女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている 作:通りすがりの魔術師
眠くて久しぶりに2時間くらい寝てた
すること特になかった良かったんですけどね!
あと、ランキング入りしてました。ありがとナス!
何故人は、娯楽や雑談といった、必ずしも必要とはいえないものが必要なのだろうか。
娯楽や遊びが蔓延した現代社会においてそう考える人間は少なくはないだろう。
何故必要かと問われれば答えられないのにも関わらず、何故するのかと問われれば人それぞれの答えが返ってくる。
楽しいから、そこにあるから、なんとなくなど。
人によってはそれ無しでは生きてられないなどと自分の人生への必要性を顕にする者もいるだろう。
俺ならばこう答えるだろう。
コミュニケーションをとるのに必要だから。
娯楽とは、快楽や悦楽を得るための文化や事であり、決して悪いものではない。例外として麻薬などというものがあるが、あれも元々は精神安定剤の一種だったのがああなっただけなのだ。
話を戻すと、娯楽はコミュニケーションを取るにかなり絶大な効果をもたらす。それが顕著なのはヲタクだろう。普段はコミュ症で会話に入れないのに、自分の知ってるゲームやアニメの話になると、その会話に入りたくなる。それが娯楽のもたらすシナジー効果なのだ。
しかし、娯楽は時に人を苦しめる。
だが、遊びや娯楽がなかったら、人間社会はこんなにも発展はしなかったのではないだろうか。
『つまり、何が言いたいの?』
「あ?決まってんだろ。ゲームは神ってことだ」
くどくど桜に語ってしまったがゲームは神。最初に生み出してくれた人ありがとう。ゲーム実況とかゲームセンターCXとか、ゲームがないと始まらないからね。淫夢実況、てめぇはダメだ。
『なんか話がかなり脱線したような…まぁ、いっか!』
そうそう、細かいこと気にしてるとストレス溜まるからな。
「とりあえず、ゲーム完成おめでと」
『ありがとー!半年以上かかったけど頑張ってよかったー』
月が輝いて見える頃に仕事が終わって家に着いた頃、着信が着ていたので掛けてみると出たのはハイテンションな桜だった。どうやら、作っていたゲームが完成したらしく、それの報告を受けていたのだ。俺特に何もしてないからよかったのだが付き合ってくれたからということらしい。
『明日あおっちに見せるんだーどんな反応してくれるかなー?楽しみっ!』
「まぁ、あいつならすごーい!とか言って喜ぶだろ」
『だよね!あ、それでねーー』
そんなこんなで桜の話は俺が風呂に入りたいから切っていいかと言うまで1時間半も続いた。
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翌日、俺は休みを利用して少しだけ遠出をしていた。遠出と行ってもそこまで距離はない。自転車を走らせれば40分の範囲だ。会社が忙しく、うみこさんとの休みが合わないことからあまり運動していなかったのだ。
だから、サイクリングも兼ねてあまり来ないところにきたのだ。
地図アプリを起動してこの辺りで休めるところを探していると、喫茶店が近くにあるらしい。漕がずとも歩いて数分の距離だったのでそこに向かうと…
「あのね!私!ゲームを作ったんだ!」
来たカフェにはテラス席と店内が別れており、俺はあまり長居はしないだろうからと店内のカウンターに座ってコーヒーを飲んでいたのだが、聞き覚えのある声がして目線だけそちらに向けると涼風と桜と……えっと、ほたるん?だっけ。がいた。苗字聞いてないからわかんねぇんだよな。
席が遠いから会話はよく聞き取れないが眺めていると、どうやら3人仲良く楽しめているらしい。少し盛り上がりすぎているがそれもいいだろう。ゲームには人の心を通わせる力がある。
3杯目のコーヒーを注文したところで、ゲームをクリアしたのか3人が「やった〜〜!」と歓喜の声を上げると、流石に店員さんが注意に向かう。
時計を見ると、かなり長居してしまったらしくそろそろ会計をしようかと出されたコーヒーを一気に飲み干そうとカップを口に持ってきた時、桜がとある爆弾を投下したのが耳に届いた。
「あとね、うみこさんとかハッチーにアドバイス貰ったり、作るの見ててもらったりしたんだよ」
「うみこさんと比企谷くんも知ってたの!?」
「あおっち静かに!」
ブフっ、とコーヒーを吐きそうになるとすぐに店員さんが大丈夫ですか!?と駆け寄ってきたのでジェスチャーで大丈夫であることを意思表示すると口元をナプキンで拭う。
あいつ余計なことを。最近何かと涼風の当たりが強いんだから、気をつけてほしいぜ全く。バレてないかな、と涼風達の方を見るともう居なくなっていた。どうやら、もう帰ったらしい。
まぁ、あんなに騒いでたら帰るわな。俺も帰ろうかと席から立ち上がると、ガシッと腕を掴まれる。
「こんなところで土偶だね…比企谷くん?」
いつの間にか隣に来ていた3人組。何故か涼風が暗黒の微笑を浮かべている。桜は申し訳なさそうに手を合わせ、ほたるんはあたふたと困り顔だ。
「それを言うなら…奇遇じゃないですかね…」
俺は精一杯言葉を出すと、涼風の手をつかむ手が強くなる。そんなに強くないのだが。
「なんでここにいるの?」
「いや、だから偶然…」
「ねねっちに呼ばれたの?」
「違うから。ほら、桜も首振ってるじゃん…?」
振ってなかった。それどころか、下を向いて顔を赤くしてた。アイエエエエ! サクラサン!? サクラサンナンデ!?
