女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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『それでも、俺が残っている』


プリズマ士郎見に行きました……よかった





では、どうぞ。


これも鳴海ツバメってやつの仕業なんだ。

 

 

数10分の休憩を終えて、ゆん先輩の淹れた紅茶を飲みながら作業を再開する。ンー!今日も紅茶がオイシイねー!あ、このアイス紅茶、ツメティー!……ごほん。

 

 

 

修正するところなんてほとんどないと思っていたのだが、思ったより多くて困る。正面から見た時と横から見た時でアクセサリーが変わるって相当なバグだよな。

 

 

もうそろそろ時計は5時を指し示し、そろそろ草薙くんあたりが「もう5時か~」とかボヤキ始める頃だろう。ついでに言うと、あと少し頑張れば帰れるということであり、そう考えると俄然テンション上がる。

 

 

 

「比企谷さん、頼みたいことがあるのですが」

 

 

八神さんと話を終えて奥のブースから出てきたうみこさんに声をかけられ、手を止めて向き直ると俺とは縁のないことを頼まれてしまった。

 

 

「え?バグ修正の手伝い?」

 

 

 

「はい、鳴海さんの担当箇所がバグだらけでして、それの修正をするにしては人手が足りないので」

 

 

 

それは本当ですか?と思って詳しく話を聞くと、鳴海は「あそこが動くならここも……」といった感じでチェックを怠ったらしく、それが今回のミスを招いたそうだ。ちゃんと確認しなかった私にも責任があるとうみこさんも可能な範囲で手伝うらしいが、それでも人手が足りないからと、俺のところに来たらしい。

 

 

待て待て、俺はキャラ班だから、プログラムのことはからっきし……というわけでもないのが俺の悲しいところだ。高校の授業で習ったことくらいなら出来るが、流石にイーグルジャンプのプロ集団と比べると雲泥の差がある。

 

 

それにと、チラッと自分のデスクを見る。手伝ってやりたいのはやりたいが、こっちも忙しいんだよな。断るか、自分の仕事をトランザムして終わらせるかで悩んでいると、ふらっと八神さんが俺の机から書類をかっさらっていく。

 

 

「行ってきな。これは私とひふみんで片付けるから」

 

 

カッコつけてるのか可愛いくしてるのかわからないが、ウインクする八神さんについ見惚れてしまった。なるほど、俺を拝借するために八神さんと話してたのか。……八神さんとひふみ先輩なら俺以上に修正作業とか手馴れてるし、そっちの方がクオリティアップのためになるか。

 

 

「じゃ、ちょっくら後輩のミスとやらを片付けてきますか」

 

 

自分を納得させて、かっこつけて平手と拳を合わせて気合を入れる。力加減間違えて痛かったのは内緒。椅子から立ち上がって、歩きながらプランを確認する。スケジュールの都合上、鳴海の作ったミニゲームを作るのが理想的だが、それでは鳴海の苦労が報われなくなる。ということで、進行具合で判断して現実的でないと分かったらミニゲームを削るらしい。

 

 

 

「もう桜さん達が始めてるので比企谷さんは時折、2人のサポートをしてあげてください」

 

 

はい、と頷いたはいいが要するに雑用か。これじゃ、どっちが先輩か分からなくなるな。他のプログラマーの方々は他にやることがあるらしく、随分と忙しそうにしてる。

 

 

 

「では、私は企画の方と話をつけてきますので」

 

 

 

いそいそと葉月さんのところに向かっていく背中を見て、俺も桜達のところに行く。

 

 

 

「嫌いじゃないの?私のこと、私…桜さんに何度も酷いこと言ったのに…」

 

 

「嫌いだったよ!でも、なんでああいうこと言ってたのかわかったから紅葉ちゃんからなるっちの家のこと聞いたんだ。全部」

 

 

入るなり、2人で何か言い争っていたので止めようかと思ったが終わるまで待つことにした。

 

 

「私単純だから……聞いたらなるっちのこと応援したくなっちゃった」

 

