女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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スマホの音楽を整理してたらアニソンだけで200曲超えてたので、プレイリストにまとめて再生しながら書いてましたが、懐かしい……!






メジャー最高!



(本題)


比企谷八幡がイーグルジャンプに入った話……ではなく、入る遠因になった話。つまり、どうしてキャラデザ班にいるのかという話の発端です。イーグルジャンプに入った理由に関しては後々。





まぁ!本編はねねとツバメの話なんだけどね!


あの時から比企谷八幡は。

PECOのマスターアップも近づいてきた今日このごろ。暇だった俺の手元にもたくさんのお仕事が舞い込んできて大変です。まぁ、前と変わらず全部修正とかチェック作業の仕事なんだけどね!武器のモデリングは望月がやってるし、キャラクターの方はゆん先輩とひふみ先輩、涼風が担当している。主に雑魚キャラの大量生産がメインなのだが、そこに俺が参加していない理由は俺が知りたいくらいである。

 

 

 

ひたすら、延々と仕事をしていて思うことがある。なんで俺働いてんの?と。

 

 

夢は専業主夫だったはずだ。なのに、今どうしてゲーム会社で働いているのか。人間、初心忘れるべからず。俺は時として、自分の原初に還ろうとする。働かずに食べる飯の美味さは知ってる。しかし、それと同じく汗水垂らして働いて食べた飯も美味いことを知ってしまったのだ。まぁ、イーグルジャンプは冷暖房完備だから汗はかかないのだが。

 

 

 

話は逸れたが俺は一体全体どうして働いているのか。材木座の小説の手伝いをするうちに触発されてクリエイターを目指したくなったから?違う。

 

 

 

自覚したのだ。

きっかけは些細なことだ。材木座が小説を少しでも良くしようと絵を描いてもらいたいとお願いしてきた。当然、由比ヶ浜や雪ノ下は拒んだ。そもそも、由比ヶ浜の絵は子供っぽく、雪ノ下の絵は美しくはあったがとてもラノベ向きとは言えるものではなかった。そこで白羽の矢が立ったのが俺だったわけだが。そんなの描けるわけないだろと最初は突き放したが、どうしてもと言う材木座に俺は仕方なく1枚だけ描いてやった。

 

 

 

選択科目で美術を取っていたこともあるが、中二時代に『黒き暁の書』なんてものに時折絵を描いていたからか、少しデザインの勉強をするだけでそれなりのものを描くことが出来た。そして、それを材木座に渡して依頼は終わり。そうなるはずだった。

 

 

 

何を血迷ったのか材木座が俺のそれだけをインターネットに投稿した。擬人化したカラスが自分の羽根と盗難品で作った巨大な鎌を持って夕焼け雲を見ながら電柱に佇んでいるという絵だ。俺は投稿されたことを知るなり、すぐに材木座を殴ろうと思った。

 

 

 

だが、ネットの評価は俺の想像とは全く違った。神秘的だ、かっこいい、これ何のキャラクター?オリジナル?などの様々なコメントがその絵には寄せられていた。

 

 

 

 

その時に俺は感じてしまった。世の中そんなに甘くはないはずのに、自分の作ったもので誰かを喜ばせる快感を、達成感を素晴らしさを、俺はこの目で直視した。皆が俺の絵を見て、賞賛を口にする。中には酷いものもあった。それは俺の心を蝕んださ。パソコンをもう開きたくないと思った。もう2度と描くものかと思った。それでも、見てもらいたい。自分の絵が輝く舞台を見たかったのだ。

 

 

 

 

だが、そうした事で失うものはあった。人が何か大切な物を得る時に、また大事な物を失う。俺は自分の中の大きな可能性を手に入れると同時に大切な関係と場所を失ったのだ。後悔がないといえば嘘になるが、そうして得た物も大きいのは事実。ハイリスクハイリターンを実現してる以上、とやかく言うことは無い。何も失わずして何かを手に入れることなど不可能なのだ。

 

 

 

「ハッチー、手止まってるけど大丈夫?」

 

 

 

昔のことを思い出していると思わず手が止まってしまった。それを桜に指摘されて気づくあたり、相当物思いにふけていたらしい。

 

 

