さて、啖呵を切ったはいいけどまずはルキアを探さないとな‼︎じゃないと何も始まらないもんな‼︎
そんなわけで、街の中を歩き回ろうとした。
「………ま、待てよ祐作」
声がした。振り返ると、恋次が立ち上がっていた。
「あれー?気絶してなかったっぽい?」
「ま、待て!そうじゃねぇ‼︎」
指をコキコキと鳴らしながら恋次の方へ歩くと、恋次は手を俺の前にかざした。
「じゃあなんだよ」
「テメェ一人じゃ、隊長格が襲い掛かってきた時に対処しきれねぇだろ」
「あー」
どうなんだろうな。隊長格とガチで喧嘩したことないから分からん。
「だから、俺もルキアを守るのに手を貸してやる」
「…………は?」
「だから、手を貸してやるって言ってんだ‼︎………俺も、このままルキアが殺されんのは納得いかねえ」
「本気で言ってんの?」
「ああ、マジだ」
「……………」
ま、いっか。この際、一人でも仲間が欲しいし。
「わーったよ。足引っ張るんじゃねぇぞ」
「はっ、こっちの台詞だよバーカ」
「それより、ルキア探さねえとな。あいつがいないと始まらん」
「ああ、確かにな。まずはルキアを探さねえと……」
ルキアが目の前の交差点から姿を現した。
「………………」
「………………」
「………………」
「「確保おおおおおおおお‼︎」」
「な、なんだ貴様ら‼︎なんでここに……わぎゃああああああああ‼︎⁉︎」
*
追いかけ回してたら調子に乗りすぎて蹴られました。
「………と、いうわけで、俺たちはここにいます」
「なるほど……。つまり、私の件は既にバレているというわけか」
あまり怒ってないのか、ルキアはそっちの方を不安げに感じていた。まぁ、それもそうか。捕まれば即処刑だ。しかも自分の護衛が副隊長二人。不安になるのも当然だろう。
と、思ってると俺と恋次の頭にゲンコツが二発きた。
「「いだっ⁉︎」」
「何をしているこの馬鹿者共‼︎私なんかのために、尸魂界を裏切りおって‼︎」
「何だよ!何キレてんだよ‼︎」
「怒りもするだろう‼︎何故、こんな無茶をした貴様ら‼︎」
「ああ?テメェの命繋いでやっただけでもありがたく思え馬鹿野郎‼︎」
「頼んでないわ‼︎というか質問に答えろ‼︎」
「おい、落ち着け二人とも」
俺とルキアの間に恋次が割って入った。
「ルキア。俺と祐作はお前に死んでほしくないから動いたんだ。だから、頼む。お前を守らせてくれ」
「………」
まとめるように恋次が言うと、ルキアは照れたように顔を赤くしてそっぽを向いた。
「………礼は言わんぞ」
「はい、いただきました〜。ルキたそのデレとデレ顏」
「貴様には本当に礼は言わん‼︎」
「顎が痛い‼︎」
昇竜拳バリのアッパーカットを食らった。
「………とにかく、貴様らは味方であると私は思って良いのだな?」
「ああ。そうだ。で、ルキア。テメェはどいつに死神の力をくれてやったんだ?」
「あ、ああ。それは……」
「ルキア‼︎」
途中で、誰かの声がした。俺も恋次もそっちを見ると、オレンジ色の髪に黒装束を着た男が立っていた。
「…………? 知り合いか?ルキア」
「テメェら、ルキアに何してやがる‼︎」
「奴は黒崎一護、色々と事情があったわけだが、私が死神の能力を分け与えた人間だ」
「へぇ、あんなナルトみたいな髪型したヤツに」
「まぁ霊圧は悪くねえんじゃねえの?」
「おい!聞いてんのか‼︎ルキアから離れろ‼︎」
「中々使えるヤツだ。この前は大虚を退けた男だ」
「おいおい、マジかよ。じゃあマジで強い奴なんじゃね?」