 

 

明るく優しい声音で桜は言う。彼女の気持ちは同情からではなく、純粋な気持ちであろう。あの話を聞いて、本気で頑張ってる鳴海の姿を見てきたからこそ、芽生える本物だ。

 

 

「なるっちくらい本気でやってたら私のこと気に入らないのもわかるし…ごめんね、こんなんで…」

 

 

「ううん…実は後ろでボードゲームを作ってるのを見てて頑張ってて見直してたんだ……。でも私、イジになってて…ごめんなさい、桜さん」

 

 

「へへへ、ねねっちでいいよ。もう!」

 

 

 

「うん、ねねっち!」

 

 

どうやら、丸く収まったらしい。本音を言い合ったことでお互いの腹の中が見えて、いつも背中を見続けてきたからこその関係か。悪くないんじゃねぇの、そういうの。

 

 

「じゃ、仲直り?も済んだところでやるか」

 

 

「げっ!ハッチーいつからいたの!?」

 

 

「そ、そうですよ!悪趣味ですよ!」

 

 

なんだよお前らその態度。やめろよ、傷つくだろ。まぁ、お互い泣いてなくてよかった。これで泣いてたら俺この場に入れる自信ないからね。

 

 

「うるせぇ、それより仕事よこせ。とっとと、終わらせて帰るぞ」

 

 

「は、はい!」

 

 

「ハッチー、バグシートコピーしてくるから待ってて」

 

 

「いや、それだと要領が悪い。鳴海、それ何枚かくれ」

 

 

 

俺1人だとあれだが、こいつらがいれば多少はなんとかなるだろう。俺と違ってマニュアルとか見なくても出来るんだし。あーあ、これならプログラムも少しは勉強しとくんだった。

 

 

 

「あの、ほんとにすみません…比企谷先輩にも迷惑かけて…」

 

 

 

心で愚痴っていると今回の騒動の原因さんが頭を下げてくる。本当なら俺がやるべき事はこれじゃないんだろうが、いかんせんこれ以外にする仕事を取られてしまった以上やるしかあるまい。

 

 

「全くだ、また今度何か食わせろよ」

 

 

 

昔見たやられたらやり返す系ドラマで出てきたセリフを吐いてから、鳴海からバグシートの何枚かを取るとパソコンと向き合う。

 

 

 

「は……は、はい!」

 

 

 

早く帰りたいがために今まで使ったこともない5本指すべてでキーボードを叩き始めると後ろから返事だけが聞こえる。その表情は窺いしれない。しかし、今はそんなことよりも早くおうちに帰りたい。ただそれだけだった。

 

 

 

 

###

 

 

 

カタカタ、カタカタ、カタカタ、カタカタ、カタカタ、カタカタ、カタカタ……。耳の奥でずっと木霊する音にイラつきを覚える。

 

 

 

 

えっと、俺何してるんだ……?生まれて始めて自分とは関係ないチームの仕事の手伝いで会社に泊まって?涼風達が差し入れでドーナツ持ってきてぇ?ミニゲームを2個くらい削って……?

 

 

 

「も、もうバグはありましぇ~~ん!!」

 

 

ウトウトとメトロノームのように首を振っていた桜がそう叫ぶのを聞いて思い出した。そうだ、バグの修正作業してたんだ。バグスターの野郎、ノーコンテニューで駆除してやるぜ!ってあれ……?

 

 

「バグ……なくね?」

 

 

 

「え……それじゃあ……!」

 

 

 

「はい」

 

 

 

俺の呟きに桜が反応し、2人でうみこさんの方を見つめると笑顔が返ってくる。

 

 

「なるっち、起きなよ!大丈夫だって!」

 

 

「んん……?」

 

 

 

揺すられて目を覚ました鳴海をガバッと身体を起こすとうみこさんの方を見る。

 

 

 

「よく頑張りましたね。お疲れ様です」

 

 

 

「……!」

 

 

 

うみこさんのチェックでOKならば、もうこれ以上面倒なことはないだろう。これにて、俺の仕事は終わりだ!キャラ班の仕事とか知るか!いやー、バグという概念が存在しない世界って最高だな!

