女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている 作:通りすがりの魔術師
強靭!無敵!最強!なジグルドさんは引けましたか?僕はまだです。
破滅の純情やいけないボーダーラインを引いてワルキューレが止まりそうにありません。(訳:ワルキューレ2体引いた)
地震、大雨に引き続き猛暑で死にかけてましたがなんとか書きました。
暑いですがこの夏を乗り越えて...どうすんだろ...
一日中起きていたのはいつ以来だろうか。高校のテストで数学がかなり危なかったからという理由で一夜漬けした時以来だろうか。
まぁその時は1日だけだったし何とかなったのだが、流石に4日はキツい。かの有名なナポレオンでも3時間は寝ていたというのでこの4日間15分しか寝てない俺を責められる人物がどこにいるだろうか。
「先輩、2行目のコード追加してください」
「へーい」
ちょっとプログラムが出来るからって召し出された俺だが、決して鳴海の飯に釣られた訳では無い。善意であり同僚が困ってんなら俺は助ける!的な感じで来ただけで決してカニ鍋が食べたかった訳では無い。ほんとだよ?八幡嘘つかない。
にしても、最後にまともな飯を食ったのがそれで、カップ麺と冷凍食品続きで望月に買い物に行ってもらうのが申し訳ねぇな。それに家に帰るのだるいし…。そう言えば、鳴海と望月の家に行くのに地図が必要なくなってきたな。まぁ、男友達なら普通だしいいか。あれ?鳴海と望月って女だっけ...もう覚えてねぇや...。
もう起きすぎてそろそろ座に召されてもいい頃だ。適正はなんだろなぁ...ドッヂボールのゲーム作ってるしアーチャーかな。アーチャーが弓使うわけねぇだろ。
そんな冗談も言えていたのは三日前の話だ。流石に1週間も続いてくると流石に限界が来る。
ドッヂボールってなんだっけ…。冗談も思いつかなくなってしまった俺はこの数日そんなことを考えるようになってしまった。
このままいくとゲームも俺の頭も超次元ドッヂボールになっちまうぞ…。
「お、おはよう...3人とも大丈夫?」
寝不足によって頭クラクラ大ピンチで覚束無い足取りで会社まで来たら、コーヒーカップを手に持つ遠山さんはそんな俺とはじめさん、鳴海を見て唖然とした様子で立っていた。
「あ...おはようございます〜...」
「大丈夫です〜...」
「▷〇☆□×※$♪%#◇✽♫$...」
はじめさんと鳴海が項垂れながら挨拶をする中、俺のみ呂律が回らず思考もできずに言葉では表現出来ない挨拶をしてしまう。それに遠山さんは口を開けたまま「あ、うん...?」と首を傾げるが俺たちは遠山さんの横を通り過ぎてはじめさんはふらふらとしながら口を開く。
「あ、昼休み、いつもの、所で、よろ、しく〜...」
「了解っす〜...」
手をゆらゆらと振ってプログラマーブースへと歩いていく鳴海を見送ることもなく、自席につくなりいつも通りの...仕事を...寝みぃ.........
はちまん は めのまえが まっくらに なった!
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仕事が始まってからしばらくもしないうちに眠ってしまったはじめさんと八幡を尻目に見ながら、私とゆんさん、ももちゃんとで椅子を近づけて顔を向け合う。
「はじめさんは分かるけど八幡はなんで寝てるんだろう」
そんな疑問の声を出すとももちゃんがそれはと口を開く。
「なるとはじめさんだけじゃ人手が足りないからと駆り出されたみたいです。ここしばらくなると2人でやってます」
「え!?3人で泊まってんの!?」
「いえ、泊まってませんけど。はじめさんは自宅で、比企谷さんはPCの環境が整ってるうちでなると作業してます」
八幡はわりと何でもできるところと頼まれたら断れないからはじめさんかツバメちゃんに頼まれたのかな。
「なると比企谷さん...夜遅くまではじめさんと打ち合わせしながらプログラム書いて帰っても朝方までプログラム書いてて大変です...」
「そんなに!?」
「なるちゃんスイッチ入ると極端やな」
仕事終わって夜から朝までパソコンと向き合ってたらそりゃ眠いよね...。キーボードに顔を埋めた八幡はなんとか起きようとしてる様子だったけどもはやピクリとも動かずに寝息を立てている。若しかしたらツバメちゃんもあんな感じなのかな…。
「なるの体も心配なんですが...私の...」
「私の?」
「私のここ数日のごはんがずっとインスタントとかコンビニ弁当で非常事態です!!」
「それは大変だね」
ももちゃんにとってはツバメちゃんの料理はとても大事みたい。ちなみに最後に食べたのはカニ鍋らしい。いいなぁ。
でも、それ以降八幡たちもまともなごはん食べてないってことだよね?何か作ってあげた方がいいのかな…。
「私達もなにか手伝えればいいんですけどね...グラフィックはこういう時無力ですね...」
グラフィックなのにプログラムしてる人もいるけど、アレはよくよく考えたらおかしい事だよね。つまり、1人でゲーム作れるってことだよね。うん。3人で出来ることはないかと考えていると背後から声をかけられた。
「やっぱりあなた達なにかしてるのね?」
「わぁああ!?」
と、遠山さん!?
