女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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彼女いない歴=年齢の俺にラブコメは無理やで……!!!

近況報告はモンハンワールドはよ!配布イシュタル強スギィ!!

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記念とかないです。それでは僕のラブコメ……?となるラブコメどうぞ。


ひふみ先輩視点の話です。


滝本ひふみの春は終わらない。

 

私、滝本ひふみはコミュ障である。それも極度の。話しかけるには一呼吸いれないといけないし、喋る前に発音の言葉が入ってしまう。それに単語が空き空きになる。

 

 

そんな私が最も苦手な相手は男の人だ。ニュースで男の人が身体を触ってきたりセクハラをしてくるというのを子供の頃から聞いて、さらに学校では体操服を盗まれたりしたからかなりトラウマを持っている。それなのに、私が好きになった相手は……。

 

 

「は、……は、八幡!!」

 

 

「な、なんですかひふみ先輩」

 

 

短く爽やかなイメージを想起させる黒い髪に、整った顔のパーツ。それだけ見ればとても好印象な男の人。多分、すごくモテると思う。だけど、その人はそれらを台無しにするくらいに目が死んでいた。

 

 

出会いは1年前、彼は新入社員でイーグルジャンプに入社してきた。同じキャラデザ班だから、話すことはあるだろうと思っていたけど、モデリングのことで分からないことがあるからと話しかけられた。

 

 

その後もたまに話すことがあって東京ゲームショウの時にコスプレを見られて……。コスプレ仲間に引き込んでコミケで一緒にコスプレをした。その時に青葉ちゃん達にバレないように逃げた時に抱きつかれたことは鮮明に覚えている。おかげでその日は眠れなかったことも。

 

 

「あ、明日、2人で……ご飯…食べ……ない?」

 

 

 

その時にもしかしたらと思った。だが、すぐに否定した。私に限ってそんなことがあるはずがないと。

 

 

 

でも、胸の高鳴りが。鼓動の動悸が。感情の高ぶりが。それら全てが私にこう伝えていた。

 

 

 

『お前(私)は比企谷八幡が好きなんだと』

 

 

 

###

 

 

 

夜。それは大人の時間だと言う。確かにこの時間に1人でいると声をかけられるらしいけど、私は仕事が終わったら寄り道せずにすぐに帰宅している。それに家は会社の近くで比較的に街灯や開いてる飲食店が多いから明るい。だから、そんなことは全くない。

 

 

 

「ちょっと早く来すぎたかな…」

 

 

 

私は今日は仕事が無いけど、八幡はあるから外で待ち合わせることになった。腕時計を見て時間を確認すると約束の時間からまだ10分くらいあった。お店の前のガラスで自分の身だしなみを整える。青いワンピースに水色のスカートで涼しめな感じできたけど……可愛いって……褒めてくれるかな……?

 

 

 

ご飯に誘ったとき、少し戸惑っていたけどそれでも私が「……ダメ……かな?」と聞くとすごくいい顔でOKしてくれた。なんでだろう。

 

 

どんな味が好きとか何が食べられないとか知っといた方がいいかなと思って八幡の妹さんに話を聞いておいたからお店選びは大丈夫。

 

 

『兄はトマトが苦手です!それ以外は食べます!なんなら、ひふみさんみたいな可愛い女の人が作った料理は好きだと思います!今の小町的にぽいんとたかーい☆』

 

 

 

「うぅ……」

 

 

 

最後の2行余計なようで必要ない気がした。

八幡の妹さん、なんだかビンタしてくれとか言われたら躊躇なくしそうな感じ。私はしてくれとか言わないけど。八幡はしてもらってそう。

 

 

 

待つこと数分ぐらいするとアンテナのように張った特徴的なアホ毛が揺れて近づいてくる。

 

 

「すみません、遅れて申し訳ないです」

 

 