「あぁ、大丈夫だ。それよりどうしたお前、もしかしてサボタージュ?」

 

 

「ち、違うよ!」

 

 

 

じゃ、なんでプログラマーさんがこっちにいるんだよ。って、俺もキャラ班なのにそっちにいってたこと何回もありますね、てへ。

 

 

「その、うみこさんに言われてたやつが終わって暇になったから、なんか手伝えることないかなーって」

 

 

そう言いながら涼風の方を一瞥する桜。見られてる涼風は望月とモデリングのことで何か話し合ってるらしい。

 

 

「終わって暇になったんだったら、他にやることないか聞けばいいじゃねぇか」

 

 

「そうしようと思ったらうみこさん忙しいから後でって言われたから……」

 

 

 

「それでこっちに来たのか」

 

 

言うと、桜は指をつんつんと合わせてふてくされる。なんだそれ可愛いなおい、また今度小町か戸塚にでもしてもらおう。

にしても、こっちもこっちで結構忙しいんだよな。だけど、桜に手伝えることはないし。これで急に「熱盛!」とか言って失礼しました熱盛と出てしまいましたとかなると困るし…

 

 

 

「まぁ、いい。俺も気分転換したいからお前のゲーム見てやるよ」

 

 

 

「やったー!」

 

 

バンザイしてとことこ進む桜の後ろ姿を見て、こいつみたいに人生楽しめたらなぁと常々思う。席から立って、一応「プログラマー班のとこにいます」と書き置きしてそこから離れる。

 

 

 

プログラマー班のところに行くといたのは、葉月さんの追加注文で魚でだるまさんがころんだを作ってる鳴海と桜のみ。んー、歳は同じなのにどうしてこうにも成長の差が出てしまったのだろうか。

 

 

「あ、あれ!?」

 

 

 

突然声を出した鳴海の方を見ると魚が高速回転していた。それを見て桜が口元を抑える。

 

 

 

「なに、おかしいの?」

 

 

 

あーほら、そういう険悪な空気になるじゃん?やめてよね。俺は平和主義者なんだから、争いごととか苦手なんだよ。内輪揉めも最近は他人事のように見れなくなってきたし。

 

 

「あっいや、そういう意味じゃなくて!なるっちも失敗するんだなって~。ちょっと安心して」

 

 

「……失敗はしても私はその失敗をそのままにしないし、そこの挙動が不安定なゲームみたいにね」

 

 

ジト目で桜を射るように言う鳴海。図星なのか桜は冷や汗を浮かべる。挙動が不安定とはどういう事だろうか。あれか、8月が31日ではなく32日まで続いちゃうとか?それは挙動ではなくシステム上のバグですねはい。

 

 

「まさかそのまま提出する気じゃないよね?せっかくそこまで作ったんだから最後までやりなよ。それがプロでしょ?」

 

 

 

え、プロなの?君らまだ大学生だよね?うーーーん??あと、鳴海さんなんか棘がある言い方になってるな。あれか、桜とは同い歳だとわかってるからか?いや、違うな。なんだろうか、劣化版陽乃さんのような感じがする。

 

 

 

「と、当然これから直すし!それに途中でもっともっと凄くなる予定なんだから!」

 

 

「どう凄くなるの?」

 

 

「へ?え……えっと……」

 

 

この反応は、桜のやつ適当にでまかせに言ってたな。

 

 

 

「火吹いたりとか!」

 

 

 

「火!?」

 

 

えっと、桜が作ってるのって玉を転がしてゴールに辿りつかせる迷路だよな。どうして火が……あれか、おじゃまギミックか?

 

 

「ふーん、まぁエフェクトの効果まで入ったら確かに褒められるんじゃない?」

 

 

「え……ほんとに!?」

 

 

「基礎だし出来ることが増えればそりゃ…」

 

 

「他にはなにかある?」

 

 

「え?ら、ランダムで迷路が自動生成されたりとか…?」

 

 

「それもやってみよー。いいこと聞いちゃった~」

 

 

聞くだけ聞いて上機嫌で自分の席に座って作業を始める桜に「気分で言ってたなこいつ」という眼差しを向ける鳴海。まぁ、互いに意見を出して切磋琢磨するのは重要なことだ。ブレインストーミングだっけ?あの相手の意見を否定せずに意見を出し合っていくやつ。俺は思いっきり否定されたけどね!