 

 

「そして、鳴海ツバメさん、いくつか問題はありましたが…合格です。鳴海さんがよければ今後とも弊社でよろしくお願いします」

 

 

紡がれた言葉に目を輝かせる鳴海に横から「やっったああああ!!」と桜が抱きつく。

 

 

「ありがとう、ねねっちがいなかったらきっとダメだったよ。ありがとう、ありがとう…!」

 

 

 

「そんなことないよ。なるっちの実力だよ!」

 

 

あーいい話だなー。

 

 

「そうですね、実力的に合格でした。脅かすようなことを言ってましたが終わるとおもってましたし。それと比企谷さんがいなかったら危なかったですが。最悪私がなんとかしましたが」

 

 

「ちょ、ぶち壊しだよ!」

 

 

 

「ふふ…とはいえマスターまで数日あります。気を引き締めて走りきりましょう」

 

 

 

「「はい!」」

 

 

 

うんうん、止まるんじゃねぇぞ……。お前らの進んだ先に夏休みはいるぞ!!

 

 

 

……また同じネタを使った!俺はいつもそうだ、そうやって台無しにする。古いわ!熱盛ィ!……ダメだ、疲れててろくな思考ができない。今日はもう帰って寝よう。

 

 

 

「……あ、ところで私はどうなりましたか?」

 

 

「え、言わなくてもわかるでしょう?」

 

 

「お願いします!」

 

 

「契約更新です。また3カ月間頑張ってください」

 

 

それを聞いて「やったー!!」と声を合わせて飛び上がるとハイタッチを交わす。上手くいったときはハイタッチだよな。さらに俺にも求めてきたのでハンドシェイクしておいた。ほら、バトル相手ともハンドシェイクとかいうだろ。

 

 

こうして、面倒なバグは消えて、鳴海の正式加入が決定して、桜の契約は更新されて、誰1人の犠牲もなく俺の帰宅は決定して。とりあえず、近未来ハッピーエンド達成で万々歳である。

 

 

 




ネタ多めでお送りしました。




それでは妄想全開のこのコーナー。もう正直やることないと思ってたけど、なんかやろう。

うみこさんのあれ「まだまだですよ……」のアレが好評だったので……別にそういうのを書いてしまっても構わんのだろう?(書かねぇよ)





異性へのアピールポイントは?←それに対する周りからのコメント



青葉「え、急に言われても……髪とか、かなー?」←ひふみ「そ、そうなんだ……」


はじめ「ワイルドさとか?」←ゆん「えぇ……」


ゆん「ファッションちゃう?」←はじめ「ゆんってゴスロリばっかだよね」


コウ「特に……ない……って、え?何、りん。ギャップ?なんのこと?」←りん「ううん、気にしなくてもいいわよ」


りん「やっぱり、料理かしら」←しずく「そうだね。遠山くんの料理は美味しいからね」


うみこ「射撃力……ですかね」←ねね「え、なにそれ!なにそれ!」


ひふみ「……え、え、えっと……そ、宗次郎!」←うみこ「自分のことアピールしなくていいんですか?」


ねね「セクシーさ!」←青葉(言ってて恥ずかしくないのかな…)


紅葉「いっぱい食べるとこ」←ツバメ「いっぱい食べる君が好き~、最高ハッピー♪」


ツバメ「家事力!」←紅葉「オカン力じゃないんだ」


ほたる「が、画力?」←青、ねね「天然は?」


しずく「そうだね~独創性かな!」←うみこ「計画性があれば完璧ですね」


八幡「え、目とか?」←一同「は?(え?)」







こんな感じでよければ続いていきます。




もし、こんな質問したい!とかあればどうぞ。採用された方には特に何もございませんが。(採用するとも言ってない)

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