肩で息をしながらそう謝る八幡に気にしなくていいと首を振る。黒基調の服装でいつもの『千葉love』シャツじゃない八幡を見るのは久しぶりだ。

 

 

「……もしかして……着替えて……来たの?」

 

 

「え?あ、いや、ちょっと……」

 

 

何か隠すように口ごもる八幡にジト目を向ける。ずっと目を逸らしていたがそれに堪忍したかのように八幡は肩を落とした。

 

 

「……妹に会社の前で出待ちされてて、それで着替えるように言われました」

 

 

「そ、そうなんだ……」

 

 

うん、なんだか、着替える前の服は聞かないほうがいいのかな。とりあえず、適当に返事をしたことでなんだか気まずい雰囲気になってしまった……。

 

 

「じ、じゃあ、行きましょうか」

 

 

「え、あ、うん……」

 

 

八幡に言われてその場から歩き出す。

 

 

「で、どこの店行くんですか?」

 

 

「え、えっとね…」

 

 

スマホを取り出してあらかじめスクリーンショットしておいたお店の写真を見せる。

 

 

「バイキングですか」

 

 

「う、うん……嫌……かな?」

 

 

「いいや、全然、むしろドンと来いですよ」

 

 

よかった……と胸を撫で下ろす。集合場所から目的の場所までの長い通りを進む。右も左も飲食店や娯楽施設、商業施設ばかりで店の前には仕事終わりと思わしきサラリーマンやOLの姿が見える。

 

 

 

「そういえば、なんで今日俺、誘われたんですか?」

 

 

「えぇ、とそれは……」

 

 

だいぶ前に八幡がご飯行こうって言ったのに誘ってくれないからこっちから誘ったんだけど…。それを言おうか言わまいか悩んだ結果、話題を変えることにした。私のヘタレ!八幡の鈍感!

 

 

「は、八幡は、普段どういうところ行くの?」

 

 

「えっ……あー、図書館とか本屋……あと、家ですかね」

 

 

急に話を変えられて少し動揺したみたいだけど、割と普通に答えてくれた。

図書館と本屋さんって時間潰せるしいいよね。でも、家……家?首を傾げる私に八幡は慌てて付け足す。

 

 

「ほら、借りたり、買ったりした本とか家で読みたいじゃないですか」

 

 

あ、そうだよね。そういう事だよね。私もコミケで買った同人誌は家でゆっくり落ち着いて読みたいし。

 

 

「服とかは買わないの?」

 

 

「あー、ある程度揃ってますから基本的には。千葉関係のがあれば買いますけど」

 

 

千葉関係の服って何…?千葉のブランドとかあったかな。チーバくんとか?

そんな話をしてるうちにバイキングのお店にたどり着く。

 

 

「え、ここって……」

 

 

お店に入ってキョロキョロする八幡。昨年のクリスマスにここの前で色々あったことを思い出してるのか顔が若干暗い。

そんな姿を眺めていると店員さんがやって来る。

 

 

「いらっしゃいませーご予約されてますでしょうか?」

 

 

「よっ、よっ、予約してた…た、たきもとです……」

 

 

「たきもと様……はい、2名様ですね!どうぞ、こちらへ」

 

 

通されたテーブル席に座って、店員さんがお絞りを置く。簡単にバイキングのシステムを言って「ごゆっくり」と笑顔で新しいお客さんの相手に向かう。

その後ろ姿を見送って、また静かな時間が流れる。

 

 

ぐぅ、という私から鳴ったお腹の音に八幡は頬を掻きながら目を逸らす。

 

 

「……えっと、じゃあ……ご飯食べよっか…」

 

 

 

恥ずかしくて死にたくなってしまった。

 

 

 

###

 

 

 

お会計を済ませてお店の外に出ると、月が出ていた。バイキングの時間は2時間でそんなにいないだろうと思っていたけど、つい、会社の話や宗次郎やかまくらちゃんの話をしてる間に随分いたみたい。

 

 

