女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている 作:通りすがりの魔術師
妖怪といえばレベルファイブ作品ですが、やっぱり有名所はイナイレ、レイトンなのでしょうか。僕はダンボール戦機が一番ですね。バンさん中の人も含めて大好き。
初めて先輩と言われたのはいつだったか。ゲームでは何度も呼ばれたことがあるがそれは文字列でしかなく、耳に届くものではなかった。おそらく、俺を初めて先輩と呼んだのは間違いなく一色いろはであろう。あとはいない。川崎大志とか知らない。
大学に行っていれば、他にも呼んでくれる後輩が出来たかもしれないが所詮俺なのでそんなことは無いだろう。それに俺は最近は「先輩♡」と言ってくれるより生意気に苗字を呼び捨てにしてくる学園最強系生徒会長の方がいいかもしれない。
しかし、そんな子が来るわけがないので淡い希望は捨てる。そもそも、社会人になったら学園最強も生徒会長も過去の遺産だ。話のタネになってもその面影がでるかどうかと言われればそうではないだろう。実際、ここに文化祭実行委員とかやらされたけどそんな片鱗どこにも見えない人とかいるし。逆に見えたら恐ろしい。
いつも通り、出仕時間より前に出勤してMAXコーヒーを飲む。これが俺の習慣である。仕事始めの月曜日とか気が滅入ってしまうから少しくらいはテンションあげないと。たわわチャレンジとかやったらテンション上がるかなぁ。
「おはよう八幡〜」
「あ、八神さん。おはようございます」
「今日から八幡も先輩だけど、ねぇ今どんな気持ち?」
ニコニコしながら肩を組んでそんなことを聞いてくる八神さん。
「いや、別になにもありませんよ」
「えぇ〜ほんとにござるかぁ〜?」
……めんどくさっ!?
何この人今日マジでどうかしたの?頭でも打ったのか?もしくは熱でもあるのか?いや、ただ単にからかってるだけだな。なんか表情が氷の女王の姉にそっくりだわ。
「ほんとですよ。強いて言うなら静かなのがいいです」
「あ〜そうだね。ただでさえあそこのブースお喋りが多いのにこれ以上増えるとね」
同意しながら冷蔵庫から俺と同じ飲み物を取り出し口に含む。言ったけどその辺はあんまり気にしてないんだよなぁ。納期がやばい時は静かにしてるし。
「お先に」と一言告げてから給湯室から出ると見慣れない顔の女子が2人居た。この前見た赤髪と黒髪の髪型がサイドテールの2人だ。
赤髪の子は俺から見て左に髪を黒のリボンでまとめ、頭頂部のカチューシャ、黒のノースリーブのセーターのような服に白いスカート、黒のハイソックスとなんだか強気な感じだ。対して黒髪の子は赤髪の子とは逆に作られたサイドテールを青いリボンでまとめ、たくさんのアルファベットがあしらわれたシャツを着ていた。
「ごめんなさい。たまに寝てる人がいるので初対面のイメージを悪くしちゃうのもなって思って」
いつも八神さんのいるブースから出てきた涼風は冷や汗を拭う。まぁ、多分俺が来た時に起きたのだろう。多分だが。
「それって誰のことだ〜?」
「わあ!八神さん来てたんですか!?」
「八神コウさん!!」
ちゃっかり聞いていたのか八神さんは悪そうな笑みを浮かべながら3人の前に現れる。それに驚く涼風と赤髪の子。
「望月さんだよね。私面接したし。もう1人はプログラマーの子かな?」
「鳴海ツバメです!よろしくお願いします!……で、そちらは……?」
と、黒髪の子が俺を見つめる。すると、赤髪の子が警戒するような目を向けてくる。いつの時代もどこの世界も人は第一印象で決まる。人は見た目が100%とか言うけどあれは嘘っぱちだ。人は見た目が9割、中身が1割なのだ。俺は見た目はほぼ死んでるゾンビのように見られるのでアウトだが、中身はそこら辺の凡俗とは違うのだ。そこのところをこの後輩達に見せてやろう。
「あぁ、あれは比企谷八幡。望月さんと同じキャラ班だよ。見た目はアレだけどイイヤツだから」
うん、俺が口を開く前に八神さんに紹介されてしまった。ここで先輩の威厳とか、風格を見せつけようと思ったのに。まぁ、特に何も言うことを考えてなかったからいいんだけど。
「あの…」
「?」
もう真顔でこの場の空気に佇んでいようとしたら、赤髪の子にさっきの目のまま話しかけられた。
「い、いや、なんでもないです」
さいですか。何も無いのか、そうか。
「わ、私、八神さんみたいなキャラクターデザイナーになりたくて来ました!望月紅葉です!」
「私と一緒だ!お互い頑張りましょうね!」
「え?は…はい」
それだと熾烈なライバル関係になることが目に見えてるんだが…。もしかしたら、2人で八神さんを越えようみたいな共闘戦線を張るかもしれないな。で、八神さんは照れてこっち見るのやめましょうね。
