女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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名瀬の兄貴が死んだと思ったら、幼女戦記で生きてたけどまた死んで幼女になった。何を言ってるかわからねぇと思うが俺にもわからねぇ。


お久ぶりに書きました。名瀬の兄貴が死んでショックすぎて書けなかったし携帯壊れたから書けなかったんですわぁンヒィ。


比企谷八幡は良くも悪くも周りを見ている。

 

 

主人公になりたい。

 

 

 

 

それはこの世に生まれたち、アニメや漫画などの二次元と呼ばれる娯楽に囲まれた男の子なら1度は思うことである。

 

 

 

主人公と呼ばれる属性には大したイケメンでなくてもモテたり、本人にその気はなくてもラッキースケベが発動したり、普段は平凡な高校生なのに突然異能に目覚めたりとか、死んだら異世界生活を強いられたりなどの「主人公補正」と呼ばれるものが発動する。

 

 

あらゆる危機的状況を打破する他、死亡フラグをへし折ったりラブコメの匂いをプンプンさせたりもできる恐ろしいスキルである。それがあれば俺も……などとは考えてはいけない。あれはあくまでフィクションであり、主人公補正はこの現実的社会にはないし存在したとしても全く通用しない。

 

 

 

 

人は死ぬ時は死ぬし、恋愛フラグを建ててもいずれは必ず折れるのだ。それに主人公とは誰にでも優しく、誰でも守ったり助けたりできる訳では無い。例に出すなら、少年漫画の主人公は身の回りの人間を助けているだけでわざわざ不幸な人間を助けようとはしない。ちょっと探せばすぐに出てきそうなのにだ。

 

 

不幸な人間を見たらほっとけないというのは正義の味方らしいがそれは主人公ではない。偽善者かもしれないし、人を助ける俺超かっこいい系男子かもしれない。

 

 

その辺は戦隊モノやライダーも同じだ。わかりやすい悪者を倒しているだけで、貧困や飢餓に悩む人を救ったり、戦争を止めたりはしない。つまりの人間の人間による不幸は、正義の味方にもどうしようもないのだ。まあ、ライダーだからといって善人とは限らないしな。おのれディケイド。

 

 

 

話は少し逸れたが『主人公になりたい』という人間は数多い。それは俺も同じだが、俺の人生の主人公はいつだって俺なわけでヒロインも俺なのだ。

 

 

 

「あの、なにかデザインで質問があったら遠慮なく言ってくださいね?」

 

 

 

「うん……」

 

 

プロトタイプ版の製作も進んで現在のキャラ班は、八神さんと涼風がキャラクター原案、俺とゆん先輩で敵キャラの3Dモデル、ひふみ先輩はメインキャラの3Dモデルを担当している。ちなみに俺は他にもアイテムパワーアップ用の小物やエフェクトの試作も行っている。完全にキャラデザの仕事じゃないけどほとんどモデリングしかしないから別にいいよね!

 

 

 

「遠慮しなくていいんですよ?」

 

 

 

「え?え?」

 

 

 

いや、流石に涼風さんしつこすぎるよ?ひふみ先輩も困ってるでしょ?メインキャラの3Dモデルが形になったのを見た涼風はひふみ先輩の画面にべったりで自分の机に置かれたデザインの作業は滞っている。それを横目で見ながら2人の会話に耳を傾ける。

 

 

 

「ううん……ほんとにない…よ…?」

 

 

 

「そうですか…いや、自分でデザインしたものを人に作ってもらうって初めてなので形がわからないーとか立体にならないーとかそういう質問があるものだと思って……」

 

 

 

「そういうのは…別になかったけど……あ!デザインが単純すぎて…ごまかせなくて難しい…!」

 

 

 

「それは今後の参考にさせていただきます…」

 

 

 

ひふみ先輩が頑張って絞り出した言葉にその反応は正解なのかわからんがとりあえずお前は自分の仕事をしたらどうだ?あ?

