女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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2週間ぶりの小説投稿で覚えてるやつがいるのかね...
必勝祈願も兼ねてこのエシディシ様からもプレゼントだ...


は?


※今回NEW GAME!要素はほとんどありません


比企谷小町の華麗なる計略

 

 

時刻は午前の11時を回った頃だろうか。

2泊3日という短くも色々あった気がする社員旅行を終えた疲れからか、こんな時間まで眠りこけてしまった。

あまりいつもの休日と変わらない気もするが、身体のだるさはあまり無い。温泉にも入ったし美味しいご飯を食べたから当たり前なのだろう。

 

 

朝食も食べずに歯を磨き顔を洗って、着替えを済ませると昨日のうちに荷物から分けておいた紙袋を手に取り、外に出る。

念の為中身を確認すると、自転車のカゴにそれを放り込んでサドルに跨りペダルを漕ぎ出した。

目指す先は実家。そう、千葉である。

都内と千葉は近いようで遠い。若しかしたら空よりも遠い場所と感じる人がいるかもしれない。京葉線で数駅足らずで着くから近いイメージがあるかもしれないが、あれは電車の進む速度が速いだけでそんなに近くないのだ。

 

 

というのは嘘で普通に近いと思う。ぶっちゃけ、南船橋からチャリで舞浜いけるし。...って、どっちも千葉県内じゃねぇか。

まぁわざわざ自転車を使うのは普段デスクワークをしていて、足の筋肉やらが固まっていて運動不足に陥るのを防ぐためである。

べ、別に電車賃をケチってるわけじゃないんだからね!

 

 

そうこう言ってる間に実家がどんどん近づいてきた。この信号を渡って京葉線沿いに行けば15分くらいで着くだろう。途中で何度か曲がって坂道を下ればさらに時間短縮になるだろう。やはり住み慣れた街だから土地勘はあまり変わらずのようだ。

それに今日はほとんど信号が青で気分がいいな。こう上手くいってると不幸にも事故に遭っちゃうのではないかと思案していると。

 

 

「ワンワン!」

 

 

ちょうど曲がり角に差し掛かり、曲がろうとすると犬が飛び出してきた。慌ててブレーキを握り急停止するとその犬は首輪に繋がったリードを垂らして俺をマジマジと見つめてくる。その犬に俺は身に覚えがあった。

そして、その飼い主にも。

犬から視線を外せば坂道の下から黒いお団子髪をした女の子が走ってきていた。

 

 

「ま、待ってよ〜サブレー!!」

 

 

やはりというか相変わらず犬に逃げられることに定評のある由比ヶ浜結衣さんが上下ジャージと犬のお散歩にはピッタリな格好で息を弾ませていた。お茶目で自由気ままな犬の飼い主はうちの犬がご迷惑を〜と膝に手をついて謝ってくる。どうやら、俺だとはまだ分かってないらしい。

こいつ、目悪かったっけ。

 

 

「気にしなくていい。それよりお前視力落ちたか?」

 

 

「そ、そっか...。あ、視力は昨年からちょっとずつ落ち始めて、大学ではメガネかけてるんだけど...って...え...えぇ...?」

 

 

胸を撫で下ろしたり質問に答えたり困惑したりと大忙しだなと感心してると由比ヶ浜は顔を上げるなり驚いたように1歩引いた。

 

 

「ひ、ヒッキー!?」

 

 

「よ」

 

 

言うと、由比ヶ浜も軽く手を上げた。どうやら大学生になって普通の挨拶ができるようになったらしい。

が、お互いその後は特に会話することなく気まずい時間が駆け抜ける。

 

 

最後に会ったのが昨年のクリスマスだから無理もない。高校の時は特に取り留めない会話でも出来たのだろうが、今は共に進んでいる道が違っている。共通の話題というのも出ないだろう。

 

 

「あ、あのどしたの今日は?休み?」

 

 

「休みじゃなきゃこんなとこいねぇよ」

 

 

思わず悪態つくような返しをしてしまったことに気づいたのも遅く、「ご、ごめん...」と由比ヶ浜は俯いてしまった。足元ではさっきまでワンワン吠えてたサブレが飼い主が落ち込んだのを見て空気を読んだのかくぅーんと小さな声を出して由比ヶ浜の元へと寄って言った。

 

 

「...髪、黒にしたんだな」

 

 

