翌日、ルキアの案内で俺、恋次、一護は駄菓子屋に連れて来られた。その駄菓子屋の前では子供が二人ほど箒で野球をしていた。
「うっしゃあ‼︎ジン太ホームラン‼︎」
「じ、ジン太くん。後ろ、お客さん……」
「あ?……ああ、またあんたらか。ん、知らないのが二人いるな」
「………ルキア、誰これ?」
「この駄菓子屋の子供のようなものだ。浦原はいるか?」
「いるぜ」
と、いうわけで中に入った。
「おお、いらっしゃいっス。朽木さ……ん?死神?」
出て来たのは変な帽子を被ったいかにも怪しい男だった。
「………朽木サンを、連れ戻しに来たンスか?」
「いやいや、逆逆。助けに来た」
俺が言うと、ピクッと浦原は反応し、目を少し鋭くさせた。
「助けに……?どういう事っスか?」
「ん、そのまんまの意味。説明したい所だけど……あんたの正体がわからない以上は話せないな」
「とにかく、話は奥の部屋でしましょう」
と、いうわけで男に連れられて俺達は奥の部屋で座った。
「改めまして、浦原喜助っス。さて、何から説明したらいいんスかね……」
「四番隊副隊長、ウォーターアップ祐作だ」
「水上祐作っスね。四番隊というと、卯ノ花隊長の?」
あれ?通じた?
「そうだけど」
「俺は六番隊副隊長、阿散井恋次だ」
「ほう。それで、あなた方が朽木サンと黒崎サンの味方だという証拠は?」
「あ?」
どういう意味だそりゃ。
「当然、警戒するでしょう。あなた方は今、尸魂界側の命令を背いている状態にいるンスよ?普通、副隊長二人がそんなことすれば、処罰は免れない。アタシの事は信用していない癖に、自分達が信用されるとでも?」
「うーん……証拠って言ってもなぁ」
俺と恋次は顔を見合わせた。
「友達だから、とか?」
「いやそりゃ証拠にはならねえだろ」
「じゃあ、同期だから?」
「だから無理だってそれじゃ」
「幼馴染だから」
「そりゃお前じゃなくて俺だろ‼︎つーかそれも同じで証拠にならねえよ‼︎」
「一緒にオセロした仲だから?」
「朽木隊長を相手にな⁉︎俺たち3人でやったことはないだろ‼︎」
「ああ、なんかもう面倒なんで信用するっス。お二方が特に考えもせずに行動したってことはよく分かりました」
「ほら見ろ‼︎てめぇの所為で呆れられちまっただろうが‼︎」
「あ?なに人の所為にしてんだ赤パインコラ」
「オイ、お前ら黙れよ。話が進まねえだろ」
「「お前が黙ってろってばよナルト‼︎」」
口を挟んできた一護に、俺と恋次は言い返した。直後、一護のおでこに青筋が立った。
「誰がナルトだテメェら‼︎上等だ、表出ろコラァッ‼︎」
「よろしいならば戦争だ」
「お前ら全員殺す‼︎」
「やめんか‼︎」
ルキアのゲンコツでバカ二匹と俺は黙って、話を進めた。
「……で、あんたは?」
恋次が浦原に質問する。
「アタシは……うーん、何処まで教えたら良いンスかねぇ……。お二人がそもそもなんで朽木さんの味方してるかにもよるんスけど」
「だーかーらー、友達だからに決まってんじゃん」
「それな、友達が処刑されそうになってんのに助けないわけがねぇぜ」
「お前は揺らいでただろ。俺は即決だったけど」
「揺らがない方がおかしいだろ‼︎お前自分の状況分かってる⁉︎雛森も吉良も卯ノ花隊長も裏切ってきたようなもんなんだぞ‼︎」
「えっ、卯ノ花隊長も?それは困るなぁ、後でどんなお仕置きが待ってることか……」
「お仕置きどころか俺らも処刑の可能性があるんだよ‼︎」
俺と恋次のやり取りを見て、浦原はさらに大きくため息をついた。
「ハァ……まぁ、アタシの正体は後で話すとして、ご用件はなんでしょうか?」
「ええ⁉︎処刑⁉︎正論言っただけで⁉︎」
「正論がいつでも正しいと思うなよ⁉︎」
「浦原、あのバカ二人は放っておけ。私から話す」
ルキアがそう言うと、話を進めた。
「ふむ、それで私を助けに来てくれたのは良いが、何を血迷ったか尸魂界に宣戦布告をしおってな。ほぼほぼ間違いなく隊長格が来る。だから、こいつらを鍛えてもらいにきた」
「や、鍛えて、と言われましても……」
ルキアが言うと、少し考えるような仕草をする浦原。しばらく考え込んだあと、頷いた。
「いいっスよ」
「本当か⁉︎」
「はい。アタシとしても、朽木サンを取られるのは困るっスからね。良いっスよ」
「良かった……助かる」
「…………と、いうわけっス。いいっスね、お3人方?」
浦原の確認に、俺たちは頷いた。
