女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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昨日7巻を買ったので初投稿です。
紅葉ちゃんが可愛いと思います。うみこさん今回出番すくねぇな…少なくない?(疑惑)
ほたるんもキャラが掴めてきたゾ。てか、可愛い。


時系列は八幡の風邪が治って1週間くらいです。では。


比企谷八幡は変わらぬ日常を歩む。

 

 

PECOがついに完成し、それと同時期に八神さんがパリに渡り、俺が風邪を患い治り。色々とあった冬だった。簡潔にまとめるとこんなものか。

 

 

「あら、私に看病されたことが入ってないけど?」

 

 

「勝手に人のモノローグ覗かないでくださいよ」

 

 

PECO発売までを文字にして大体3行くらいで振り返っていたら、隣にいた遠山さんがからかうように口出してくる。

 

 

「だって、口に出てたわよ?」

 

 

「はぁ、なるほど?」

 

 

それで納得しよう。長引かせても遠山さんに勝てるビジョンが見えない。

ついに発売となったイーグルジャンプの最新ゲーム『PECO』。それを祝してみんなで集まろうということになったのだが、買いに行かない組である俺は遠山さんの誘いで秋葉原の道を歩いていた。

 

 

「そういえば、ココ最近上機嫌に見えるんですけど何かありました?」

 

 

愛する人がパリに行ってから仕事はしてたが落ち着かない様子だったのに、いつの間にか自然な笑顔が増えていた遠山さんにそう尋ねてみる。具体的な時期は俺が風邪をひいた頃か。

 

 

「え?そうかしら?」

 

 

と、頬に手を当てながらニヤけてるのを見る限り、パリについてから八神さんと連絡を取り合ってるらしい。俺はあれ以来気恥しいのかしてこないですけどね。いや、されても困るからいいんだけど。

 

 

「にしても、コウちゃんが比企谷くんを好きになるなんて予想外だったなー」

 

 

「そうなんですかね。意外とからかわれてるだけかもしれませんよ」

 

 

「コウちゃんがからかうのにキスするわけないでしょ」

 

 

なんか怒ってらっしゃる。まず、直接好きって言われてないし、女性がどういう時にキスするとか知らねぇし。てか、この前遠山さんもキスしてきたけどあれ完全に挑発の類じゃねぇか。そう思ってあのキスの意味を聞いてみる。

 

 

「遠山さんのアレはなんなんですか?」

 

 

「私のは……ヒ、ミ、ツかな」

 

 

そう可愛く言って許されると思うなよ。許すけど。にしても、休日の秋葉原というのは人が多くて困る。それもゲームショップ関連密集地に近づけば近づくほど増えてくる。

 

 

「比企谷くんは『PECO』のソフトどこで買うの?」

 

 

「俺はネットで買いました。さっき来る前に届きましたし」

 

 

「ネットで?じゃあ限定盤とか特典はつかないんじゃないの?」

 

 

「別に俺は興味ないんで」

 

 

人混みに飲まれてまで欲しいとは思わんし、今回俺の描いたキャラ関連なかったからいらない。それに予約特典でプロダクトコードは貰えたから別にいいんだ。うん、いいんだ…。

 

 

「そう言いつつも落ち込んでるのが可愛いわね」

 

 

「……あ。あれ、涼風と望月じゃないですか?」

 

 

可愛いはさておき落ち込んでるのは図星だったので話題を変えようと思ったら都合よく見知った顔が店から出てくるのが見えたので指を指す。

 

 

「あら、ほんとね。……比企谷くん、まだ青葉ちゃんのこと苗字呼びなの?」

 

 

「そうですけど?」

 

 

答えたら何故か遠山さんが涼風に憐れみの目を向けていた。別に苗字被りがいるわけでも先輩達みたいに下の名前で呼んでと言われたわけでもないからいいと思うんだが。

 

 

「あ、はじめさんとゆんさん……あれ?遠山さん?」

 

