わがはいは、わがはいである   作:ほりぃー

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おでかけがたのしみである

 お出かけである! 

 吾輩はりきって玄関を飛び出しのである。なにやら「とうきいち」というところにいくとのことであるが、吾輩にはよくわからぬ。しかし、吾輩はけいねとお出かけするのにはやぶさかではない。

 

「こらこら、まっててくれ」

 

 玄関で靴を履きながらけいねが言うのであるな……吾輩は紳士なので待つのである。

……けいねよ早く靴を履くのである。なんならはだしでもいいのである。吾輩はいつもはだしである! これもなかなかおつなものである。

 

 ふりふり、ふりふり。

 おっといかぬ。吾輩としたことが尻尾がかろやかになってしまったのである。これは恥ずかしいのである。吾輩は思わず自分の尻尾を舐めてごまかしてしまったのである。

 

「……めんどくさーい」

 

 るーみあがくさもちを食べながら奥から出てきたのである。のそのそと靴を履いてはいかぬ! はやくしてほしいのであるが、ここは吾輩はも背筋を伸ばして待つのである。こういう時に焦ってはいかぬのである。それがたしなみというやつなのである。

 

「もぐもぐもぐもぐ」

 

 るーみあよ早くするのである。けいねもこういう時に「めっ」てするのである。吾輩はたまりかねてるーみあの足元に歩いて行ったのである。るーみあは指についたお餅を舐めながら吾輩を見ているのであるな。

 早くするのである! 吾輩はるーみあににゃあと力強く言ったのである。

 

「ほら。ルーミア。この子も早く行きたいようだから、行こう」

「えー」

 

 けいねと吾輩の力強い言葉にルーミアは靴を履き始めたのでる。早く行きたいのである。外を散歩すると気持ちがいいのである。

 ルーミアが靴を履いて、けんけんと地面をさきっぽでたたいているのであるな、何をしているのでろうか、よくわからぬが吾輩はそれを見て玄関に飛び出して――おおけいねに抱き上げられたのである。

 

「ほら、人里なんだから車(大八車など) がきたら危ないだろう? ちゃんと私の……ルーミアのそばにいなさい」

「えっ? なんで私?」

 

 みゃあ。心配性であるな。しかし、けいねのいうことももっともであるな……吾輩は急ぎすぎてしまったのである。わかったのである。

るーみあがくるまにひかれてはかわいそうである! ちゃんと吾輩が子守をするのである。るーみあよ吾輩がちゃんと守ってあげるからして、安心するのである。そんな吾輩をるーみあもじっと見てきたのである。

 

「んー、なんかこの猫私を見ているんだけど……。まるで言葉がわかっているみたい?」

 

 吾輩はるーみあが見ていたから見たのであるが……。

 しかし、るーみあよ吾輩はちゃんとわかっているのである。しかし、ことばよりもこう、伝えようとすることが大事であるとさとりも言っていた気がするのである。こみゅにけーしょんはだいじであるな。地底で勉強してきたのだ。

 

「なんだいまさら、この子はちょっとわかっているよ」

 

 けいねが吾輩をおろしてから言うのである! むむむ、うれしいのである。吾輩をよくわかっているのであるな、さすがはけいねである。吾輩はとてもうれしいのである。

 

「ちゃんとごはんっていえば来るし。ヤマメっていえば、すっ飛んでくる。……とても正直な子だから」

 

 ……まるで吾輩が食いしん坊のようであるな……。吾輩はそこまで食い意地は張っていないのである。るーみあもなにか言ってやるのである。吾輩はるーみあだけがくさもちを食べていても文句を言わない紳士だったのである。

 

「やまめー」

 

 ぴくっ! にゃあ。

 どこであるか! ……るーみあよないではないか。

 

「あは」

 

 るーみあがなぜか笑っているのである。まあいいのである。吾輩は誰かが笑っているところは好きであるから、ちゃんと許すのである。吾輩の心はお空のように大きいのである。

「くすくす。それじゃいこうか」

 