「え?あ、うん。まだ先だけど就活とかあるし…」

 

 

申し訳程度に昨年と変わった髪色について指摘すると由比ヶ浜はポンポンと団子の部分に触れる。よくそこ触ってた覚えがあるけどリラクゼーション効果でもあるのだろうか。

 

 

「就活か。どこ受けるか決めてるのか?」

 

 

「ううん、まだだけど。会計とかお金の管理をする仕事とかいいなーって」

 

 

確かにその辺はきっちりしてたし、適職だろう。

 

 

「あ、でも料理人とかもいいかなって」

 

 

「悪いことは言わん。やめとけ」

 

 

「なんで!?」

 

 

「いや、お前の料理下手相当だし...」

 

 

それに通ってる大学も料理系じゃないでしょ。

割と昔の感じに戻ってきたところで由比ヶ浜が何か思いついたのように声を上げた。

 

 

「そうだ、今年のクリスマスどうしようか?」

 

 

「クリスマス...ねぇ...」

 

 

ぶっちゃけ外に出たくないんだが。もはや定番の流れだと小町に連絡が行って連行されるんだろうな。しかし、その小町も今年は大学受験が控えてる身だ。そう簡単にはいくまい。それにまたイーグルジャンプ連中からも声がかかるかもしれんし。どちらにせよ今決めるのは難しいところだ。

 

 

「嫌...かな...」

 

 

「そういうわけじゃなくてだな...」

 

 

どうしてそうもモジモジするんですか。まぁ俺が嫌そうに呟いたからですよね。分かります。

 

 

「多分休みだったはずだが、会社の人に誘われるかもしれんからそこは確約は出来ないな」

 

 

「あ、じゃ日にちをずらせば!」

 

 

何名案みたいに言ってんだよ。俺だけ使う額増えるじゃねぇか。日頃そこまで使ってないのにクリスマスの2日間で消えるとか嫌だよ俺。

 

 

「まぁそれはまたできたら連絡するわ」

 

 

「うん、わかった!」

 

 

やっぱり単純だなぁ...大学で変な男に言い寄られてそうだが、こう見えてガードは固いから心配はいらないだろう。それに俺は元カレとかそういうのじゃないし。こんなこと口に出すのも野暮だろうからそっとしまっておく。

 

 

「じゃ今から実家帰るからまた今度な」

 

 

「オッケー!またねー!」

 

 

大きく手を振る由比ヶ浜の姿を尻目にまたペダルを漕ぎ始める。少しばかり話し込んでしまい、朝を食べていなかった反動かよく腹の虫が鳴る。これは早めに着かないと空腹で倒れちゃうなと漕ぐスピードを早めた。

 

 

ビュビュビューンと風を切って自転車を走らせ見慣れた道に来たところでまたブレーキを握った。

 

 

「5年ぶり...ってわけでもないか」

 

 

今年顔だしたっけと思い返してみたが全く覚えがない。小町とは定期的に会ってはいるが母ちゃんとはメールくらいしかしねぇしな。

親父は知らないです。鍵を刺して捻るとガチャりと解錠され、そのままドアを引く。

 

 

「たでーま」

 

 

と、言ってみたものの家には誰もいない。おかしいな今日は土曜日だから全員休みのはずなのだが。上がり込んで各部屋を回ってみたがほんとに誰もいなかった。

なんなら俺の部屋は完全な物置と化していた。

本は捨てられてなかったのでそれだけは感謝するべきというか当然と言うべきか。

 

 

リビングで水を1杯飲んで一息つく。

よく良く考えたら、俺今日来るって言ってないな。だから、誰もいないのか?となるが特に用事もなかったはずだ。カレンダーを見てみると『小町 外出』と書いてあったので、受験生だし小町は塾か予備校にでも行っているのだろう。両親は寝室にいなかったところを見ると、休日出勤か出かけてるかの2択か。でも、会社用の鞄が置いてあったからメシでも行ってるのか。

どちらにせよ、今日はお土産を置いていくだけになるな。

 

 

メモ書きを残して鍵を閉める。

今回の帰省は報告、連絡、相談の前者2つが出来てなかった俺が悪いですね。まぁ会っても何言われるか分からないから別にいいんだけど。

さて、今から帰るのもあれだし久しぶりに地元を回ってみることにしよう。

上手く行けば由比ヶ浜に遭遇出来たみたいに戸塚にも会えるかもしれんし。

そう思うと俄然テンション上がってきた。

 