 

そう考えたら、はじめさんがダッシュで2人に近づいており、後ろからは小走りでゆんさんがいた。と、思うといつの間にか遠山さんの姿が消えており、はじめさんの襟首を掴んでいた。怖。

 

 

何かしら言われたはじめさんは大人しくなり、それを見て昨年はじめさんがやらかしたことを思い出した。遠山さんも大変だな。

 

 

「ほら、比企谷くんもいくわよ」

 

 

遠山さんが振り返って俺の名を呼ぶとつられて他の面々も俺の方を見る。そんなに見られると興奮しちゃうじゃない♠︎とかそんなことない。へいへいと、返事しながら女性ばかりの集団に続くように俺は歩き出した。

 

 

 

 

###

 

 

近くのサイゼリヤに入って各々注文を済ませる。ここに来る途中でひふみ先輩が合流し、7人と多人数になったので席を4:3でわけた。俺、涼風、望月、ひふみ先輩。もうひと席がはじめさん、ゆんさん、遠山さんだ。

 

大体がコーヒーの中、俺だけミラノ風ドリアとドリンクバーを頼む。なんでここに来てコーヒーだけで満足するのかがわからん。

もし、ここに俺だけなら辛味チキンも頼んでいたところだが、仕方なく妥協した。また夜来たらいいし。

 

 

「それで何の話でしたっけ」

 

 

「私のサインの話だよ」

 

 

まずはメロンソーダを一飲みして落ち着いたところでそう言うと、涼風が少し怒り気味だ。

 

 

「サイン?」

 

 

「そう。青葉ちゃんの初キャラデザとして貴重なサインになると思ってね」

 

 

はじめさんが発端か。

 

 

「全然考えてなかったんだけど、やっぱりそれっぽいの必要なのかな」

 

 

「俺に聞くな」

 

 

昔、誰かに求められるわけでもなくサインを書きまくっていた俺だが、どんどん俺の原形がなくなっていてもう書くのをやめた。というか、そういうのとはお別れしたんだ。クチバシティにさよならバイバイ。俺は1人で旅に出る。

 

 

「試しに今何か書いてみれば?」

 

 

「そうですねぇ…うーん…」

 

 

ゆんさんにそう言われノートを取り出す。どっから出てきたそれ。突っ込む間もなく、『葉』の字だけくるっとしたフルネームを書く涼風に「直球やな」とゆんさんは正直なコメントを零す。

 

 

「いや、これはダメですね!」

 

 

「私はこれでもいいけどな〜。こういうサインのアイドルもたまにいるし」

 

 

「え?」

 

 

「だって本人が書いたことに意味があるんだよ!可愛いとかヘンテコはその人その人の個性でむしろ面白いし、だから私は嬉しいよ!」

 

 

そう力説するはじめさんは本気らしく、どんなものであれ気持ちのこもってるサインは嬉しいらしい。それも可愛がっている後輩の書いたものとなれば当然なのかもしれない。

 

 

「望月は書かないのか?」

 

 

「比企谷さんこそ書かないんですか?」

 

 

「いや、俺は今回特に何もしてないし」

 

 

「よく言うわ。風邪でダウンする前に修正作業終わらせといて」

 

 

あの日はちょっと熱前の異様なテンションだったから仕方ない。むしろ、仕事を片付けてから休んだのだ。仕事置いて休みやつよりは有能だと思います。

 

 

「それだったら私も特に何もしてないのでサインはしません!」

 

 

「お、おう。なんか悪いな。ほら、ミラノ風ドリア食べるか?」

 

 

「…………いただきます」

 

 

新しいスプーンを渡して望月が一口食べると顔が一瞬で花開いたような幸せなオーラがにじみ出る。すぐに店員呼んで俺と同じのを注文していた。やったぜ。

2人でもきゅもきゅとミラノ風ドリアの味と食感と焦げ目を楽しんでいると遠山さんが皆に尋ねる。

 