「あ、いや、な、なんでもないですよ!」
「そ、そうです。はじめ、新しい企画が思いつかなくて疲れてるんやないですかね」
「ひ、比企谷さんもはじめさんの相談相手になってるみたいで!」
ゆんさんとももちゃんの3人で誤魔化すように言ったけど遠山さんは寝てる八幡とはじめさんを一瞥する。
「でもなるちゃんも一緒に疲れた顔をしていたけど」
「き、企画も知っておくべきプログラムの勉強に付き合って貰ってるんじゃ!」
我ながら適当なフォローだと思いながらも、口から勝手に出てしまうから仕方ないと割り切る。それにここで止められたら全部無駄になっちゃうかもしれないし。
「おはようございます」
この声はひふみ先輩!?あ、まずい!
と思った時には時既に遅く、遠山さんに「何か皆で私に隠してることない?」と聞かれてしまった。
「え!? い...いや...し、しししし、しら...」
人に嘘をつけない+バレたら責任を取らないといけないというプレッシャーからバレバレなしらの切り方をしようとしてできてないひふみ先輩に遠山さんは目を細める。
「りんさんちょっと...」
ひふみ先輩があたふたしてる後ろから今度はうみこさんが腕組みしながら現れる。
「鳴海さんと篠田さんが隠れてなにかやっているようで......って今そのことを話してました?」
地味に八幡省かれてるけど遠山さんが「比企谷くんもです」も付け加える。するとうみこさんは呆れたように目頭を抑える。
「最近プログラムについて聞いてきたと思ったら...一体何をしてるんですか?」
視線がひふみ先輩へと集まりひふみ先輩はキョロキョロし、視線に耐えきれなくなったのか縮こまった。
「うぅぅぅぅうう!!」
「ああ!大丈夫です!!」
「私達が白状します!!」
その様子を見て私とゆんさんは急いで立ち上がり遠山さんとうみこさんに全ての事情を説明した。
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「社内で無断でゲームを作っていたら遅かれ早かれわかるに決まっているでしょう?」
ありのまま起こったことを話すぜ!仕事してたら寝落ちしてて、起こされたと思ったら会議室に連行された。何を言ってるかわかるけど今の俺には到底理解できない。(支離滅裂な発言)
わかりやすく3文字で言うと「バレた」ということである。
「はい...ごめんなさい...」
「反省してます...」
鳴海とはじめさんが向かいに座る遠山さんとうみこさんに頭を下げる。すると、2人の目が俺に向けられたので俺も一応頭を下げておく。...俺の意思で関わってるわけじゃないんだけどな。
「しかしびっくりですね」
「本当に。こんなことするなんてびっくりです」
「いや...桜さんが関わっていないのが」
「そこですか!?」
まぁ確かに桜なら「何それ面白そう!」と食いついてるだろう。というか、最近見ないな。ちゃんと生きてる?
