女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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水着エレナきた。やったぜ
でも、モニュメントがない。交換所にあった。頑張ろう


比企谷八幡はよく俯瞰している。

 

 

 

 

「えー!ついに新しい人が入るんですか!?」

 

 

「そう!キャラ班には1人。あとプログラマーに2人入るんだって。1人はねねちゃんだね」

 

 

八神さんから重大発表があるからと集められた俺達はその事を告げられた。新人がくる。つまり、俺と涼風に後輩が出来るということである。

 

 

「と、とうとう私もせ、先輩になるんですね……!」

 

 

「おめでとう青葉ちゃん」

 

 

「なに余裕ぶってるんやはじめ…」

 

 

先輩になれるという感動から涼風は嬉しそうだ。はじめ先輩もその気持ちがわかるのかグッと親指を立てる。

 

 

「で、でもやっぱりと、とととと、年上だったらどうしよう! 」

 

 

「いや、俺に聞かれてもな…」

 

 

年上の後輩でも一応上下関係はあるだろ。相手がそれを意識するかどうかだが。俺なら自分より年下の先輩には何も聞かないな。特に涼風とかに教えてもらうとかやたらドヤ顔してきそうで嫌だ。

 

 

「まぁそこはお楽しみに。私は知ってるけど」

 

 

出来れば「先輩♡」と慕ってくれるような盾持ちの後輩かヤンデレ気味の洋食の美味い後輩が欲しいところだな。もし、俺より年上なら男の人がいい。ほんと、俺以外に男の人来てぇ!!

 

 

「だけど…ここのブースは既に席が…」

 

 

確かに既に5人でブースの中パンパンだからなぁ。これ以上増えたら誰かがダンボールの上で仕事せねばならん。もしくは、八神さんの隣か。

しかし、八神さんは新人が自分の隣だと緊張させることになるからと、今いる誰かを移動させたいらしい。それで目を向けられたのが……。

 

 

「ちょ、ちょっと待って!席移動候補っていったらモーション班の私じゃん!」

 

 

そう、モーション班なのにキャラ班のブースにいるはじめさんである。

 

 

「寂しくなるなぁ。一番の賑やかしやったのに」

 

 

「決定!?……ほ、ほんとにゆんは私がいなくなってもいいの…?」

 

 

「……へ? そ、それはよくあらんこともあらへんこともあらへんけど」

 

 

「どっちなんだよ」

 

 

うん、なんだかバカボンのパパを思い出した。賛成の反対の賛成なのだ、だっけか?見たの随分前だからよく覚えてないが。

 

 

「いっそここのブースの真ん中に席を」

 

 

「可哀想だろ」

 

 

涼風の言葉に八神さんは呆れ混じりに返す。俺はそれでもいいけどね。だが、このままだと誰が行くかで揉めるよな。

 

 

 

「あの…」

 

 

「誰も行かないなら俺が……」

 

 

「あの!!」

 

 

挙手しようとしたところでひふみ先輩が大声を出して遮る。危ねーもう少しで変な声出しちゃうところだった。ひふみ先輩が急に声を出したことに驚きつつも疑問符を浮かべる。

 

 

「あ、え、えっと…私が…コウちゃんの…隣に行く…!」

 

 

なんだか『拾いに行く…!』みたいなニュアンスだ。溺れなきゃいいが。そんなことを考えたのは俺しかいないのだろう。

 

「まぁ、それが妥当かな。ひふみんはキャラリーダーだし」

 

 

「うん」

 

 

八神さんの言葉にひふみ先輩は頷く。

 

 

「でもやっぱり…ちょっと寂しくなりますね…すぐ近くではありますけど」

 

 

「……ううん…大丈夫」

 

 

涼風とひふみ先輩って仲いいよなー。羨ましい。ま、まぁ?この前食事に行った俺の方が1歩先を行ってますけど?それに離れ離れになるわけじゃないし。

 

 

デスクの移動が決まり、早速ひふみ先輩のデスクから八神さんの隣のデスクへとパソコンやらを動かすのだが。

 

 

「まぁ、男だからやらされますよね」

 

 

このブース唯一の男となるとそうなるのは必然。円環の理とかそんなのねぇから!にしても、パソコン移動させなくてもデータ移行とかした方が早いんじゃね?そう思ってたら後ろから気配が…。

 

 

「あ…ごめんね…八幡…私が……やらなきゃ…なのに」

 

 

「いや、全然気にしなくていいですよ」

 

 

うん、女神がいた。ひふみ先輩をモデルにした女神キャラとか実装したらPECO(今作ってるゲーム)めちゃくちゃ売れると思うんだけどどうよ。

 

 

そう手に顎を置いて考えてたら、八神さんと話してる美人さんが目に入った。美人なだけならばうちの会社にはたくさんいるので気にならないのだが……なんで猫なんて抱き抱えてんの?いや、たまに見るんだけど名前とか誰のとか知らないんだよなぁ。ただ、カマクラより太ってる。うん。