*
鍛える、と言っても敵はいつ来るのか分からない状態だ。
よって、二人は鍛えて残りの一人は見張りをするのをループさせて行く形になった。
「で、なんで俺が見張りなんだよ……」
浦原商店の前で俺は座っていた。まるで、『○○ダムの建設はんたーい!』と言ってる気分だ。○○ダムってなんかガンダムみたいだな……。
そんな事を思いながら早くもウトウトしていると、ピリッと嫌な感じがした。霊圧、そこそこのサイズの。二つ、いや三つか。
「………水上くん」
現れたのは雛森さんとイヅルだった。
「! お前ら……‼︎」
「よう、水上」
さらに後ろから現れたのは日番谷だった。
「おう、ひばんたに船長」
「日番谷隊長だ‼︎俺船持ってねえから‼︎」
「どうした、こんなところに親子で集まって」
「誰が子供だ‼︎」
「あ、自分が子供って自覚はあるんだ」
「なぁ雛森‼︎やっぱこいつ今すぐ殺しちゃダメかな⁉︎」
「だ、ダメだよシロちゃん。私達、ちゃんと許可もらってるんだから」
「日番谷隊長だ‼︎」
「許可ってなんの話だよシロちゃん」
「テメェにシロちゃんって呼ばれたくねえ‼︎」
「あ、じゃあ雛森さんだったらいいんだ」
「そういう意味じゃ……〜〜〜ッ‼︎殺す‼︎こいつと話してると腹立つ‼︎」
「じゃあ白ブリーフちゃん」
「今日は赤トランクスだ‼︎ていうか白ブリーフは三年前に卒業してます‼︎」
「割と最近じゃん。つーか意外と派手なパンツ履いてんのな」
しかし、赤トランクスか……。おっ。
「なら、赤トランクスちゃんを略して赤ちゃんとかどうだろうか?」
「どうだろうか?じゃねぇよ‼︎お前マジで話し合いで解決しなかったら殺すからな‼︎」
「あ?話し合い?」
俺が聞くと、ひばんたに校長は後ろに下がって木の下に座り込んだ。
「日番谷隊長だ‼︎」
「うおっ、ビックリした……!心の中にまでツッコミ入れるんじゃねーよ……」
と、いう無駄なやり取りのあと、ひばんたに村長は……、
「日番谷隊長だ‼︎」
「話進まねーんだよ‼︎」
今怒鳴ったやつは雛森さんに言った。
「5分間だからな」
「分かってる」
雛森さんとイヅルは口を開いた。
「お願い、朽木さんを連れて尸魂界に帰って来て」
「………あん?」
「中央四十六室は考えるつもりなんてない。徹底的に水上くんと阿散井くんを叩いて朽木さんをつれ戻す気なの‼︎」
「僕達との今この5分間の話し合いがラストチャンスだ。今、戻ると言わないと、本格的に尸魂界は奪いに来る気だ」
「おいおい、副隊長二人と平隊員一人にどこまで本気でくるんだよ」
「話を逸らすな。時間がない」
イヅルが口を挟んだ。
「とにかく、早く帰って来い‼︎僕達と戦うハメになるかもしれないんだぞ⁉︎」
「つーかさ、その現状がおかしいと思いやしませんかね君たち、とひばんたに係長も」
「日番(ry」
「どういう意味?」
「そのまんまだよ。明らかにおかしくね、前も言ったけど双極の事。ありえないでしょ、わざわざ手間の掛かる双極で処刑なんて」
「そ、それは……!」
「中央四十六室だか柔道一直線だかJR武蔵野線だかなんだか知らねーが、俺は上が言ってることが全て正しいと思うようなつまらない奴になりたくない。だから、反抗した。俺がルキアを助けたいと思ったから、今こうしてる」
「………………」
「修風に言うと、『自分が、そうすべきと思ったからです』」
「最後ので台無しだよ………」
すると、ひばんたに不死鳥が立ち上がった。
「………つまり、尸魂界に帰る気はねぇってことだな?」
直後、その台詞を合図にしたように、何処からか煙のようなものが出てきた。いや、灰か?俺が考えているうちにその灰は俺の周りにまとわりついた。
直後、ブシィッと俺の手足から血が噴き出す。
「っ⁉︎ なんだこれ……痛い」
直後、木の上から松本さんが降りてきて、ひばんたにアゲハ蝶の隣に降りた。
「刀身を灰にして、私が柄を振ると対象が斬れる……それが『灰猫』の能力」
「松本さん。いたんだ………。で、これは何の真似?」
「五分経った……交渉は決裂だな」
「し、シロちゃん⁉︎」
「退がってろ雛森」
ひばんたに十二指腸は斬魄刀を抜いて松本さんと並んだ。
「おいおい、隊長格二人がかりかよ。恥ずかしくないんだ?」
「うるせぇ。テメェにはラリアットの借りがあるからな。キッチリお返ししてやるよ」
「やってみろよクソチビ」
お互いに斬りかかった。