もしかして、私のことが心配で来てくれたんじゃ……?的な勘違いされてる!?
いや、もしかしてこのストーカー死ねっ!とかおそらく後者だな。死にたい。
「ねねっち、どうしたの?」
「あ、うん!呼んでないよ!昨日電話したくらいで……あ……」
ほたるんが桜の様子が気になったのか、声をかけるが放心状態。それが解けたと思ったらまた爆弾発言をしやがった。もう頼むから喋らないで!
「電話ぁぁぁ??」
「ほら、ゲーム完成したよーって連絡受けてだな。それ以外は別に何にもないぞ」
「ホントに?」
「あー八神さんに誓ってないな」
「え……なんで八神さん?」
「だって神だし」
今のは八神さんの『神』と『神絵師』の神を掛けた高等テクニックなんだな。まぁ、涼風には分かんないか。
「あのーよく分からないけど、お店から出ない?ほら、迷惑になるし」
ナイスだぜほたるん!そうだな、俺も会計して帰ろうとしてたところだし丁度いいな。
「よし、じゃ、会計して帰るか。3人は約束して集まってたんだろ?なら、俺はさっさと退散するわ。じゃあ……」
そのままクールに去ろうと財布を出そうと手を伸ばしたところで3人に襟首を掴まれる。え?なんで3人?
「そう簡単に帰らせるわけないじゃん?バカなの?八幡なの?」
え、八幡ですけど。だから、人の名前を虐語にすんなよ。ホントに涼風はなんで怒ってんの?
「そうだよ!ハッチーせっかくだから遊ぼうよ!ね、ほたるん!」
「うん、私もちょっと興味あるし」
「何に!?」
唯一、善人だと思ってたほたるんに裏切られてしまった。元々、味方じゃなかったと思うんだけどね?俺の叫びも虚しく、何故か3人のパフェ代を奢らされてしまった。
あれだな。ギャルゲーとかラブコメゲームの女の子にはちゃんとした攻略法とかあるのに、現実の女の子にはそういうのがないんだな。今度、葉山にでもこういう時の対処法を聞くとしよう。
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結局、晩飯まで付き合わされた俺は今は駅前通りをほたるんと歩いていた。大学に通うために1人暮らしをしているらしく、涼風とは帰路が別なのだ。幸い俺の家が駅近くなので俺が送っていくことになった。
本来は涼風と桜の方にも同行するべきなのだろうが、あの2人は家が近いらしく2人で大丈夫だからと帰っていった。
別れ際に涼風が少し訝しげな目を送ってきたが、俺なんか嫌われることしたっけな。
「ごめんね、八幡くん。こんな時間まで付き合ってもらって」
「あぁ、全くだよ」
「……そこは気にしなくていいとか言うと思うんだけど…正直というか捻くれてるね…」
ふはは、よく言われる。てか、今のはひねくれてるとかそういう問題じゃないから。俺のサイクリングが台無しになったから。
童顔とはいえ、涼風と桜とほたるんは傍から見たら可愛く映るらしく、その3人と一緒にいる俺はと言うと恐ろしい憎悪を向けられてしまった。だから、これくらいのことは言っても構わないだろう。
「あおっちとかねねっちと電話とかLINEしてると八幡くんの話題が出てくるんだけど、今日見てたら聞いてた通りで面白かった」
「そりゃよかった」
どういう話を聞いたのか知らないが、多分不評ばっかりだろう。それか便利屋みたいな事を言われたに違いない。まぁ、今に始まったことじゃないからいいんだけどね。
「今日は楽しかったなー。男の子と遊んだの初めてだけど結構楽しいものなんだね」
「意外だな。結構、経験あるのかと思ってた」
「それはこっちのセリフ。八幡くん彼女いないって言ってたけど女の子慣れしてるよね?」
そう言われてみれば、あんまりキョドったり緊張はしなくなってきたな。まぁ、あんな俺以外女しかいない職場に放り込まれればそうなるわな。でも、未だに下の名前で呼べる女子がいない。先輩とかさん付けならいけるんだが素では呼べないんだよな。小町は別だが。兄妹だし、当たり前だよな。
それに手も繋げない、ボディタッチはできない。したら通報されて捕まる自信がある。
「まぁ、話すくらいはできる」
「うーん、でも目はあわせてくれないからやっぱり慣れてないんだね」
「それはあんたもだろ」
「そうだね。あはは」
俺達は言葉を交わしているが視線は交わしていない。俺は元から人の目を見て話すことは得意としてないし、それが可愛い女子が相手なら尚更だ。あちらは、さっきの話を聞くにクラスの男子とは会話する程度で遊んだりしたことはないのだろう。変な男に捕まらないといいが。
「あ、ここでいいよ。じゃあね、八幡くん」
駅前の噴水広場まで来たところで俺は足を止めた。その時、ほたるんと初めて目が合う。駅前なのに電灯は少なく、彼女の顔は窺い知れないが、声音から少なくても笑っているのは確かだろう。
小さく手を振る彼女に俺は小さく手を挙げて返すと、その背中が見えなくなるまでそこに居続けた。
青葉&ねね『どこかでラブコメの香りがした』
一応、ほたるんともフラグを貼ってといた。ぜんこくのほたるんファン満足頂けたかな?てか、ほたるんってもうアニメ出てたよね?気のせいか?