 

 

「みんな気になるなら来ていいよ」

 

 

俺と同じく、涼風達も気になっていたらしく八神さんにそう言われ、ぞろぞろと集まる。

 

 

「あの、どうしたんですか?ネコちゃんが会社に…」

 

 

「葉月さんのペットだよ」

 

 

えぇ……あの人猫飼ってんのか。確か独身だよね?独身で年齢不詳……あっ……ふーん。

 

 

「名前はなんて言うんですか?」

 

 

「さぁなんだっけ?大和さん」

 

 

猫を抱きかかえている人は大和というらしい。最近の若者は大和と聞いたら海上戦艦を擬人化したのしか思い浮かべないが、俺はやっぱり波動砲を撃つ方だな。スパロボでは最高クラスの火力を誇るから好きだ。

 

 

「……も、もずくです」

 

 

あの人らしいセンスだなぁと少し離れた距離で猫と戯れる女性陣を眺めていると八神さんに横腹をつつかれる。

 

 

「な、なんですか」

 

 

「いや、八幡は触らなくていいの?」

 

 

「実家で猫飼ってたんで俺は大丈夫です」

 

 

それにあの手の人は男なんかに寄られたら嫌がるでしょ。案の定、猫に群がる女性陣に苛立ったのかは分からないが「ち、近づかないでください!!」と一喝する。

 

 

「ご…ごめんなさい」

 

 

それに驚いて涼風が一歩下がる。すると、大和さんは顔を背けてもずくを前に差し出す。

 

 

「あ、違います。もずくは好きなだけ触ってください。ただ、私は…えっと。人に触れられたり接近するのが苦手で……ごめんなさい」

 

 

恥ずかしそうに言うその姿はまさに…乙女だ…。でも、あの人の気持ちはおおいにわかる。自分のパーソナルスペースにズカズカ土足で踏み込んで欲しくないというか、構わないでくれよどっか行ってくれって感じだよな。え?違う?

 

 

「めんどくさい性格だよね…まぁ、八幡も似たようなもんか」

 

 

大和さんと俺を見比べるようにそう言う八神さんも酔っ払うとめんどくさいですよね。

 

 

「てか、大和さんは何しに来たんですか」

 

 

「え?あぁ、PECOの宣伝で雑誌に描き下ろし描いてくれって頼みにきたんだよ。もずくを連れてきたのは多分、葉月さんの差し金だろうけど」

 

 

なるほど、わからん。別にもずくいなくても会話はできるだろうに。いや、葉月さんの事だから別のところに狙いがあるんだろうが。

 

 

「…あの大和さんのフルネームって『大和 クリスティーナ 和子』さん……ですよね」

 

 

「え?は、はい、そうです。母がフランス人のハーフです」

 

 

「フランスですか!友人がフランスに留学に行ってました。挨拶でキスするのが習慣だって」

 

 

涼風の言う友人とは星川の事だろう。星川って誰だよって?ほたるんの苗字だよ。ずっとあんたとか言うのもあれだからこの前涼風から聞いた。

にしても、フランスと日本のハーフか。じゃ、どっちの言葉も話せるんだろ?俺は千葉と千葉のバイリンガルだから日本語しか話せないが。あとはオンドゥル語を少々だ。

てか、フランスでは挨拶にキスする習慣があるのか。平和的でいいよな。ポケモンなら挨拶替わりにポケモンバトルだからな。……よし、今度戸塚誘ってフランスいこう。キスしよう。

 

 

「ああ……確かにそうですね…」

 

 

涼風の話に頷きつつも暗い顔をしながら肘を擦る大和さん。どうやら、妹が必要以上に挨拶をしてくるんだそうだ。

 

 

「じゃあ、日本には1人で?」

 

 

「はい、私は日本のゲームが好きで日本に来ました。妹もフランスでゲームを作ってるんですよ」

 

 

新しい後輩の話はどこへやら、周りは大和さんの妹が作っているゲームの話に聞き入っていてそんなことも忘れてしまった様子だ。まぁ、八神さんがどんな人か教えてくれない以上、これ以上話しようがない。期待して予測を立てても違っていればその人の前で失礼な態度を取ってしまうだろう。

 

 

だから、俺は何も考えないでおこう。別に俺を慕ってくれるような年下でなくてもいいし、年上の優しいお姉さんでなくてもいい。ただ、何事も起きないことを祈るだけだ。ほんとに。

 

 

 

……あれ?そういえば、桜の面接の時に2人くらい女子が……え?まさかね?……そんな不安を募らせる俺であった。




ポケモン映画の主題歌聞き直してたんですが、ダントツで「ひとりぼっちじゃない」が良かったです。個人的にはレックウザとかディアルガ対パルキア対ダークライも好きです。では、また今度。

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