「さて、帰りますか」

 

 

「うん」

 

 

まだそこまで深い時間帯ではないけど、八幡は仕事終わりだし、私も明日には仕事がある。だから、帰るのは自然な流れだろう。

 

 

「家、あっちですよね?」

 

 

「え…送ってくれるの?」

 

 

「え、あー、嫌じゃなければ……」

 

 

またしても頬を掻いて目を逸らす八幡。もしかして、八幡の照れ隠しの動作なのかもしれない。

 

 

「お、お願い…します…」

 

 

そんな仕草にドキッとしたのか、顔が熱くなり、下を向いてしまう。

食事中はいい感じだったのに少しのきっかけでまたぎこちなくなってしまう。男の子との距離感ってこんなものなのかな。

 

 

会話のないまま道を歩き、少しずつ私のマンションへと近づいていく。前を歩く八幡は分かれ道に合う度に振り向いてどう進めばいいかを尋ねてくる。それに私は指を指す。

 

 

 

どうして口があるのに、言葉を使わないのか。それは私がコミュ障だから?

違う。勇気が無いんだ。怖いんだ。自分の気持ちを伝えて拒絶させるのが。さっきの道でなにか飲まないかと言えばまだ一緒にいられたかもしれない。なのに、なのに。後悔と自責の念だけが積み上げられて、マンションの下にたどり着く。

 

 

「今日は誘ってもらってありがとうございました。では」

 

 

そう言って来た道と逆を行く八幡。

何か言わないと、どうにかして止めないと。

何かしないと自分は進めない。きっと、いつの日か今みたいに八幡が遠ざかってしまう。ただの先輩後輩の関係で終わってしまう。

 

 

「ま、まっ、待って!」

 

 

咄嗟に出た言葉に八幡は足を止める。

 

 

「きょ、今日、八幡を……ご飯に…誘ったのは…」

 

 

喉まで出かかった言葉がもう少しというところで止まってしまう。誘ったのは八幡が誘ってくれなかったから。それもある。でも、そうじゃないんだと思う。青葉ちゃんと仲良くなってて、コウちゃんと2人でご飯に行ったとかそういう話を聞いた時、すごく嫌な気持ちになった。

 

 

だから、つまりは私は嫉妬したんだろう。それくらいに八幡を好きになったんだろうと。そう確信せざるを負えなかった。

 

 

「……誘ったのは……」

 

 

未だそこから続かない言葉。待っていた八幡は私から言葉が出ないと思ったのかまたその場から足を動かした。

 

 

「……理由はどうあれ誘ってもらって嬉しかったですよ」

 

 

そう言うと、ぽんと頭に柔らかく温かい感触が触れる。それが八幡の手だとわかるのに時間はかからなかった。俯いていた顔を上げると優しく笑った八幡がいた。

 

 

「では、また会社で」

 

 

手が離れると今度こそ八幡は行ってしまう。点々と光る街灯の夜道を1人で進んでいく。その背中は頼もしく、とてつもなく悲しげに感じた。

 

 

 

もし、彼の隣に立つことが出来るのなら。その時はたくさん甘えて、甘えさせよう。季節は次々に死んでいく。春ももうじき終わり梅雨の季節に入る。

 

 

それでも、この想いは、この時間は、永遠に続く。私の春はまだ始まったばかりなのだから。




Q.全部やるんでしょう?

A.そんな安請け合いばっかして!『NO』といえる人間になろうぜ!
ということで『NO』です。

Q.海は?

A.アホガール見てください



そんなわけで夏だ!フェスティバルだ!!でした。
第2弾は作者の気持ち次第です。本当の目的はゲームのスタミナ回復の合間に書く用の企画でした。不満の声は壁や電柱に言ってください。八幡が入社した理由はどこかでさり気なく入れたいと思います。


次からは6巻の話にはいっていきます。



ps.友人が中間素材からスライムに進化してました(クソどうでもいい)

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