 けいねが言ったのである。吾輩はにゃあと答えると、るーみあも「はーい」と気の抜けた声で言ったのである。お出かけである。楽しみである。

 

 

 今日のことはちゃんと吾輩はわかっているのである。吾輩のお茶碗を新しくしてくれるのであるな、楽しみである。吾輩はとてとてと歩きながらふと気が付いたのである。

 朝から楽しみなことばかりであるな。今日はきっといい日なのである。それは間違いがないのである。

 人里を離れてのんびりとけいねとるーみあと吾輩は歩くのである。吾輩はちゃんとるーみあのそばを離れぬ。こういう田んぼの間の道でもどこから敵がやってくるかわからぬ。

 

 けいねは行きかう知り合いに「こんにちは」と挨拶をするので、吾輩もにゃあというのである。すると「えらいね」と言ってくれることが多いのである。吾輩は満足である。

 

「おお、おぬしは猫ではないか」

 

 なんだか知った声がするのである。るーみあよ気を付けるのである。たいていろくなことはせぬ。顔をあげてみればやはり、えぼしをがぶった少女である。ふとであるな。なんでこうよく会うのであろうか。

 

「ああ、こんにちは」

「うむ。……あ、失礼。こんにちは」

 

 !!! ふとが普通にけいねへ挨拶をしているのである。吾輩は驚いたのである。ふともあいさつを普通に挨拶をすることができるようになったのであるな……吾輩は感動したのである

 

「あ、皿割るやつだ」

 

 るーみあよまずは挨拶をするのである。……さわらる?

 

「い、いきなりなんだおぬしは! 我は考えなしに皿を割っているわけではない、よ、よける方が悪い……わ、我は一生懸命しているのだ」

 

 ふとよ皿をわるなんて悪い子である。めっとするのである。吾輩はふとの足を肉球でぽんぽんとたたくのである。するとふとはにんまり笑ってきたのである。

 

「この猫は我を慕っているらしくてな。よく遊んでやっているのじゃ」

「……そうか、やはり顔が広いなぁ。私の知らないようなところで大冒険しているんじゃないのか?」

 

 けいねよ感心しておるところ悪いのであるが、吾輩は別に慕ってはおらぬ。しかしだいぼうけんであるかしたいのである。ううむ。このまえは地底にいったくらいしかしておらぬ。

そんなものおもいにふける吾輩を無視してふとはしゃがみ込んでから手を出してきたのである。むむ、お手をしてほしいのであるな。

むしすると泣きそうになるから吾輩はちゃんと手を載せてあげるのである。

 

「……(うれしそうな顔)」

 

 な、なにか言うのである。

 

「ふふふ、おぬしもちゃんと我の言うことを聞くようになってきたな」

 

 やっぱりだまっておくのである。

 

「ん」

 

 るーみあよなんで吾輩に手を出しているのであろうか、お手をするようにということであるか?

 

「ふっ。金髪リボンよ。我もこやつを手なづけるのに苦労したのだ。そうそう、簡単にはできぬ」

 

 吾輩はるーみあ手に前足を載せるのである。

 

「おお」

「うあぁああ!」

 

 びくっ。ふとよいきなりわめかれるとびっくりするのである。ふとは吾輩を指さしてきたのである。

 

「ま、祭りの時にはあれだけ遊んであげたのにぃ」

 

 おお、どこに行くのであるかふとよ。

なんかだか悪いことをしたような気がするのである。

 

「騒がしくて楽しいお友達だなぁ……気取った口調なのにお前といると変わっている気がするよ」

 

 けいねよ、ふともお友達になるのであろうか、いやお友達であるな。吾輩はふとのことを嫌いではないのである。けいねはそんな吾輩をなでなでしてくれるのである。

 

「お前はいつも外にいるから、あんな風なともだちがいっぱいいるんだろうな。私もお前と散歩していると楽しいよ」

 

 吾輩も楽しいのである。ふとも今度はいっぱい遊んであげるのである。

 

 






ねこはあなたのしらないところで、しらないともだちになでなでされています

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