卯ノ花さん護衛します!   作:杉山杉崎杉田

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3〜4日目

 

大慌てで地下の勉強部屋に入ると、すでに戦闘が行われた後のようで、随分と地面とかが荒れていた。

 

「うわあ、スッゲェ……」

 

「言ってる場合か‼︎」

 

見渡す限り、恋次とルキアの姿がない。

一護が倒れているのが見えた。

 

「………一護!」

 

「……ゆ、祐作か?」

 

「どうした?何があったお前」

 

「すまん……尸魂界の眼鏡を掛けたヨン様みたいな顔した奴が現れたと思ったら、恋次とルキアを連れて行かれちまった……!」

 

「恋次とルキアが?つーか浦原は?」

 

「分かんねえ。何か気配を感じ取ったと思ったら、急用とか言って出て行っちまって……」

 

逃げやがったなあの野郎……と、思ったが、あの人も鏡花水月の能力を知る数少ない人物、勝ち目のない状況の上に、自分まで鏡花水月に掛かるのを恐れたのだろう。

すると、勉強部屋の入り口から、浦原や鉄裁、ジン太、雨が落ちて来た。

 

「! 浦原!」

 

「スミマセン、黒崎サン、水上サン。こうするしかなかったンス」

 

「テメエ!何勝手に逃げてんだ‼︎」

 

一護が食って掛かるが、俺がそれを制した。

 

「いや、いい。あのヨン様を相手になんの策も無く挑むのは自殺行為だ」

 

「お前まで何言って……‼︎ルキアと恋次が連れて行かれちまったんだぞ‼︎つーか何でお前は無事なんだよ‼︎」

 

「ゲーセンで遊んでた」

 

「げ、げげげゲーセン⁉︎」

 

「おい貴様、祐作は私と遊んでいたのだ。何も悪くない」

 

「いや悪いだろ‼︎何を持ってして悪くないって言ってんの⁉︎つーか誰だよテメェ‼︎」

 

「尸魂界の二番隊隊長、モルフォンだ」

 

「砕蜂だ‼︎」

 

「二番隊⁉︎じゃあ、そいつ敵なんじゃねえのか⁉︎」

 

「仲間になったんだよ。さっきな」

 

「………お前スゲえな。何したら敵を仲間に出来んの?」

 

「ゲームは人の心を円滑にするんだよ。ほら見ろよ、さっきまで『テメェぶっ殺す』『ごめん、事情があったの』の関係だったその二人も『夜一様……』『相変わらずペチャパイやな』の関係になってるだろ?」

 

そう言う祐作の隣では、肩を組んでガハハと笑う夜一と砕蜂の姿があった。

 

「つーか、隣の黒い人誰?」

 

「黒オッパイ夜一だ」

 

「四楓院夜一じゃ‼︎なんじゃその卑猥な苗字は‼︎」

 

「おや、夜一サン。人の姿とは珍しいっスね」

 

「うむ、色々あっての。それより、これからどうするんじゃ?朽木ルキアを取られてしまったぞ」

 

「あ?決まってんだろ」

 

祐作が口を挟んだ。

 

「取り返しに行く。恋次もルキアも全員」

 

「取り返しに行くって……尸魂界にか⁉︎」

 

大きく反応したのは一護だ。

 

「そりゃそうだろ。このままじゃルキアも恋次も処刑は確実、待った無しだ。なら、殴り込みに行って力付くで奪う」

 

「行けるのか?尸魂界に」

 

「そりゃそうでしょ。俺は元々、あっち側だし」

 

「………」

 

「じゃ、行ってくるわ」

 

そう言って俺は尸魂界に戻ろうとした。が、「待った!」と一護は口を挟んだ。

 

「俺も行く」

 

「………あ?」

 

「元々、ルキアが処刑されそうになってるのは、俺に死神の力をあげちまったからだ。なら、俺が助けに行くべきだろ」

 

「いい、いらん、やめろ。斬魄刀の名前も聞けない雑魚に来てもらっても困るわ」

 

「お前もつい最近まで聞けなかっただろ」

 

「黙ってろサイドン」

 

「砕蜂だ‼︎自分で言うのもなんだが、かなり正反対だろう

‼︎」

 