そんなふうに思っているとエフェクト班の人からアイテム使用時のエフェクトはどうするかと聞かれたので、その人のノートパソコンを拝借する。

 

 

いい加減に名前聞いた方がいいかなと思いつつ、うみこさんのデスクに向かう。どうでもいいけどこういうのってエフェクト班のリーダーさんのお仕事なのでは?そう思いながらも、プログラマーブースを除くと今は特に大きな仕事はないのか俺達があげたキャラクターのバグチェックをしていた。

 

 

 

「うみこさん、少しいいですか?」

 

 

声をかけると手を止めて、椅子がくるりと回ってうみこさんの体がこちらに向く。

 

 

「はい、どうしました?」

 

 

「アイテム消費後のエフェクトなんですけど、他の人からもう少し派手にしてもいいんじゃないかと言われまして」

 

 

パソコンの画面を向けて試作のエフェクトを見せながら言うとうみこさんは顎に手を添える。

 

 

「……そうですね。今のところは大丈夫ですので一応、もしもの時にこれと派手にしたものの2つをお願いします」

 

 

 

「わかりました」

 

 

 

話を終えて自分の席に戻り、エフェクト班の人にそのことを伝えると「わかった」と背中を向けたので俺も自分の仕事に戻ろうとキーボードに手を出す。なんかいない間に八神さんとゆん先輩がひふみ先輩の机に集結しているが気にしないドラゲナイ。

 

 

なんかファーがどうとか3D使わなくても毛皮っぽさを表現する方法とかをやっていたりするが気にしない。ちなみに俺はそれくらいの表現はできますよ。伊達に中学、高校とプロぼっちやってねぇよ。プロのぼっちは一回見たことは勝手に自分のものにするからな。ゆん先輩の画面見て覚えた。だから、かめはめ波とか誰かが目の前でやってくれたらできる。多分。

 

 

 

「あ、あのさ、比企谷くんはわからないとこある??」

 

 

 

年上3人の話についていけなくなったのか、涼風は俺の画面を覗き込む。その顔は何やら焦りか憤りを感じる。

 

 

 

「今のところは特にねぇけど……」

 

 

 

俺がそう言うと涼風はシュンとした表情をする。なんなのこの子。最近、不機嫌になったり落ち込んだりするの多いな。キャラデザ担当になったんだから笑顔になってもいいと思うんだが……。

 

 

 

あぁ、そうか。キャラデザなのに何も言えないし何も出来ないから不安なのか。わかりやすいな…。

 

 

 

 

「……あ、そういえば。エフェクト班の人がキャラがアイテム使った時のエフェクトを派手にするかどうかって相談されてな。涼風はどう思う?」

 

 

「えっと……今がどんなのかわからないから…どうとも……」

 

 

 

うわぁーめんどくさー。わざわざ、意見出せるようにしたのにー?えー?ってこれは俺が悪いのか。涼風はエフェクトの試作見てないわけだし。仕方ないな。USBメモリーからデータを取り出してそれを涼風に見せる。

 

 

「あー、確かにもう少しドカーンとかしててもいいかも!」

 

 

「ドカーンって……つまり派手でもいいってわけか?」

 

 

「うーん、派手っていうよりはなんかもう少しパワーアップしてる感じが欲しいかな」

 

 

確かに今のままじゃなんかアイテム入手した時とそんなに変わんない気もするな。それに緑じゃ回復ポーションと被る可能性もあるし…。

 

 

 

「そうだな。ありがとよ。参考になった」

 

 

 

俺がそう言うとやっと自分が役に立てた。というか原案を出した自分の意見が出せたことが嬉しかったのだろうか。顔には笑顔が浮かんでいる。その姿にホッとしているとそこでお昼の時間を告げるメロディーが放送機から流れる。

 

 

「あ、お昼か。じゃあ、休憩の後でね」

 

 

「任せてください」

 

 

八神さんはゆん先輩にそう言うと自分のデスクに戻っていく。今はプロトタイプ版の製作ということであまり急がず慌てず、全員がちゃんとした時間にお昼を摂っている。俺は財布と携帯を持って席から立ち上がるとふと、ひふみ先輩が涼風に話しかけていた。

 

 

 

「一緒にお昼……いこっか……!」

 

 

 

「へ!?あ、はい!びっくりした…」

 

 

 

そりゃびっくりするわな。でも、ひふみ先輩の方がびびってたぞ、ずっとニヤニヤしてる後輩にどう話しかけようか迷ってるのが動作ですごく伝わってきた。とりあえず、これからのアフターケアはひふみ先輩に任せよう。あの人はあの人で人の痛みや悩みがわかる人だ。きっと涼風の力になってくれるだろう。俺はそれを尻目に見るとその場をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、飯を食べて会社に戻るとひふみ先輩がぐったりしてたのは別の話。本人いわく「喋りすぎて……もう疲れた……ダメ……」ということらしい。


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