 

「今日は休日だけど皆これからどうするの?」

 

 

「私は少し服とか見て帰ろかなて」

 

 

「私も少しぶらぶらしてから…帰る」

 

 

「わたひはなるしだいで…」

 

 

「望月食べてから話せ」

 

 

「はひ」

 

 

服を見て帰るゆんさんとぶらぶらして帰るひふみ先輩。あとから来るであろう鳴海次第の望月。はじめさんはというと。

 

 

「私はそのまま帰りまーす」

 

 

「うそ!?」

 

 

まさかの直帰にゆんさんが驚きの声を出しそれにはじめさんが驚き返していた。

 

 

「え、なに?そんなに驚いて」

 

 

「せやかて『これからヒーローショー見に行きまーす!』とか言い出すと思うてたから。なんや体調でも悪いん?」

 

 

「私だって大人しく帰る日もあるんだよ!!」

 

 

普段の行動が災いしてるな。熱あるかまで確認されるてるよ。

 

 

「比企谷さんはどうするんですか?」

 

 

「俺?特にないけど、夜はここだな」

 

 

「…また来るんですか?」

 

 

「ああ、周りに遠慮して辛味チキン頼んでないし。他にもこのポトフとか食べたいし」

 

 

「……私、晩空いてます」

 

 

「おい鳴海はどうした」

 

 

「おーい、さっきからそこコソコソ何話しとんねん」

 

 

小声で望月とそんな会話をしているとゆんさんにジト目を向けられる。それを2人で手を合わせてごちそうさまをすることで切り抜けた。ちょうどもうひと皿やってきたのでいただきますしといた。

 

 

「…遠山さんはどないするんですか?」

 

 

「私? そうねぇ、ほかのお店も少し回ってあとは映画でも見て帰ろうかしら」

 

 

目でええ度胸してるなと言ってから遠山さんに今後の予定を聞いたゆんさん。この人、何気にコミュ力高いんだな、昔はガリ勉だったとか言ってたのに。遠山さんの映画というワードにはじめさんがキュピンと反応を示す。

 

 

「あ!今『タイタニック2号』って恋愛映画が評判いいみたいですよね」

 

 

その発言がこの場に初めて静寂をもたらした。

 

 

「……」

 

 

「そ、それよりコメディでもっと評判いいのがあったんやないですかね!」

 

 

「そうそう!ウンウン!」

 

 

八神さんのことを引きずっていると思っているゆんさんと空気を読むスキルに長けているひふみ先輩が掩護する。

 

 

「ううん、ちょっと気になってたのタイタニック2号!見てみるわ」

 

 

「ぜひぜひ感想聞かせてください!」

 

 

遠山さんはパァッとした笑顔で見る映画を決めた。それにゆんさんは驚いてる様子だが、コミュ力上げるのもいいけど人間観察力も上げようねと思う俺であった。

 

 

「サインできました!」

 

 

「あ、いたのお前」

 

 

「いーまーしたー!」

 

 

ずっと喋ってなかったから寝たかと思ってわ

。バンと広げられたノートにはいくつも試行錯誤されて書かれたサインがあるがその中で一際目立つものがあった。青葉の周りに桜が舞っている。おそらく、これが涼風の完成させたものだろう。

 

 

いい感じだねとはじめさんが笑顔でサインを求めるとひふみ先輩もゲームのパッケージを袋から取り出す。俺ももらおうかと思ったが家だわ。

望月は貰わなくていいのかと聞こうとしたら、めちゃくちゃ難しい顔していた。なんかこう(帰ったら私も青葉さんよりいいサインを考えるんだから……!)って感じの。

 

 

「ではここに書きま…」

 

 

「どうしたの?」

 

 

ペンのキャップを外してはじめさんの買ったPECOのパッケージにサインを書こうとした手がぴたっと止まる。すると、涼風はパッケージをはじめさんに返す。

 