「ねねっちは大学卒業前のテスト勉強とかで忙しいので教えてないです」
言うと手伝っちゃうのでと涼風は苦笑いしながら付けたした。
「で、でも言い訳だけど...会社からの仕事は...こなしたうえで空いた時間を使ってたし…!」
「会社のPCやソフトを使って?」
「う...はい、ごめんなさい...」
頑張って俺らを庇ってくれようとしたひふみ先輩も本気モードの遠山さんの前では無力だった。責任者だし本来は止める側だから咎められる立場なのに守ってくれてありがたい。
「...まぁでも、私は好きですけどねこういうの。他社の仕事をしてた訳でもないですし。ただ鳴海さんが遅かれ早かれ倒れると思ったので」
うみこさんはわりと賛成派らしい。味方につけようと策を弄しようとしたが、まだ眠気が取れず頭働かなーい。誰か飴くれ。また寝落ちしそうになってるところで机がバンッ!と強く叩かれ背を伸ばす。
「もう!なんで皆そんなに勝手なの!?規律があるの!誰かが勝手なことをするのを見過ごしたら皆も真似して規律も崩壊してしまうでしょ!?」
ごもっともすぎて反論する気にならん。ルール守ってこその自由だし、その点では自分達の仕事は果たしてるしひふみ先輩の言う通りになる。勝手に会社のソフトを使ってるのは鳴海なので俺は悪くない。自分の言い訳をぶつくさ考えているとはじめさんが口を開いた。
「あ、あの!黙って作り出してしまって悪いとは思ってます。でもたぶん...これくらいしないと企画の良さが分かってもらえないと思って...」
はじめさんの言葉に遠山さんは口を挟むことなく聞き入る。
「昨日の夜、やっと操作できるところまでこぎつけてドッヂボールなのにまだキャッチボールみたいな感じなんですけど。それが嬉しくて眠れなかったんです!」
そうやっと操作できるようになった。弾速遅かったりキャッチのタイミング調整とかまだまだだから、ほんとにキャッチボールのレベルだが。しかし、それでもはじめさんと鳴海は欲しいプレゼントを貰った子供のように大はしゃぎしていた。
「あと一週間で面白いってところまで持って行って見せます。それでダメなら諦めます。お願いします!」
はじめさんがそういって頭を下げると涼風や鳴海達も頭を下げる。俺もカクっと頭を下げると横の涼風に脇腹を殴られた。違うよ、寝そうになったんじゃなくて頭下げたんだってだから睨むのはNo!
「...私の仕事は、私のプロデューサーという仕事は私が信じた人達を見守り支える仕事です」
突然、遠山さんが語り始めて全員の目が遠山さんに注がれる。
「はじめちゃんの企画、実は先日こっそり読みました。気持ち伝わってきました」
顔を落とし、何かを思い出したように遠山さんは目を閉じ、そして開いた時目を煌めかせ柔らかな笑みを浮かべた。
「プロデューサー命令です。もうヘルプの仕事はせずにはじめちゃんの企画にあなたたちは専念してください。そして1週間後にそのゲームのテスト版を見せてください」
上司の命令となれば仕方ない。全員『はい!』と返事をして遠山さんに気をつけるべきことを告げられてそれぞれの持ち場に戻る。
ただ俺だけを除き。
「比企谷くんはツバメちゃんのサポートとその日その日の報告書を提出。いいわね」
「それとこのままプログラマーブースに来てください。鳴海さんと確認することがあるので」
「...はぁ」
俺だけ何故か仕事が変わってるんだが。グラフィッカーだよな俺。なんでプログラムと書記をやらされることになってるんだ?まぁ高校の時に記録雑務として経験済みだからいいし、今回は他のメンバーもやる気だから別段気にすることもないんだけど...。
「それと今日はよく寝ること。いいわね!」
「...うっす」
腕を腰に置いてお姉さんからの忠告だよ!という風に言う遠山さんに俺は目を逸らして返事をする。ちょっとそのポーズずるくないっすかね。うみこさんみたいに腕組んで女王様みたいな感じの方がいつも通りで気が楽なのだが...。
俺の返事が気に入らなかったのか、遠山さんは頬を膨らませてムッと俺を睨む。
「寝なかったら明日は私と一緒に寝てもらうから」
「はい。ちゃんと自宅で寝ます」
遠山さんとおねんねとか何されるかわからない。『この唇ね、コウちゃんと口付けした悪い唇は...』とか恍惚とした顔で切り取られる想像までしてしまった。
「では行きましょうか」
頭を切り替えてうみこさんの後を追うように俺はその部屋から出る。その際に遠山さんは小さく手を振って、声に出さずに、俺か、もしくは全員に「がんばって」と笑顔で送った。
意識が朦朧とする中書いたので誤字脱字やもしかすると矛盾が多いかもです。確認しろって?今から祖母家行くから無理です。
あと、7巻分終わったら今年はおそらく更新しません
なので残り2話となります。私情ですがご理解頂けると嬉しいです。
全く更新してない他の作品についても同様です。
ではでは。