そんなこんなで、尸魂界に殴り込みの日になった。
浦原が穿界門を作るまでの間、一護、井上さん、チャドの3人は、現世で少し夏休みを送る事になった。まぁ、元々あいつらは学生だし、それが妥当だろう。
俺と砕蜂は、地獄蝶があるので先に行く事にした。敵兵力は二人と思わせて、後から援軍が来れば相手の隙を突けるのでは?という思いつきでもある。
「さて、行くか」
コキコキと首を鳴らしながら、俺は砕蜂に言った。
「……ああ」
恋次とルキアを助けに。
「準備、出来たようじゃの」
「ああ」
「すまん、儂も一緒に行ってやられれば良かったんじゃが、一護達の方に付かねばならんのでな」
「いいよ別に。あいつらにも働いてもらわないと困るからな」
「…………気をつけろよ」
「わーってますよ」
「砕蜂もな」
「はい。夜一様も、黒崎一護達を宜しくお願いします」
「あ、何。砕蜂、一護達を気に掛けてんの?」
「バッ、違う!ただ、短い間だったとはいえ、世話になった奴らへの社交辞令だ」
「いないのに?」
「そういえば、砕蜂は修行の時も井上とかなり仲良くしておったからのう。特にバストアップの秘訣とか……」
「わ、わーわーわー!夜一様、そんな歩くスピーカーみたいな奴を前にそんな事を言わないで下さい‼︎」
「大っきくしたいなら俺が揉んでやろうか?」
「殴るぞ貴様!」
そんなことをしてると、夜一さんが表情を変えた。
「まぁ、冗談はさておき、本当に気を付けろよ」
その台詞に、俺も砕蜂も頷いた。相手は尸魂界だ。はっきり言って、勝ち目はない。
「砕蜂、最終確認するぞ」
「ああ」
「向こうに着いたら、まず俺と砕蜂は二手に分かれる。向こうの砕蜂の認識がどうだか分からないが、味方と思っているなら好都合だ。二番隊を味方に付けて、恋次とルキアを助ける。その間、俺は隊長格を一人でも多く引きつけて逃げる。質問は?」
「もし、二番隊が私の敵なら?」
「それでも殺すな。あんたなら縛道かなんかで相手の動き封じれんだろ」
「………わかった」
それを見て、夜一さんは微笑んだ。
「準備、出来とるようじゃな」
「では、夜一様。行ってきます」
「うむ」
出発した。
*
尸魂界に足を着けた。直後、辺りは1、4、5、6、10番隊以外の隊長格に囲まれていた。
「……………」
「……………」
俺と砕蜂に大量の汗が浮かんだ。
「………やぁ、久し振りやなぁ。二番隊の隊長サンと四番隊の副隊長クン」
「悪いけど、もう前のように話し合いは無理だよ」
三番隊、市丸ギン隊長、吉良イヅル副隊長。
「悪いね、お二人共。投降しなよ」
「……(私も何かあった方がいいのかな)。その幻想をブチ殺す‼︎」
八番隊、京楽春水隊長、伊勢奈々緒副隊長。
「貴殿らに逃げ場はない」
(伊勢副隊長がなんか言ってた気がするが、気の所為かのう)
七番隊、わんこ隊長、ヤンキー副隊長。
「無駄な血は流したくない。投降してくれ」
「というか、あんたらにもわかんだろ」
九番隊、東仙要隊長、檜佐木修兵副隊長。
「チッ、大人数で二人を叩くのは好きじゃねェんだけどなァ」
「剣ちゃん、髪に虫ついてる」
十一番隊、更木剣八隊長、草鹿やちる副隊長。
「ククッ、まぁどちらにせよ研究し甲斐のある奴らだヨ」
「……………」
十二番隊、涅マユリ隊長、涅ネム副隊長。
「祐作……剣を置け……!」
十三番隊、浮竹十四郎隊長。
簡単に言えば、オールスターズだった。俺と砕蜂はフッと微笑んだ。
その笑みに、オールスターズは一瞬狼狽える。
「………何を笑っている?」
ワンコが聞いてきた。
「おいおい、逃げ場はないだとワンコ」
「狛村だ」
「俺たちが何の策も無しにここまでノコノコ来たと本気で思ってんのかワンワン」
「狛村だ」
「まったく、お前からもあのワンダフル魁になんとか言ってやれよ」
「ふっ、まったくだな」
「狛村だっつってんだろお前ちょっと便所来い」
俺は不敵な笑みを浮かべたまま続けた。
「こういう時のための策もちゃんと考えてあるぜ」
「はっ。奇遇だな。私もだ」
「全員構えろ!来るぞ‼︎」
わんこの声で全員が腰の刀に手をかけた。
俺と砕蜂は笑みを浮かべたまま声をかけあった。
「砕蜂!」
「祐作!」
「「ここは任せた‼︎」」
お互いに隊長の群れに押そうとしながら後ろに走ろうとした結果、二人揃って隊長の群れの方に転んだ。
「てめええええ‼︎何やってんだ‼︎お前隊長だろ、あいつら足止めするくらい言えねえのか⁉︎」
「こっちの台詞だアホ‼︎元々貴様が奴らを抑える予定だっただろ‼︎」
「ああ⁉︎尸魂界にお前が敵認定された時点でそれは無理なんだよ少しは頭使え貧乳‼︎」
「貧乳とか言うなああああああああああ‼︎‼︎毎日、寝る前に織姫ちゃんにおっぱい揉んでもらってたんだぞおおおおおおおお‼︎」
「たった5日で貧乳脱出できると思ってんのかテメェは‼︎」
「できるもん‼︎いや5日は無理だけど一週間で変わるって言ってたもん‼︎」
「じゃあ現時点をもってテメェは貧乳だろうが‼︎」
「卍解『黒縄天譴明王』」
「………グスッ」
「えっ?」
「……あんまり貧乳貧乳っていうなよお……」
………泣いちゃった。
「こっちだって……好きでこんな胸になったわけじゃないのに……」
「……………」
「ふええええん……」
「………や、ごめん。その、ついネタのつもりっていうか……俺、貧乳も嫌いじゃないから、な?いや、最近は貧乳はステータスってことも段々理解できるようになってきたんだ。だから泣くなよ、な?」
「………くれる?」
「え?」
「……バストアップ手伝ってくれる?」
「おう。任せろ。例えばそうだな、おっぱい揉んだりおっぱい揉んだりおっぱい揉んだりしてやるから、だから泣き止めって、な?」
「………なら、許すけど……でも次はないからなぁ……」
「はいはい……」
頭を撫でてあげてると、俺と砕蜂の上に影が掛かった。何事かと上を見ると、デッカい刀が降りてきていた。
「「えっ」」