 

 

「あ、ハッチーごめん、私すること出来たから戻っていいよ」

 

 

そんな思い出したように言われても……。んー、確かに俺に出来ることなんてバグのチェックくらいしかないからいいか。

 

 

「え、比企谷先輩、いつからいたんですか」

 

 

今頃気付いたのか。悲しいことにステルスヒッキーは健在らしい。気配を消してるつもりは無かったが、ちょうど鳴海の死角になる位置に立っていたから気づかなかったようだ。

 

 

 

「お前の作ってる魚が高速回転したあたりからだな」

 

 

言うと、鳴海は顔を真っ青にして立ち上がる。

 

 

 

「あの、さっきのことはうみこさんや他の人には内緒にしてもらえませんか…?」

 

 

 

さっきのこととは、桜との言い合いのことか?別に同僚にアドバイスする風に見えたんだが。

 

 

「え?なんで」

 

 

「ほら、評価下がるの、その困るんですよ…」

 

 

そんなしゅんとした表情で言われるとこっちが困る。それにそんなこと言ったところで誰の得にもならんし。てか、さっきのってそんなに気にすることか?多分、うみこさんの前ではネコでも被ってるんだろうが、ネコくらい誰でも被るだろ。ついでに言うと、うみこさんは人間性より実力を取る人だろう。だから、鳴海がネコ被ってるのを知ったところで評価を下げることはあるまい。

 

 

 

「まぁ、別にいいけど。俺はさっきのお前の方がいいけどな」

 

 

「へっ!?」

 

 

「じゃ、ミニゲーム作り頑張れよ」

 

 

 

そう言って鳴海の顔を見ることもなく足早に立ち去る。そろそろ戻らないと怒られそうだし。

 

 

 

……人からよく見てもらおうと振る舞うのは否定はしないが、そうすることでよくない想いをされることもある。自分の評価を上げるということは、出る杭を打たれる覚悟をすることだ。今の日本はそういうやつらばっかりだからな。まぁ、うちの会社にそんなやつはいないけど。

 

 

 

それに仮面をつけない方が人間味があっていいと思う。初めて話した頃に比べて、この前飯を作ってもらった時や桜と話している時の鳴海はなんだか違和感がないというか、これが鳴海ツバメなんだなと、安心感があった。

 

 

 

 

鳴海が仮面を被る理由は知らないが、それが本人の意思でなら外して心を開くまで待てばいい。幸い、桜には開いてるらしいから、アイツに任せておけばいい。俺は俺で、課せられた仕事を虎視眈々とこなしていくとしよう。

 




一応、数日後に桜ねねはボードゲームを完成させます(火とか吹くのは容量オーバーやら処理不能で出来ませんでしたが)
そこのあたりはアニメで見てください(アニメって便利)




続き


桜ねね→好きか嫌いかでいえば好きだが、恋愛感情ではなく友達としての好き。likeである。たまに男らしいところを見ると不意にドキッとしてしまうらしい。というか、ゲームが完成してから真っ先に八幡に連絡するあたり……。


「ハッチーとつきあえたら?んー?誰かに自慢するのはなんだか恥ずかしいし……一緒にゲームするかな!あ、でも、それだと子供っぽいって思われるかも……う~ん!!どうしよ!?」とか言ってるけど、その胸は飾りなのだろうか……。大丈夫?揉む?とか言ったら1発だと思います。



星川ほたる→2回ほどしか面識がないため恋愛感情はヒロインの中では小さい。が、青葉とねねが気になってる人ということで興味はある。初めて遊んだら楽しかったので好印象。その時の別れ際に笑いながらも別れるのを惜しんでいた模様。


「八幡くんとつきあえたら?……んー、なんだか苦労させそうな気がするなぁ。私、体弱いし…。い、色気もないし…。 え?今のままでも十分?それに戸塚さんに似てるから大丈夫?ど、どういうことですか?」と体の一部を気にしながら言うが、十分である。可愛ければよし!














ちなみにインタビューを担当しているのは比企谷小町である。



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