「だから、時間をくれ」

 

「あ?」

 

「一週間、いや五日間だ。それでテメエより強くなるって言ってんだよ」

 

「………いや、いい」

 

「なんで⁉︎」

 

「なんか気持ち悪い」

 

「き、キモっ⁉︎テメェブッ殺す‼︎」

 

「はい上等。戦争をしましょう?」

 

「やめんか馬鹿者共‼︎」

 

夜一さんの拳で、俺と一護は大人しくなった。

 

「とにかく、戦力は多いほうが良い。一護はもちろん、あの3人も連れて行くとしよう」

 

「あ?3人?」

 

「3人って……チャドと石田と井上か?」

 

「うむ。3人ともそれぞれ、死神との戦闘において力をつけている」

 

「おい、誰だよそいつら」

 

「人間じゃ。霊力を持ち、それぞれ特別な力を持っておる」

 

「ふーん……。あ、サイホーンは来る?」

 

「なぜ退化させた⁉︎いや、行くけども‼︎」

 

行くんだ。

 

「じゃあ雀蜂は使うなよ。相手はまだ藍染の正体に気づいてない奴らばかりだ。殺すことは無いからね」

 

「隊長格を相手に斬魄刀を使うなと言うのか貴様は」

 

「え?できるでしょ?」

 

「………そんな事が出来るのは貴様だけだ」

 

「あ、今俺より自分のほうが剣の腕ないって認めた?認めたよね?」

 

「き、貴様っ……‼︎今から試してやろうか⁉︎」

 

「よろしい、ならば戦争だ」

 

「だからやめんか馬鹿1号と3号‼︎」

 

また殴られた。

 

「………まぁ、大体わかりました」

 

まとめるように浦原が言った。

 

「出発は5日後、それまでに黒崎サン達は戦力になるように鍛え、砕蜂サンと水上サンは修行の手伝いなりなんなりして下さい。これでよろしいっスね?」

 

その確認に、全員が頷いた。

 

 

翌日、暇です。する事ない。なんかみんな修行に行っちゃってて俺も砕蜂も駄菓子屋でゴロゴロしてます。

 

「………することねぇなぁ」

 

「そうだな……。ここにある本もほとんど読んでしまったし………夜一様は忙しそうだし……」

 

「………そういや砕蜂ってさ、オシャレとかしないの?」

 

「何だ急に」

 

「いや、せっかく義骸に入ってんのに勿体無いなーと思って。普段と同じカッコしてるし」

 

「ふん、うるさい。服なんてどれを着ても同じだろう」

 

「そうでもないよ?例えばほら、夜一さんがこんな服着てたらどう思う?」

 

言いながら俺は監○学園19巻を見せた。スリングショットである。

 

「ブフッ⁉︎」

 

「こんなの夜一さんがしてたらどうよ?」

 

「ば、ばばば馬鹿者‼︎あ、あああアーノルド夜一様がそんな格好するわけないだろう‼︎」

 

「誰だよアーノルド夜一」

 

「噛んだだけだ!あの夜一様って言おうとしたの‼︎」

 

「まぁそれはいいとして……。で、どうなんだよ」

 

「だ、ダメダメだ‼︎夜一様にそんな破廉恥な格好……‼︎」

 

「じゃあこれは?」

 

次に見せたのはニップルシール。これも監○学園19巻である。

 

「ッッッ⁉︎⁉︎⁉︎な、なんだこれは⁉︎もはや下着でも何でもないだろう‼︎」

 

「まぁ、そうなるな」

 

「………で、でも、もし夜一様がこんなのを付けた……」

 

呟いた後、ニマニマし始める砕蜂。この子、ヤバイ子だなって一発で分かりました。

 

「……まぁ、今のは冗談だけど、尸魂界より現世の方が服とか良いものたくさんあるし、こっちでなんか買ってったらどうだ?」

 

「………ふ、ふむ、なるほど……」

 

「正直、黒装束ダセェし」

 

「今、サラッとすごいこと言ったな……」

 

砕蜂は少し考え込むように顎に手を当てた後、頷いた。

 

「よし、では買いに行こうか」

 

「いってらー」

 

「お前も来い」

 

「え?」

 

 


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