あらすじ
陶器市を前にけいねの家にお泊りしたわがはい、早起きしたら偶然るーみあとであう。るーみあはけいねに朝ご飯をおごってもらうことになったのだ(はしょりはしょり)
ずずーと音を立ててるーみあがお茶をすすっているのである。
吾輩達は起きてきたけいねにご飯を作ってもらって満足しているのである。ううむ、こういう場合はでりしゃすというのである。るーみあはおちゃづけなるものを食べていたのである。るーみあの前には空になったお椀が重ねているのであるな
るーみあが湯飲みをおろして、ふうと息を吐いたのである。吾輩もにゃあと声を出してみたのであるが、特に意味はないのである。
お茶をみていると白い湯気がもやもやしてて飽きぬ。吾輩は好きである。
煙もいろんな形があることを吾輩はちゃんと知ってるのである。しかし、お茶を飲んだことはないのである。吾輩はたまには飲んでいいかもしれぬ。けいねよ吾輩にもほしいのである。
「にゃあにゃあ、何を言っているの?」
るーみあは一人だけお茶を飲み終わると、ぺろりと口周りを舐めながら言うのである。吾輩もお茶を飲んでみたいのである。そうるーみあに説明すると、赤い目をぱちぱちさせながら吾輩の尻尾をふにふにし始めたのである。
「猫ってたべられるのかー?」
食べられないのである! 吾輩は食べ物ではないのである。そういうことを言うのであるなら吾輩も考えがあるのである! 吾輩はるーみあにちかよって、服をかみかみしてみたのである。まいったかっ。
「んー」
るーみあが吾輩のお腹をなでなでしてきたのである。うむ、このくらいにで勘弁しておいてやるのである。ううむ、そこであるな。吾輩は仰向けになってみるのである。
ふとるーみあの手が止まったのである。
吾輩はちらっとるーみあを見るのである。するとすぐになでなでが始まったのである。しかし、すぐに止まってしまうのである。だから吾輩はもう一度ちらっとみるとるーみあはなでなでしてくれるのである。
「きもちいいのかー?」
うむ、気持ちいいのである。それにしてもけいねはどこに行ったのであろうか、吾輩にもお茶がほしいのである。
「なんだ遊んでいたのか」
噂をすればけいねが部屋に入ってきたのである。吾輩はるーみあと遊んでやっていたのである。こういうことをちゃんとするのが紳士であるからして、怠ったことはないのである。……ふとのことはたまに無視してしまうのであるが反省するのである。
けいねはるーみあの近くに座って、吾輩を抱っこしたのである。
「今日はこのこと一緒に陶器市に行く予定なんだ」
「とうきいち? そうなんだーいってらっしゃーい」
るーみあよ、なんだかどうでもよさげであるな。
吾輩はみゃあとけいねに聞いてみたのである。るーみあはなんでそっけないのであろうか。けいねを見るとくすりとしているのである。
「お前もよかったら来るか? 人里から離れた場所でやるから紛れ込んでも大丈夫と思うけど」
「興味ないわ」
「……そうか、なあ。ルーミアは興味がないようだ。どう思う?」
吾輩にけいねが聞いてきたのである。ううむ、これは難しい問題であるな。吾輩はみんなで行くのにはやぶさかではないのである。るーみあよきっと楽しいのであるからして、ついてくるのである。なに心配はいらぬ。吾輩が付いているのである。
にゃあにゃあ
「……と、この子もこう言っているんだがどうする? ルーミア」
「いや……私は猫の言葉なんてわからないんだけど。そもそもなんで私を連れていきたいの?」
「そうだな、これも何かの縁かなと思って誘ってみたんだけどな。なあ?」
なあ、と吾輩に語り掛けてこられたのである。
けいねは吾輩をじっと見てきたのである。吾輩もけいねの眼をしっかりと見つめるのである。にらめっこなら負けぬ。……うむ、勝ったのである! けいねが笑ったのであるな、吾輩はにらめっこなら負けぬ。こころにもいつか吾輩が勝つのである!
