているような気もするのであるが……うーむ。そ、そうである。るーみあのことをすっかりと忘れてしまったのである。

 

 けいねよ! 大変である。

 ? けいねもおらぬ。た、たいへんである。けいねも迷子であろうか。吾輩はあたりを探しまったのであるが、にとりもすらも見つからぬ。

 

さっきよりも人が多くなってきたような気がするのである。

たくさん人がいるのになんとなく寂しいのはなんでであろうか。吾輩はふとそう思ったのである。るーみあも寂しい思いをしているのやもしれぬな。吾輩は頑張って探すのである! 

こういうのをしんしのつとめというのであるな、ふふん。吾輩はちゃんとわかっているのである。けいねのいったことはよく覚えているのである。

 

 とことことこ

 いろんなところでおちゃんわんが並んでいるのであるな。こう「ござ」を敷いて並べていたり、木の棚に並べてあったりするのである。……いかぬ。木の棚を揺らしたらきっとお茶碗が落ちてしまうのである。吾輩はそんなことはせぬ。うず。

 

 そう思いながら歩いていると、突然吾輩に影が差したのである。誰かが前に立っているのであるがどうにも足しか見えぬ。仕方なく吾輩は立ち止まって顔をあげてみたのである。

 

「げっ」

 

 そこには嫌な顔を少女が立っていたのである。片手にはお餅をもって、ほっぺたがちょっと膨らんでいるのである。頭には「ねずみのような」耳がはえているのである! にゃああ!! なずーりんであるなっ!

 

「な、なんだ。おまえ、いきなり喧嘩腰だなっ」

 

 なんとなく唸ってしまったのである。別になずーりんに恨みがあるわけではないのであるが、ほんとになんとなくである。なずーりんよそう警戒しなくても吾輩はもう何もせぬ。

 

「はあ、全く。ご主人様がお茶碗を割ったとか泣きついてきたから仕方なく来ただけなのに、猫なんかに出会うとはね。まったく厄日だよ」

 

 はあ、とナズーリンはため息をついているのである。悪かったのである。そう落ち込まなくてもいいのである。吾輩はもう怒ってはおらぬ。そう思ってなずーりんの足元に近寄って足首を舐めてみるのである。

 

「あーあ。ご主人様ももうすひぃぁあ」

 

 おっきな声にび、びっくりしたのである。なずーりんよびっくりさせるではない。周りの者たちも見ているのである! ひそひそと話している声に吾輩は耳をぴくぴくさせるのである。なずーりんはなぜか肩を震わせて顔を真っ赤にしているのである。

 

「ち、ちがう。今の声は! 違うんだ。この猫がいきなり私を舐めたんだっ!」

 

 なんかなずーりんが周りに必死に言い訳しているのである。吾輩はただ仲直りをしただけである。ぬれぎぬである。そう思って毅然としたこうぎを吾輩はしたのである。にゃあ!

 

「わっ!? いきなり叫ぶな。……こ、こいつ。この前はご主人様や聖がいたから何もしなかったが……ネズミを甘くみると死ぬよ」

 

 なずーりんは甘くはないのである? しかし、やはりおぬしはネズミの友達か何かであるな。吾輩は最初から感づいていたのである! まあ、わかっても特に何もないのであるが。

 

 なずーりんは吾輩を睨みながら見下ろしているのである。吾輩も負けてはおれぬ。ちゃんとすくっと立ち上がって見上げるのである。後ろ足だけで立つのは結構難しいのであるが、吾輩ならできるのである。

 

「……ふっ」

 

 しばらくにらみ合っているとなずーりんが突然笑ったのである。

 

「悪かったよ。私も大人げなかった。猫なんかに本気で怒るなんてことをするわけないだろ。ほら、これをやるよ」

 

 なずーりんは吾輩の前でかがんで握った手を吾輩の鼻のあたりに持ってきたのである。

 

「にぼしだよ。仲直りの印」

 

 にんまり笑うなずーりんに吾輩もにゃあと返したのである。にぼしが嬉しいのではないのである! なかなおりはいつでもうれしいのである!! けっして煮干しが嬉しいのではないのである。

 

「お前が煮干し好きだってことは寺の中では有名だからな。ほら。遠慮しなくていいよ」

 

 なずーりんは笑いながらおててを開いたのである。吾輩は頭をそこに突っ込んだのである! 掌の中でにぼしを探すのである、うむ? ううむ? ないのである。どこにあるのであろうか。

 にゃあにゃあ。

 吾輩が見上げるとなずーりんは口を開けて声もなくえがおである。にぼしはどこにあるのであろうか。もしかしたらなくしてしまったのであろうか?

 

「……うそだよ」

 

 ?

 ?

 !!!!

 吾輩は怒ったのである! ばっとなずーりんのむなもとに飛びついたのである。

 

「わっ。こ、この」

 

 なずーりんがしりもちをついたのであるが吾輩はようしゃせぬ。

 道端で転げまわりながら吾輩を引きはがそうとするのであるな。そうはいかぬ。うそはいかぬ。嘘はあれである、何かの始まりと聞いたことがあるのである。吾輩はなずーりんがもうそんなわるいことをしないようにお仕置きをせねばならぬ。

 

 にゃー

 はなれろー

 しゃー

 このねこー

 

 なかなかやるではないか。さすがは吾輩のらいばるであるな。もう嘘をつかぬといえば吾輩は寛大にゆるすのである。

 

「はあ、はあ」

 

 なずーりんの顔が目の前にあるのである。ほっぺたが赤くなっておるな。吾輩も疲れたのである。これをしとうというのであろう。吾輩はなずーりんの顔を舐めてみるのである。これでけんかはおしまいにするのである。

 

「げっ、ぺっぺっ」

 

 なんかひどいのである。なずーりんはやはり吾輩のらいばるであるな。いずれ決着をつけねばならぬやもしれぬ。吾輩はなずーりんのむねをふんでから地面に降りようとしたのである。

 ぐいっと引っ張られたのである。わ、吾輩はそらを飛べるようになったかもしれぬ。

 

「こら。だめだろう?」

 

 けいねである、吾輩は怒られた。

 

 


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