 

しかし、会えなかった時の反動が大きいよな。戸塚の大学は埼玉だし、休日だからといってここらをうろついてる可能性は低いか。仕方ないレンタルビデオ屋か古本屋にでも寄ろうと自転車の鍵を開けているとカツンと足音が聞こえた。歩いていた足を急に止めて、俺の目の前で静止していた。気になって目線だけ上げてみると、目が合うだけで身体の体温が2度くらい下がる感覚を覚えた。

 

 

「あら偶然ね、比企谷くん」

 

 

「ほんとに偶然だな」

 

 

引き攣りそうな頬を頑張って下げながらどうにかなるのを抑えながら言うと目の前の人物、雪ノ下雪乃は昔通り黒く艶めいた綺麗な黒髪を揺らす。

 

 

「えぇ、ほんと偶然ね。で、今日はどうしたの?お金に困って実家に泥棒しに来たのかしら」

 

 

「なわけねぇだろ...お前こそどうしたんだよ」

 

 

「だから言ってるでしょ。偶然よ」

 

 

偶然でここを通るような人間だったかこいつ。雪ノ下が前のマンションに住んでいるのだとしたら、そこそこ距離がある。散歩にしてはかなり遠い散歩になるだろう。しかし、どう言おうと雪ノ下はそんなことは無いと冷徹にして懇切丁寧な罵倒を返してくることだろう。

 

 

「そうか、じゃあな」

 

 

用がないならさっさと帰るが吉。そう思って自転車に跨ったら来ていたジャンパーのフードを何者かに引っ張られた。

誰だ、誰だ、誰だと振り返るとそこにはヘルメットを被った小町がいた。裏切り者の名を受けて戦う小町ちゃんじゃないか。あ、違うか。てか、なんでヘルメット被ってるん?と首を傾げていると、後からバイクを押しながら怖い目をしたお姉さんこと川崎沙希がやってきた。

 

 

「お兄ちゃん来るなら来るって言ってよね。沙希さんに迎えに来てもらうことになったじゃん」

 

 

「なんで川崎なんだ?母ちゃん達は?」

 

 

「町内会の福引で温泉旅行が当たったから行ってくるって」

 

 

そうなのか。初耳だ。

 

 

「それで、なんで川崎が迎えに?」

 

 

当然の疑問だ。川崎も聞かれると思っていたのかバイクを止めてヘルメットを脱ぐと口を開いた。

 

 

「別に、偶然だよ」

 

 

うーん、なんだか偶然が多いな今日は。

雪ノ下と川崎を交互に見るとギロりと睨み返されてしまった。久しぶりにこの2人の視線は寿命縮むからやめて欲しいな。

 

 

「で、俺が帰ってきたって情報はどこから...」

 

 

 

「ゆきのーん!ヒッキー!小町ちゃーん!沙希ー!」

 

 

質問が遮られて声の方を振り返るとほんの数十分前に会った由比ヶ浜が歩いてきていた。なるほど、あいつか。この1年で察しが良くなった八幡はなんでもお見通しだよ。感銘受けたり明察したりするのに関しては今の俺はピカイチ。

 

 

「やっはろーみんな」

 

 

「やっはろーです結衣さん」

 

 

「こんにちは由比ヶ浜さん」

 

 

「久しぶりだね」

 

 

「うん!久しぶり!」

 

 

由比ヶ浜の奇異な挨拶に各々返す中で俺だけが置いてけぼりを食らっていた。どうしてこんな知り合いが集まってるの?おかしくない?これも偶然?なわけないよな。

 

 

「なんなんだこの集まりは」

 

 

「いやーヒッキーが帰ってきてるってLINEしたらみんなで集まろ...あれ?ゆきのん?沙希どしたの?」

 

 

 

「由比ヶ浜さんちょっと」

 

 

LINE?なんだそりゃと首を傾げていると、由比ヶ浜が雪ノ下と川崎に詰め寄られてそれどころではなさそうだったので小町に説明を求めた。

 

 

「うーん、ほとんど結衣さんが言ったんだけどな...。まぁ小町の受験も終わったしみんなで集まろうって」

 

 

「え?嘘、お前受験終わったの?」

 

 

「あれ?言ってなかった?」

 

 

「聞いてねぇぞおい。なんでそんな大事なこと言わなかったんだ?」

 