「そうだ、なにか飲みますか?コーヒーとか紅茶とかすごく甘いコーヒーとかがありますけど」
「おい、最後のはだめだ。あれは俺のだ」
わざわざ、日曜日に千葉まで出向いて箱買いしてるこっちの身にもなれ。マッ缶は密林とかで買うより、小町の教えてくれるチラシ情報を元に安い店を探して買ったほうが得なんだよ。
「えー、でも、八神さんも飲んでるし」
「あれは八神さんのだろ。だから、別にいいんだよ」
「ん?これ八幡のだけど?」
「え」
俺のだったのか。どうりでマッ缶の減りが早かったわけだ……。俺が無意識にがぶがぶ飲んでしまっていたと思って心配していたがそんなことはなかったらしい。
会社の冷蔵庫に入れた物は会社の物になるのだろうか。名前書かないからだよとか、1本1本に書いてたら日が暮れるわ。
「私は紅茶でお願いします!」
「私は砂糖なしで…」
そんな俺の心情を察してくれたのか、ただ単に千葉のソウルドリンクを知らないのか。おそらく、後者だろう。
「無理して砂糖なしにしなくてもいいんですよ?」
「お前みたいに見栄張ってブラックコーヒーなんて頼まねぇよ」
「ちょ!後輩の前でその話しないでよ!!」
恥ずかしさと怒りで顔を赤くして怒る涼風に八神さんは笑い、新人2人は苦笑いを浮かべる。カバンも置いていかず紅茶を入れに行った涼風の背中を見ながら八神さんが呟く。
「ごめんね騒がしくて。青葉のやつ、初めての後輩で張り切っちゃって」
「いえ……良い人だと…思います」
「まぁ、皆の出社時間まで少し時間があるからここでゆっくりしてて」
手を振って自分のブースに戻ろうと背中を向けた八神さんに望月は目の前の席を指さして尋ねる。
「?……八神さんの席ってここじゃ…」
「そこは青葉の席だよ」
お前の席はひふみ先輩がいたとこだよ。とは言えず、俺はその隣の自分の席に座るとスリープモードに入っていたパソコンをつける。
「そ、そうだったんですか。キャラデザの紙とかがいっぱいあったので」
「まぁ、それが涼風の仕事だしな」
「……?」
「青葉がPECOのメインキャラクターデザイナー。私はキービジュアルとアートディレクターだよ。ごめんね、変な宣伝の仕方してるから勘違いするよね」
笑いつつも影のある表情で謝る八神さんに望月は「い、いえ…」と首を横に振る。ついでに言うと俺は無茶振り担当だ。
八神さんから話を聞いて、少し考え込むような表情を取ると何故か彼女の後ろから燃え盛るような熱気を感じる。こいつ……新手のスタンド使い!?
「お待たせしました〜……ってあれ?」
ガァルルルル……とビースト解放しかけの望月を見て涼風は耳打ちして「な、なにがあったの?」と聞いてくるが俺にもわからんとため息をついた。
「紅茶ありがとうございます!」
空気が悪くなるのを感じたのか、鳴海が望月を弾き飛ばす。空気の変え方が新鮮というか、強引というか。
「こっちが鳴海さんのです」
「で、こっちがもものですね」
受け取った鳴海は『鳴海の』と言われたカップを望月に渡す。それを望月は弾かれたので動揺してたのか「え?あ…うん…」と挙動不審な感じで受け取る。
「……!?甘……!」
「にひひ〜」
「わー!?私、間違えちゃいました?」
そんなに砂糖入れたのか……?鳴海のすり替えトラップもあれだが、女子があんな低音出すくらいの甘い紅茶を作る涼風って一体。あたふたする涼風に「私のイタズラっす。ごめんなさい〜」と謝る鳴海を睨みつける望月。
「お前砂糖何杯いれた?」
「え、そんなに入れてないけど…」
そんなにということは1杯で大さじ2杯くらい入れたのかこいつは。それとも、望月が甘いのが苦手という可能性もある。だとしたら、マッ缶飲めないじゃん!可哀想に。
「涼宮さん…」
「?」
「私…負けませんから」
「…あの…私、涼風です」
「え!?」
なんだよ涼宮青葉って。ただのキャラクターデザイナーには興味ありません。とか言いそうだな。
苗字を間違えられて困惑する涼風と苗字を間違えたことに申し訳なさと恥ずかしさで顔を紅葉の葉のように紅くする望月。
なんだかめんどくさくなりそうだなと思い、俺と八神さんは知らんぷりした。
久しぶりに仮面ライダーWとダンボール戦機の話をしました。
自分は父の影響で昭和ライダーから入ったせいか、平成ライダーはWがダントツで好きです。2番目はディケイド。3番目は強いて言うならフォーゼですかね。
仮面ライダーエミヤとかかっこよさそうじゃない?弓を使ったライダーってあんまりいないし、いいと思うんだ。それに無限に剣を出すとか強くない?でも、ライダーキック……うん、あいつキックしないな。
消した。