 

「ごめんなさい。私大事なことを忘れてました。最初のサインはねねっちにあげるって約束してたんでした」

 

 

「そんなー!あらかじめ予約してるなんてねねちゃんズルい〜!!」

 

 

「むしろヲタクの手に青葉ちゃんのサイン1号が渡らんでよかったわ」

 

 

まぁ、初めてのサインだ。それを親友にあげるというのはとても素晴らしいことだと思う。俺も戸塚に書くか…戸塚PECO買ってないかな。小町は受験だから絶対買ってない。てか、買うな。

 

 

「なので先にねねっちにあげてからで…ごめんなさい」

 

 

「ううん。じゃあ私2番ね!」

 

 

「私は3番…!」

 

 

指を立てて言うひふみ先輩が可愛い。俺はどうしようか。別にいいか。このくだり何回目だ。

 

 

「そうださっき買ったのに書いてねねっちにプレゼントしよう」

 

 

「一番気持ちのこもった最初のサインね」

 

 

「はい!」

 

 

遠山さんにそう言われて恥ずかしそうにしながらも満面の笑みを嬉しそうに浮かべる涼風。サインをカキカキしてるあいだに俺はドリンクを入れに行くとしよう。立ち上がって、ドリンクバーに行く途中で桜と鳴海がこちらに気づいてやってきた。

 

 

「おっすはっちー!」

 

 

「こんにちはー」

 

 

「おう、涼風達なら曲がってすぐそこだ」

 

 

簡単に挨拶を済ませると「了解ー!」と桜と鳴海は右に曲がって涼風達のところに向かう。後から涼風が「最初のサインはねねっちがもらうって約束したじゃん!」と怒鳴る声が聞こえたことから察するに、桜が忘れていたのだろう。

 

 

こうして、最初から最後まで色々あったが。やっとひとつのことが終わった。次は何をするのかと考えるが、分からないし出来れば何もしたくないなと思うあたり俺は変わってないらしい。

 

 

「八幡!ジュース入れたなら早く戻ってきなよ!写真撮るから!」

 

 

そんなに大きな声出したら店に迷惑だろ。と思ったがご生憎さまなことに客は俺達しかいなかったので特に咎めることなく俺は頭を掻きながら彼女たちの待つ場所へと戻った。

 

 

とりあえず。自分にお疲れ様。

次にPECOに携わった人にお疲れ様。

そして、PECOをプレイしてくれる人達にありがとう。

 

 

 

「はい、チーズ!」

 

 

 





その後
青葉ねね、ほたるんと合流(詳しくは新刊買って♡)
他は恐らく有言実行

一方、サイゼ残った組。

紅葉「ポトフ食べたい」
ツバメ「それなら作ろうか?」
八幡「つくれるのか」
ツバメ「はい」
八幡「……」
ツバメ「食べに来ます?」
八幡「!?……いや、でも、その…」
(女の子しかいないとこに上がり込むわけにも…って1回いってるしなんなら裸見たな。うん、何も怖くないな)
「やっぱ行く」
ツバメ「でも、やっぱり今日は外で食べよっか」
紅葉「そうだね」
(は?)
ツバメ「てことで、先輩も食べましょう」
八幡「……まぁいっか」


『俺の後輩達が可愛すぎる件について』

某後輩「私とどっちが可愛いですか?」
八幡「ぺっ」
某後輩「はぁ!?」



……ってなってたらいいなっていう妄想。


お久しぶりです!番外編や他作見てる人はそうでもないかな!
今年初めての更新です。久しぶりすぎて番外編とごっちゃになるところでした。
一応、こっちはハーレムにはならないけどそれっぽくはなるからね。女の子多に男の子1人だったら仕方ないから許してクレメンス!なんでもするから!(なんでもするとは言ってない)


新刊マジで尊いから見て。友達に借りるとかでもいいから。

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