「そうだな。でも、ガサツそうで正直仲良くなれそうにないな」
「話聞けって‼︎斬るぞ、いいのか斬っちゃうよー⁉︎」
「それなりに事情はあるんだ。私は奴の家で厄介になっていたわけだが……貴様らに感づかれる前に立ち去ろうとしたのだ。……まぁ、貴様らが味方というのなら、その必要はなくなったがな。とにかく、詳しい事は奴の家で……」
「人の話聞けって言ってんだろうがああああああ‼︎」
「うるせええええええええ‼︎」
走って襲いかかってきたナルトの顔面を木刀でホームランした。ギャグマンガのようにフル回転しながら思いっきりぶっ飛び、15メートルほど飛んだあたりで落下していった。あれ、20メートルは飛んだな。
その様子を見ながら、恋次は呟いた。
「…………生きてるのかあれ?」
「さぁ?」
*
黒崎家。俺と恋次は一護くんとやらの部屋に集まった。
「……と、いうわけだ」
ルキアが死神の力を渡す羽目になった大体の事情を聞いた。
「………ふぅん、大変だったんだなお前らも」
「それより、煎餅の一つも出ねえのかこの家はよぉ」
ベッドの上でワンピースを読みながら呟くと、一護が立ち上がった。
「うるせぇ‼︎何、テメェだけ寛いでんだよ‼︎」
「あ、終わった。おい、ストロベリー。37巻取って」
「誰がストロベリーだ‼︎ていうかそこの本棚にあんだろ‼︎テメェで取れ‼︎」
「チッ、使えねえ召使いだ。いいよ、自分で漁るから」
「おい‼︎勝手に出歩くな‼︎ここ俺ん家、それ俺のワンピース、それ俺のかっぱえびせんんんんッ‼︎」
「落ち着け、一護」
「俺が落ち着くの⁉︎俺が落ち着かなきゃダメなの⁉︎」
隣のルキアが一護を止めた。
「奴には何を言っても無駄だ。ストライクフリーダム以上に自由な奴だからな」
「おいおい、ワンピース38巻までしかねえじゃねぇか。おい、一護。お前今から全巻買ってこい」
「あーだめだこれ。一発殴る」
「おい、良いから話を進めるぞ」
恋次の台詞で、俺以外の二人は真面目な顔になった。
「とにかく、尸魂界に喧嘩を売った今、向こうからは隊長格以上のメンバーが俺達の所に攻めて来る事は間違いない」
「隊長格以上だと?」
「祐作はお前も知ってる通り副隊長だし、俺も副隊長に昇進した。それなら、確実に俺達倒してお前を連れ帰れるように副隊長を3人以上連れてくるのが妥当だろ」
「なるほど……。しかしどうする?そうなると、我々だけでは凌ぎ切れんぞ」
「なぁ、その隊長格ってのはそんなにヤバイのかよ」
「ああ。隊長と副隊長ってのがいるんだが、特に隊長がヤバイ。卍解は始解の5倍〜10倍の戦闘力になる」
「待て待て、まずその始解って何なんだ?」
「はぁ?お前もしかして斬魄刀の名前も聞けてねえのか?そんなんで大虚を追い返したのかよ」
「うるせーな。つーか、お前らは斬魄刀に名前なんて付けてんのか?いてーなオイ」
「ダメだ、こいつはまるで戦力にならねえ」
「ああ?ナメんなオイ‼︎」
「まぁ待て。一護は死神になってまだ数ヶ月だ。今、我々のすべき事は各々の戦力の増強だろう」
「増強って……現世で修行しろとか言い出す気か?ていうか今から修行なんてしたって……」
「それについては、一人アテがある。奴がどこまで力を持っているのか分からないが、話だけでも聞いて貰えば良かろう」
「………信用できるヤツなのか?」
「一応、私が現世にいる間は色々とサポートしてくれた人だ」
「………じゃあ、一応明日行ってみるか」
「おい、えーっと水上、だっけか?方針決まったぞ」
「Zzz………」
「人のベッドで寝るんじゃねえ‼︎」