吾輩がえすこーとするのである。けいねにるーみあよしっかりと吾輩についてくるのである。うむ、いいお花が生えているのである。これはなんのお花であろうか、こんにちはと言ってみてもいつも答えはくれぬ。
「こら、置いていくぞ」
おお、危ないのである。吾輩はけいねに置いていかれるところであった。不覚である。お花も後で会いに来るのであるから、そこで待っているといいのである。吾輩はげんそうきょうじゅうにお花の知り合いがいるのである。丘の上のたんぽぽは仲良しであるな
まあ、お話をしたことはないのであるが。寂しいのである。
にゃぁ。
ちゃんとお別れの挨拶もするのが紳士である。吾輩はお花を見ながら前に歩いていたのである。っ!。吾輩はなにかにぶつかってしまったのである。見れば立ち止まったけいねの足ではないか、吾輩は急に立ち止まることに抗議したのである。吾輩が頭をぶつけてしまったのである。
「な、なんだあれ」
ううむ、聞いておらぬな。るーみあもなにか言ってやるのである……うむ? るーみあよそんなにお口を開けて何を見ているのであるか、心なしか目もきらきらしている気がするのである、全く何を見ているのであ……
おお、おお! なんであろうか! あれはなんであるか!
人の形をしたおおきな何かが浮かんでいるのである。それに「いらっしゃいませ。守矢陶器市!」と書いているのである。吾輩にはなんと書いているかは読めぬがすごく奇異なるのである!
「ろぼだっ。ロボだ!」
るーみあが何か言っているのである。あれはろぼというのであるか。空をふわふわ飛ぶとはなかなか見どころのあるやつである。それにしてもるーみあの目がきらきらしているのであるな、吾輩はろぼと同じように気になるのである。
「あれは大きな風船だろうな……なんか前に見たこともある気がするけど。守矢か、あれもなんだか聞いたことがあるけどな」
けいねは何でも知っているのであるな。ろぼとも知り合いかもしれぬ。けいねよ、吾輩はとてもほめているのである。吾輩も負けてはおれぬ。吾輩もろぼと友達になるのである。
「それにしてもルーミアも子供っぽいところがあるんだな」
「……っ、べ、べつにー」
ふんっとるーみあがそっぽを向いてしまったのである。なぜであろうか。ちょっとほっぺたが膨れているのであるな。……だっこしてほしいのである、ほっぺたをさわらせてほしいのである。
いかぬいかぬ。吾輩はああいう顔をされるとなんでかそうしたくなってしまうのである。こがさにはなんどもぱんちをしてしまったのを反省せねばならぬ。
うむ?
るーみあが吾輩を抱っこしてくれたのである。こみゅいけーしょんが通じたのやもしれぬ! おお、けいねの顔がよく見えるのであるが、背中にるーみあが顔を押し付けてくるのである。
「そ、そんなんじゃないわ」
うむ、よくわからぬがそんなことではないのである。けいねよ。
吾輩はよくわかっておらぬがるーみあの味方であるな。吾輩ので顔を隠しているのはきっと、あれであるな。いないないばあというやつである。たまに人里のこどもがやってくるから吾輩にはわかるのである。
けいねも困った顔をしているのである。今である! ばあっとするのである。るーみあよっ!
「わるいわるい。私が間違ってた。さ、行こう。どうせならルーミアのお茶碗もいいやつを買ってあげるから」
「……」
おお、急にるーみあが離したから吾輩は地面に着地したのである。ばあが下手であるな。こうもっと元気にするのである。けいねもるーみあも待つのである。
「おいで」
るーみあがちょっと振り返っていったのである。ほんのり笑っている気がするのである。
☆
人がいっぱいいるのであるな。
大きな広場に出店がいっぱいあるのである。なにやら、おちゃわんをいっぱい売っているようであるな。
わいわいがやがや。
なんだか楽しみである。遊びに行こうと吾輩は駆けだすと、るーみあにまた抱っこされたのである。
「だめ」
むぅ。難しいのであるな。なぜダメなのかわからぬ……。しかし、るーみあにだっこされたまま吾輩は動き出したのである。これはたくしーであるな。前にはもみじたくしーであったがるーみあもなかなかいいのである。けいしゃもないのである
「あっ来たんだ」
とてとてやってきたのは青い髪をしたしょうじょである。どこかで会ったことがある気がするのである。
「河城にとりっ」
けいねが言ったのである。
にとりというのであるか。吾輩はにゃあと挨拶をしたのである。にとりは頭に緑色の帽子をかぶっているのである。吾輩も帽子がほしいのである。
「どうだい結構来ているだろう? 今日はいっぱい買って行ってくれよ!」
両手をこしにおいてふふんとにとりはむねを張るのである。るーみあも負けずに張るのである。るーみあよどこを向いているのであるか? おおろぼであるな。大きいのである。
「とこで河城さん あれは何なの?」
けいねよ、ふふふ。あれはろぼというのである。吾輩がちゃんと教えてあげるのである。にとりよ言ってやるのである。
「あれかい? あれは我々河童イベントのスポンサー様ごよーぼーで作ったアドバルーンの非想天則Ⅱさ。遠くからでもよく見えただろ? いい宣伝になるよ」
ひ、そう? 吾輩は耳をうたがってぴくぴくするのである。るーみあよ、どう思うのであるか、小声で「かっこいい」と言っているのである。ううむ、そうではないのである。名前のことを聞いているのである。
ぴくぴく。
吾輩はだっこされたまま耳を動かしてアピールしてみるのであるがこちらを見てくれぬ。ちょっと手を舐めてみるのである。
「っ」
びくっとしているのであるな。
やっと吾輩を見てくれたのである。するとるーみあはほっぺたを大きく膨らませた後に、吾輩に向かって大きく口を開けたのである。
負けてはおれぬ! 吾輩もそうするのである。るーみあは吾輩に強く抱き着くと耳を軽くかまれたのである。くすぐったいのである。
「ぺっぺっ。毛が口に入った」
じゃあやらなければいいのである。吾輩も負けずにどこか痛くなさそうな場所を噛むのである。シャツをこう、はむはむ。まずいのである。
「なにじゃれあってんのさ、あんたら」
にとりが聞いてきたから吾輩も考えたのでるが、うむむ。よくわからぬ。とりあえず吾輩はるーみあのシャツを離したのである。
「わっ、ちょっと首元が……」
るーみあは吾輩を片手で持って、シャツを締めなおしているのである。吾輩は意外と重いやもしれぬが大丈夫であろうか?
「まあ、どうでもいいけどさ。それよりもあんたらもそこの先生がお茶碗を買ってくれるんだろう? 河童印のいいお茶碗を紹介するよ。できるだけ、安くしておくよ」
にっ、とにとりが笑ってたのである。なんだか怪しいのである。けいねもなんだか胡散臭げに見ているのである。
「な、なんだよ。全員そろってさっ。我々河童は宗教家とはちが……おっと今回はスポンサーだから言わないけど、適正なしじょー価格で取引しているんだぜ?」
このにとりはなんだかあやしいのである。吾輩は騙されぬぞ。
「あ、そうだ。ほらにぼし」
にとりはいいやつである! おててに煮干しを載せて吾輩の口元に持ってきてくれたのである。はむはむ、うむうむ。なかなかでりしゃすというやつであるな。
「どうせこいつも来るだろうと思って一応用意してたんだ」
にとりは準備がちゃんとできるのであるな。
「それじゃ、私があんないしてあげるよ。楽しんでいってね!