卯ノ花さん護衛します!   作:杉山杉崎杉田

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1日目(続)

 

 

「⁉︎ 狛村⁉︎」

 

「砕蜂‼︎」

 

俺は砕蜂を抱えてなんとか回避した。

 

「悪いが、貴殿らの茶番に付き合っている暇はない。一気にカタをつけさせて貰うぞ」

 

狛村がこっちを睨んでそう言った。すると、「⁉︎」と砕蜂が反応する。

 

「? どうした砕蜂」

 

「茶番って……私の、私の最近の一番のコンプレックスを、あいつ茶番って………」

 

「ああああ!泣くなってだから!あ〜もうっ!せっかく泣き止んでくれたのに……‼︎」

 

「やっぱり私の胸なんて……小さい胸なんて何の価値も……」

 

「落ち着け!そんな事ない、そんな事ないから‼︎……てんめ犬、カマセ、ヤムチャ‼︎何女の子泣かしてんだよバーカ‼︎謝れよ!」

 

「ふん、戦闘中にその程度の事で泣く方が……」

 

「言ったな?テメェは絶対泣かねえんだな?」

 

「えっ?」

 

「つーかなんで犬っころが生意気に人間に混じって死神やってんだよ、意味わかんねーよ」

 

「え、いや」

 

「しかもなんだよ黒縄天譴明王って。中二病かよ、たかだか七番隊の隊長ごときの卍解が明王ってwww何、王なの?ワンちゃん王なの?ワンニャン時空伝なの?」

 

「そ、それは……」

 

「つーかお前その服とか脱いだらどうなってんの?やっぱ犬?毛だらけなの?風呂とかどうしてんの?おしっこするときは四つん這いになって後ろ足あげてんの?」

 

「そ、そんなことな」

 

「え?犬なのに?ワンちゃんなのに?それ顔が犬である意味あるの?お前にみたいにキャラは濃いけど中途半端な出オチ隊長ってのはすぐに消えるんだよ。大体、お前のそのバカでかい卍解もあれだよね、巨大化する奴なんて大体雑魚キャラ扱いされるよね。ただの木偶の坊だよね」

 

「……………」

 

「お前のそのコンプレックスの塊みたいなキャラが貧乳っていう有力なステータスを持ってるうちのお姫様泣かすんじゃねぇよ。死ねよクズが」

 

「……………グスッ」

 

「あ、泣いたよ。泣いちゃったよ」

 

「………もう帰るワン」

 

「こ、狛村隊長おおおおおおお‼︎」

 

尻尾振って帰り始めるワンコと、その後を追いかける射場さんだった。

………よし、まず二人。

すると、今度は東仙隊長が口を開いた。

 

「き、貴様!狛村になんて事を……‼︎」

 

「うるせーよ黒人。ていうか、お前日本人みたいな名前なのな。外見も髪型も頭の悪いスケボー持った外国人にしか見えなかったわ。多分ジョニーみたいな名前の」

 

「畜生おおおおおおお‼︎それだけは言われたくなかったのにいいいいいいい‼︎」

 

「東仙隊長おおおおおおお‼︎」

 

えっ、今ので泣くの?まぁこれで四人だわ。

が、精神攻撃はここまで。残りの市丸隊長、京楽隊長、更木隊長、涅隊長、浮竹隊長はこうはいかないだろう。

 

「砕蜂」

 

「なんだ?」

 

「あの隊長達、何人止めれば逃げ切れる?」

 

「………わからん。だが私は隠密機動隊、速度においては尸魂界では誰にも負けん」

 

「じゃ、頼むわ」

 

「ああ、この後は?」

 

「二番隊は期待できない。恋次とルキアの救出を優先しろ。やり方は任せる」

 

「………わかった」

 

砕蜂は瞬歩によって消えた。

 

「やれやれ……逃すわけにはいかないンダヨ」

 

「じゃ、砕蜂隊長は僕と涅隊長で追いますわ。水上クンは3人にお任せしますわ」

 

「了解だ」

 

三番隊と十二番隊は砕蜂を追った。残りは八番隊、十一番隊、十三番隊の三つだ。

ったく、よりにもよって強い奴らが残りやがったか。ていうかこれ、俺生き残れんの?

 

「………チッ、俺もゴメンだ。1対1ならともかく、3対1で副隊長なんかとやれるかよ」

 

更木隊長も、そう言うと何処かに立ち去った。

なんかよくわからんけど、これであと二人だ。

 

「僕も、流石に2対1はごめんなんだけどね。………まぁ、みんないなくなってくれて都合が良くなったよ」

 

そう言うと、京楽隊長は腰を下ろした。浮竹隊長もだ。

え、何?何なの?お花見?

 

「………正直、僕らも朽木ルキアさんの処刑には疑問を持っててね」

 

そう言うと、京楽隊長は俺をジロリと見た。

 

「少し、お話ししようか」

 

「………話?」

 

「そうだ」

 

浮竹隊長もそう言った。

 

「お前がルキアを守ろうとしている理由を教えてくれ。返答によっては、俺たちもお前に協力してやる」

 

「………マジで?」

 

「マジだ」

 

マジでか……敵の中でもかなり厄介なこの人達が味方になってくれるなら、これ以上に心強い事はない。それなら、いっそ浦原とかの話もした方がいいかもしれない。

 

「……うーん、話すのは全然良いんですけど、でもその前に一ついいですか?」

 

「お二人は百十年前とかは何してました?隊長?」

 

「え?まぁ」

 

「俺も京楽も隊長だったよ」

 

「あーじゃあ話早いわ。これはマックで夜一さんに聞いた話なんですけど……」

 

「マック?」

 

 

砕蜂を追い始めて、すぐにマユリは足を止めた。

 

「マユリ様、追わなくてよろしいのですか?」

 

「いいんだヨ。どうせ、隠密機動隊に追い付けるはずはない。形だけでも追うふりをしておいただけダヨ。まったく……こんな下らない事で一々、私を出動させないで欲しいネ」

 

 

砕蜂はギンとイヅルから逃げていた。

 

(涅がいない?追うのをやめたか、祐作の方へ行ったか。まぁ、片方を自由にして困るのは向こうだ。私は私の仕事をする)

 

そう思いながら、走り続けた。直後、後ろから霊圧が高まるのを感じ、振り返るとギンが斬魄刀を構えていた。

 

「射殺せ『神鎗』」

 

「ッ⁉︎」

 

慌てて回避したが、腕を少し掠めた。

 

「クッ……‼︎」

 

さらに、イヅルが距離を詰めて斬魄刀を抜いた。

 

「表を上げろ、『詫助』」

 

振り下ろされる斬魄刀。それを砕蜂はガードした。

 

「チィッ、邪魔だ‼︎」

 

ガードした状態から、イヅルの腹に蹴りを入れる。それを膝で受けつつ、イヅルは後ろに退がった。

 

「吉良……!貴様は祐作の友人ではなかったのか?」

 

「友達?水上が?」

 

フッとイヅルは馬鹿にしたように微笑んだ。脳裏に浮かんだのは数日前、祐作を説得に行った時の日、帰還の途中で雛森が泣いていたことを思い出していた。

 

「……雛森さんを泣かすような奴を、友達とは言えませんね」

 

「ほう……」

 

イヅルの後ろに、ギンが微笑みながら立った。

 

 

その頃、祐作。

 

「へぇ、みんなでゲームかぁ……。僕も久々に現世のゲーセン行きたくなってきたなぁ」

 

「行くならお二人とも俺が案内しますよ」

 

「まだファミコンってあるのか?」

 

「ねぇですね」

 

ゲーセン談義に花が咲いていた。

 

 


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