けいねは顔を上げてゆっくりと話をし始めたのである。吾輩はけいねがはなすところは好きである。
「この子はなんだかどこかで友達を作ってくるんだ。つい最近も私の知り合いと連れ立って遊びに来てたりね」
「そうなのか、って何か関係があるのっ?」
「いや、朝にちょっと目を離しただけですぐにお前と知り合いになっていたのことが、そのおかしくて」
くすくす、けいねが笑うのである。
「さっきの答えを補足するけど、どうせならこの子と遊んでやってくれないか」
「……私は猫と友達になった覚えはないんだけど」
むむむ、吾輩はしょっくである。もうるーみあとはともだちとして考えていたのである。これは悲しいことであるな。吾輩はじっとるーみあを見るのである。
「……」
じい。
「うっ……」
るーみあがそっぽを向くと、けいねが吾輩を抱いたままその前にもっていくのである。らくちんであるな。るーみあの前にいくと、吾輩はなんとなくるーみあをみるのである。
「……」
なんか汗をかいているのであるな。吾輩は別に何もしておらぬのであるが、これはかてるやもしれぬ……。何に勝つのかは吾輩にもわからぬ。なんとなく尻尾を振ってみたりするのである。
「ほら、ルーミアと友達になりたいから尻尾を振っているわ」
けいねよ、そういうわけではないのであるが、るーみあと友達になるのはきっといいことであるな。吾輩の心は広いのである。お月様くらいの大きさはあるやもしれぬ。だから吾輩はるーみあとも仲良くしていたいのである。
「わかった。ついていってあげてもいいけど、なんかちょうだいっ」
「わかったわかった。ちゃんと私がルーミアのお茶碗を買ってあげるさ。よかったな、ルーミアが友達になってくれるって」
よかったのである! にゃあおと吾輩は声を出すのである。このごろ知り合いが増えていくのである。にぎやかでいいことであるな。
「……猫と友達になるとは言っていないんだけど」
「まあまあ、そういえば昨日もらった草餅があるんだが、行く前のでざーとに食べるか」
「うんっ!」
いきなりるーみあが元気なって吾輩はびっくりしたのである。思わずびくっと体を震わせてるーみあを見てしまったのである。それにしてもくさもち、とは何であろうか吾輩はちゃんと餅はわかっているのである、のどに詰まらせるから絶対に食べてはいかぬ、とけいねに止められているものであるな。
ううむ、くさもち……くさもち。わかったのである! 草を丸めたやつであるな。おいしいのであろうか? 吾輩にはとんとわからぬが、るーみあが好きなら今度作ってあげるのである。
草ならその辺にいっぱいあるのである。吾輩はいらぬ。どうせならふとにもやるのである。喜ぶであろうか? ふとが喜んだらこがさにもつくってあげるのである。
「それじゃあ、草餅取ってくるから、ちょっと待ってて」
けいねがくさもちを取りに行くのである。草をむしってくるのであろうか。吾輩もお手伝いするのである。その足元についていくのである。
――
だまされたのである!
るーみあが両手に緑色の「くさもち」をもっておいしそうに食べているのである! なにやら甘いあんこも入ってるというのである。吾輩もほしいのである。
るーみあの周りを吾輩はまわって、にゃあにゃあ鳴いてみるのであるが、どうしてもくれぬ。
「おいしい」
るーみあがくさもちを咥えてみよーんと伸ばしているのである。楽しそうである。吾輩もやりたいのである。けいねよ、吾輩もほしいのである。
そう思ってけいねを見てみると、けいねはにっこりとわらいながら吾輩に言ったのである。
「のどに詰まらせるからダメ」
りふじんである!
「後でヤマメあげるから」
じゃあ、いいのである!
あけましておめでとうございます。おもち食べたい