 

「...聞かれなかったから?」

 

 

小首を傾げてそんな返しをする小町においおいと怒りたくなるが、合格してるならいいか...。

 

 

「で、どこ受かったんだ?」

 

 

「あ、パンフレット見せるよ。とりあえず中入って」

 

 

いや、俺今日は帰りたい気分なんだけど…と言おうとした時、何故か天使の煌めきが見えた気がした。ピリリリン!と脳内に稲妻のような線が走り後ろを振り返るとそこには...。

 

 

「はちまーん!」

 

 

と、戸塚ぁ!見間違いかなと目を擦る。5回くらい擦ったが、俺の虹彩と水晶体はちゃんと機能しているらしい。よく出来た偽物かと思ったが本物のようだ。どうして千葉に?という疑問はもはやどうでもいい。

 

 

「久しぶりだね、はちまん!」

 

 

「おう、久しぶりだな戸塚。元気にしてたか?」

 

 

「うん!この通りだよ!」

 

 

そう言いながらぶかぶかのコートを着てるのに力こぶを見せようとしてくる戸塚が可愛すぎるんですがどうしたらいいんだ。もう死ねばいいのか?

 

 

「はっ!そうだ、戸塚」

 

 

「どうしたのはちまん?」

 

 

「つい昨日まで北海道に行っててお土産にカニとかチーズとか色々買ったのが今日届くはずだから一緒に食べないか?」

 

 

おそらく、今日の夕方に届くようにしてもらったから夕ご飯は戸塚と小町とでエンジョイ出来るはず!と拳を握るとすっと両肩に手が置かれた。

 

 

「あら、それはちょうど良かったわ。私もいくつか野菜を持ってきたから」

 

 

「うちも豆腐や肉とか白身魚持ってきたし鍋でもしようか」

 

 

近い近い怖い怖い!

びっくりした…急に背後に来るなよ。悪質なタックルされるんじゃないかと勘違いしちゃうだろ。

慌ててばっと離れると2人が手からぶら下げている袋の中には、野菜やら肉やら魚などの鍋にぴったりなものばかりが入っていた。

なんで持ってきたんだよ。というか、由比ヶ浜は?と目線を動かすと「じゃじゃーん!」とカセットコンロを持ってきていた。

何?もしかして今からゆるっとキャンプでもするの?マジマジと3人の持ってきたものを見ていると戸塚も左手に持っていたスーパーの袋を掲げた。

 

 

「僕は急いできたから飲み物買ってきたよ」

 

 

「おー、ありがとな戸塚。まぁこんなとこでもなんだ、寒いし家の中に入ってくれよ」

 

 

「じゃ遠慮なくそうさせてもらうわ」

 

 

いや、雪ノ下さんに言ったわけじゃ.....すんません。なんでもないからその目で見るのはやめてください。

 

 

こうして、俺のほんの運動のつもりの帰省は何故かよく分からないうちに知り合いたちの集まった鍋パーティーへと発展することになった。

 

 

「ふしゅるるるる!!はーちまーーん!!」

 

 

...なんか来たけど冬は不審者がよく出るっていうしもうドア締めるか。




まさかこうなるとは思ってませんでした

一連の流れ
(はだしのゲンコラをイメージして読んでください)

そうだ青葉が風邪で寝込むからその導入を...
あかんあかん!青葉が風邪ひいたのは帰ってきてから2日後くらいや!
導入にするにはこの日は八幡永眠しとかなあかん!


せや小町の合格祝いに...
あかんあかん!八幡s両親をどう書いたらええか分からへん!そもそもNEW GAME!!の要素ないやないか...あかんわこんなん...罵詈雑言書かれて評価全部1にされて終わりや...


ひふみ先輩や!超絶可愛くて大人気なひふみ先輩とのデート回を書いてランキング急上昇や!
デートしたことない俺には荷が重い!今まで書いたデート回も割と誰でも思いつきそうやし全国のひふみん教の方が逞しい想像力でひふみ先輩とあんなことやこんなことしてるはずや!


せや!雪ノ下や由比ヶ浜や!冬場やしクリスマス編の前イベにはちょうどええやろ。それに俺ガイルメインの話も書きたかったんじゃ...
あかんあかん!そもそも12月の半ばや!なんでこんな都合よくみんな集合してるねん!


まぁええか...(執筆)

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